羊さまに包まれて
7月の特集 メリノウール
2023.07.11

山や自然の中を長い時間旅をしていると、自分の身体も自然の一部であると感じられることがあります。身体という小さな自然と、山という大きな自然が繋がっていくような感覚です。そんな旅をする時、メリノウールは山で過ごす時間を格別なものに変えてくれる素材です。汗をかいても臭くならず、呼吸しているかのように湿気を吸って衣服内を快適に保ってくれる。雨に濡れても身体を包むメリノウールが体温を保ってくれる。数多くの素晴らしい山の道具や素材との出会いのなかでも、身体と山を繋いでくれる大事な道具であるメリノウールは、別格の存在だと思っています。

山と道では、メリノウールを使った製品を数多く展開しています。尾州で開発した生地のことや、軽量化、リペアのこと、そしてたくさんの試行錯誤の過程も含めて、もっともっとメリノウールへの愛を伝えたい。そんな思いとともに、今月の特集「メリノウール」お届けします。どうぞお楽しみください。

さて、山と道の月間特集は8月の夏休みを経て、9月からまた新たなテーマで展開します。皆様良い夏をお過ごしください。

STORES

山と道の直営店はULハイキングにまつわるヒト・モノ・コトを発信していく拠点として、山と道の製品や、ハイカー仲間と出会い、カルチャーを育んでいく場として展開しています。直営店では、天然素材であるメリノウールの魅力を深掘りしつつ、皆さんがメリノウール製品とより永く旅をすることができるよう、様々なリペア方法やウェアが生まれ変わる藍染めのワークショップを実施します。

山と道 材木座

HLC鎌倉
山と道修理部のメリノウールリペアデイ

製品を永くご愛用いただく取り組みとして、「山と道修理部のメリノウールリペアデイ」と銘打ち、山と道のメリノウール製品のリペア(修理・修繕)にフォーカスを当てたプログラムを開催します。

山と道修理部スタッフが「山と道 材木座」に1日在籍し、道具を長く使うための簡単な修理やTipsを紹介します。山と道のメリノウール製品のライブリペア、セルフリペア、HLC鎌倉ミートアップの3本立てでプログラムを実施しますので、気になる方は以下の詳細をご確認ください。ぜひ皆さんのご参加をお待ちしています。

1. ライブリペア

イベント当日限定で店内にリペアブースを設置し、山と道のメリノウール製品の修理についてのご相談を受け付けます。小さな穴やほつれなど簡単に修理できるものがあれば、その場で修理部スタッフが修理を行います。実際に修理を行う過程を見ることもできるため、興味がある方は穴が空いてしまった山と道のメリノウール製品をお持ちください。

当日に修理可能な山と道製品

  • 100% Merino Light シリーズ
  • 100% Merino シリーズ
  • DF Mesh Merino シリーズ
  • Merino Shirt
  • Merino Short Sleeve Shirt

2. セルフリペア

店内では、山と道のメリノウール製品の穴あきをご自身で補修できるセルフリペアキットを設置します。穴があいたお気に入りの製品をご自身の手で修理することで、道具の理解を深め、ULハイキングにおける修理の重要性を感じることができます。リペアについては店頭でレクチャーを行いますので、お気軽にお声がけください。

当日に修理可能な山と道製品

  • 100% Merino Light シリーズ
  • 100% Merino シリーズ

3. ミートアップ

山と道 修理部スタッフがミートアップにも参加。修理に関して直接相談できるので、ざっくばらんに話しかけてみてください。また、ULハイキングと修理の関係や製品の修理事例をプログラム中に紹介します。ゲリラ的にメリノウールの補修ワークショップやライブリペアも始まるかも?

HLC鎌​​倉 山と道修理部のメリノウールリペアデイ

場所:山と道 材木座(神奈川県鎌倉市)
開催日:7月30日(日)

  1. ライブリペア
    • 時間:11:00 − 16:00
    • 予約:
      プログラムの予約は不要ですが、「山と道材木座」(開催場所)へのご来店には予約が必要です。プログラムに参加する場合は、開催日のご来店予約をお願いします。
    • 費用:500 − 2,000円
      ※修理方法によって費用が異なります。当日スタッフにお問い合わせください。
      ※穴の大きさによっては、当日修理できない場合があります。
  2. セルフリペア
    • 時間:11:00 − 16:00
    • 予約:
      プログラムの予約は不要ですが、「山と道材木座」(開催場所)へのご来店には予約が必要です。プログラムに参加する場合は、開催日のご来店予約をお願いします。
    • 費用:無料
      ※リペアに必要な道具や資材は山と道で用意します。
  3. HLC鎌倉ミートアップ
    • 開始:17:00
    • 終了:19:00
    • 店員:20名 ※最小催行人数: 10名
    • 参加費:1,000円
    • 募集締切:7月28日(金)
    • 予約はこちらから
    • ※ミートアップは下記よりご予約が必要です。
      ※ワンドリンク(ヨロッコビール)付き。
      ※他の食べ物やドリンクが必要であれば、各自持ち寄りでお願いします。
      ※ミートアップ中は製品の購入はできません。

山と道材木座 ご来店予約に進む

山と道 京都

HLC関西
藍で染めて永く愛するワークショップ

京都伏見の藍師・染師 西村 尚門さんを「山と道 京都」にお迎えして、藍染めワークショップを行います。

人類最古の天然染料である「藍」は、「抗菌」「消臭」「防虫」「保温」などハイキングにも効果的なさまざまな作用があるとされています。メリノウールもまた、天然素材であり、高い消臭機能を持っています。

着古した山と道のメリノウール製品をはじめ、色褪せてしまい最近着用していないギアやウェアを自分自身で染め直すことで改めて愛着が湧くでしょう。きっとより永く愛用したくなる道具となるはず。ぜひ皆さんの手で、自分だけの一着に染めてください。

ゲスト 藍師・染師 西村尚門さんよりメッセージ

「大量生産、大量消費の時代の中、ギアやウェアを大切に使い、壊れたらリペアして永く使おうと考える方も増えてきていますが、『自分の手で染め替える』という選択肢はまだ少ないのが現状です。自然のモノから色を頂く『藍染』により、世界にひとつだけの色、柄に染めかえ、染め直すことでより永く愛してもらえると僕は信じています! 一度きりの人生という旅をハイキングに適した効果が多数ある藍染めされたウェアと一緒に過ごしてもらえたら嬉しいです。」

西村尚門 Naoto Nishimura(Draw Dots Dawn)

藍師・染師。京都生まれ。手仕事やストーリー、背景のあるモノに興味があり、22歳の時に手紡ぎ手織りの古布や襤褸(ぼろ)と出会ったことから、色々な文献を調べ、藍染めの奥深さに魅了される。24歳で脱サラ後、日本の藍染め染料タデアイの一大産地である徳島県へ移住。3年の修行を経て、地元である京都伏見にて藍の栽培、染料造り、染色をしている。「自然を愛する人へ藍を届けたい」をテーマに藍染体験、農業体験を中心に活動中。

Instagram: @draw_dots_dawn

HLC関西 藍で染めて永く愛するワークショップ

会場:山と道 京都 2階(京都府京都市下京区)
開催日:7月29日(土) − 30日(日)
開始時間:10:30、13:00、15:00 ※各日、全3回開催されます。
所要時間:各回90分
定員:各回6名まで
費用:製品の重量によって異なります。下記詳細をご確認ください。
募集締切:7月28日(金)

持ち物

『植物繊維』『動物繊維』『再生繊維』を使用したTシャツやソックスなどのウェア、手ぬぐいなどのギア

  • 植物繊維:綿(コットン)、麻(リネン、ラミー、ヘンプ)など
  • 動物繊維:毛(ウール)、絹(シルク)など
  • 再生繊維:リヨセル、テンセル、レーヨン、キュプラなど


※おひとり1点のみ染色ができます。
※繊維構造、加工により染色に向かない素材もございますので予め、ご了承下さい。
※藍染めの色をより楽しむ為には、カラーが白や生成の製品がおすすめですが他のカラーの製品での染色も可能です。
※藍染用の道具はこちらでご用意しますが、作業中、藍の染液が飛ぶ可能性があるため、汚れてもよい服装でお越しください。また、染色作業の際、腰を折る姿勢や染め物を絞る作業もあるため、動きやすい格好をお勧めいたします。

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山と道 材木座 / 京都

メリノ製品のセルフリペア体験

7 − 8月の営業中、山と道直営店(鎌倉・京都)では、メリノウール製品の穴あきをフェルティングで補修できるセルフリペアサービスを提供します。

フェルティングとは、特殊なフェルティングニードルで羊毛繊維を刺すことで小さな穴や傷を修復する方法です。この技法は山と道修理部でもメリノ製品の穴あき補修に使用しており、手順は過去に山と道JOURNALS『山と道修理部通信#1 メリノウールの穴を補修する』で詳しく紹介しています。

リペアに必要な原毛やフェルト針などを用意していますので、穴があいてしまったお手持ちの山と道のメリノウール製品をお持ちください。また、お試しで体験いただけるメリノ生地も用意しています。「自分の製品で試すのはちょっと不安」「穴があいていないけどやってみたい」という方も、まずは直営店でリペア体験をしてみませんか? 

場所:山と道 直営店(材木座 / 京都)
期間:7ー8月最終営業日まで
参加費:無料

対象製品:

  • 山と道 100% Merino Light シリーズ
  • 山と道 100% Merino シリーズ

※1cm程度の穴を約10回ほど修理できる分量の羊毛を100円で購入できます。
※ウール原毛などの必要な材料・道具も貸し出ししています。

JOURNALS

ハイキングのフィロソフィーやトレイルログ、国内外のULカルチャーを取り上げています。「山と道JOURNALS」では、これまでの膨大なアーカイブから、メリノウールに関する記事をセレクトしました。お読みになった感想など、ぜひ店舗スタッフまでお聞かせください。さらに、今月にはメリノウールに関する新たな記事も公開予定です。

修理部北島市郎によるメリノウール補修にフォーカスした2019年の記事。山と道きってのスピリチュアル系キャラである北島らしく書き出しはやや不思議ちゃんな印象ですが、フェルティングによるウールの穴あき補修のハウツーや応用編の紹介、また修理のご案内まで、非常に役立つ内容になっています。フェルティングに関してはやり方を動画でも紹介していますので、メリノウール製品の穴あきに悩む方はぜひご覧ください。修理部通信では近々メリノウール補修の続編をアップ予定です。

こちらも2019年の全6回の連載記事となりますが、恒例とも言えるハイカーズデポの土屋智哉さん、Run boys! Run girls!の桑原慶さんをお招きしてのベースレイヤー座談会に始まり、歴史的経緯や天然素材と化学繊維の解説、「保温とは何か」の考察、各ベースレイヤー素材の総合評価や注目製品の実着レビューなど、「山と道ラボ」らしくどこよりも深く広くベースレイヤーの世界を深掘りしました。

USE CASE

ショーツとTシャツだけのスタイルが快適な季節になりました。汗のべたつきやにおいが気になる蒸し暑い季節には、軽やかな100% Merino Lightシリーズがおすすめ。シンプルながら、見た目以上に機能的なこのシリーズは、夏に欠かせないパートナーになってくれるはず。山と道ではこの夏、100%メリノウールのTシャツ「100% Merino Light Crew Neck」に、胸ポケットがついた新作「100% Merino Light Crew Neck Pocket」が登場します。

Model: 169cm / 54kg
Tops: 100% Merino Light Crew Neck Pocket / Jay Blue / M
Bottoms: 5-Pocket Shorts / Black / M

昨年の100% Merino Lightシリーズは、洗濯後に生地が斜行する問題がありましたが、今年は改善し、安心して低温乾燥機が使えるようになりました。

一般的なメリノウール製品のなかには、乾燥機使用時に驚くほど縮むものがあります。僕自身、ハイキングトリップに出かけた際に、下山後に街のコインランドリーで洗濯をしたらメリノウールのTシャツが縮んでしまい、遠い旅先で大きなショックを受けた経験があります。

そこで100% Merino Lightシリーズは、製品仕上げ前に乾燥機を使用したり、高温処理を施したりして、生地をあえて事前に縮ませる工程を経ています。この手間のかかる過程を踏んで、試行錯誤を積んだ結果、山と道のメリノウール製品は、他の製品にはない「低温乾燥機対応」を実現しました。また、今年100% Merino Lightシリーズは糸の縮率の差によってメリノウールの表面にビンテージTシャツのような独自の風合いが生まれました。

低温乾燥機を使えることで、より多くの方々に気軽にメリノウールの優れた機能を身近に体験していただきたいと考えています。(山と道 夏目彰)

PRACTICAL

SNSでは、日々のニュースのほか、スタッフの装備例や製品を実際に使用していただいている方の声、スタッフのレビューなどを紹介しています。今月は月間特集に関連して、修理部がこれまでお預かりして修繕をしたメリノウール関連の修理事例も紹介します。

DF Mesh Merinoシリーズのレビュー

メリノウール製品のなかでも新しい、化繊との混紡生地を使用したDF Mesh Merinoシリーズ。やや厚みのある生地ゆえに夏のイメージがつかないかもしれませんが、実は独自開発した二層のメッシュ構造はこれからの季節にも活躍するオールマイティーな魅力があります。ハイカーの皆さんがどんな風に使っているのか、ハイカーのリアルな声をご紹介します。

  • DF Mesh Merino Sleevelessは通気性が良いので汗をかくような暑さの中でも風が吹くと涼しさを感じられ、それでいて保温力があるので、行動中に体が冷える心配がなくとても重宝しています。汗や雨で生地が濡れても体が冷えにくい点は100% Merino LightSleevelessと同じですが、DF Mesh Merino Sleeveless は濡れても肌離れがよいこと、あまり重くならないことや乾きが速いところがポイントだと思います。

    肌当たりがよく、ふわっとした着心地も気に入ってます。インナーなしで着用したいところですが、一枚だと下着の汗じみが気になりそうなのでインナーを下に着ています。私は夏は暑がりな方ですが、インナーとDF Mesh Merinoの2枚を重ね着して行動しても、今のところ不快感はありません。

    ウールなのに洗濯機で洗える手軽さも大事なポイントです(ツレや伸び防止のため、ネットに入れています)。

    ノースリーブは真夏にしか着れないイメージがありますが、春先の雪降る中のトレイルランニングやウルトラマラソンで着用しても体が冷えずトラブルフリーだったので、季節問わず活用できるアイテムだと思います。

    着用製品:DF Mesh Merino Sleeveless
    レビュアー:湯浅 綾子
    登山歴12年。平日は都内で働き、週末は山にいます。季節に合わせて日帰りハイキングからファストパッキング、バリエーション、沢登り、厳冬期まで幅広くアクティビティを楽しみ、年間100日以上山に入る。ビールを飲むと調子が上がり、どこでも寝るのが得意。

  • DF Mesh Merinoシリーズの好きなところは、「いつでもそんなに気にすることなく着ちゃえばとりあえずなんとかなる」ところ。ある程度の気温幅でも対応できる幅の広さやデメリットの少なさから、悩んだらとりあえず手に取るアイテムです。

    メリノの特徴である消臭性は得られつつ、ダブルフェイスメッシュ生地による「点接点」×「疎水性」で汗処理をカバーしつつ、柔らかい生地感が今までのものより「チクチク感」を軽減しているように感じました。

    化繊でありがちな「冷え感」についても、メリノの吸着熱と乾きがゆっくりなこと(気加熱少ない)で解決しつつ、快適な室内では化繊並みに乾きの早い点も大きなメリット。汗や雨でかなり湿っても、着用したままなら1,2時間ほどでほとんど乾いていました。連続で着用する場合も、就寝時の室内干しで乾燥し、臭いの発生がなかったので驚きました。

    また、山行での休憩時には化繊Tシャツを着ている同行者が「寒い寒い」と言いながらレインウェアを着込みだす隣で、寒さ(冷え)を感じなかったのでザックからレインウェアを取り出す手間が省け、落ち着いて補給をとることができ快適でした。

    より詳しいレビュー内容は、Run boys! Run girls!のブログ記事(https://rb-rg.jp/blog/62791/)をご覧ください。

    着用製品:DF Mesh Merino Sleeveless
    レビュアー:ばんり(Run boys! Run girls!スタッフ)
    2018年にハイキングの延長でトレイルランニングを始める。高尾に通いすぎて高尾で働き始めたり、ギア好きが高じてショップで働き始めたり。現在の目標はロングレースを走れる身体の丈夫さを身につけて、山をもっと自由に走って歩いて、立ち止まって景色を見渡して過ごせるようになること。

  • 仲間達との山はファストパッキングが多く、汗かきの自分にとって、これまで乾きが遅くベタつくウール素材を避けてきたけど、DF Mesh Merino Long Sleeveは素肌に着るのが調子よい。

    6月、残雪の大雪山系で着用。風を通せば乾いてくれて、肌寒い時には上にウィンドシェルを着れば、起毛している中間着かのような保温性がある。暑くなってきたらフロントジップを開けて、また空気を取り込む。

    初めての本格的な海外トレッキングとして、9日間のネパールトレッキング(距離200km、最高標高5,145m)にも持参。旅の終盤に標高4,600m地点で大雪が降ったときには、もう少し厚手のミッドレイヤーと重ね着をしたが、動いていると汗かくほど暖かかった。メッシュ素材なので、肌に張り付かず、行動中でも不快感は無かった。その後は、しっかり乾かして、下山後のカトマンズでも活躍してくれた。

    長期の縦走で、濡れて乾いたあとに臭いがなく、重宝するアイテムだ。

    着用製品:DF Mesh Merino Long Sleeve
    レビュアー:竹谷 浩
    (株)ニューハレックスでイギリスのトレッキングポールメーカー「マウンテンキング」を担当。ネパールでのトレッキングやみちのく潮風トレイルなどのロングトレイル、ハイキングも楽しんでいる。

    • DF Mesh Merino Sleevelessは通気性が良いので汗をかくような暑さの中でも風が吹くと涼しさを感じられ、それでいて保温力があるので、行動中に体が冷える心配がなくとても重宝しています。汗や雨で生地が濡れても体が冷えにくい点は100% Merino LightSleevelessと同じですが、DF Mesh Merino Sleeveless は濡れても肌離れがよいこと、あまり重くならないことや乾きが速いところがポイントだと思います。

      肌当たりがよく、ふわっとした着心地も気に入ってます。インナーなしで着用したいところですが、一枚だと下着の汗じみが気になりそうなのでインナーを下に着ています。私は夏は暑がりな方ですが、インナーとDF Mesh Merinoの2枚を重ね着して行動しても、今のところ不快感はありません。

      ウールなのに洗濯機で洗える手軽さも大事なポイントです(ツレや伸び防止のため、ネットに入れています)。

      ノースリーブは真夏にしか着れないイメージがありますが、春先の雪降る中のトレイルランニングやウルトラマラソンで着用しても体が冷えずトラブルフリーだったので、季節問わず活用できるアイテムだと思います。

      着用製品:DF Mesh Merino Sleeveless
      レビュアー:湯浅 綾子
      登山歴12年。平日は都内で働き、週末は山にいます。季節に合わせて日帰りハイキングからファストパッキング、バリエーション、沢登り、厳冬期まで幅広くアクティビティを楽しみ、年間100日以上山に入る。ビールを飲むと調子が上がり、どこでも寝るのが得意。

    • DF Mesh Merinoシリーズの好きなところは、「いつでもそんなに気にすることなく着ちゃえばとりあえずなんとかなる」ところ。ある程度の気温幅でも対応できる幅の広さやデメリットの少なさから、悩んだらとりあえず手に取るアイテムです。

      メリノの特徴である消臭性は得られつつ、ダブルフェイスメッシュ生地による「点接点」×「疎水性」で汗処理をカバーしつつ、柔らかい生地感が今までのものより「チクチク感」を軽減しているように感じました。

      化繊でありがちな「冷え感」についても、メリノの吸着熱と乾きがゆっくりなこと(気加熱少ない)で解決しつつ、快適な室内では化繊並みに乾きの早い点も大きなメリット。汗や雨でかなり湿っても、着用したままなら1,2時間ほどでほとんど乾いていました。連続で着用する場合も、就寝時の室内干しで乾燥し、臭いの発生がなかったので驚きました。

      また、山行での休憩時には化繊Tシャツを着ている同行者が「寒い寒い」と言いながらレインウェアを着込みだす隣で、寒さ(冷え)を感じなかったのでザックからレインウェアを取り出す手間が省け、落ち着いて補給をとることができ快適でした。

      より詳しいレビュー内容は、Run boys! Run girls!のブログ記事(https://rb-rg.jp/blog/62791/)をご覧ください。

      着用製品:DF Mesh Merino Sleeveless
      レビュアー:ばんり(Run boys! Run girls!スタッフ)
      2018年にハイキングの延長でトレイルランニングを始める。高尾に通いすぎて高尾で働き始めたり、ギア好きが高じてショップで働き始めたり。現在の目標はロングレースを走れる身体の丈夫さを身につけて、山をもっと自由に走って歩いて、立ち止まって景色を見渡して過ごせるようになること。

    • 仲間達との山はファストパッキングが多く、汗かきの自分にとって、これまで乾きが遅くベタつくウール素材を避けてきたけど、DF Mesh Merino Long Sleeveは素肌に着るのが調子よい。

      6月、残雪の大雪山系で着用。風を通せば乾いてくれて、肌寒い時には上にウィンドシェルを着れば、起毛している中間着かのような保温性がある。暑くなってきたらフロントジップを開けて、また空気を取り込む。

      初めての本格的な海外トレッキングとして、9日間のネパールトレッキング(距離200km、最高標高5,145m)にも持参。旅の終盤に標高4,600m地点で大雪が降ったときには、もう少し厚手のミッドレイヤーと重ね着をしたが、動いていると汗かくほど暖かかった。メッシュ素材なので、肌に張り付かず、行動中でも不快感は無かった。その後は、しっかり乾かして、下山後のカトマンズでも活躍してくれた。

      長期の縦走で、濡れて乾いたあとに臭いがなく、重宝するアイテムだ。

      着用製品:DF Mesh Merino Long Sleeve
      レビュアー:竹谷 浩
      (株)ニューハレックスでイギリスのトレッキングポールメーカー「マウンテンキング」を担当。ネパールでのトレッキングやみちのく潮風トレイルなどのロングトレイル、ハイキングも楽しんでいる。

      修理事例

      山と道ではすべての製品の修理を受け付けています。日々、修理部に寄せられる相談は、トラブルに穴あきや破れ、経年による劣化など様々です。ここでは、メリノウールのよくある修理相談と修理方法を紹介します。もう着られないと諦めず、修理ができるという参考にしてください。決して新品には戻りませんが、修理は壊れた道具を再び使えるようにしたり、時にはあなただけのオリジナルな道具にしてくれます。

      DF Mesh Merino Long Sleeve
      左袖の穴あき

      Before

      After

      最新のDF Mesh Merinoシリーズに穴を発見! こちらは山と道スタッフの私物です。走っている時に枝が刺さって破れてしまったとのこと。DF Mesh Merinoの生地はメッシュ状の凸凹した表面を持つ伸縮性のあるニット素材で、修理がむずかしそうに感じるかもしれません。当て布をした上でミシン刺繍によるステッチ修理を施しました。生地に厚みがあるため、比較的修理跡が目立ちにくく、馴染みのよいものに仕上がります。本人も「よく見ないとわからないくらい! 機能性を損なわず元通りにしてもらったので末長く使います」と満足したようです。

      ただし、バックパックとの擦れによる生地のピリングや穴あき、ほつれが生じやすい構造をもつ生地のため、くれぐれも単体での着用や接触、擦れにはご注意ください。

      100% Merino Light Crew Neck
      右脇腹の穴あき

      Before

      After

      何かに引っ掛けてしまったのでしょうか。山を歩いていると枝やハイマツ、時には柵や有刺鉄線などに引っ掛けてしまうことがあります。こちらの依頼では、大小複数の穴あきに当て布をした上で、ミシン刺繍によるステッチ修理を行いました。フェルティングに比べると少し硬さがありますが頑丈に仕上がります。

      ソフトな肌触りと心地よい柔らかさをもつメリノウール。でも、ウールは繊維長が短いため擦れると繊維が抜けやすく、化繊や綿素材と比べて比較的生地が痩せて穴が開きやすい素材です。補修し着続けながらも、いずれは山着からリタイアして、街着として第二の人生を歩んでもらうのも良いですね。

      100% Merino Light Long Sleeve
      袖口の穴あき

      Before

      After

      こちらのご依頼では、袖口に複数の傷、穴がありました。小さな穴が時間を経て引きつりにより大きくなってしまったか、あるいはアウトドア環境で思いもよらないことがあったのかもしれません。袖口がボロボロになっていたため、部分的に生地を「接ぎ変える」修理を施しました。リブのように2重にすることで、より強度が高くなりました。

      修理部には日々さまざまな修理の相談が寄せられますが、そのひとつひとつにハイカーのみなさんのストーリーがあります。「着古し」なんて言葉がありますが、それは「愛用」ゆえのこと。たくさん着ていただいているのだなぁと想像できます。100% Merino Lightシリーズは比較的最近の製品ですが、何年も前に販売した製品の修理相談が届くこともあります。修理のご依頼は購入年度を問いません。もう同じ生地がない可能性もありますが、可能な範囲での修理方法をご提案します。ずっと昔の山と道製品でもぜひ一度ご相談ください。

      つづきを読む

      INSPIRATIONS

      道具は旅を供にする相棒のようなもの。愛着のある道具には、いろんな思い出が詰まっているでしょう。山々を歩いてたくさんのストーリーを紡いでいくように、あのとき転んで空いてしまった穴も、藪を漕いで裂けてしまった傷も、道具も自らの手で紡いで想いを宿してみてはいかがでしょうか。じっくり育てていく道具に、より愛おしさが増すかもしれません。今月のおすすめ書籍は、そんなきっかけをくれる一冊。山と道直営店に見本誌を設置するので、セルフリペアサービスのご利用時などにぜひ手に取ってみてください。

      『大切にしたいものをお繕い 野口光が教える一生使えるダーニング術』
      野口光 著(秀和システム、2021年、税込1,760円)

      最近、無心になれる瞬間をより大切に思うようになった。
      情報の海におぼれそうになっているとき、自然の中で身体を動かすと心がすっきりとする。山へ行くときも、自分はそんな無心になれる時間を求めているのだと思う。
      チクチクと、一針、一針穴を繕う行為は、どこか山歩きに通じるものがある。目の前の細かい作業に集中していると、頭の中が空っぽになっていることに気づく。そうしているうちに、はじめは大きかった穴が気づいたらあと少しで塞がりそうになっている。あんなに遠く感じたピークが、気づけばすぐそこにある、あの不思議な感覚に似ている。

      ダーニングとは針と糸で衣類の傷んだ生地を補修するイギリス発祥の修繕方法。日本にも同じような補修方法に刺し子があるが、どちらも生地が貴重だった時代に補強しながら長く活用する昔ながらの知恵が詰まっている。ぜひ、愛着のある道具を繕いながら、使い続ける喜びを感じてみてほしい。(山と道修理部 北島市郎)

      PLAYLIST

      店舗やオフィスでスタッフが聴いているプレイリストをお届け。曲のセレクトは、山と道のモデルとしても活躍している豊嶋きよらさんです。

      選曲のイメージは『森音雨』。夏木立がざわめき、光は揺らめく。青々と茂った夏木立が、吹き抜ける風にいっせいに揺れ、水面の反射光もちらちらと揺れつづける。そんなキラキラとした夏のひと場面を想像して選曲していただきました。ぜひお気に入りの曲を見つけてみてください。

      公式インスタグラム@yamatomichiでも7月の特集について発信中。

      CREDIT

      STORES
      Hidenori Maehara
      Akira Natsume
      Naoto Nishimura (Draw Dots Dawn)

      JOURNALS
      Masaaki Mita

      USE CASE
      Atsushi Arai
      Akira Natsume

      JOURNALS
      Ayako Yuasa
      Banri

      INSPIRATIONS
      Ichiro Kitajima

      PLAYLIST
      Kiyora Toyoshima

      Planning & Editorial
      News Desk/ Editorial : Emma Nakajima
      Mail Magazine : Yukari Fujita
      Journals : Masaaki Mita
      Photography:Masaaki Mita, Hikaru Otake
      Produce:Yuma Shimoyama
      Art Direction:Yosuke Abe
      Content Direction : Kiyo Fujishiro
      Supervision : Akira Natsume

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