昨年、全3回の連続プログラムとして行われたHLC北関東の『MYOGワークショップ』レポートの後編です。前編に続き、今回も参加者の皆さんが期間中に作られた作品を持ち寄って行われた発表会に潜入し、皆さんの作品と、熱い思いの迸るインタビューをどどーんとお届けします。
今回もMYOG(Make Your Own Gear=ギアの自作)らしい、個性豊かな作品が勢揃い。これを読んでビビビと来たあなた、今すぐ何かを作り始めたらどうでしょう? その瞬間に、何かが変わり始めるかもしれませんよ。
Let’s MYOG!
③tomoさん

この次に紹介するyellowさんと友人同士で参加されたtomoさん。マイペースに「ゆるい」作品作りを楽しまれてますが、中でも安価なタープを切った貼ったしてクリップで留めただけで作ったシェルターのアイデアは必見!
——MYOG歴は?
このMYOGワークショップから始めたので、半年くらいです。それまではミシン経験も全くなしでした。
——今回は何を作られたんですか?
バックパックとシェルターを作りました。シェルターは2回目のMYOGワークショップの集まりにも持ってきたひとり用のシェルターも練習として作ったんですが、今回はふたりで使えるように作ってみました。

2回目のワークショップ時にtomoさんが披露したシェルター1作目。素材はタイベックで、ツェルトとビビィの中間形態的な形がユニーク。

2作目のシェルター。三角テント形に張ったタープに取り外し式の壁をつけたような作り。

扉を外した状態。内部はふたりで眠れる広々サイズ。
——このシェルターは面白いですね。どういうふうに作ったんですか?
これは、もともと大きめの安いタープが家にあったので、それをふたりで泊まれるようなシェルターに作りかえたんです。なので、ふたりで泊まれるくらいの最小サイズを計算して測って、切って作りました。
——元々はどのくらいの大きさのタープだったんですか?
3.5m x 3mだったんですけど、それを2.5m x 3mにカットして、カットして余った部分の生地を壁にしました。
——余った生地を壁にするというのは最初から思いついていたんですか?
いえ。最初はレインスカートにできればいいかなと考えていたのですが、何か上手くいかないなと思っていた時に、「壁にできそうだな」と思って。タープだけだと風が通って冬は寒いと思うので、壁も作りました。
——実際に使ってみましたか?
使うのはまだ今回が初めてなんですけど、泊まれそうだなとは思っています(笑)。
——この壁部分をクリップで留めてるだけっていうのは良いアイデアですね。
ミシンで縫っている時に、この布留めのクリップがあって、「わざわざボタンとか付けなくてもこれでいんじゃないかな?」と思ってやってみたら、意外としっかり固定されました。

壁はクリップで留めてるだけ! シンプルだけど良いアイデア。
——これだったらテントを作るよりだいぶハードルが低く感じますね。
自分でもできたので、他の方でも全然できると思います(笑)。
——タイベックとかで作ってもいいかもしれないですしね。あと、タープだけどガイラインがないのもシンプルでいいですね。
これはフリーライトのMトレイルの構造からヒントを得ました。これだったらできるなと思って。

——ミシンは職業用ですか?
家庭用です。JUKIの2万円くらいの家庭用ミシンで作りました。
——大変だったところは?
家庭用ミシンを使うとどうしても厚手の生地は縫えないので、そこは少し苦労しました。あとは、そもそも自分が几帳面ではないので、今回周りの方の作った上手なものを見て、「もっと綺麗にできないか」「上手く生地を切れないか」などと感じていました。でもまあ、使うのは自分なので、まあいいかなと。そこら辺は大目に見ていました(笑)。
——縫い方とか、情報はどういうところで集めましたか?
皆さんもおっしゃっているように、パランテのシンプルパックキットの動画を見ながら型紙をダウンロードしてコピーするなどして作っていました。あとは、YouTube動画なども参考にさせていただきました。1発で見て分かるので、分かりやすいですね。
——確かに。このバックパックはどういう考えで作られたんですか?
これはパランテのキットをベースにして、自分が肩が痛くなりやすい体質なので、ショルダーストラップをパランテより幅を広く、厚くしました。


パランテのキットを元に自分好みの仕様に作り上げたバックパック。仕上がりは荒い部分があるものの、初期衝動の塊のようで眩しい。
——出来はどうですか?
実際に使ってみたんですけど、肩も痛くならなかったので、幅を広く厚めに作った効果が出たのかなと思っています。
——ここをもっとこうしたかったな、みたいなところはありますか?
見れば粗しかないんですけど、メッシュのポケットを縫うのが意外と難しかったので、そこはもうちょっとうまくやれたらなと思います。
——でも、頑張ってますよ。
皆さんのを見ていると本当に上手だなとしか思わないんですけど、今回を機に、皆さんの良いところを真似させてもらおうかなと思っています。

——何か次に作りたいものはありますか?
そうですね。今回作ったバックパックは35Lくらいなんですけど、もう少し小さい20Lとかで1泊できるものがあればいいなと思っています。あと、大きめのウエストバッグも作ってみたいなと思っています。7Lくらいのウエストバッグで山登りしたり、ハンモック泊したりしたいなって。あと、クッカーを作りたいなと思っています。
——クッカー⁉︎
はい。「打ち金」っていうんですけど。鍛金(たんきん)の技術が必要で。やっと叩く台と打ち金みたいな道具が手に入って、叩いて曲げて、熱して叩いてっていうのを準備段階できたので、アルミのクッカーを作ってみたいなと思っています。


鍛金の技法で作ったアルミ製の皿。エバニューのクッカーにも鍛金を施して味だし。
——そういうのってやっている人います?
あまりいないんですけど、自分が工業製品が結構好きで、その中で鍛金をやっている職人さんを見て、「これって全然作れるんじゃないかな」「アウトドアの中でも取り入れられるな」と思って。意外とニーズはありそうだなと。自分のクッカー作ってみたいなと思ったので、やってみたいなと思いました。
——こういう実際に自分で物を作るのを始めてみてどうですか?
自分が作った道具で山に行くとより充実感が味わえるし、不器用な自分でもできたので、やってみたいと思ってる方はやってみてほしいですね。
④yellowさん

ビビィで寝るのが大好きな、カリカリULハイカーのyellowさん。その溢れるビビィ愛を炸裂させたビビィ用極小タープ&レインスカートとバックパックを作ってきてくれました。縫い目や仕上げが多少イビツでも、本人のスタイルに合ってればいいじゃないか!(ポートレート写真を撮り忘れ、Yellowさんのみこの写真に…yellowさんすみません)
——MYOG歴は?
MYOG歴は、このプログラムに入ってからなので、半年くらいです。やっぱり軽量化するには、自分で作らないと軽くなんないなと思って。
——今回は何を作ったんですか?
レインスカート兼タープと、あとバックパックを作りました。他の参加者の皆さんはパランテのキットの型を使ってとか色々おっしゃってたんですけど、自分はすごいズボラなので、それも面倒くさいなと思っちゃって(笑)。YouTubeの動画に、外国人が30Lくらいのバックパックを作っている動画があって、その中に設計図みたいなのが出ていたので、インチで書かれていた長さをセンチに直して、それをタイベックに書いて型紙を自分で作ってみました。

形は多少イビツだが、日光〜尾瀬2泊3日を踏破したyellowさんのバックパック。
あとこのショルダーストラップは、自分の持ってるパランテのジョーイのショルダーを真似したいなと思ったので、これ、本当にジョーイのハーネスを、この下に模造紙敷いてなぞって型紙にしたんですけど、最初は全然小さくなっちゃって(笑)。
——ああ、折り返しの分とかありますもんね。
でも、せっかく作ったのにもったいないなと思ったので、この中に実はもう1個、最初に作った小さいハーネスがパッド代わりに入ってて、メッシュの4層構造みたいになってます(笑)。なので多分皆さんのよりはだいぶペラペラなのかなと思うんですけど、自分は装備のベースウェイトが頑張れば2,000gくらいなので、そんなにパッドがなくてもいけるかなって、これでとりあえず背負ってます。


図らずもメッシュの4層構造になったショルダーストラップ。
——これで山に行ったりもしていますか?
この間、日光〜尾瀬をつないで歩いたHLC北関東のプラクティス(※山と道HLCで最もチャレンジングな山行に挑戦するプログラム)に参加してきました。その時は2泊3日でちょっと天気が崩れちゃったので、ベースウェイトも当初の予定よりちょっと重い感じにはなったんですけど、2泊3日は全然これで行けました。ボトムのポケットも見よう見真似で付けたんですけど、もうちょっとちゃんと補強しないとダメだなっていうのと、メッシュだとやっぱり岩場だと破けそうだなって思うので、次は素材はこれじゃない方がいいかなと思いました。
——作ってみてどうでした?
まず、この吹き流しが正直使わなかったです。2泊3日だったんですけど、なくてよかった。このサイズでもう完結。これ340gくらいなんですけど、ここがなくなったら、もっとウェイトも落とせるなって。あと素材がエコパックを使ってるんですけど、例えばシルポリとかにすれば200g台くらいになるかなって。なので、次回作るとしたらもっと軽いシルナイロンかシルポリかで作りたいなと思っています。皆さんのに比べると、本当に適当に作っているので、ずぼらバックパックって感じですけどね。


パランテのジョーイを参考にしたショルダーストラップの基部。
——それもMYOGっぽくていいですね。
ちょっと縫い方が分からなくて。何回も何回もこうグワーってこう縫ったんですけど、「これは果たして正解なのか?」と(笑)。肩も適当にショルダーハーネスっぽくしてるだけで、本当に何のお手本もなしに勘で作ってので。この辺も適当に作ったので、ポケットのサイズも左右で違ったり。なので、もうちょっとちゃんときれいに作りたいなとも思うんですけど、まあ、自分の性格上はこれがとりあえず自分なりには頑張ったかなっていう。
——でも初期衝動の塊みたいで良いですよ。
で、もう1個使ったのがこのレインスカート兼ミニサイズのタープです。

ビビィの頭部分だけを覆えるサイズに作られた極小サイズのタープ兼レインスカート。マスメーカーが絶対に作らなそうな、正にMYOGな一品。
——これはなかなかオリジナリティがありますね〜。
一応、あのエンライテンド・イクイップメントのレインラップっていうレインスカートの既製品があって、それのムーンライトギアのサイト解説文に、「ビビィの頭部だけのタープとしても使えるかも⁉︎」みたいな解説がひと言載ってて。
——そこから妄想広げて作ったわけですね(笑)。そういえばムーンライトギアも昔、ビビィの頭だけ隠せる小さなシェルターを作ってたから、そこからの流れなのかも。
自分もビビィが好きで、この頭の部分を隠したいなと思ってたので、ちょうどいいなと思って。もともとこの生地のワンポールテントを持ってたんですけど、それがあまり使わなくなっていたので、でもなかなかこの薄さの生地がないし、自分、黄色が好きなので、「もうテント切ろう!」って思って切って縫いました。
——で、レインスカートとしても使える。
はい。使えます。 まあでもこのへんのギミックは既製品をそのまま真似したんですけど。

レインスカートとして使用時。
——これは実際に山で寝ましたか?
プラクティスはこれで寝ました。その時も、尾瀬のキャンプ場で結構ずっと雨だったんですけど、とりあえず大丈夫でした。ただ出入りがやっぱり大変というか。
——雨が降ってたらね。
はい。狭くてビビィの中に這いつくばって入るような感じで。1回入っちゃうともう出たくなくなるぐらいの感じです。だから本当は雨降らない時にこれ使いたい。雨が降ったら正直、「早く朝来ないかな」っていう感じです。
——でも装備としてはめちゃくちゃ軽くなりますね。
めちゃくちゃ軽いです。60〜70gくらい。で、タープ兼レインっていう感じなので。でも、本当はポンチョ作りたくて。おーじさんの記事で紹介されたシルナイロンのポンチョタープ。 あれ作りたいな。あっちの方が多分もうちょっと快適なのかな。これは正直、ちょっと不便(笑)。
——もうちょっと大きくてもいいかもみたいな。
ビビィを使うっていう前提なんで、全身は囲われなくてもいいけど。
——やっぱビビィが好きなんですか?
ラクです。まあちょっと防寒着は着ますけど、今日も本当にこれだけなので。 寝袋なしでもポンって出しちゃえば寝れるっていうのがすごい。
——野垂れ死にスタイルというかね(笑)。
野垂れ死にスタイル、好きになりました。
——今のとこMYOGやってみてどうですか?
軽量化するなら既製品だとやっぱり無駄があるというか。本当に削ぎ落とすなら自分で全部道具を理想のやつを作った方が結果として軽くなるのかなって。
——自分にピッタリサイズっていうか。
あとやっぱり作った方が、金銭面も自分にとって優しいかなって思うし、やっぱり愛着が湧きます。うん。 やっぱりみんな同じ格好とか、みんな同じテントとかってなるよりは、多少ボロボロで細かいところは雑ですが、世界にひとつというか、自分っていう個性が出せるのはすごく楽しいです。これからやっぱり理想は全部自分が作ったもので、を理想としてて、 ビビィもやっぱり自分のスタイルで作ってみたいとか思っているので、勉強です。これからも。
⑤KOHさん

今回、最年少参加者だったKOHさん。MYOG歴は1年未満ながらも、今現在MYOGにワクワクしている情熱が伝わってくるような、タープや蚊帳、小物などたくさんの作品を持ってきてくれました。
——MYOG歴は?
1年弱くらいです。
——情報はどういう所から得ましたか?
トレイルズのイノベーションガレージですごい色々教えてもらいました。このタープも生地とかパーツとかコードとかも全部イノベーションガレージで仕入れて、そこで作り方とかアドバイスもらったり。あとは、やっぱ既製品を実際に買ってみて使って。で、変えたいなと思ったところを変えたり、バラしてどういう作りか見て、それを真似するっていうのはやりました。
——今回は何を作ったんですか?
今回は、まず小物を作るのが好きなので、ワイドマウスのペグケースとか、ボトルホルダーとか、スタッフサックを作りました。山と道のバックパックとかでも使われているワンアクションで開閉できるプルコードが気に入ってて、全部に採用してます。こういう小物系を自分が使いやすいような形に工夫して作りました。

佐々木さんが作った小物たち。シンプルながら、独自のアイデアが光る。
このボトルポケットもバンジーを引けば見ないで開閉できるし、あと地味なんですけど、袋の口にスリットを入れて出し入れしやすくしました。この機構も気に入って、自分が小物作る時は大体スリットを使いますね。ペグケースも最初は細いものを使ってたんですけど、出し入れしにくいんで、ワイドマウスにしました。 あと、大きいものでタープとインナーテント……というか蚊帳を作りました。

トレイルバムのCTタープを参考にMYOGしたタープ。本家同様、さまざまな貼り方が可能。

2回目のMYOGワークショップ時のタープ。張り方が違うとだいぶ印象が変わる。
——このタープはどんなものを目指して作ったんですか?
自分はそもそも登山歴もまだ浅くて、去年から始めたばっかりなんです。だからテント泊しかしたことがなくて、タープ泊したいなって思って、「じゃあタープ作ろう!」って感じですね(笑)。
——結構大きめですね。
そうですね。2.8m × 2.4mで作りました。基本的なタイアウトの位置とか形はトレイルバムのCTタープを真似したんですけど、サイズはCTタープの短辺が2mなんですけど、2.4mにしました。自分がタープに求めるものってなんだろうって考えた時に、タープって開放感があったり、色々張り方の調整ができたり、それが楽しいっていうのがイメージだったので、あんまり小さいのでカリカリするよりは、大きめで気持ちよく使えるものを作りたいなと思ってこのサイズにしました。
——ミシンは職業用ですか?
家庭用で全部やってます。家庭用でも自動糸調子とか機能があるし、タープは生地が薄いのでパワーはあまり必要なくて。よくシルナイロンとかシルポリは滑るって言われますけど、うまくできました。
——で、その後このインナーテントというか蚊帳を作ったんですね。
そうですね。思い付きで(笑)。

——で、その後このインナーテントというか蚊帳を作ったんですね。
そうですね。思い付きで(笑)。
——フロアがない蚊帳っていうのはMYOGっぽくて面白いですね。
タープを快適な広さにして重めになったので、インナー+タープがテントより重かったらあんまり意味ないなって思ったので、軽くするにはどうしようって考えて、それでフロアレスにしました。
——フロアレスの蚊帳って珍しいかも。
シートゥサミットがモスキートピラミッドネットっていうの出していて、それを参考にしました。でも、外側にDCF製のスカートを付けて、それを内側に折り込んだりしたら、より虫の侵入も防げるんじゃないかなと思って、そこはちょっと工夫しました。

四隅はループを設けペグダウンできるようにしてある。
——まだまだ作りたいものがある感じですか?
やっぱバックパック作りたいっすね。皆さん作ってるし。ただ自分はバックパックも1〜2個しか背負ったことないので、よく分からないというか。皆さん各々のこれまで使って思ってた改良点とか工夫とか乗せて作ってると思うんですけど、あんまりそういうアイデアを乗せれそうにないなと思って、ちょっとまだ勉強中ですね。あと、今使ってるバックパックちょっと小さめなんで、外付けの容量を拡張できるスタッフサックがほしいなって思います。テントとか外出しにしておけて、乾かせたりするような。行動食とかもそこに収納できたり、出し入れが簡単なやつ作りたいなって思ってますかね。
——やっぱり物の見方が変わりましたか?
やっぱ山道具とかお店に見に行ったら、最初は裏返して見るようになりました。「やっぱすげえな」って(笑)。あと、既製品やマスメーカーは安いなって思います。これ自分で作ろうと思ったら材料費と自分の時間だけで超えるよなって(笑)。
⑥USAMIさん

元々オーソドックスなスタイルで山を楽しんできたが、MYOG開始と同時にUL化したというUSAMIさん。ゆくゆくはトレイルフードまでMYOGをして、すべて自作の道具で山に行くのが目標だとか!
——今回は何を作られてきたんですか?
今回はバックパックと、あとサコッシュとかスタッフサックとか小物関係ですね。あと座椅子を作ろうとしたんですけど、ちょっと失敗作なので、皆さんにアイデアをもらおうかなと思いまして。
——MYOG歴は?
MYOGはコロナ禍の時からなので、2020年からです。でも最初は山の道具じゃなくて、ミシンカバーとかから始めたんですけど。実家が服飾の仕事をしていたのですが、もう仕事を辞めるってなった時にミシンをもらって、で、そのミシンを何かに使えないかなと思ってコロナの時にMYOGやり始めた感じです。
——なるほど。まずミシンありきというか。
そうですね。
——山はその前から登られてたんですか?
山はやってたんですけど、ただ、当時はむしろ重量が重くなっても体を道具に合わせていくことが正義だと考えてましたね。
——じゃあ、それからMYOGきっかけでULに目覚めたんですか?
そうですね。今回のワークショップの前にHLC北関東の「ULハイキング入門」のプログラムに参加して皆さんのバックパックを見たらもう全然サイズが違って(笑)。なので、ULは今年からですね。
——でも、ULの文化の中にMYOGがあることをどこで知ったんですか?
軽い生地とか防水性のある生地があるのは知ってて、ただすごい高価なバックパックとかのイメージだったので、馴染みはなかったけど、あるのは知ってました。ただ、むしろ体鍛えろっていう感じで、あまり道具にはお金使ってなかったですね。でもミシンが手に入って、コロナで時間も余ったので、山の道具も作ってみようと。ただ作り方が分からなくて、MYOGっていう言葉も知らなくて「山道具を作る」みたいなところから始まって、MYOGにたどり着いた時に出てきたのが今回のプログラムだったんです。なので、作り方が分からなかったから聞いてみようと思って応募したのが最初です。
——このバックパックはどういう感じで作っていったんですか?


フロントポケットとコンプレッションを接続したアイデアがユニークなバックパック。USAMIさんが使わない左側のサイドポケットはつけないなど、完全に自分使用で仕上げた。
これは、YouTubeのMYOG動画をいろいろ見た中で、これいいな、作りたいなと思った中でいちばん近いものをベースにしました。英語ですけど、基本的にそれを見てパーツの組み合わせとか「ああ、こうなってるんだな」っていうのを知って。
——フロントポケットがコンプレッションと接続しているのが面白いですね。
そうですね。ここで容量を加減できるし、解放するとガバッと開けられるのも便利かなと思って。
——苦労した点はどこでした?
苦労した点は、まずアメリカから生地を買うっていうところで最初のハードルが(笑)。縫ってみていちばん苦労したのは、硬い生地はいいんですけど、伸びる生地がすごく苦手で。今回は使ってないんですけど、ゴム素材のものとかメッシュ素材の物を縫うのが全然できず大変でした。
——型紙を引いて作ったんですか?
型紙はとくになく、自分のバックパックを見て模造紙に型を取って。ショルダーストラップも、色んな持ってるバックパックから何種類も型を取って、いちばん合いそうなもので作りました。

——サイドは片っぽだけバンジーコードが付いてるんですね。
ここにロールマットを付けたいなと思ったので。左のポケットも使ってなかったので、外しちゃいました。

あと、クローズドセルのスリーピングパッドを座椅子にするものを作ったんですが、ちょっと構造が問題あって。背中の部分が落ちてきちゃって、よっかかれない(笑)

インフレータブルパッドを座椅子にするチェアスリーブだが、まだ未完成でうまく座れない。
——自分もサーマレストのインフレータブルマットを座椅子にできるオプションパーツを愛用してましたけど、それは座面と背面の両端にフレームが入ってましたね。なのでフレームがいるのかも。
背面の上も袋状ですか?
——自分のは袋上になってましたけど、現行のは違うみたいですね。
そこら辺どうしてるのかなと。なかなかうまくいかず。
——でも、これもMYOGっぽくていいですね。 それにクローズドセル用の座椅子キットってないと思うから、自分もあったら欲しいです(笑)。もっともっと何か作りたいなっていう感じですか?

サコッシュは1面を透明なビニール素材にすることで地図などを取り出さずに確認できる。

缶やドライフードのクージー、ティッシュケース、折りたたみ式テーブルも宇佐美さんの作品。
基本的に山に持っていくものを全部自分で作ってみたいなっていうのが最終の目標です。 なので次はテントを作ろうかなと思っています。 そもそも自立式のドームテントしか持ってなかったので。それでフロアレスのシェルターを買ったんですが、軽いし、全然寝れるし、すごく良いなと思って(笑)。あと、トレイルフードもできれば自分で作りたいと思っています。
——食べ物も⁉︎
インドのライスフレークを使って、乾燥した野菜なんかと合わせてジップロック飯を作ろうかと。 最終的には服とか靴とかも作ってみたいし全部MYOGにしたいなっていうのが目標です!
終わりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。取材から1年近く経ってからの公開となってしまいましたが、参加者の皆さん、HLC北関東アンバサダーの廻谷さん、あらためてお疲れ様でした! 参加者の皆さんはその後、MYOGer同士で繋がっていこうと「山と妙具」というコミュニティを立ち上げ、時にはイベント出店などもされているとか(気になる方は、インスタグラムのハッシュタグ「#山と妙具」を検索!)。また、HLC北関東では今後もMYOGをテーマにしたプログラムを開催していく予定ですので、ご興味のある方はぜひ参加してみてください。
個人的にも、実際に手を動かしている皆さんを見て、何か作りたい欲がムクムクと湧いてきました。この記事が、誰かの背中を押せたら本望です。皆さんも、どうか良きMYOGライフを!