チープ・ハイク
〜お金をかけないでULハイキングをする法〜
【#5 レインウェア編】

2020.09.25

ハイキングは、金持ちのための遊びではない。お金がなくとも、高価なアウトドアギアがなくとも、ハイキングはできるのだ!

「それを実証する!」という謎の使命感に突き動かされ、山と道JOURNALS編集長三田正明が立ち上がりました。結果として山と道製品が売れなくなっても、そんなの関係ねぇ!

うっかりしている間に前回から1年7ヶ月ぶりの更新になってしまいましたが、#5となる今回ではハイキングギアの中でも「花形」であるレインウェアのチープハイク的な最適解を考察していきます。

例によってお金より頭と手を使いつつ最小限の出費で最高(⁉︎)なレインウェアにたどり着く過程を、今回も頭がクラクラするほどの膨大な情報量でお伝えします!

これまでの連載一覧

文/写真:三田正明

チープでシックな
レインウェア選び

CHEAP HIKE’S NOT DEAD!

我ながらびっくりするけど、前回から1年7ヶ月ぶりの「チープハイク」である。ともあれ前口上はスパッとカットして、この「チープハイク」という連載コンセプトについてはぜひ過去記事を読んでいただきたい、ということで先に進もう。なにせ1年7ヶ月ぶりなので、僕は焦っているんだ! 

今回はハイキング装備の中でも花形、レインウェアのチープハイク的チョイスについて長いブランクを感じさせないクイックさで考察していこう(てかこのネタ、実は1年以上前にはできていたんだ。信じて!)。
 
ハイキング装備の「花形」といえば、まずレインウェアであろう。ハイキング中はなるべくザックに入れっぱなしで済ませたいもの(レインウェアを着るということはコンディションが雨が降っているか肌寒いかのどちらかだからだ)であるにも関わらず、イケてないものを使っていると妙に劣等感を抱いたり、仲間のザックから最新式の高価で希少なシェルが出てきたりすると思わず羨望の眼差しが隠しきれなくなったりする不思議なアイテムである。

道具の値段だけでなく「チープシック」なスタイルを標榜するこのチープハイクとしても、ここには当然こだわりたい。

1年7ヶ月ぶりの投稿になってしまったので、いちおう元ネタとなる歴史的名著『チープシック』(カテリーヌ・ミリテア、キャロル・トロイ著、片岡義男訳、草思社刊)の書影を再掲しておこう。1975年に出版されたこの本は驚くべきことに2020年現在も版を重ねているので、気になった方はぜひ検索したりポチったりしてください。

ともあれ、ただチープなだけなら、いまの時代はワークマンやデカトロン、アマゾンで手に入る中華ブランドをはじめとして、いくらでも選択肢がある。けれど、それらはULハイキング/チープハイクの装備としては残念ながら「重すぎる」という点で不適当だ。

まともにライトウェイトかつリーズナブルな選択肢を現状のマーケットで考えるなら、モンベルのバーサライトジャケット&パンツということになるだろう。なにせ上下で¥14,600(ジャケット)+¥9,500(パンツ)なうえ、重さも134g+83gしかない。

スタッフの私物を撮影。透湿性能もなかなか良好とのこと。

素材は「ゴアテックス インフィニアム™ ウインドストッパー® ファブリクス」というゴア・ウインドストッパーに撥水性の高い表地を組みあわせたものなので(2020年当時)、防水性能に関してはそれほど高くないと思われるが、メーカー発表で耐水圧30,000mm以上、透湿性43,000g/m²(JIS B-1法)なので十分に機能するレベルである。というより、UL初心者に「最初に買うならどんなレインウェアが良いですか?」ときかれたら、これを全力でオススメしたくなるレベルである(実際、バーサライトパンツはULハイカーの超定番アイテムで僕自身も愛用していたことがある)。

次に候補を挙げるなら、ナイロン製のポンチョだろう。換気製が高いので、風の影響を受けにくい樹林帯でのハイキングならばスーツ式のレインウェアよりも快適性が高く、ULハイカーの間では古くから定番アイテムになっている。かつてはインテグラル・デザインの製品が有名であったが、現行品ではシー・トゥ・サミットやイスカの製品が手に入り、値段もイスカのもので7,500円、重量も220gほどと十分にリーズナブルだ。

ジェリー鵜飼氏&尾崎”ジャッキーボーイスリム”光輝氏による雑誌『GO OUT』の名物連載「POOR BOY TIMES」でも00年代のULカルチャーにおけるレインポンチョの受容が語られたことがある。

ただ、ULハイキングの世界には、軽量かつスーパーチープなレインウェアの大定番がある。かつてはDriDucks、現在ではFrogg Toggsというメーカーが作るUitra-Lite2 Rain Suitがそれだ。

アメリカでは廉価版の雨合羽として有名な製品で、定価29.99ドル。不織布とポリプロピレンを圧着した素材ながらまずまずの透湿性と防水性を持ち、驚くべきことに重量が上下セットで258g(トップ153gーボトム105g)しかない。日本のULコミュニティにはゴッサマーギア創業者のグレン・ヴァン・ペスキ氏が2010年に来日し、奥秩父をハイカーズデポの土屋智哉氏を始めとした日本のハイカーと歩いた際に着用していたことで広まった。

日本には正規代理店はないが、各種通販サイトで簡単に購入できる(値段はお店や時期、並行輸入品の場合は納品までの期間によってまちまちだが5000円ー7000円ほど)。サイズがアメリカンサイズなので要注意。175cmの自分でMサイズが少し大き過ぎるくらい。

Frogg Toggsのトップスとレインスカートの代わりにゴミ袋を着用した正統派ハイカートラッシュ・スタイル。このスタイルをカッコよく思えるかどうかがUL的思考の人間かそうでないかの分水嶺になると思ったり思わなかったり。

アウトドア用製品でなくとも、軽く必要十分な機能を持つものならなんでも使う姿勢は非常にUL的だし、換気性の良さそうなダボっとしたアメリカンなシルエットも、好き者には堪らないものがある。僕自身もこれまで積極的に使用はしてこなかったが、UL骨董アイテムのひとつとして以前からコレクションには加えていた。

また同様の製品は日本にもある。東レが開発し農協が販売する「カッパ天国エース」という、こちらも不織布を使用した雨合羽がそれだ。全国の農協のみの販売で通販はやっておらず、残念ながら僕は現物を手にしたことはないが、Frogg ToggsのUitra-Lite2 Rain Suitの性能から推測する限り、ほぼ同様の仕様である「カッパ天国エース」も実用に足る製品であると考えられる。

この山と道JOURNALSにもHIKER’S CLASSICSを寄稿していただいた野上建吾(UL Ski Hiker)さんのツイートより。

だがしかし、チープなレインウェアにポンチョやFrogg Toggsやカッパ天国エースを選ぶなんて、ちょっとしたUL好事家なら誰でも思いつく話ではないか。あいにく、僕はそれでは満足できないくらいのとんでもないひねくれ者なんだ!

やっぱタイベック⁉︎

こんなふうにチープハイクなレインウェアについてもあーでもないこーでもないと考え続けた結果、「やはりタイベックの防護服ではどうだろう」という結論に行き着いた。

タイベックとは、チープハイク#2のシェルター編でもタープの素材として採用一歩手前まで行った高密度ポリエチレンの不織布で、軽量で防水性があり、しかも透湿もして安価という、まさにチープハイクのためにあるような素材だ。タープやシェルター、スタッフサック等の素材としてもULシーンでは定番だし、タイベック製の防具服はあの東日本震災とそれに伴う原発事故や昨今のコロナ禍の最中、多くの人に見覚えのあるものになっているだろう。

タイベック防護服のレインウェアへの改造は、実は日本のUL黎明期の頃からMYOG(Make Your Own Gear =ギア自作)シーンの中では注目され、試みられてきたアイデアだった。

現在でも確認できる例としては、日本のUL系ギアメーカーの草分けのひとつ、フリーライトの高橋淳一氏がブランド立ち上げ前から現在まで綴っているブログの2008年10月14日の記事が挙げられる。ここで高橋氏はつなぎの防護服の下半身をカットしてレインシェルに改造しているので、興味のある方はぜひ確認していただきたい。

ただ、タイベックの防水性の指針となる耐水圧は型番にもよるが800ー1,800mmほど。一般的な傘の生地の耐水圧が約500mm、ポーラテック・ネオシェルが約10,000mm、ゴアテックスが20,000mm以上で、濡れた場所に膝を付いたり座っても浸水しないためには5,000mmー10,000mmほどの耐水圧が必要と言われているので、決して高くはない。

だが、これまで山でそれなりの経験を積み、とくに『山と道ラボ レインウェア編』に構成と編集として深く関わってレインウェアについては一定の知見を得ているつもりの僕がレインウェアについてひと言だけ何かを言うとしたら、それは「濡れないレインウェアはない」ということに尽きる。

雨の中で長時間行動すればどんなレインウェアであれフードや袖口、ジッパーからの雨の浸水はゼロにはできないし、さらにそれがハイキングのようなある程度の運動負荷を伴うものであれば、ウェア内部の湿度は容易にレインウェアの透湿性能を超え、自分の汗により濡れてしまったりもする。つまり遅かれ早かれ、程度の差こそあれ、雨の中で行動を続ければ我々は濡れるのである。

ともあれ、よくよく考えてみてほしい。濡れて何の問題がある? 夏の沢登りで体が濡れることを気にする人がどこにいる? ただ濡れるだけならなんとなく不快なだけではないのか? 

いや、問題はある。山で体を濡らしてしまうことの真の問題は、ずぶ濡れの状態で長時間強風に吹かれたり低温下に置かれることで低体温症になり、行動不能に陥ってしまうことにある。つまり、レインウェアとは本質的には体を濡らさないために着るものではなく、低体温症にならないために着るものなのだ。

山と道ラボ・レインウェア編#1よりハイカーズデポ土屋智哉氏と山と道夏目彰の対談(進行・筆者)からの抜粋。

ならば、ここで頭を切り替えてみる。

「絶対に濡れたくない」というほぼ実現不可能な目標を掲げるのをやめ、「ある程度濡れるが最低限の保温性と防風性を確保し、低体温症を回避する」という現実路線へ転向するのだ。すると、いままでは考えたこともなかったレインウェアの新たな可能性が見えてくる気がしないか? たとえば、タイベックの防護服をレインウェアに活用するような…。

そんなわけで、もういちどタイベック防護服をチェックしてみる。すると、ファスナーなしのアノラックタイプ…もとい、ヤッケがあることを見つけた。かつてはこれはただのヤッケであったが、いま、山と道のULレインフーディーが存在する世界にいる我々が見ると、あら不思議! 単なるカッパではなく、ULレインフーディのタイベック版に見えなくもないぞ⁉︎ しかも、価格は驚きの830円!

タイベックヤッケの
恐るべき実力

さっそく資材関係を扱うネットショップで注文。サイズはMから3Lまであったが、アノラック型なので着脱が容易な方が良いだろうと、大きめの2Lを注文してみた。

ほどなく現物が到着すると、まずその軽さに驚いた。測ってみると、2Lにも関わらずわずか80g! なんと山と道のULレインフーディーより軽い(PU Sosuiー118g、PU Shinsuiー98g)!

さっそく着用してみると、意外なほど着心地が良いことにも驚いた。何せタイベックの生地自体が軽く薄いので、まったく圧迫感がない。2Lのサイズ感も身長175cm、体重65kgの自分にはそれなりに大きいがリラックスして着れるし、着脱もそこそこしやすく、フードのフィット感もなかなかで、ひさし付きの帽子と組み合わされば雨の侵入を十分防いでくれそうではあった。

また、肌触りも思ったよりも自然で不快感がなく、透湿性能の高さ=蒸れにくさにも驚いた。防水透湿生地は一般的に表地と防水メンブレンに裏地を貼り合わせた3レイヤー構造か、裏地の代わりにコーティングを施した2.5レイヤー構造が多いが、タイベックは1枚生地だ。いくら防水メンブレンが透湿性や通気性の高さを唱おうと、3枚を貼り合わせた生地と1枚生地でどちらが通気性が高いか、想像してみてほしい。

裾と袖口はゴムで絞られている方式。シンプルだけど使い勝手良い。

そしてULレインフーディーと同じく、ファスナーなしのアノラック形状はあご下や胸元にファスナーの重さや異物感がないため着心地が軽く自然で、ウェア自体の軽さも相まり、うっかりすると着ていることを忘れてしまいそうになるほどだ。

心配していた防護服そのままの見た目の点も、着ていると意外とかっこよく見えるという評判を得た。普通の服とは少し違う素材感が、ハイ・ファッションの服に見えなくもない、という意見の人もいたほどだ。

ただ、タイベックのウェアにはひとつ、大きな弱点があった。吸水性がほぼないため、汗をまったく吸ってくれないのだ。そのため汗を少しでもかくと裏地に付着し、それが永遠に乾かない!

この点は下に吸水性に優れたベースレイヤーを着るなどして対処するしかないが、よくよく考えるとタイベックのヤッケを着て汗をかいたときに不快になるのは下に半袖のベースレイヤーを着たときの腕のみである。ならば、汗をかきそうなほどウェア内部の温度/湿度が上がりそうな時は、ガバッとめくっちゃえばいいんじゃないの? よし、これで問題解決!

ここまでガバッと腕をまくれるシェルもそうないのでは?

ともあれ、ここまで機能的に優れた服がたったの830円であることにあらためて驚愕した。てか、実はすごい服なんじゃないの、これ?

革命的シーム処理方法

ただ、タイベックの防護服をレインウェアとして使用するには、ひとつクリアせねばならぬ大きな問題があった。シーム(縫い目)の処理だ。

いくら優れた防水性を持つ生地でウェアやバッグやテント等を作っても、それが縫製されたものである以上、雨の侵入経路となるミシンの針による穴が空いている。なので、レインウェアの縫い目にはシームテープと呼ばれる防水性のテープが貼られているのだ。

この縫い目から水がどばどば侵入してくるのです。

実際、雨の中でタイベックのヤッケを着てみると、本体生地の防水性能は十分なものの、やはりフードや肩の縫い目からどんどん雨がしみてくる。

だが、シームテープは市販もされているのだが、接着にはアイロンによる熱圧着が必要で、肩口やフードなど、曲線部分をアイロンがけすることにうまくいくのいか不安を感じた。また縫い目の処理にはシームシーリングと呼ばれる縫い目を埋める接着剤のようなものもあるのだが、粘度の高いそれをシンナーや除光液で薄めながらハケやヘラで縫い目に塗りつけていくのは非常に根気のいる作業で、数万円のテントのためならいざしらず、たった830円の服のためにそれをするモチベーションがどうにも湧かなかった。

シームシーリング、とにかく面倒臭いので1回テントでやって以来まったくやっていない。

簡単なシーム処理の方法がないか考えているなか、ふと家に転がっていたダクトテープが目に入った。てか、ダクトテープってそもそも排水パイプとか水周りの修理に使われるテープじゃん。ならば縫い目の穴を塞ぐことくらい楽勝じゃないの⁉︎

水に強く、強度も高く、手でもちぎれるというガムテープ(布テープ)の完璧なる上位互換(値段もガムテープよりちょっと高い)。日本だとスコッチが「ダックテープ」「パワーテープ」などという名前で販売しているテープが同等品です。

で、やってみた。ダクトテープそのままだと太すぎるので縫い目に合わせて細めに切り、ペタペタと貼っていく。めちゃくちゃ簡単に、ものの10分ほどでシーム処理が完了した。

シーム処理した箇所をわかりやすくするために裏返して撮影。なんか未来的なルックス⁉︎

近くに寄るとこの通り。多少荒くても細かいことは気にしなーい。

耐水圧が低いので、バックパックと擦れる肩は特別に補強!

さっそくシャワーで防水性を試してみると、完璧に水の侵入を防いでいる! さすがダクトテープである。ともあれ耐久性はどうなんだという声も聞こえてくるが、お答えしよう。漏れてきたらまたダクトテープ貼ればいいのだ!

ともあれ、洗濯を何度か繰り返しても剥がれる気配はなかった。なんならバックパックとかスタッフサックとかもどんどんダクトテープでシーム処理してしまえば良いのではないの⁉︎

タイベックのヤッケがすっかり気に入ってしまった僕は思わずジッパー付きのジャケットタイプも購入した。こちらもわずか100g(サイズLL)で、たったの913円!

はっきり言って、ウインドシェルとしての機能はこれで十二分に果たすし、縫い目をダクトテープで塞いでしまえば、簡易的なレインウェアとしても使える(ジッパーからは止水ジッパーでないので浸水してしまうが)。それにこの軽さなら、ヤッケとジャケットを両方持ち歩いたっていい。大雨ならば2枚重ねて着てしまえば、防水性も耐風性も2倍になるぞ⁉︎

ジャケットには片側のみのポケット付き。透湿性、防風性、軽量性、コンパクト性などの面で、ウインドシェルとしての機能を十分果たす。

パンツをどうするか問題

しかし、タイベック防護服にはもうひとつ問題があった。実はトップスと同時にボトムも購入していて、その耐水性や軽量性、着心地に関してはトップスと同様になかなか良いのだが、上下で着ると被災地感が出すぎて、山で誰かとすれ違うたびに「なんかあった⁉︎」と思われることは必至である。てか、かなり恥ずかしい。

さすがにこんなのが山で向こうからやってきたらギョッとする。でもお遍路用としてはアリか⁉︎

ならばいっそ染めてしまうかとも思ったが、タイベックの素材であるポリエチレンはプリントやペイントはできるものの、基本的に染めることはできないとされている。

ともあれ、タイベックの防護服パンツもトップスと同じく防水かつ透湿性に優れ、非常に軽量(サイズLで85g)で安価(1400円ほど)と、チープハイク的に申し分ない性能を持っている。それをたかが見た目の問題で見送るのか⁉︎

うん、見送る。いくら安いほうが良いからって、さすがに上下真っ白の防護服はないっしょ!

軽く、安く、防水性が高く透湿もする。タイベックパンツが大いなる可能性を秘めた製品ではあることは間違いない。

だが、タイベック・パンツ以上のチープハイクなレインパンツなど見つかるのだろうか?

ここで頭を整理してみよう。まず大前提として、もちろん値段と重量は低ければ低いほうが良い。そしてチープハイクのレインウェアは完全防水は目指さず、ある程度の防水性でよしとする。1日中雨の中を行動することは最初から想定せず、せいぜい1ー2時間だけ雨をしのげればよいという考え方である(だって、1日中雨が降ることが想定される日に、わざわざチープハイクなレインウェアで出かけなくても良いでしょ?)。となると、重視するのは防水性よりも撥水性ということになるかもしれない。

差し当たって僕の頭に浮かぶ候補はあれしかなかった。ホームセンターによく売っている作業用ヤッケのズボン、あれはどうなんだ? 防水ではないが撥水加工はされているし、防水透湿素材を使ってないぶん安価で軽量だ。

で、近場のワークマンで専用レインウェアには目もくれず、早速購入してきました。品番「NY-005 動きを妨げないヤッケズボンACTIVE」がこちらになります。

どこのホームセンターでも売っているヤッケズボンとほぼ同じものだと思われます。

まず、お値段490円! そして重量93g! ためしにシャワーで撥水性をチェックしてみると、さすが新品だけあり、コロコロと玉のように水を弾いてくれた。てか、こういう強力な撥水性ってなんとなく高級なレインウェアならではの機能のような気がしていたけど、違うんですね…。

見よ、この490円とは思えない見事な撥水性能!

シャワー後も水滴が玉のように流れて浸水もゼロ!

もちろん、撥水性なんてものは使っていればどんどん落ちていくものなので、撥水性を回復させるためのケアは絶えず必要になるが、それは(表地が疎水性素材のゴアテックス・シェイクドライでもなければ)どんなレインウェアでも変わりはない。

もちろん、撥水仕上げにも様々な方法や薬剤があり、その耐久性についても性能差はあるだろうが、シーズンごとに撥水処理を行うようなこまめなケアを行えば、その差は十分にカバーできるはずだ。

当然、山でもテストを行った。そこそこの雨量で1時間半ほど行動したが、シーム処理済みのタイベックヤッケとヤッケズボン、共に浸水はほぼなかった。

ともあれ、これはあくまで撥水性のウェアであり、防水ウェアではないことも留意してもらいたい。使用にあたっては前述の通り、ある程度は濡れることを想定して低体温症の対策をしっかりとすること、撥水性保持のケアを怠らないこと、1日中防風雨の中を歩くようなハードな使用は避けることなどは留意していただきたい。

でもさ…。

よくよく考えると、僕はFrogg Toggsのレインスーツを持っている。なら、わざわざヤッケズボンを使う必要、ありますか?

………………………無い‼︎

よし決定! チープハイク的なレインウェアは、トップス=タイベックヤッケ(ダクトテープカスタム)、ボトムス=Frogg Toggs Ultra Lite 2 Rain Suits(パンツのみ)とすることにした!

重量も上下で246gと十分に、いや驚異的に軽量だ。

そんなわけでようやく辿り着いたこれがチープハイクなレインウェア・スタイルです。Frogg Toggsのレインパンツがジーンズみたいでちょっと新鮮⁉︎

そんなわけでチープハイク的レインウェアの考察、いかがだっただろう?

今回は結論としては最初からFrogg Toggs上下で良かったのではないかという疑惑が拭いきれなくもないが….まあ、それはそれ。タイベックの可能性には改めて驚かされたし、ダクトテープのシーム処理係としの有用性にも目から鱗が落ちる思いであった。

次回はレインウェア以上に難関のスリーピングバッグ編を予定しているが、なるべく早くお届けできたらと考えている。

今回までの装備総額

Backpack: ¥2,793
無印良品サイドファスナーポケット付ポリエステルリュックサック
Footwear: ¥3,980
アキレスDXスライダー
Shelter: ¥2280
自作農ポリタープ(農ポリ¥180+ガイライン&アジャスター¥1,994+ペグセット¥300)
Trekking poles: ¥2,980
中華製ポール(Tera Hiker)
Cooking kit: ¥2058円
100円ショップマグカップ(¥108)+BRS-30000T(¥1,800)+先割れフォールディングスプーン(¥150)
Rain wear: ¥6310
タイベックヤッケ(¥830)+Frogg Toggs Ultra Lite 2 Rain Suits(¥5,480)

計: ¥20,595

三田 正明
三田 正明
フォトグラファーとしてカルチャー誌や音楽誌で活動する傍、旅に傾倒。 多くの国を放浪するなかで自然の雄大さに惹かれ、自然と触れ合う方法として山に登り始める。 気がつけばアウトドア誌で仕事をするようになり、ライター仕事も増え、現在では本業がわからない状態に。 アウトドア・ライターとしてはULハイキングをライフワークとして追い続けている。 取材活動のなかで出会った山と道・夏目彰氏と何度も山に行ったり、インタビュー取材を行ったり、酒を酌み交わしたりするうちに、いつの間にかこのようなポジションに。 山と道JOURNALSを通じて日本のハイキング・カルチャーの発展に微力ながら貢献したいと考えている。
JAPANESE/ENGLISH
MORE
JAPANESE/ENGLISH