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MCTハイカーズハンドブック

#3 各エリアの特徴とおすすめセクション

ハイカーによる、ハイカーのためのMCT徹底ガイド
写真/文:伊東大輔
2026.03.13
MCTハイカーズハンドブック

#3 各エリアの特徴とおすすめセクション

ハイカーによる、ハイカーのためのMCT徹底ガイド
写真/文:伊東大輔
2026.03.13

みちのく潮風トレイル(略称:MCT)を歩くハイカーのために、山と道京都スタッフの伊東大輔がまとめたハイカーによる、ハイカーのためのハンドブック。

最終回では北部/中部/南部の各エリアごとの特徴と、数日間のセクションハイクにおすすめのセクションを紹介していきます。

大きく3つのエリアにわかれるMCT

東北太平洋沿岸に位置するみちのく潮風トレイルは、大きく3つの特徴的な地形を通過します。#3では各エリアの特徴と、個人的なおすすめコースを紹介します。「みちのく潮風トレイルに興味はあるけど、全線を歩く時間が取れない」という方は、セクションごとに楽しむのもロングトレイルの遊び方のひとつです。

北部(海岸段丘エリア)

地理的特徴

岩手県宮古市からトレイル最北端の青森県八戸市蕪島までは、海に断崖が直面する場所が多く、直線的な海岸線に変わります。数十万年前の波打ち際でできた平坦な面が徐々に地上に現れることで形成された海岸段丘が分布しています。八戸市蕪島周辺は十数mの段丘ですが、岩手県田野畑村周辺の段丘は標高差200m近くに及びます。そうした段丘の上部は平坦で歩きやすいですが、そこに刻まれた、大小様々の谷が何度も現れるため、高低差を楽しめるハードな区間ともいえます。ごつごつとした岩場を乗り越えながら進む、波打ち際の道は冒険心をそそられます。(出典:NPO法人みちのくトレイルクラブ HP

おすすめセクション:三陸鉄道 普代駅〜三陸鉄道 陸中山田駅(158km)

三陸鉄道普代駅〜ネダリ浜〜北山崎〜机浜番屋群〜たろう観光ホテル〜姉ヶ崎〜浄土ヶ浜〜宮古市〜月山〜魹ヶ崎〜寒風峠〜寺地越え〜三陸鉄道陸中山田駅

ダイナミックな海の景色を感じられる、これぞみちのく潮風トレイルと言えるセクションです。海岸段丘から覗くエメラルドブルーの海面や、観光地としても名高い浄土ヶ浜、そして本州最東端の魹ヶ崎。その他、手掘りトンネルや番屋群、小さな漁港など、海の生活にまつわる景色がトレイルの側に広がっています。

約158kmと少し長めのルート設定ですが、これにはふたつの理由があります。

みちのく潮風トレイルの北部は海岸段丘、中部はリアス海岸へ地形が変化すると#2で記述しましたが、その境である宮古市を挟むルート設定にしています。つまり地形の変化を目の当たりにできるルートなのです。ぜひ、地球のロマンを感じながらトレイルを楽しんでもらいたいです。

また、宮古市は比較的大きな街になります。ロングトレイルの旅は歩くことだけが全てではなく、街での人との交流やゆっくりと時間を過ごすのも魅力のひとつです。時間があれば宮古市でゼロデイ(=全く歩かない日)を取って、スルーハイカーの生活を擬似体験してみてはいかがでしょうか。

トレイルから見下ろす海面はアクセサリーにしたいほど美しく輝いている。

海岸沿いのトンネルの入り口は冒険心をくすぐる。

魹ヶ崎にある本州最東端の場所。

最東端のその場所は、まるで他の惑星に降り立ったかのような景色が広がる。

手彫りトンネルは異世界への入り口のように感じる。旅人ならば必ずワクワクするはず。

漁の拠点として使用する番屋群。海の側で生きる人々の生活が垣間見える。

補給

自然の中を多く歩くセクションですが、補給箇所はこまめに点在します。ただし、重茂半島(一周約50km)に入る前は要注意。宮古や山田の中心地には補給するのに十分な施設があるので、そちらでしっかりとした食料計画を立てた方が良いです。

  • 道の駅 青の国ふだい(普代村)
  • 北山崎ビジターセンター(田野畑村・北山崎)
  • ローソン岩泉町小本店(岩泉町)
  • 鈴精商店(岩泉町)
  • 田川商店(宮古市田老)
  • 道の駅たろう(宮古市田老)
  • ローソン宮古鍬ヶ崎上町店(宮古市街)
  • 道の駅みやこ(宮古市街)
  • ファミリーマート宮古築地二丁目店(宮古市街)
  • ツルハドラッグ宮古磯鶏店(宮古市磯鶏)
  • ローソン宮古磯鶏石崎店(宮古市磯鶏)
  • 薬王堂宮古磯鶏店(宮古市磯鶏)
  • ファミリーマート宮古金浜店(宮古市金浜)
  • 河原商店(宮古市音部)
  • 薬王堂山田大沢店(山田町)
  • 道の駅やまだ「おいすた」(山田町)
  • セブンイレブン山田町中央店(山田町)
  • びはんストアオール店(山田町)

宿泊

宿泊施設、キャンプ場が点在するエリアです。ある程度、キャンプ場やキャンプ可能地を繋いで計画することが可能です。一箇所、姉ヶ崎から御殿崎までのキャンプ場間は約50km離れているので、途中に立ち寄る田老周辺の民宿を利用するのもいいでしょう。
※「みちのく潮風トレイルサポーターズ」の施設のみリンクを記載しています。

宿泊施設

  • ひらいが海荘(田野畑村)
  • ホテル羅賀荘(田野畑村)
  • グリーンピア三陸みやこ(宮古市田老)
  • 渚亭たろう庵(宮古市田老)
  • 民宿治郎兵衛家(宮古市崎山)
  • 浄土ヶ浜パークホテル(宮古市・浄土ヶ浜)
  • ホテルアートシティ(宮古市)
  • ホテルルートイン宮古(宮古市)
  • おとべ荘(宮古市音部)

キャンプ場

  • 黒崎オートキャンプ場(普代村・黒崎)
  • 明戸キャンプ場(田野畑村明戸)
  • 姉ヶ崎キャンプ場(宮古市・姉ヶ崎)
  • 姉吉キャンプ場(宮古市重茂)

みちのく潮風トレイルサポーターズ(キャンプ相談可)

アクセス

三陸鉄道普代駅:三陸鉄道リアス線で宮古駅まで約60分、久慈駅まで約40分
三陸鉄道陸中山田駅:三陸鉄道リアス線で宮古駅まで約60分、久慈駅まで約50分

地図

Hiking Map Book 2&3

注意点

  • 三陸鉄道がトレイルに沿うように運行しているので比較的出入りは容易ですが、本州最東端の地である魹ヶ崎を含む重茂半島は隔離されたエリアの半島歩きなので注意が必要です。宮古駅までバスが運行しているので、万が一の場合はそちらを利用することになるでしょう。
  • 北山崎周辺は海岸段丘地形であり、急傾斜の昇り降りの連続になります。距離自体は長くないですが、階段を何度も往復するような場所なので、他のみちのく潮風トレイルのセクションよりも歩行距離が伸びないはず。体力的難所なので、計画する際は要注意。
  • 田野畑村付近では手掘りトンネルを通過します。落石や高潮には注意しましょう。
  • トレイル状況、宿泊施設、補給ポイント、みちのく潮風トレイルサポーターズは変動するので、計画を立てる際は自身で最新情報を収集しましょう。

中部(リアス海岸エリア)

地理的特徴

宮城県石巻市街を抜けると、北上山地の最南端、牡鹿半島に入ります。ここから岩手県宮古市までのエリアは、リアス海岸を堪能できます。この地におけるリアス海岸は、およそ1万年前に、山間の谷間の奥まで海が入り込んでできた地形で、海に突出したような半島と深い湾が繰り返すギザギザの海岸線が特徴です。ルートも半島と湾に沿うようにギザギザしており、潮風を感じるには絶好のロケーションです。各半島を遠方より望むと、ほぼ同じ標高の平らな面を見ることができますが、実は、北部と同じ海岸段丘です。(出典:NPO法人みちのくトレイルクラブHP

おすすめセクション①:JR釜石駅〜JR盛駅(約73km)

JR釜石駅〜石塚峠〜鍬台峠〜羅生峠〜立石山(綾里半島)〜綾里峠〜JR盛駅

赤崎と綾里を繋ぐ峠道。昔の人々の知恵と工夫が随所に垣間見える。

歴史の奥行きを想像することで景色が色んな角度に広がって見える。

綾里峠に設置されていた看板。そこに住むたくさんの人々に踏みしめられた道だったのだろう。

綾里峠の入り口はかつては車の往来があったのかもしれない。

綾里峠の麓にある不動滝の道中に設置された架け橋。

トレイル沿いに設置された愛に溢れた手作りの看板。

JR釜石駅からJR盛駅を結ぶこのセクションは、石塚峠、鍬台峠、羅生峠、綾里峠という4つの峠を越え、人々の生活の歴史を色濃く感じられます。峠道は日本のハイカーにとって馴染み深い存在ですが、もともとは人々の移動や交易――つまり生活のために使われてきた道でした。古の人々がいかに体力を無駄にせず、リスクを抑えて隣の里へ移動するかを考え抜いた結果として引かれた“線”が、今も道の随所で感じられます。道の奥行きに目を向けながら歩いてみるのも、このセクションならではの楽しみ方かもしれません。

峠道はいずれも未舗装路が中心ですが、正直、中部の代名詞とも言えるリアス海岸の景色を堪能できるルートではありません。けれど、派手さはなくとも静かな自然が広がり、この地に暮らしてきた人々の歴史や思考が、歩くほどに浮かび上がってきます。里から里へ、峠を越えて移動する。そんな古の旅人に思いを重ねながら歩くことで、「歩く旅」の本質に触れられるセクションです。(※2026年3月現在、綾里峠ルートは通行止めです。詳しくはこちらの迂回情報をご確認ください。)

補給

10〜15kmごとに補給に十分な施設が点在します。何を食べるか、どれくらいの重量なら背負えるかで食料計画のアレンジが可能です。

  • セブンイレブン釜石松原駅(釜石駅)
  • ファミリーマート釜石松原二丁目店(釜石駅)
  • スーパーみずかみ平田店(平田駅)
  • ローソン釜石平田店(平田駅)
  • 渡辺商店(吉浜駅)
  • 新沼酒店(吉浜駅)
  • 三陸スーパー(三陸駅)
  • ローソン大船渡越喜来店(三陸駅)
  • DCMニコット 綾里店(綾里駅)
  • ヤマザキYショップ きさいん店(綾里駅)
  • ファミリーマート 大船渡赤崎店(盛駅)

宿泊

三陸鉄道の駅沿いに民宿や旅館などの施設があります。補給場所と同じく10〜15kmごとに宿泊施設がありますし、鉄道が並走している場所柄、宿泊に困ることはないでしょう。このセクションにキャンプ場はありませんが、みちのく潮風トレイルサポーターズの『潮目』がハイカーを受け入れてくれます。
※「みちのく潮風トレイルサポーターズ」の施設のみリンクを記載しています。

宿泊施設

  • ホテルフォルクローロ三陸釜石(釜石駅)
  • 川古荘(吉浜駅)
  • 民宿とまり荘(三陸駅)
  • 岡田荘(綾里駅)
  • 廣洋館(綾里駅)
  • つつみ旅館(盛駅)

みちのく潮風トレイルサポーターズ(キャンプ相談可)

  • 潮目(三陸駅)

アクセス

JR釜石駅:JR釜石線で新花巻駅まで約110分、三陸鉄道リアス線(釜石駅〜盛駅)
JR盛駅:JR大船渡線で気仙沼駅まで約80分、三陸鉄道リアス線(盛駅〜釜石駅)

地図

Hiking Map Book 5

注意点

  • 峠道は未舗装路なので自然災害の影響を受けやすいです。迂回や通行止めなどはみちのくトレイルクラブから情報発信されているので、ハイキングへ行く前と歩いている最中はそちらを確認しましょう。
  • 必然的に自然の中で時間を多く過ごすことになるので野生動物にも注意が必要です。私が歩いていた時も綾里半島でかなり新鮮な獣の糞を目撃しました。過剰に怯える必要はありませんが、事前対策や準備は必要です。
  • トレイル状況、宿泊施設、補給ポイント、みちのく潮風トレイルサポーターズは変動するので、計画を立てる際は自身で最新情報を収集しましょう。

おすすめセクション②:JR陸前戸倉駅〜JR女川駅(約81km)

JR陸前戸倉駅〜南三陸・海のビジターセンター〜神割崎〜から揚げこっこ屋〜石巻市震災遺構大川小学校〜雄勝半島〜m.s.s.books〜石投山〜JR女川駅

宮城県北部に位置するこのセクションは、比較的舗装路の区間が多いものの、雄勝半島や神割崎、そして石投山からリアス海岸ならではの景色を楽しみながら歩くことができます。また、東日本大震災で甚大な被害を受けた、震災遺構大川小学校もこのエリアです。個人的に、この震災遺構で目にした景色と出会った感情は忘れ難く、強く印象に残っています。

そして人との出会いを色濃く感じたセクションでもありました。女川駅付近のおちゃっこクラブ(食堂)、m.s.s.books(ハイカー民宿)、こっこ屋(から揚げ屋)などの、みちのく潮風トレイルサポーターズが点在し、旅に彩りを与えてくれます。トレイルを支えてくれている地元の方々に話を聞くと、きっと新たな視点が得られるでしょうし、みちのく潮風トレイルをもっと深く楽しめるようになるはずです。

神割崎は神が村の争いを仲裁するために岬を割ったという伝説が残る。

石巻市の大川小学校は北上川を遡上した津波により甚大な被害を受けた。

女川駅のおちゃっこクラブは内装を見ているだけでも楽しい。

昔ながらのナポリタンを食べてからハイキングへ向かうのも良いだろう。

テトラポッドが印象的な雄勝半島の大須崎。

から揚げこっこ屋の弁当には、弁当箱からはみ出るほどのから揚げと愛が敷き詰められている。

補給

JR女川駅にはスーパーやコンビニなど補給に十分な施設が揃っています。雄勝半島(藤井商店、まるまご商店)や神割崎(高橋商店、神割崎キャンプ場売店)にも商店があり、品揃えは限定的ではありますが、そちらで食料を買い足すことも可能です。ただし、個人で営まれている商店なので、営業日や時間など変更などのイレギュラーに対応できる食料計画が必要です。総距離が約81kmなので、歩き始めから日数分の食料を担ぐのも可能です。ベースとなる食事(朝昼晩)は持ちつつ、個人商店や売店で行動食などを買い足しながら歩くのもいいかもしれません。

  • 神割崎キャンプ場売店(南三陸町・神割崎)
  • 高橋商店(南三陸町・神割崎)
  • 藤井商店(雄勝町)
  • まるまご商店(雄勝町)
  • スーパーおんまえや(女川駅)
  • ファミリーマート女川中央(女川駅)

宿泊

キャンプ場は多くありませんが、ハイカー向けに幕営地を提供してくれている施設が点在しています。予約が必要な場所が多いので、事前に確認してください。また、民宿や旅館などもいくつかあるので、体力や求めている経験に応じて計画すると良いでしょう。

ただし、公式の幕営地でこのセクション全線を繋ぐのは、ややハードルが高いです。最長の施設間距離で約45Kmです。舗装路も多いので不可能な距離ではありませんが無理は禁物です。少しトレイルから外れますが間に民宿(民宿処まがき)があるので、そちらを利用するのもひとつの手です。
※「みちのく潮風トレイルサポーターズ」の施設のみリンクを記載しています。

宿泊施設

  • 民宿松波荘(南三陸町・神割崎)
  • ながしず荘(南三陸町・神割崎)
  • 小滝荘(北上町・神割崎)
  • うらしま荘(北上町・神割崎)
  • 追波湾テラス(北上町)
  • 民宿処まがき(北上町)
  • 桑浜漁師民宿(雄勝町)
  • m.s.s.books(雄勝町)

キャンプ場

みちのく潮風トレイルサポーターズ(キャンプ相談可)

アクセス

JR陸前戸倉駅:JR気仙沼線で気仙沼駅まで約90分、石巻駅まで約100分(要乗り換え)
JR女川駅:JR石巻線で石巻駅まで約40分

地図

Hiking Map Book 7

注意点

  • 舗装路歩きが多くなるので、車とのすれ違いには注意が必要です。また、道路からの照り返しが強く、日陰がない場所もあるので、夏場のハイキングでは対策をお忘れなく。
  • トレイル状況、宿泊施設、補給ポイント、みちのく潮風トレイルサポーターズは変動するので、計画を立てる際は自身で最新情報を収集しましょう。

南部(仙台平野エリア)

地理的特徴

「みちのく潮風トレイル」の最南端は、福島県相馬市松川浦です。ここから歩き始めると、阿武隈山地北端の低山を経由し、宮城県石巻市西部までは東北地方最大の仙台平野を北上します。仙台平野は最終氷河期が終わるおよそ1万年前以降、いくつもの河川から運ばれた土砂の堆積などによって、徐々に海が後退してできた平野で、他のエリアに比べ空が広いです。広大な砂浜が広がる仙台湾は、緩やかに弧を描く海岸線が美しいです。なお、道奥(陸奥)国の政治的中心施設、「国府」とされる郡山官衙遺跡(仙台市)、多賀城跡(多賀城市)はこのエリアにあります。(出典:NPO法人みちのくトレイルクラブHP

おすすめセクション:鮎川港バス停〜JR本塩釜駅(約46km)

※Hiking Map Bookでは約117kmのコースですが、フェリーや渡船に乗船する約60kmを含む距離です

鮎川港バス停〜金華山〜鮎川港〜網地島田代島〜網地島ライン 石巻発着所〜JR野蒜駅〜宮戸島〜寒風沢島野々島桂島〜マリンゲート塩釜〜JR本塩釜駅 ※太字は離島

南部で紹介するのは、6つの離島を巡るコースです。普段のハイキングではなかなか使うことのない、フェリーや渡船で島と島とを繋いでいきます。島ならではの海と森に囲まれた優しい景色に流れる、どこか懐かしい空気は、急ぐことを否定されるような穏やかな時間を与えてくれます。

森林や砂浜、漁港や田園と変化に富んだハイキングを楽しめる浦戸諸島。東北のハワイと呼ばれる網地島。人よりも猫の方が多く生息している田代島。島全体が神域となっており、「3年連続で参拝すると一生お金に困らない」という言い伝えがある金華山など、個性豊かな島々がトレイル上に点在しています。時間が許すなら、トレイルを外れて島歩きや、のんびりした時間を過ごすのも良いでしょう。

浦戸諸島を渡る際、地元の漁師さんが渡し船を出してくれる。島を取り巻く様々なことを教えてくれ、ガイドツアーに連れていってもらった気分だった。

「猫の島」と呼ばれる田代島には、猫が自然の姿で人と共存している。

出発地点の鮎川港。

野々島で見られるボラ。かつて貯蔵庫として利用され、漁業用品、食品などが保管されていたそうだ。

人が行き交う道路でこんなにもくつろぐ猫を見たことがない。

塩釜のピッツェリア ラ・ジータ。絶品のピザはもちろんだが、店主は旅が好きだそうで旅の話に花が咲くはず。

補給

石巻〜野蒜の区間にはスーパーやコンビニが点在しています。一方、島での補給は困難なので、食料はスタートの鮎川港に着く前に必要日数分を補給することをオススメします。石巻で補給ができるので、歩き始めは石巻まで(約18km)の日数分、石巻で本塩釜駅(約39km)までの食料を補給すると、担ぐ食料の重量を減らせます。

  • 渡辺商店(網地島)
  • いしのまき元気いちば(石巻港)
  • ファミリーマート石巻中里七丁目店(石巻市街)
  • ファミリーマート矢本赤井店(東松島市赤井)
  • セブンイレブン矢本赤井川前店(東松島市赤井)

宿泊

宿泊施設

  • 民宿 多数あり(網地島、田代島、寒風沢島、桂島)
  • ビジネスホテル多数あり(石巻市街)

キャンプ場

みちのく潮風トレイルサポーターズ(キャンプ相談可

アクセス

鮎川港バス停:ミヤコーバス鮎川線で石巻駅まで約70分
JR本塩釜駅:JR仙石線で仙台駅まで約30分、石巻駅まで約50分

地図

Hiking Map Book 8&9

注意点

フェリーの運航期間や運航時間に注意してください。また、気象状況によって運休やスケジュール変更の可能性があります。みちのくトレイルクラブが離島セクションについて記事をまとめているので、詳しくはこちらをご覧ください。

  • 鮎川港〜金華山 ※予約可能
    定期運行。定期便を使うと島の滞在時間が1時間40分と短時間になるので、乗り遅れには要注意。島内はキャンプ禁止で宿泊施設もなく、定期便も週に1〜2便です。
  • 鮎川港〜網地島〜田代島〜石巻
    一日数便運行しており、鮎川港を朝一の便で出発すれば、各島で2時間ほどの滞在時間を確保した上で、その日のうちに石巻へ向かうことができます。
  • 宮戸島〜寒風沢島 ※要予約
    地元の漁師さんの協力の元、漁船での運行になります。(要5日前予約、運行期間:4月15日〜11月14日)
  • 寒風沢島〜野々島〜桂島
    無料の渡船が運行しています。島間の渡船は、船の発着場で電話して迎えに来てもらう方式になります。
  • 桂島〜マリンゲート塩釜
    塩釜市営汽船が1日6〜7便運行しています。特に予約などは不要で、港でチケットを購入します。
  •      

  • トレイル状況、宿泊施設、補給ポイント、みちのく潮風トレイルサポーターズは変動するので、計画を立てる際は自身で最新情報を収集しましょう。

最後に

「ロングトレイルはハイカーが歩かなければ成り立たない」

そんな言葉をロングトレイルの旅を経験する前に聞いたことがあります。当時は表面上は分かっているつもりで、でも実際は自分の中で咀嚼できていない。そんな言葉でしたが、今ではその意味がよく分かります。

「トレイルを維持する=管理団体の仕事」というイメージがどこかありませんか? 私自身もそうでした。もちろん正解でもありますし、その働きのおかげでロングトレイルが成り立っているのは事実です。

しかし、いくら管理団体がトレイルの維持活動をしようと、ハイカーがトレイルを歩かなければトレイルは自然へと還ってしまいます。私が2023年に歩いたアメリカのCDT(コンチネンタル・ディバイド・トレイル)は、他のPCTやATよりも格段にハイカーが少なく、一部トレイルが消えてしまっていたり、地盤が緩い場所がありました。数千キロのトレイルを整備し続けることは不可能に近く、実はハイカーの娯楽である「ハイキング」という行為がトレイルを踏み固め、結果としてトレイル整備の一端を担っているのです。

そして、ロングトレイルはただ歩くだけの道ではなく、カルチャーが根付いた道だと認識しています。確かに歩くことが主となりますが、ただ綺麗な景色を見て歩きたいだけなら、数ヶ月間をかける必要はないでしょう。綺麗な景色は数日間で飽きてしまいます。同じ道を歩き同じ場所を目指すハイカー同士が旅の中で出会ったり、長距離を歩くハイカーとそれに一種の夢を託して応援する地元の人が交わったり。ロングトレイルを舞台に人と人とが繋がり合い、そしてその積み重ねがカルチャーを作り出すのだと思います。

ロングトレイルが自分の街に通されても、誰も歩いていなかったら興味がなくなってしまいますよね。そしていつしか、「そういえばそんなのあったな」と過去のものになってしまいます。ハイカーが歩いているロングトレイルにこそ価値があり、未来へと受け継がれていきます。

ここからは完全に個人的な意見になりますが、是非、みちのく潮風トレイルをスルーハイクしてもらいたいです。私はスルーハイカーが地元の人に与えるロマンがあると思っています。数千キロの距離を自らの足で移動するからこそ、地元の人は夢やロマンを感じ、応援したくなるのではないでしょうか。実際に歩いている時もたくさんの方の応援を受けました。そして自分では言いたくないですが、勇気を与えたこともあると思います。スルーハイカーの存在がきっと地元にワクワクを与えてくれるのだと思います。

とは言え、みちのく潮風トレイルの遊び方は人それぞれです。スルーハイカーもセクションハイカーも日帰りハイカーも。その人が満足できればそれでいいと思っています。距離はどうあれ歩くハイカーがいることが、地元の人たちにとっても、私たちハイカーにとってもハッピーなのです。

この記事があなたの背中を少しでも押せることを願っています。

よい旅を。

伊東大輔

伊東大輔

山と道京都スタッフ。 もともと海外に憧れを持っており、旅中の出会いにより海外のアウトドア文化に傾倒。カナダへのカヌーツーリングやアラスカでのトレッキングを経験する。もっと長い旅を求めて2022年に北米のロングトレイル、パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)、2023年にコンチネンタル・ディバイド・トレイル(CDT)、スペインのカミーノ巡礼を旅する。旅で出会ったULやハイキングカルチャーを多くの人と共感したいと考え、山と道へ入社。「自分らしい旅」を求めてこれからも様々なスタイルの旅を模索していこうと目論んでいる。