#12 山と道新人スタッフと弘法山でお花見ピクニッキング
#12 山と道新人スタッフと弘法山でお花見ピクニッキング
鎌倉の山と道社員食堂で毎日独創的なお昼ご飯を作るスタッフの寒川奏。イラストレーターとしても活動する彼女がとにかくおいしいものを、気持ちの良い場所で、大好きな人と食べること……つまりピクニックをすることについて綴るこの連載。今回は山と道鎌倉スタッフの後藤と一緒に行った、お花見ピクニッキングをお届けします。
自称・人見知りの寒川は、かねてより気になっていた新スタッフの後藤と仲良くなるべく、春のピクニッキングに誘い出します。春といえばお花見。ちょうど桜満開の時期の神奈川県の弘法山へ向かい、山に登りながら、お花見ピクニックをしながら、ほのぼのと親交を深めていきます。花見にちなんで、ちょっとしたサプライズを仕掛けたフードにも、ぜひご注目ください。
ピクニッキングとは?
まずはピクニッキングが何かをご紹介。
ピクニッキングとはピクニックとハイキングを掛け合わせた造語である。なぜ私がいまピクニッキングマスターを目指しているかは第1回を読んでもらいたいが、ピクニッキングとは、以下のようなものだと私は考えている。
- 最低1時間のハイクをする(しかし一緒に行く人の体調や体に合わせて、全員が楽しめるハイクにする)。
- 食べることを主眼においたデイハイク。何人かでそれぞれ食べ物や飲み物を持ち寄り、それをシェアして食べる。
- ハイキングの行程はあくまでどこで食べるかが主眼。
- 参加者それぞれがピクニッキングに向けて食料を準備する(なるべく手作りする)ことも非常に重要。
つまり、誰かの家でやる持ち寄りパーティを屋外で、ハイキングを絡めてやるのがピクニッキング?
これはあくまでも私の定義であって、もっと違ってもいいと思う。読者の皆様にも自分のピクニッキングを見つけて欲しい。
春はあけぼの。
桜の花ほころび、花見の心浮き立つころ。
お花見に行こうではありませんか。
男性多めの山と道に新しく加わった女性スタッフである後藤さんを誘ってみることにした。せっかくの同年代、仲良くなりたい。

雨に打たれた後でも笑顔を絶やさない、こちらのキュートな女性が後藤さん。いつもニコニコ、ハッピーオーラをまとった素敵なお方。尊敬します。彼女は普段山と道鎌倉でショップスタッフとして働いています。良かったら会いに行ってみてね。
私は人見知りで、新しい人に出会ったら基本的に物陰から様子を伺っているタイプ。しかし懐いたらとても懐く。この世で生きていくには懐いている人が多い方がラクなので、最近では自分から懐いていこうとしている。後藤さんにもまた、人見知りを発揮していた私にとって「ピクニッキングに誘う」というチャンスは逃せない。
私が毎月オーガナイズしている山と道のコミュニケーションイベントで「アペロ」というものがある。アペロとは夕食の前に軽くお酒やおつまみを嗜みながら、家族や友人たちとおしゃべりを楽しむ時間のことを表すフランスの習慣。それに倣って、月に1回夕方からスタッフ同士で語らえる場を作っている。そんなアペロで後藤さんとお話してみた。
後藤「寒川さんのピクニッキング記事、いつも平和で癒されます。私もいつか行ってみたいです。」
なんと、向こうからその話題を出してくれるとは。
寒川「平和なこともピクニッキングの売りのひとつです。良かったら一緒に行きませんか? そろそろ桜の時期なのでお花見ピクニッキング!」(3月にお誘いした。)
後藤「えー! いいんですか? やったー! 行きたいです!」
こんなに喜んでくれるとは…。ということで、春のお花見ピクニッキングが決定した。
どこに行く?
1〜2時間程度で登れて、お花見もできる関東圏内のちょうどいい山…。悩み、調べていたら後藤さんが秦野の弘法山を提案してくれた。
弘法山は山全体が桜に包まれるように咲く景観で有名らしい。まるで桜の中にいるかのような感覚でお花見ができるかもしれない! 秦野は関東圏内でアクセスも悪くないし、完璧なチョイス! ありがとう後藤さん!

小田急小田原線の秦野駅からスタート。平均的なコースタイムでは20分ほど公道を歩いた後、弘法山公園入り口から入り1時間ほどで弘法山の山頂へ。そこから吾妻山を経由しつつ1時間半ほどかけて歩き鶴巻温泉でゴール。約7kmのプチ縦走だが、アップダウンも激しくないのでとても歩きやすい。
花見といえば、なに食べる?
今回はふたりだけということで、食べ物の担当を決めてみた。寒川がメインのご飯、後藤さんが食後のスイーツを用意することになった。
なぜだか、お花見といえば手巻き寿司な気がした私は、酢飯と具材を持っていくことにした。後藤さんは何を持ってくるだろう? ていうか、なんでお花見といえば手巻き寿司なんだろう?

お花見日和!
ピクニッキング当日は晴れ! 午後から天気が崩れる予定らしいのでそれまでには撤収したい。秦野駅からスタートして、まずは秦野の街中を20分ほど歩いて登山口へ向かう。

駅からスタート

駅から登山口へのアクセスは徒歩で行けるのが嬉しい。

弘法山公園入口からハイキングスタート
さすがお花見シーズンということで、ミドルエイジの集団や外国人、ご夫婦から家族まで、いろんな人がいる。彼らの間を我々はスイスイと登っていく。後藤さんはかなりアクティブな人で、ランニングなどの運動を日頃から行ってるらしい。

ほぼすべて階段の登りやすい登山道は私たちをどんどん加速させていく。速い女たち。
私も日頃のランニングのおかげかスイスイ登れて、なんと駅から1時間以内で目的地に到着してしまった。駅から弘法山公園入り口までが15分、そこから40分位で山頂。急いでたつもりはないけどお腹が空いてるから勝手に足取りが速くなってしまっていたのかもしれない。もう少し時間がかかると思っていたので拍子抜けしてしまったが、おかげで予定よりも早く桜の中でピクニックスタート!

きれいな満開の桜。これを求めていました! 花吹雪も吹いてて完璧。
桜の中でピクニック
山頂には我々と同じくお花見をしにきた方がたくさんいて、場所選びもひと苦労。ていうかみなさん、ピクニッキングしてませんか⁉︎ 無意識にピクニッキングしてますよね?
私が提唱しているピクニッキングとは違うかもしれないけれど、目の前で行われているそれぞれのピクニッキングに感動しつつ、自分たちの場所を見つけてピクニックシートを広げる。

後藤さんの持ってるアイテムがかわいくて盛り上がる。
寒川「その保冷バッグ、90’sのキッズって感じでかわいい! どこのですか?」
後藤「PLAZAで買いました。全然ULではないんですけど、かわいいものが大好きで!」
寒川「このくらいのハイキングだったら軽さよりも『かわいい』を優先しちゃいますよね。私も乙女心を忘れず大切にしなくては!」
後藤「かわいいものには勝てないですよね〜。」
私のピクニッキング道具たちは相変わらずのメンツでワクワク感がなくなってきた。道具ももう少し考えたいなあ。今度かわいいコジー(保温/保冷バッグ)をMYOG(Make Your Own Gear)してみようかな?

さて、食べ物たちを広げていこう。こちらが寒川が考えるお花見手巻き寿司!

なんてオシャレなんでしょう。
左上から黒米を炊き合わせたご飯、左下がいろんな野菜のフリッタータ(イタリアの卵焼き)と、ケールと紫キャベツのサラダと、薬味の紫蘇。その下が手巻き寿司用の海苔。写真中央にあるのはスモークサーモン。その隣にあるのが後藤さんが持ってきてくれた抹茶と黒豆のスコーンとミックスベリー。そして女子会には欠かせないワイン!
食べる前に私がやってみたかったことにトライ! それは黒米にお酢を混ぜて、きれいなピンク色にすること。黒米に含まれるアントシアニンがお酢の酸性に反応してピンク色っぽくなるはずなのだ。後藤さんを驚かせたい!

早速お酢を投入。なぜお酢がピンク色なのかというと、ケールと紫キャベツのサラダのドレッシングとして和えた米酢の残り汁を、すし酢として再利用しているからである。

混ぜ混ぜしてみたが…あんまりピンクにならない…? ピンクといえばピンク…? もしかして黒米の割合が多かったのかな。勉強になります。
思ったよりもピンク色にならず、後藤さんをあまり驚かせられなくて人知れず少し恥ずかしくなった寒川。まあ、ピンクっちゃピンクだし、酢飯には変わりないし、いただきます!

乾杯!

早速、海苔で酢飯やサーモン、紫蘇を巻いて手巻き寿司に。

酢飯の酸っぱさが汗をかいた体に沁みる! おいしい!
寒川「今回は桜のピンク色を意識してみたんです。フリッタータはビーツでピンクに。酢飯も黒米を使うことでピンクに。サーモンは最初からピンク。せっかくのお花見だから、思いっきりピンクでかわいくしたかったんです!」
後藤「確かに、いろいろピンク色でかわいい! スモークサーモンは生物ですけど、どうやって持ってきたんですか?」
寒川「冷凍してから保冷バッグに入れて持ってきました。ワインとか、他のものも冷やしてあったので、解凍されすぎずに程よい状態になるんです。」
後藤「確かにいい塩梅で解凍されてます。全体的に量もちょうど良くて嬉しい。」
そう、今回は量にも気をつけてみた。「全部食べちゃうのが、いちばんの軽量化だから」と、いつもお腹がパンパンになっていたので、少なめにすることを意識したのだ。だって別に、ちょっとお腹が空いてるくらいで帰っても何も問題ないじゃない? なんなら帰りのコンビニでちょっとおやつを買って食べながら帰るくらいの余裕は欲しいじゃない?
寒川「後藤さんの抹茶と黒豆のマフィンもおいしい! 甘さ控えめで嬉しいです。」

寒川の写真のスキルが終わっていますが、とてもおいしかったです。
後藤「米粉で作ってみました。体に優しいおやつです!」
寒川「甘さが控えめだから黒豆の甘みが引き立っておいしいです。健康食がお好きなんですか?」
後藤「めちゃくちゃ好きです。だから寒川さんの作る体を考えた健康的な社食を、いつもおいしくいただいてます。」
寒川「ありがたすぎる…精進しますね。」

色合いがきれい! お花見にぴったり。
寒川「後藤さんはピクニックとかやったりするんですか?」
後藤「最近はあんまりなんですけど、コロナ禍の時はよくやってました。旦那さんと近くの川に行ったりして、楽しかったな〜。」
寒川「確かに、川なら人もいないしいいですね! 何をよく作ってたんですか?」
後藤「王道ですが、サンドイッチをよく作ってました。」
寒川「確かにピクニックといえばサンドイッチみたいなところありますね。どんなサンドイッチ?」
後藤「たくさんのキャベツとベーコンを挟んだ、ひと昔前にちょっと流行った『沼サン*』みたいな感じですかね。」
*沼サンとは、陶芸家・大沼道行さんが長年朝食として食べ続けている山盛りのキャベツサンドイッチの愛称
寒川「おいしそう! 正直サンドイッチって何を挟んでもおいしいですよね。焼きそばパンとかポテトチップパンとか、とにかく挟んでしまえばなんでもおいしい。」
個人的には白和を挟むサンドイッチが好きだ。挟んでしまえばこっちのもの。可能性が無限大で奥深いサンドイッチ。今度深掘りしてみよう。
宴もたけなわ、雨がポツポツ
山頂でのピクニックは1時間の予定だったのに、早く着いたのをいいことに雨予報も忘れてゆっくりしていた我々。雨がポツポツと降り始めてしまった。

急いで帰る準備

なんだか暗くなってきた。
程よい満腹感で軽やかに歩き始める。これが腹がパンパンの状態だと体が重くて眠いのだ。量が少なくても、ゆっくりよく噛んで食べたら満足するのだ。足るを知る。
しっかり雨が降ってきた。しかし我々の足取りは軽く、雨も気にせずおしゃべりしながら下る。
寒川「お花見に来てたミドルエイジたちは荷物が多かったですね。何が入ってるんだろう。」
後藤「確かに。UL装備の展示を山と道の直営店でやったりするけど、そういうミドルエイジの装備も見てみたいですよね。」
寒川「学びが多そう! 一緒にピクニッキング行ってみたいですね。」
後藤「ですね(笑)。ドラえもんの四次元ポケットみたいにいろいろ出てきそう。」

凧みたいですが、エマージェンシーブランケットで覆われた寒川です。
下りの途中で雨も止んできた頃、野菜の無人販売を見つけた。

野菜大好き。

ふたりで大喜びしながら葉付きの人参、イタリアンパセリ、のらぼう菜などを購入。
人参の葉は、かき揚げとサラダにしよう。のらぼう菜は鯖とトマトと炒めたりしてもおいしい。ワクワクしながら帰れるなんて素敵!
寒川「そういえばもうすぐHLC鎌倉のイベントで箱根のガイリーン*を1周トレイルランニングするんじゃないですか? 約50km!」
*ガイリーンとは、箱根外輪山を一周するハイキングコースの通称
後藤「そうなんです。そんなに長い距離走るの初めてなので、私どうなっちゃうんだろうと思って。」
寒川「私が前にトライした時はリタイアした上に貧血でぶっ倒れて吐きました(笑)。」
後藤「ヒエ〜! 大丈夫かな〜。」
寒川「当時の私は全然運動とかもしてなかったので当然の結果です。後藤さんは普段から運動してるし、ペースさえ調節すれば絶対大丈夫ですよ、頑張って!」
後藤「頑張ります! 楽しんできます!」
この翌週、後藤さんは無事50km完走したそう。本当にすごい!
雨に降られたが、素晴らしいお花見ピクニッキングになった。最近はもっぱらこのピクニッキングの記事のためにしかピクニックできてないので、プライベートピクニックもやりたい。そろそろ夏も近いので、また川沿いに行くのも楽しいかも。
梅雨も明け、外で遊ぶのが楽しくなってきた今日この頃。皆さんもぜひピクニッキングやってみてね!
ピンクのフリッタータの作り方
フリッタータとはイタリアの卵焼きのこと。今回はたっぷりの野菜とビーツのピンク色でカラフルなレシピです。
○材料(18cmのフライパン1個分)
・★ビーツの水煮 小さめ2個〜3個か大きめ1.5個
・★玉ねぎ ½個
・★赤パプリカ ½個
・★黄パプリカ ½個
・マッシュルーム 4個
・卵 4個
・塩麹 大さじ1と½
・パルメザンチーズ 適量
・胡椒 適量
・ハーブ(お好みで)
<事前準備>
★の材料を1cm角に、マッシュルームは3mm幅にスライスする。
ボウルに卵と塩麹とパルメザンチーズを混ぜておく。





食べる時に源氏パイなどのパイのお菓子を砕いたものを散らすと、キッシュの味わいにもなるのでおすすめです。混ぜて焼くだけの簡単レシピ、ぜひ作ってみてください。