世界60ヶ国以上を旅してきた旅人、馬頭琴やカリンバを奏でる音楽家、ローフードやベジタリアン料理の研究家、パステル画家など様々な顔を持ち、現在は高知県の四万十川のほとりで自給自足やセルフビルドの暮らしを送る佐々琢哉さん。そんな彼が、旅歴25年にしてUL化。軽くなった荷物で、2024年に台湾を2ヶ月かけて歩いて旅をしました。
歩き旅だからこそ出会えた台湾の様々な人々や暮らしをめぐる彼のエピソードは大変興味深く、またそんな彼がUL化したら、一体どんなことを感じて、どんなことが起こるんだろう? それが知りたくて、この山と道JOURNALへの寄稿をお願いしました。
台湾初の本格的ハイキングになる嘉明湖へと行く前に、時間の空いた佐々さん。UL的な機動力を生かし、蘭嶼島への1泊2日の島旅に出かけました。そこで犬と出会って一緒に旅することになったり、初めて使うフロアレステントに感激したり、今回も様々な巡り合いと発見の旅路が続きます。
パッキングのストレスからの解放
「嘉明湖(ジャーミンフー)への、来週月曜日からのパーミッションが無事に取れましたよ」
リンさんから連絡があった。彼の言う通り、しばらく山に行くのを待ってよかった。悪天候が続き、地元の人もびっくりするぐらいの寒さでしたが、来週頭には天気も回復するとの予報。しかし、まだ数日の時間があるからどうしたものか。
そうそう、台湾に来てから数日が経ちましたが、UL化の恩恵や可能性を次々と発見しました。ひとつ目の発見はこんな出来事からでした。
ある朝、宿を急に出発となってバスの時刻に間に合うのかと焦ったのですが、思いの外あっという間に荷造りが終わり、そのおかげで、バスの時間にも無事に間に合い「へー、パッキングがなんと楽ちんなことだろう」と感心したのです。
UL化にあたって、パッキングのストレスまで軽量化できるとは考えていなかったけど、これはぼくにとって革命的でしたね。だって、旅中のパッキングなんて毎朝のことですから、その煩わしさがなくなるのですよ。サクッと終わらせて、軽快に朝一番から歩き出したいじゃないですか!
20代の頃中米を馬で旅した時、最低1時間はかかる朝のパッキングがなんとも大変だったことも思い出されました。その大変さに、移動のない休息日の朝には「今朝はパッキングしなくていいんだ」とほっとしていたものです。

馬のパッキングはこんな感じ。移動中も荷崩れして積み直したりと、荷物のストレスが常にありました。
UL化にあたっての自分の行動の変化に、こんなこともありました。実は台東に来る前、台北で宿をチェックアウトして荷物を背負って歩いていたら、レンタサイクル・ショップを見つけたので、なんと思いつきで、そのまま自転車をレンタルして、荷物を背負ったまま、1泊2日の自転車旅へと出かけたのです。こんな自由な意思決定は、荷物が重かったいままでの旅では考えられません! うーん、そうか。これまで荷物の重さによってどれだけ行動が縛られていたのだろう、と過去の自分を振り返ってしまいます。
さてさて、どうしたものかと思っていた嘉明湖登山までの数日間の余白時間には、台東から東に60kmにある蘭嶼(ランユー)島へ行ってみることにしました。港からフェリーに乗り込み、1時間半ほどの船旅。島到着のアナウンスを耳にし、船の甲板に出て島を眺めてみると、小さな港に人々が行き交っています。その人々の姿に「あの母娘は、台湾本土へ出ていたお父さんをお迎えに来ているのかな」などと、想像します。陸や空の旅とはまた違った、船旅の物語を味わった瞬間でした。こんな旅先の人々の日常の姿に思い耽ることのできる時間を、とても愛おしく感じる自分がいます。

港に降りてすぐのところに、セブンイレブンがありました。どうやらこの先、島内ではお店は少なそう。今夜はできたらどこかで野営をしたいから、今日と明日分ぐらいの食料を買っておこう。
実は、以前にここに来たことがある日本の友人からの「とてもよかったよ」という情報だけで、たどり着いた蘭嶼島。まあ、歩いていたらいろいろとわかるだろうと、とにかく島を歩いて1周してみることに。
特に目指すところも何もないので、とりあえず、気の向く方へ歩いてみます。といっても、小さな島だから、ここから西へ時計回りで進むか、東へ反時計回りに進むか選択肢はふたつだけ。東に見える港町が気になったもので、反時計回りに進むことにしました。

港から東へ。小雨が降り出す。
港の繁華街らしき通りを歩いても、どこもお店が閉まっていて閑散としています。きっと、冬のオフシーズンなのでしょう。そういえば、船にも観光客らしき人はぼく以外に1組しかいませんでした。これはかえって、島本来の静かな姿を見れていいかもね。
港町を通り抜けると、そこに、海に空、島の景色が一気に広がりました。シンプルな大自然の情景に、体の内側で何かが反応しています。この反応に、ちゃんと、こころの向く確かな方向へ進んでいることを確認しました。
だんだんと田舎道へと入っていくと、噂通りにたくさんの野良山羊が。山羊たちの姿は、なんと島の風景にピッタリとあっていることでしょう。そして、とにかく、犬です、犬! 徒党を組んだ犬たちが 「ワン、ワン」と、あちらこちらから吠えてきます。「大丈夫、大丈夫、ただ通り過ぎていくだけだよ〜」と言いながらも、気持ち早足に。首輪が付いている犬もいれば、付いてない犬もいるので、飼い犬も野良犬も放し飼いなのかな? 犬たちは、吠えて後をつけてきては、しばらくして引き返していく。そして、また次の徒党がやってくる、そんな繰り返しです。きっと、自分たちのテリトリーがちゃんとあるのでしょう。
犬たちは どこかからか現れ、吠えては立ち去るを繰り返していましたが、ある1匹の黒犬だけがどこからか、ずーっとぼくに着いて来ていることに気づきました。しばらくしたら引き返すだろうと思いながら、そのまま歩いていたものの、引き返す様子もありません。心配になって「帰らなくていいの?」と話しかけてみた後に、首輪がついていないことに気づきました。うーん、野良で、 本人が着いてきたいなら、まあ、そのままにしてたらいいか。
しばらく一緒に歩いていると、なんだか、桃太郎の気分になってきて、この犬も旅の相棒っぽく感じられてきました。もうここは素直に「よし、一緒に歩こう!」とまっすぐに同伴を認めると、その一言に彼女(犬は雌でした)はご機嫌な様子でぼくの前を歩き出しました。あら、あなた、 自分の島を案内してくれるのかしら?

そして、なんとも不思議なことに、この黒犬とこの後2日間、一緒に旅をすることになったのでした。
日も傾きはじめた頃、今晩の野営地として、半島に草原が生い茂った気持ちの良い場所を見つけました。風が強いけど、ここでテントを張って寝てみよう。海上の空には、厚い雲の幕。期待していた夕焼けは望めなさそうです。
フロアレステント・考
草むらの上、横になり、目を瞑ります。テントの外には、相変わらず黒犬がいてくれています。思わぬ旅の友に、今日1日どれだけ楽しかったことか。ありがとね。そして、この小さな存在が、更ける夜になんと安心感を与えてくれるものだろうか。かつて描いた、「いつか犬と一緒に旅をしてみたい」という夢が叶った気持ちでした。
いっとき寝たのでしょうか、強い雨音で目を覚ましました。止みかけたと思っていた雨が、寝ている間にまた随分と強まったようです。犬を心配に思い、目を開け、上半身を起こし、あたりを見廻します。すると、黒犬のおしりだけがちょこんとテントの裾から中に突っ込まれているではありませんか。
きっと、この遠慮深い黒犬は、雨宿りしたい気持ちと、テントの中に入ったら申し訳ない気持ちで、こんなお尻の先っぽだけテントに突っ込んだまま外で雨に耐えていたのでしょう。テントの裾を上げ「大丈夫?」と黒犬の顔を覗くと、「あらっ!」という顔をしている。その表情は、なんとも愛おしいものでした。
彼女はずぶ濡れで震えていました。「入っておいでよ、濡れちゃうよ」と声をかけると、そろそろとテントの中に入ってきました。「許可をもらえるまで待っていたんだね、ごめんね」と、思わずポロリと言葉がこぼれ落ちました。犬は、テントの中の乾いた草の上で丸くなり、安心といった感じですぐにスヤスヤと寝息をたてて眠りに入りました。そんな様子に、「雨の中、犬も一緒に寝れて、フロアレスのテントでよかった」と、しみじみ感じ入ったのでした。

雨音と犬の寝息を耳元に、再び、目を瞑り、朝を待つ。
そう、今回の旅は、ぼくにとって初めてのフロアレステント体験でもありました。テント泊自体の経験は、数えられないほどです。馬で中米を旅したときなんて、まる1年間毎晩テントで寝ていたぐらいです。
しかし、今回の初フロアレステント泊。実際にそこで1泊してみるまでは「本当に大丈夫なの?」と信用できない気持ちと心配な気持ちがありました。具体的には「床がなくて濡れないの?」「虫はどうするの?」「結露は?」「そんな不便するぐらいなら数グラム重くなっても通常のテントを持っていこうよ!」という感じでしょうか。
しかし、UL化ということで半信半疑でチョイスして持ってきたシックスムーンデザインズのゲイトウッドケープというフロアレステントでしたが、実際に2ヶ月このテントで旅をしてみて、フロアがないことでの不備は少々あるけれど、それにも増して、フロアがないことでの開放感や工夫を強いられるということのあえての楽しさがあると実感。もちろん軽いこともあり、「これも、ありね」と納得。いやいや、フロアレステントに病みつきになってしまいました。おかげで、ワンちゃんとも一緒に寝れたしね。
翌朝。薄暗がりに目が覚めるも、相変わらず強い雨が降っています。目が覚めたといっても、寝たか寝てないかの状態が一晩中続いていたような。しかし、意識は目覚めていたけど、体の疲れはそれなりに取れているようです。
きっと、これだけ雨が降っていて、風が強い状況下では、防衛本能が働くからか、深い眠りに落ちないのでしょう。シェルターがこんな薄いタープの1枚だけだったら、尚更です。しかし、それは逆に、安心な家屋の暮らしに慣れきっている日常では刺激されない本能の部分へと、再びアクセスしていっている感覚もあります。その感覚へ潜っていきたいからこその、旅です。
黒犬は、まだ丸くなって寝ています。テントの狭いスペースをなんとか工夫して、日課の朝の瞑想をしよう。雨で壁際にいくと濡れているので、なるべく真ん中へ。ぼくが体勢を立て直そうとガサゴソとしていると、目を覚ました黒犬は「大丈夫かしら?」といった様子で顔をもたげて、こちらの様子を伺っている。

彼女が立ち上がろうとする様子に、「大丈夫だよ、まだ寝てて」と手をかけて、撫でて、落ち着いた彼女の様子を確認し、瞑想します。膝に当たっている、彼女の体があたたかい。
瞑想が終わり、日も登ってきた様子ですが、雨は止みそうにありません。仕方なしに、雨の中パッキング。今日は1日、雨降りか…。
さて、バックパックに荷物を収め、背中に担ぎ、ポンチョにもなるテント機能を初めて試しました。何を隠そう、このゲイトウッドケープは、レインポンチョとしても使えるフロアアレステントなのです。ポンチョだったら背中に背負った馬頭琴もすっぽりと覆えるので、大切な楽器を雨から守れるだろうとの想定で、ポンチョにもなるこのテントを選んだのです。
一晩安全に過ごさせてもらったその場所にお礼を言って、出発。海の上のどんより雲の向こうに、朝日が射しています。

黒犬は今朝もご機嫌に、僕を先導してくれている。さあ、鬼退治に出発だ。
朝一番に、海を眺望し、美しい島の景色の中を歩いて浮かれる気持ち、と言いたいところですが、なかなかに雨風がしんどく、耐える思い。とにかく、風が強い! これが、この島の冬の天気なのかも⁉︎ 海岸線沿いをずっと歩いて行くので、風を遮るものが何もなく、どこにいてもとにかく強風が吹きつけてきます。ポンチョは雨を防ぐのには(まあまあ)良いけれど、風にはバタバタとうるさい。一長一短か。そして、気付くと、ポンチョに穴が空いている…。あー、さっき座った時にどこかに引っ掛けたのかな? そうか、行動着にするのには、より注意が必要な代物なようだ…。今後、気をつけよう…。何事もやってみないと、使ってみないと、わからない…。しかし、穴が空いた事実に、テンション落ちる…。
歩いていると、ぽつぽつと小さな集落が出てきました。心配していた飲水の確保も、村の人に教えてもらい、海岸の岩場に湧く湧き水を汲むことができました。

ポンチョ姿がどんなかと、車道のミラーを覗き込む。
別れの時が、突然やって来た
ある集落を通り過ぎて歩いていると、黒犬がついてきていないことに気づきました。振り返り、遠景を隈なく探していると、もう1匹の黒犬と一緒に戯れているのを見つけました。「おーい、行かないの⁉︎」と大きな声で呼んでみるも、彼女は立ち止まって、遠くからじっとこちらを見つめたまま一歩も動きません。
その彼女の眼差しに、「そうか、これがお別れの時なのか」と察します。「それでも…」と、彼女を待つ気持ちで、しばし、そのまま見つめ返していたけれど、ぼくたちひとりと1匹の距離が縮まることはないままに時間が過ぎていきました。
ぼくは、ごくりと状況を受け入れ、背を返し、歩き出しました。「きっと、素敵な彼氏ができたんだね。よかったね」と、寂しい気持ちを、彼女への祝福の気持ちへと変えて、自分の気持ちをはぐらかしている自分がいます。未練がましく振り返るも、彼女もその犬と一緒に逆方向へと歩みを進めています。そのままに、互いに別方向へと、一歩、一歩と進んでいく。それは、これまでの一歩の楽しさとは、全く違う感触でした。
しかし、旅の途中に、こうしてちゃんとお別れのタイミングがあってよかった、そう思う自分がいるのです。それも、黒犬からの自発的なお別れ。「もし、島を一周し終わって港に着いて、フェリーに乗るその時まで彼女がついてきてたら、どうしたらいいのだろう?」そんな思いもよぎりながら、歩いていたのだから。20代の頃に中米を馬で旅した時に、1年も一緒にいた馬のTABIを残してぼくだけがキャラバンを去らなければならなかった時の、やるせなさとか、申し訳なさを、思い出してしまっていたから。「うん、これでよかった」と頷く。この2日間、一緒にいれて最高に楽しかったよ。ありがとねー!
そして、この2日間の思い出のおかげか、「日本で、一緒に旅したり山登りに行ったりできる犬を飼いたいなぁ」と、思い始めているいまのぼくがいるのでした。

犬とのお別れの時
化繊・考
よく寝た。島から台東の街へ帰ってきて、宿のドミトリーのベッドの朝。この数日間、島で雨風にずっとさらされて、思っていた以上に疲れていたらしい。 短パン一丁姿での寝床から起き上がり、ベッドの脇に干していた洗濯物をチェック。なんと、すごい! 見事に全部乾いている! そして、匂いもなし!
実は、昨晩遅くに宿に着いてから洗濯をしようかどうしようかと迷ったのです。この宿には外に物干し場もなかったので、「生乾きの匂いがついた服を着る羽目になったときの、なんと最悪な気分なことよ」と、夜の部屋干しを恐れていました。しかし、そんな懸念より、雨風に打たれた衣類一式を一刻も早く洗って、気分一新リフレッシュしたい気持ちが勝り、就寝用に短パンひとつだけ残して衣類全部を洗濯機に放り込んだのでした(#2 台湾歩き旅の道具紹介の【行動中の衣類】すべてです)。
翌朝洗ったらいいのに、と思うところですが、日中の衣類はワンセットのみ。翌日も着ることを考えると、やはり夜のうちに洗っておきたい。それで生乾きの臭いがついても、我慢するしかない…。そんな葛藤が渦巻いていたわけです。一か八かの洗濯でしたが、翌朝の結果に、嬉し、びっくり! となったのでした。というわけで、この衣類の素材についても、 また新たなる大発見のひとつでした。
というのも、ぼくの今までの趣味趣向でいえば、自然崇拝の気持ちが衣服にも反映されていたからなのか、天然素材の衣類を普段でも旅でも好んでいました。レインウェア以外で化繊を着ることは、ほとんどなかったと言っていいぐらい(ここだけの話、化繊を着るのはダサいと思っていましたからね…)。
まあ、見た目の問題だけじゃなくて着心地の面でも化繊に抵抗があったのです。しかし、「今回の旅は思い切ってULに振り切ってやってみよう!」「着心地や見た目よりも、軽さだ!」と優先順位を変え、いままでのスタイルやこだわりを一度手放してみることにしました。
しかし、使ってみて、これは納得です。軽くて、丈夫。すぐ乾くし、臭くならない。この化繊の機能性は、旅の限られた荷物の選択肢として、とても、とても優秀である、という結論です。

こちらは化繊ではありませんが、今回、素材で特に感動したのが、山と道のDF Mesh Merino Long Sleeveです。メリノウール88%、ナイロン12%の素材で、ナイロンの衣類の乾きが早いのはある意味想像通りでしたが、メリノウールがほとんどなのに早く乾いてびっくりしました。脱水直後に洗濯機からそのまま着用できるぐらいです。しかも軽くて、あたたかい! 一番のお気に入りポイントは、ベースが天然素材で着心地がとてもよいところ。その着心地の良さに、自宅ではスウエットシャツ感覚でリラックス時の部屋着にもしています。なんなら、この素材でタイツも作ってほしいくらい。そしたら、上下セットアップの部屋着にもなるのになー。ちなみに色はTaupeですが、自分で紺色に重ね染めをしたので、製品カラーとは異なります。
いつでも洗濯できるとわかっただけで、今後の旅に対しての心構えもずいぶんと軽くなりました。何なら、外が寒くなかったら脱水直後からそのまま着て乾かすことも可能だし、不快でもない。実際にその後の旅路でも、着て乾かす機会がたくさんありました。自然素材から化繊への拡張は、自然崇拝の気持ちにおいても「荷物のストレスなく自然を堪能し尽くす」といった方向へと広がったのでした。
あと、服について思うところといえば、このワンセットでハイキングもキャンプもするし、街で人前で演奏すら行う予定なのです。人前に立った時の見た目も気にしてしまうところ。「おしゃれ」も重要な機能のひとつですよね。おしゃれ、楽しいですよね!
しかし、いつものしっくりくる天然素材から化繊へと変わるとなんだか落ち着かず、人前に出るとさらに落ち着かず、ということは、おしゃれ心に紐づいた「人からこういう風に見れたい」という内なる承認欲求の姿形も炙り出される心地でした。
それはまさに、自分が今まで築き上げてきた世界観や価値観を手放す新たな挑戦をしている感じ。今回新たに出会い直した化繊にはまだしっくりこないところもあるけれど、そのおかげで、新しい世界を知り、そのことを嬉しく思っている自分がいるのもまた確かです。
そんな発見とともに清々しい朝を迎えた後で、「台東の街に帰ってきたよ」とリンさんに連絡したら、今晩の夕飯に自宅へ招待してくれました、夕刻に待ち合わせをして家へ到着すると、食卓には鍋を用意してくれていました。これが噂の火鍋のようです。日本の鍋とまた違うけど、スパイシーでとってもおいしかった! そして、鍋はやっぱりみんなでわいわい楽しい催しですね。すっかりリンさん家族に入れてもらって、異国の地である台湾がどんどんと自分のなかに深く染み込んでいっている気がします。やはり、人と繋がっていくことは、地図には描けない、もうひとつの旅の要素です。誰かに触れることで、新しい世界・文化を知っていく感覚があるのです。

来ていたリンさんの大学生の姪っ子とともに、家族と楽しい時間を過ごした。
さて、明日からはいよいよ憧れの台湾での登山。嘉明湖へ向けて出発です。
【#5に続く】