山と道トレイルログ

ジョージのULハイキング研修

屋久島をしゃぶり尽くすDEEPトレイル(後編)
イラスト/文:山本暁洋
2024.04.22
山と道トレイルログ

ジョージのULハイキング研修

屋久島をしゃぶり尽くすDEEPトレイル(後編)
イラスト/文:山本暁洋
2024.04.22

社是としてスタッフには「ハイキングに行くこと」が課される山と道。「願ったり叶ったり!」と、あちらの山こちらの山、足繁く通うスタッフたち。この『山と道トレイルログ』は、そんなスタッフの日々のハイキングの記録です。今回は、山と道京都スタッフの「ジョージ」こと山本暁洋が、社内で昨年から始まった「ULハイキング研修制度」を利用して12日間に渡って屋久島を旅した模様を、得意のイラストルポで綴ったその後編。

長い準備期間(前編)を経て、遂に屋久島に降り立ったジョージ。初めての屋久島に期待に胸を膨らませて歩き出しましたが、ハイキングは早々に「屋久島をしゃぶり尽くす」どころか逆に彼がしゃぶり尽くされる展開に。しかし、そんな状況だからこそ逆に研ぎ澄まされる創意工夫やルーティンワーク、道具との付き合いや超感覚! まさにハイキングのいちばんディープな世界へと足を踏み入れていくジョージに、ぜひ後編もお付き合いください。

【前編を読む】

山と道の制度である「ULハイキング研修」を使い屋久島に行くことに決めた私は長い計画と準備期間を経てついに屋久島に降り立った。

研修のテーマは山と道のスタッフとなったこの1年の集大成としてソロで屋久島を縦横無尽に歩き尽くすこと。そして屋久島の大自然の奥深い魅力を隅から隅までしゃぶり尽くそうというものでした。しかし研修序盤から綿密に考えた計画は大自然を前に脆くも崩れ去ることになります。

意気揚々と臨んだ私が見事に屋久島にしゃぶり尽くされ、気づき、学び、新たな魅力に出会うことになったULハイキング研修12日間の記録、その後編です。

ULハイキング研修:実践編

疲れ果てて下山した先に見えたこの景色にうるっときた。緊張の糸がほぐれ、山での事を見つめ直すロード歩きが始まる。

ULハイキング研修:ロード編

ところが、山の中で取った帰りの航空券が1ヶ月ずれていた事が分かり、さらに数日間屋久島を歩きさまようことになってしまうのであった…。

おまけ

食料を購入した際のレジ袋で作った防水ソックス。ダクトテープとテーピングを混ぜて日々アップデートしていった。実はこのレジ袋はそれまではグランドシートとしても使っていて、こんなに役に立つとは思ってもいなかった。

本編でも登場したクッカーとストーブを使ったソックス速乾システム。この研修ではこういった効率の大切さを痛感、と同時に燃料などの余裕がおよぼす影響の大きさも知ることができた。

結露でついた霜をクッカーに落としている図。ものが少ないことで生まれた工夫やアイデアがハマると何とも言えない高揚感に包まれる。研修という普段では踏み切らないであろう状況だからこそ生まれた経験だったと思う。

電波もなく、人の気配がほとんどない島の西側に入った途端、警戒心むき出しの猿たちのストーキングにあった。一気にアウェイ感とともに孤独感と緊張感に襲われていった。

ロード歩きで島の南側に入ると山の悪天候が嘘のように晴れ、山での奮闘を思い出しながらひとつずつ並べてドライアウトしているとギアやウェアへの愛が一気に溢れ出した。一緒に旅をした仲間と語らうような感覚だった。

この研修を振り返ってみれば私が題した「DEEPトレイル」という名にはぴったりの10日間だったように思えた。ただ深く探れたのは屋久島の自然の魅力ではなく自分自身のことばかり。屋久島をしゃぶり尽くすにはまだまだ未熟だったなぁと気づかせてくれた研修となりました。

今回の行動着も含めた研修中の全てのウェアと装備(右下2袋はゴミ)。装備を見て研修を振り返ると山行がどういったものになるのかは準備によって決まるんだと強く感じた。

GEAR LIST

BASE WEIGHT* = 4.415kg

*水・食料・燃料等の消耗品を除いたハイキング装備を詰めたバックパックの総重量

YouTube

ジョージとスタッフJKが旅の模様をYouTubeでも振り返りました。

ジョージ(山本暁洋)

ジョージ(山本暁洋)

山と道京都店長。2015年より家族3人で地元京都の低山を中心に日帰りハイキングを始める。趣味のイラストが仕事となり副業でイラストレーターとなり、縁が重なり2022年より山食音を手伝うようになり現在に至る。長期テント泊や雪山にも挑戦中。インスタグラムアカウント(@yamagasukinadake)

連載「山と道トレイルログ」