山と道ラボ【レインウェア編】
#3 透湿試験とメンブレンの解説

INTRODUCTION

『山と道ラボ』とは

山道具の機能や構造、性能を解析する、山と道の研究部門です。
各アイテムごとに研究員が徹底的なリサーチを行い、そこで得られた知見を山と道の製品開発にフィードバックする他、この『山と道JOURNALS』で積極的に情報共有していくことで、ハイカーそれぞれの山道具に対するリテラシーを高めることを目指します。

#1のハイカーズデポ土屋智哉さんと山と道・夏目彰によるレインウェア深彫り対談、渡部研究員による超弩級のマーケットリサーチ#22と続いてきた『山と道ラボ(レインウェア編)』。

#3となる今回は、#2で解説しきれなかった防水透湿素材の性能評価を行う透湿試験とはいったいどのような方法で行われているのか? 前回では字数の都合で迫りきれなかった(入れると長過ぎ!)ゴアテックスやパーテックスシールドなど、多くのハイカーが実際に使用している現在の主要な防水透湿素材の構造とメカニズムはどうなっているのか? 山と道ラボのテキスタイル・リサーチャー、松本りん研究員が迫ります。

前回の#2を読んで頭に「?」が浮かんだ方も、今回のリサーチを読んでいただいてから再び#2に戻っていただければ、「疎水性」「親水性」「多孔質」「無孔質」など、これからレインウェアの議論を進める上で避けては通れない(けれど一般的にはほとんど知られていない)ファクターが、より理解しやすくなるのではないかと思います。

今回も話は入り組んでいますが、なるべく噛み砕いて説明をしたつもりですので、最後までお付き合いいただければ幸いです。

はじめに

前回の山と道ラボ#2『レインウェア・マーケット分析』に続きまして、私は、レインウェアを私自身の専門分野であるテキスタイルの観点から紐解いていきたいと思います。

レインウェア素材の最大の特徴は、防水透湿素材が使用されていることです。テキスタイルというと、織物、丸編み、横編み、縦編みに大別され、糸を織ったり編んだりすることで構成されています。一方、レインウェアに使われている防水透湿素材は、そういったテキスタイルとは全く異なる概念・構造であるばかりか、化学や科学の領域にも跨り、最先端の素材には、高度なテクノロジーや技術が用いられています。踏み込んでリサーチすればするほど、奥深い分野であることに気付かされました。

調べていくと、防水透湿素材にも種類があり、それぞれに特徴があることがわかりました。今回は、防水透湿素材の透湿度を測る試験方法について、また代表的な素材についての解説を通して、防水透湿素材各種の特徴をより一層理解し、レインウェアを選択する際のヒントとして役立てていただけたらと思います。(松本りん)

1、透湿試験方法の解説

透湿試験はどのような方法で行われているのか?

レインウェアを購入する際、各メーカーが公表している耐水圧、透湿の数値を参考にして、比較検討することが多いと思います。

透湿を測る試験方法はJIS-A1、JIS-A2、JIS-B1、RET(ホットプレート法)など複数の種類があり、各メーカーは、その中から試験方法を選択して計測しています。各方法には特徴があり、それぞれの素材のテクノロジーによって、高い数値が出やすかったり、出にくかったりします。

なので、例えばA社の公表値がB社の公表値を上回っていたとしても、測定方法が異なる場合は、一概にどちらが優れているか比較できない……といった現状があります。

では、それぞれ、どのような方法で透湿を測定しているのか、解説していきたいと思います。
(JIS-A2法については現在アウトドア用レインウェアで透湿試験に採用している例が確認できないため、解説を省いています)

●A-1法(塩化カルシウム法)

衣服内が多湿となる着用条件・乾燥した外環境下での透湿度測定に適した試験方法。

透湿カップに吸湿剤(塩化カルシウム)を入れ、試験片(メンブレン)の表側を吸湿剤側に向けて透湿カップにセットします。これを温度40℃、相対湿度90%に設定された恒温恒湿装置の中に置き、1時間調湿後に質量を量ります。再び同装置内に置き、さらに1時間後質量を量ります。試験片(メンブレン)を通過して、カップ内の吸湿剤に吸収された水蒸気の質量を計算し、透湿度(g/m2・h)を算出します。

恒温恒湿装置=衣服内の環境、カップの中=外環境として、衣服内の水蒸気が外環境に放出される状態を再現しています。

恒温恒湿装置の約40℃、湿度 約90℃の設定は、衣服内がかなり蒸れている状態と同じような環境を作り出しています。カップの中は外環境の状態を表しますが、40℃に温められたカップに吸湿剤が入っていて湿気を吸収するため、高温で乾燥した環境を作り出しています。高温・乾燥地帯のような外環境の中で、人が運動をして衣服内が蒸れた状態を想定して透湿性能を測っています。

【A-1法を採用しているメンブレン】
・エバーブレス(ファイントラック)

●B-1法(酢酸カリウム法)

防水性のある生地の最大透湿度を測定するのに適した試験方法。

試験片(メンブレン)の裏面を外側に向けて支持枠にセットします。透湿カップに吸湿剤(酢酸カリウム溶液)を入れた状態で質量を量り、これを水槽に固定した試験片支持枠の中に置き、15分後に質量を量ります。試験片(メンブレン)を通過して、カップ内の吸湿剤に吸収された水蒸気の質量を計算し、透湿度(g/m2・h)を算出します。

A-1、 A-2法は、ある特定の衣服内の環境及び外環境に近い温度・湿度設定の条件下で測定しますが、B-1法は、そういった環境条件下での計測というよりは、試験片(メンブレン)の最大透湿度を測ることを目的としています。

【B-1法を採用しているメンブレン例】
・パーテックスシールド
・サイトス(小松精錬)
・ベルグテック(ミズノ)

●RET法≒ISO 11092(発汗ホットプレート法)

暖かく蒸れにくいといった特徴を持つ素材の測定に適した試験方法。

恒温恒湿槽内にホットプレート試験機が設置され、この試験機には熱板(水蒸気透過抵抗測定時;実際にはセロファン膜で覆う)が設けられています。
35℃に設定された熱板の上に水を張り、試験片(メンブレン)を置いた際の熱板の消費電力量を測定し、水蒸気透過抵抗及び温熱抵抗を算出します。

ホットプレートの温度を人体の体温と近い設定にし、熱によってホットプレートに張った水から放出される水蒸気の量を測定する方法のため、人が実際に着用したときの状況と最も似た環境設定で測定できる方法といえるかもしれません。

熱伝導性プレートの35℃の温度設定は、人の体温を想定しています。恒温恒湿装置内の設定環境は、温度 20℃、湿度 60℃ なので、春や秋頃の平均的な湿度の外環境の設定になります。
春もしくは秋の晴れた日に、35℃前後の平均的な体温の人が、防水透湿素材のウェアを着用した状態で、運動して発汗し、水蒸気を放出する状態を想定して透湿性能を測定しています。

【RET法を採用しているメンブレン】
・ゴアテックス

●試験方法についての考察
〜試験結果の数値と商品性能の優劣は異なる⁉︎

ゴアテックスはRET法を採用していますが、これはゴアテックスのテクノロジーに合っていて、他の試験方法よりも有利な数値が出やすいとされています。また、パーテックスシールドやSAITOSなどの親水性無孔質PU素材は、B-1法で高い数値が出やすいと言われています。B-1法は、試験片が直接水に接するため、親水性の高い無孔質PUは有利なのです。finetrackは、B-1法が高い数値が出やすい特徴があることを知った上で、「実着用における実感」を重視してA-1法をあえて採用していると明記しています。
このように、それぞれのメンブレンテクノロジーごとに相性の良い試験方法が異なるため、各社それぞれ、テクノロジーや目的に合った検査方法を選択していると思われます。

また、各社が公表している数値は、メンブレンに表地や裏地が組み合わされた構成体=最終生地としての数値であり、表地や裏地の性能によっても、結果は大きく変わってきます。例えば、表地の生地が厚ければ、耐久性や保温性は上がりますが、透湿性の面ではメンブレン単体での数値よりは下がってしまいます。

どの検査法も、ある特定の条件設定に基づいた検査なので、例えば、亜熱帯で軽く歩いた場合の透湿性能は? 雪山の高山で激しく運動した場合の透湿性能は? など、各試験で想定している環境とは異なる条件下での商品性能の優劣は、公式に公表されている数値とはまた異なる結果になるでしょう。

2、主要防水透湿素材の構造とテクノロジー

山と道ラボ#2の記事で、防水透湿素材(メンブレン)について解説しましたが、ここでは各メーカーの具体的な防水透湿素材を例に紐解いていきたいと思います。

メンブレンは、ePTFE、多孔質PU、無孔質PUの3種類に大別されますが、代表的な素材には、どんなテクノロジーが使われているのでしょうか。それらの構造と特徴を、図解も使って解説していきます。

ゴアテックス
【疎水性多孔質ePTFEメンブレン+親水性コーティング】

防水透湿素材の代表格といえばゴアテックスでしょう。ゴアテックスはアメリカのWLゴア&アソシエイツ社が製造販売する防水透湿素材の商標名です。ゴアテックスの核となっているのは、ゴアテックス・メンブレンと呼ばれるePTFE膜です。

ePTFEは、先の記事でも解説しましたように、フライパンにも使われているテフロンを原料としているので、とても強靭です。また、蜘蛛の巣状の微細な孔(あな)をもち、水蒸気は通しますが、水はブロックします。疎水性で水を弾く性質を持っています。メンブレン自体にストレッチ性はありません。なので、たとえ表地、裏地にストレッチ性のある素材を採用したとしても、メンブレン自体は伸縮せず、最終生地としてのストレッチ性には限界があります。

ePTFEメンブレンは、先述の通り、孔(あな)が開いているため、衣服に用いる場合は、皮脂などにより微細孔が詰まると性能が劣化するという欠点があります。そのため、ゴアテックスは、孔(あな)を保護するため、図解のように、ePTFEの肌側にあたる面に、汚染防止用のコーティングが施されているとされています。

コーティングでメンブレンの孔(あな)が塞がれてしまうため、透湿性能はある程度損なわれてしまいますが、汚染による性能の劣化というデメリットを防ぐことに重点を置いていると考えられます。

このコーティングは親水性であるとされており、人体から出る水蒸気をコーティング部分が一度保水してメンブレン側に送り、メンブレンを通過して外部に放出されるメカニズムと考えられます。ゴアテックス・メンブレン自体には通気性がありますが、コーティングの影響であまり性能は高くないと思われます。ただ、通気性が悪い=保温性が高いとも考えられますので、冬季用のアルパインシェルなどにはむしろ向いた素材といえるかもしれません。

*注 ゴアテックスも最新のモデルはコーティングを省いたか、極めて薄くした製品となっている可能性もあります。

ゴアテックスのテクノロジーは、「ゴアテックス」の他に、「ゴアテックス・プロ」「ゴアテックス・アクティブ」というカテゴリーがあります。

それぞれ、どういう特徴なのか解説していきます。

●ゴアテックス・プロ

ゴアテックス・プロは、過酷で厳しい環境にも耐えうる非常に高い耐摩耗性と丈夫さに重点を置いたカテゴリーです。

ゴアテックス・プロは、3レイヤー構造になっています。ePTFE多層構造メンブレン(特許出願中)という特殊なメンブレンを採用し、表地は40デニール以上の厚さの、高い耐摩耗性のある生地を使っています。裏地にもマイクログリッドバッカーテクノロジーと呼ばれる、引き裂きに強く耐摩耗性のある裏地が採用されています。ある程度の厚みの生地を採用しているため、着心地はゴワゴワしていて重量もありますが、その分、耐久性と保温性は高いでしょう。

プロダクトとしても、過酷な環境下でも浸水しないかどうかの試験を課し、冬山などにも対応できるように細部に渡って工夫されています。厳冬期の登山や、バックカントリー、アイスクライミングなどに向いているとされています。

●ゴアテックス・アクティブ

ゴアテックス・アクティブは、軽量化に重点を置いたカテゴリーです。標準よりも薄いメンブレンを使用し、表地には40デニール以下の薄くて軽い生地を使用した3層構造になっており、スタンダードなゴアテックスと比べて、圧倒的な軽量化を実現しています。トレイルランニングやMTBなど、短時間での非常に激しい有酸素運動に適していると謳われています。

一番のメリットは、ずば抜けた透湿性能が挙げられます。表地が薄い分、メンブレンが本来持つ透湿性能への妨げを最小限にできることが理由でしょう。蒸れにくく体をドライに快適に保ちます。着心地もソフトで柔らかく、激しい動作を妨げません。ただ、表地が薄いので、外部の気温に影響されやすく、保温性はあまり期待できません。生地が薄いので耐久性や耐水圧もスタンダードなものよりも劣りますので、長期的な山行などにはあまり向かないとされています。

注目の新素材
ゴアテックス・アクティブ・シェイクドライとは?

ゴアテックス・アクティブカテゴリーの革新的な防水透湿素材です。ePTFEメンブレンを直接表地に採用したという画期的な素材で、永続的な撥水性能を持ち、防風性、耐久性も兼ね備えています。

2レイヤーや3レイヤーの生地の場合、メンブレンに表地が重なっているため、メンブレンが本来持っている透湿性能はある程度損なわれてしまいますが、この素材は、メンブレンが表に剥き出しの状態で使われているので、高い透湿性が保持されます。メンブレンと裏地だけで構成されることにより、表地分の重量を削ることができ、軽量化が可能となります。また、撥水機能も優れており、レインウェアを脱いで、さっと一振りすれば雨粒が落ちてドライな状態となります。

通常、メンブレンは、表地として使用できるほどの耐久性は無いとされているので、表地で保護されている場合がほとんどですが、このメンブレンは、特殊な耐久コーティングが施されていることにより、表に使用することが可能となりました。ですが、登山用としてはあまり勧められず、ランニングやトレラン、自転車用などに推奨されています。特殊なコーティングにより耐久性を上げているとはいえ、例えば重いザックを背負った時のショルダーの摩擦に耐えうるほどの耐久性は満たしていないようです。

現状、素材の製造工程の制約なのか、黒のみのカラー展開になっています。メリット・デメリットありますが、革新的な素材であるといえるでしょう。

防水透湿素材を表に使用しているタイプとしては、コロンビアのアウトドライ・エクストリームもそうです。こちらは、ポリウレタンタイプで、メンブレンではなくコーティングになります。ポリウレタンなので、ストレッチ性があります。ただ、重量が嵩むのか、超軽量製品は実現していません。

eVent
【疎水性多孔質ノンコーティングePTFEメンブレン】

英国BHA社が開発した延伸PTFE 「ダイレクトヴェンティングシステム」の防水透湿素材です。ラブやOMM、ウエストコム、モンテインなどに採用されています。

eVentは、ゴアテックスと同じePTFEメンブレンです。ゴアテックスが汚染防止用のコーティングを施しているのに対し、eVentはノンコートとされています。コーティングしなければ、ePTFEメンブレンが本来持っている透湿性能を損なうことなく、常時透湿される状態を保ちます。その代わり、孔(あな)に汚れが詰まってしまう確率はゴアテックスよりも高いと考えられますが、独自のテクノロジーでそれに対しての対策は成されているかもしれません。

eVentは、透湿性や通気性に関して、ゴアテックスよりも優れているという評価がありますが、この、コーティング、ノンコートの違いによって差が出ていると推測されます。通気性が良いということで、衣服内が蒸れにくいというメリットはありますが、逆にいうと、外部からの強風を通すため、防風性には優れていないともいうことができ、保温効果はあまり高くないとも考えられます。

●パーテックスシールド
【親水性無孔質PUメンブレン】

200g未満の軽量ジャケット群においてゴアテックス以上の存在感を誇るのがパーテックス系です。

パーテックスは79年に英国で開発された素材で、05年に三井物産が商標と特許を取得しました。現在は三井物産アイファッションが扱っています。パーテックスとは、メンブレンの名称ではなく、三井物産アイファッションが展開する機能性素材ブランドの総称になります。

パーテックスは、6種のサブカテゴリーを擁しますが、防水透湿素材としてはシールド、シールド・プロの2種類あり、現在はシールドが親水性無孔質PUメンブレン、シールド・プロが疎水性多孔質PUメンブレンを採用したカテゴリーになっています。

注:コーティング(多孔質タイプ)素材もシールドに含まれますので、シールド全体としては、無孔質タイプ、多孔質タイプが混在する、あくまでも透湿防水素材の括りとなります。

この中で、パーテックスシールド(メンブレン)について解説していきます。

パーテックスシールドには、無孔質PUメンブレンが使われています。無孔質PUメンブレンは基本的に親水性で、孔(あな)は開いておらず、メンブレン内の水酸基が水蒸気と結合してメンブレン内に保水し、気化して放出するというメカニズムで透湿します。

無孔質PUメンブレンは、ポリウレタンを原料とするので、ストレッチ性があり、ソフトな風合いが特徴です。組み合わせる素材にストレッチ性があれば、メンブレンもそれと一緒に伸縮するので、着心地を追求する場合はePTFEよりも適しているとされます。

また、無孔質PUメンブレンの特徴として、軽量化しやすいという点が上げられます。ePTFEや多孔質PUは孔(あな)が開いているため、薄くしすぎると破れやすくなってしまうため限界がありますが、無孔質PUは孔(あな)が無いため、極限まで薄くすることが可能となります。軽量化を最優先で考えるならば、無孔質PUメンブレンは最適と考えられます。軽量クラスでパーテックス系の採用が目立つ理由のひとつでしょう。

ポーラテック・ネオシェル
【疎水性多孔質PUメンブレン】

※ 注 ポーラテック・ネオシェルは公開されていない情報が多く、この解説と図表はあくまで筆者の推論になります。

フリース素材で有名なポーラテック社による防水透湿素材です。疎水性多孔質PUメンブレンで、軽くしなやか、透湿に温度差を必要としないという特徴があります。ティーロンブロスやウエストコムなどのメーカーに採用されています。

疎水性多孔質PUメンブレンは、微細孔が空いており、体内から出た水蒸気はそこから放出されます。ポリウレタンなので、ストレッチ性がありソフトな風合いが特徴です。

多孔質PUは通気性がありますが、このポーラテック・ネオシェルは特に通気性能に優れていると謳われています。通常の多孔質PUメンブレンは、通気性があるとはいっても、明らかに体感できるほどのものではありません。ですが、ポーラテック・ネオシェルは、メンブレンの孔(あな)の大きさを独自にコントロールし、通常の孔よりも少し大きめの孔にしていると推測されます。そうすることにより、透湿性・通気性が高まり、衣服内の空気循環を促し、他にはない快適さを生み出すことができます。

その場合、外部からの風なども通してしまい、保温性に欠けるのでは?という懸念が出てきますが、透湿・通気性と防風性の最適なバランスを様々なテストを通して確認しながら孔(あな)の大きさをミクロレベルで調整しているようで、充分な保温性を備えているとされています。

まとめ

リサーチを開始する前は、自分自身、レインウェアに対する理解はぼんやりとしたものでした。リサーチを進める中で、実際に防水透湿素材を製造しているメーカーの方や、国内外の防水透湿素材を扱う商社の方など、様々な立場の方からお話を伺う機会があり、未知数だった防水透湿素材の世界を、少しずつ深掘りしていくことができました。

しかし、最先端の防水透湿素材のテクノロジーについては、多くが非公表のため、まだまだ知り得ないことが沢山あります。これから先、もっと進化を遂げていくでしょう。テキスタイルの範疇にとどまらない分野だからこそ、想像を超えた画期的な素材が開発されていくと思います。

また、現状の防水透湿素材も、解釈の仕方、使い方によって、新たな側面を引き出せる可能性を秘めていると感じました。防水透湿素材各種の特徴を理解した上で代表的なレインウェア素材を見ていくと、それぞれの商品の特徴が改めて見えてきました。山の楽しみ方が多様化してきている今だからこそ、メーカーの想いや商品の個性を感じ、自分のスタイルに合ったギアを選び取ることが大事なのではないでしょうか。

(文責:松本りん)

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注:本稿はリサーチャーの独自研究をまとめたものであり、一部に推定もしくは主観的な判断を含みます。製品スペックや素材の特徴、物性などは調査時点から変化する可能性があります。本稿は内容の完全な正確性・妥当性を保証するものではなく、本内容を利用する事によって生じたあらゆる不利益または損害などに対して一切の責任を負いかねますのでご了承下さい。引用は著作権法にもとづいた適正な範囲でお願いします。なお、特に素材についてはメーカー未公表の情報も多く、各種の資料を参考にしましたが事実誤認があるかもしれません。識者のご指摘をいただければ幸いです。

今回で、レインウェアの考察を進める上での大前提となる各論の解説がようやく終わりました(長かった…)。
「山と道ラボ」は、次回よりいよいよ実験編に入っていきます。お楽しみに!

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  • 松本 りん

    松本 りん

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    縫製工場、ファッションブランド、生地メーカー、デザイン事務所勤務を経て、2016年よりフリーランスのテキスタイルプランナーとして活動。 全国の産地に足を運び、機能性素材、ファッションテキスタイルなど幅広くものづくりを行う。 日帰りゆる登山からテント泊縦走、クライミングやスノーボードなど、山を日々楽しんでいる。 昨年、念願の海外登山を経験し、山の魅力にさらにハマる。 辻堂への移住を計画中。