【THE BACKPACK TEST 2018】
12のバックパックを同一条件で試してみた

INTRODUCTION

おはようございます、こんにちは、こんばんは。『山と道JOURNALS』のエディターを務めている三田正明です。

実は私、フリーランスのライター/フォトグラファーでもありまして、雑誌やウェブなどの他媒体でも記事を作成しています。そんな中、エイ出版社の雑誌『ランドネ』2018年4月号においても『重さ1k以下限定! ライトウェイトなバックパック』という特集の撮影と執筆を担当したのですが、実はここで現在日本のマーケットで入手可能な1kg以下の軽量バックパック13種類が、撮影のために我が家に集合するという事態が発生しました。

こういう特集を作成したのはこれまでも何度もあったのですが、バックパックのみが13個も揃うことは滅多にない! せっかくの機会なので、記事執筆のためにも後学のためにも、普段自分が使っているULハイキング装備を入れて、同一条件で試着させてもらうことにしました。

それはなかなかに発見の多い経験だったのですが、『ランドネ』では4ページで13種のバックパックを紹介する企画だったので、そこで得られた知見を開陳するには誌面が足りません。ですが、その時ひらめいてしまったのです。

「これ山と道JOURNALSで記事にしちゃえばいいんじゃね?」

とりあえずランドネの担当編集であったSさんに相談してみると、「あ、うちは全然大丈夫ですよ〜!」とあっさりOK。次に山と道の夏目彰に確認してみると「まあ、三田さんがやりたいならやればいいんじゃない?」と心中やや複雑そうながらもゴーサインをいただく(そりゃ、山と道のサイトなのに他社のバックパックについてあーだこーだ言うページを作るんだからいろんな意味で複雑ですよね)。各メーカーさんにも二次使用の許可をいただいて、今回の記事の発表となりました(一社だけ使用許可メールの返信をいただけなかったため、そちらは除外して12のバックパックす)。

ただ、「12種類のバックパックをテスト!」とは言え、同じ重量の荷物を入れて5分〜10分ほど背負ってみて、多少ウロウロ歩いてみたり、体をひねったり揺らしたりジャンプしてみたり、程度のテストですので、これを持ってそのバックパックに決定的な評価を下すようなものではありません。バックパックのチョイスも自分が編集部との協議のうえ行っていますが、第一にランドネ読者に紹介することが大前提のセレクトであることもお断りしておきます。

上記のような経緯でたまたま成立した企画ではありますが、企画の許諾をいただいたランドネ編集部と山と道、そしてバックパックをお貸しいただいた各メーカーさん、ありがとうございました。

そんなわけで、背負いまくってみようじゃないか!

【ご注意】

・この記事はとても長いです! トップに水色の文字で表示されている目次から、気になるバックパックのみお読みいただくことも可能です。

・本記事で述べている見解は筆者三田のものであり、山と道の見解ではありません。

  • ランドネ2018年4月号より
  • ランドネ2018年4月号より

バックパックは①現在国内で手に入るもので②重量1kg以下③容量20L以上50L以下という条件で選びました。ランドネの企画趣旨上、それほどマニアックなセレクトになることは避け、デイハイク〜バックパッキング向けからファストパッキング向けまで幅広くチョイスしました。

編集部との協議の結果、バックパックのチョイスは以下のようになりました。

山と道 ミニ
:340g-30L
オガワンド アクペリエンス
:380g-30L
トレイルバム バマー
:390g-30L
ゴッサマーギア ミニマリスト
:401g-24L
マーモット ヤマタビ30
:525g-35L
OMM ファントム25CL
:565g-25L
ifyouhave ハグ
:590g-40L
マーモット Re-Ex 35
:600g-35L
モンベル バーサライトパック30
:605g-30L
アンドワンダー X-Pac 30Lバックパック
:645g-30L
モンテイン ウルトラツアー40
:734g-40L
ULA ファストパック
:737g-43L

番外(二次使用許可下りず)
ザ・ノースフェイス FPハイブリッド40
:870g-40L

テストに当たっては、現在自分が5月〜10月くらいの無雪期ULハイキングで使用している一般的な装備を入れてみました。実際の背負い心地を知りたいので、水・食料・燃料もおよそ2泊3日分積んでいます。自分は現在このような場合は、容量およそ30LのKSウルトラライト・ギアのKS30(カスタムモデル)を使用しています。

ULハイキングに馴染みのない方には2泊3日のテント白縦走で30Lとは驚くべき小ささと思われるかもしれませんが、テントをフロアレスシェルターかタープにする、スリーピングパッドを超軽量なエアマットにするかクローズドセルパッドにする、着替えなど本質的に必要でない装備を極力持たない、などを行えば、現代の登山道具を持ってすれば意外と簡単に実現できます。自分でも荷物が軽くて驚きますが、山で特段佗しい思いをすることもありません。酒もビビィも傘も持っていきますし、ストーブは普通にガスのものを使っています。自分の装備は現代のULハイキングの基準としてはとくにエクストリームなものではなく、標準的なものであると思っています。

それでは、いよいよこの装備を入れて12種類のバックパックをテストしていきます。

【1】山と道 MINI

  • 山と道ミニ(ブラックヘザー)/340g-30L

デザインと機能

『山と道JOURNALS』である以上、まずはこちらから話を始めなくてはなりません。デイハイク〜小屋泊向けイメージの強いミニですが、現代の装備を持ってすればULハイキングには十分な容量、というよりど真ん中サイズではないでしょうか。吹流しも長くフロント&サイドポケットも大容量なので、装備を工夫すれば無雪期4泊5日くらいまではいけそうです。外付け用のバンジーコードやストラップ類も充実しているので、拡張性も高いです。

今回いろいろなバックパックに触ってみて改めて感じたのは、山と道のバックパックは「全部乗せ」だということ。フロント&サイドポケット、バンジーコード、ストラップ、背面メッシュと取り外して使用できるパッドなど考えうるULバックパックのオプションが全部乗っているのですが、他社の同クラスのバックパックはそのどれかをオミットしていることが多いのです。実際、自分が使っているKS30も容量的にはほぼ同じですが、スリーピングパッドやトレッキングポールなどの外付けのしやすさと自由度はミニの方が格段に優れています。

背負い心地

重量340g+装備重量6070g=計6.4kgのパックウェイトでテストしてみました。発売から6年がたち、その間も様々なマイナーアップデートが行われてきた円熟期に入っているバックパックなので、背負い心地についても問題なし。ショルダーストラップは今回試した中でもかなり厚くて固めで、この辺りは好みが分かれるかもしれません。自分も少し硬い気もしますが、長時間背負ったり、長期間使用して多少へたってきたときに真価を発揮する厚みと硬さかもしれません(山と道夏目はショルダーパッドには絶対の自信を持っているようですが)。

荷重バランスに関しては、フロントポケットが大容量なので、ここにものを入れすぎるとどうしても後ろに引っ張られる感は出る気がします。ミニは本体の袋の形状も横幅がやや狭く奥行きが深い形をしているので、尚更なのかもしれません。ここはもう少し横幅を広く取り本体の厚みを薄くしても良いのでは、と個人的には思います。ミニは吹流しも長いので、快適に背負いたいならなるべくメイン機室にものを入れたほうが本来の背負い心地を味わえるのではないでしょうか。

総評

上記のように「全部乗せ」な機能が収まっていながら、340gという重量はやはりすごい(ゴッサマーギアのミニマリストより軽い!)目新しいギミックがあるわけでないけれど、このクラスのバックパックに必要な要素が全部詰まっていていて、それがバランスよく配置されている、すごく真面目なバックパックという印象です。逆に突っ込みどころが無さすぎるのが不満なほど! ともあれそういった買っても絶対に損しなそうな安心感こそがミニというバックパックなのではないかと思います。

自分個人としては、ミニに山と道スリーのスタンダードタイプと同じフロントポケットを付けてくれたら、まさに理想形なのになあと常々思っています(カスタムで選べるようにしてほしい!)。

【2】Trail Bum Bummer

  • トレイルバム バマー/390g - 30L

デザインと機能

続いては、ソーズカンパニーとハイランドデザイン(ハイカーズデポ)のコラボレーションによるULブランド、トレイルバムのバマー。トレイルバムのラインナップの中でも30LサイズのピュアなULバックパックという位置付けです。

パッと見、非常にシンプルな「ザ・ULバックパック」。あえてそうしているであろうデザインは匿名的ですらあり、UL界の「無印良品」的な感覚でしょうか。ヒップベルトがない点も潔く好印象。フロントとサイドのポケットの容量も必要十分で、トレッキングポール用のストラップはありませんが、サイドポケットに深さがあるので三つ折りタイプのポールなら暴れずに入れられました。素材の100デニールのリップストップナイロンもデザインと同様地味な生地ですが、丈夫で気兼ねなく使えそうです。吹流しはそれほど長くないので、今の自分の装備では3泊4日くらいが限界でしょうか。

背負い心地

重量390g+装備重量6070g=計6.46kgのパックウェイトでテストしてみました。背面はメッシュなしですが、今季から取り外し可能な背面パッドが付属するようになりました。ショルダーストラップはかなり幅広で厚めです。で、背負ってみて、ちょっと驚きました。背面、ショルダーストラップ共に非常にシンプルな作りながらすっと背中にフィットして、意外と言ったら失礼ですが、背負い心地が良いのです。バックパックのメイン機室の形状とショルダーストラップの厚みと取り付け角度など、様々な点が高次元でバランスが取れている印象です。

総論

失礼ながら見た目からは想像できないほど良好な背負い心地に驚かされました、この手の肩荷重バックパックの背負い心地って、華美な装飾よりも、やっぱりショルダーストラップの太さと厚みと形状と角度、背面長の長さ、袋の形状による荷重バランスによって決まっているんだなと改めて痛感させられました。ともあれ、この手のULバックパックの場合、背面長を変えたり細かい調整ができるわけではないので、たまたま自分の体にフィットしただけで、すべての人にとっても最高であるとは断定できませんが。

あえて没個性的なデザインを選択しているため面白みやケレン味には欠けますが、値段も比較的手頃ですし、今季から背面パッドやサイドストラップ、スターナムストラップが加えられ、一層使いやすくなりました。ビギナーからベテランまでお勧めできるバックパックです。

【3】OGAWAND Acperience

  • オガワンド/アクペリエンス 380g-15~30L

デザインと機能

15Lから30Lまでコンプレッションによりサイズが可変出来たり、ボディ外周にぐるりと一周した独自のADC(Ajustable Daisy Chain)システムに様々なオプションを取り付けられたり、ショルダーストラップの取り付け位置を調整したりオプションで別のストラップに交換したり、オガワンド独自のギミックが搭載されたバックパック。オガワンドにはひと回り大きなフラッグシップのオウンもありますが、軽量化が進む現在のシーンでは、むしろこちらがULバックパックとしてメインになっているのではないでしょうか。

本体はシンプルな1機室+サイドポケット。サイドポケットはやや浅く、長めの水筒などは落ちないか少し心配です。メイン機室の開口方法は、いちいちスライダーを閉めたり解放しくてはいけないので自分的にはやや面倒くさいですが、このデザインは容量が可変できるアクペリエンスの設計の根幹に関わってくる部分なので、仕方ないとも思います。使っているうちに慣れるかも。デザイン的にはフロントのデイジーチェーンが1直線のラインでないことが美観を損ねていて、個人的にはちょっともったいない気がします。容量的にはミニ、バマーと同程度ですが、フロントポケットがないぶんちょっと窮屈な印象もあります。

背負い心地

重量380g+装備重量6070g=計6.45kgのパックウェイトでテストしてみました。背面は薄手のパッド+メッシュという現在のスタンダードなULバックパックの作りです。アクペリエンスの標準使用であるシンプルライトハーネスは、その名の通り非常に軽くシンプルで、手で持つと少々心許なさを感じましたが、背中の中心に重心が来ることを意識しているという荷重バランスのせいか、その薄さに比して背負い心地は良好でした。ただ、オプションで用意されているさらに保持力に優れたADCスタンダードハーネスやベスト形のADCアクティビストハーネスも試してみたいとも思いました。

背負い心地に関しては、アクペリエンス/OWNの非常に大きな特徴として、ショルダーストラップの取り付け角度を調整できることが挙げられます。今回、様々なバックパックをテストしてみて、バックパックが体に合う/合わないというのは靴と同様に大きな問題であると気づきましたので、ここで取り付け角度を調整して自分に体に合わせられるのは大きなアドバンテージではないでしょうか。

総論

非常に独創的なコンセプトと仕様のバックパックであり、気にいるかどうかは個人差あると思いますが、ある人にとっては「これしかない」と思わせるポテンシャルのあるバックパックだと感じました。すでに日本のULバックパックの中でも定番的な存在になっていることも納得です。

フィッティングも調整でき、豊富なオプションも用意され、かつ自分自身でバンジーコードなどを加えてカスタマイズすることも容易なので、どんなシチュエーションでもこれひとつでこなせてしまうフレキシビリティはやはり魅力。またデザイナーの小川隆行さんがいまだにひとつひとつ手作りで縫われている点も、大きな魅力でしょう。

【4】ifyouhave hug

  • ifyouhave ハグ/560~610g - 37L~43L

デザインと機能

パウンドカップやナップパックなどでお馴染みのifyouhaveが、遂にフラッグシップとなるハイキング用バックパックをリリースしました。開発に3年を費やしたというだけあり、本体全体に張り巡らされたバンジーコードでコンプレッションとフィッティングを同時に行う独創的なギミックが盛り込まれています。

素材は本体にX-Pac VX07、大容量のフロント&サイドポケットはコーデュラ500、ボトムにはさらに厚手のコーデュラ1000を採用し、タフに扱えそうです。バンジーコードのおかげで外付けの拡張性も高く、荷物が少ない時はボトムも絞ることができるため、かなり小さくできます。ロール式のトップは素早く簡単に開閉可能で、バックルを閉めたままでもコードを引っ張れば開閉できるのでなかなか便利そうです。

容量的には約40Lという表記ですが、フロント&サイドポケットも容量が大きく、またバンジーコードにより拡張性も高いので、装備と食料計画を吟味すれば5泊~6泊程度のハイキングにも対応できそうなキャパシティがあります。

背負い心地

重量590g+装備重量6070g=計6.66kgのパックウェイトでテストしてみました。ハグの最大の特徴はなんと言ってもその背負い心地でしょう。まず目につくのが、後で紹介するOMMのファントムにも似た構造の脇下のフィットコード。ただ目指すところは違っていて、ハグの場合はとにかくフィット感を向上させ荷物が揺れたり振れたりすることを防ぐためのもののようです。また、トップのクロージャーとショルダーストラップを兼ねたバンジーコードも面白い構造です。とにかく体とバックパックを一体化させることに並々ならぬ情熱を注いでいることが見受けられますね。

ただ、今回リースしていただいたサンプルが小さかったため自分の体のサイズに合っておらず、ハグの売り文句であるところの「抱きしめられるようなフィット感」を体感できなかったことは残念でした。

総評

今回、サイズが自分に合っておらず、その真価を確かめられなかったことは残念でした。前述の通り多くの意欲的なギミックが搭載されたバックパックなので、もっとじっくり時間をかけてテストしてみたかったです。

ただ一点、個人的に気になった点は、フロントポケットの位置が山と道のミニやスリーと同じなこと。ボトムからやや上の位置に付いたフロントポケットの構造は山と道のバックパックでも優れたポイントで、機能性を優先すればこの形になるのも理解できるのですが、せっかく意欲的な設計が施されているのに、この部分で山と道の亜流的に捉えられるとしたらもったいない。フロントポケットのデザインなどは全体から言えば些末な問題なので、機能性をやや犠牲にしてもオリジナルなデザインに拘っても良かったのでは?

現在、日本のULバックパック・シーンにおいては山と道が圧倒的な存在感を占めるなか、他社はどうしてもそこを意識せざるをえない状況があります。そんななか、ハグは山と道へのリスペクトは込めつつそこにはないものを模索した、ifyouhaveなりの挑戦状のように感じました。今後の進化と深化にも大いに期待しています。

【5】Montbell Versalite Pack 30

  • モンベル バーサライトパック30/605g-30L

デザインと機能

海外では”Light & Fast”をキャッチコピーとして採用し、世界最軽量アイテムも多くリリースし、ULハイカーやスルーハイカーからの支持も高いモンベル。そのラインナップの中で、もっともライトウェイトなバックパックがこのバーサライト・シリーズです。

本体生地の30デニールバリスティック・ナイロン・リップストップは今回集めたバックパックの中でももっとも軽量で薄い素材を採用し、雨蓋はあるものの、フロント&サイドポケットを備えたその外観はモンベルからのULバックパックへの回答とも言えるのではないでしょうか

ただ、サイド&フロントポケットは容量が小さめで、フロントポケットはレインウェア上下+αほど、サイドも500mmペットボトル1本がちょう
ど良いくらいのサイズになっています。天面と裏面にポケットを備えたベーシックなデザインの雨蓋も取り外せた方がULハイカーにはアピールしたように感じます。本体容量は30Lという表記ですが、実感としてはもうちょっと大きめで、4泊5日程度のハイキングには十分対応できるキャパシティーがあります。

背負い心地

重量605g+装備重量6070g=計6.75kgのパックウェイトでテストしてみました。ショルダーストラップ、背面パッドともにしっかりした作りで、背負い心地は良好です。ポケットつきのヒップベルトも腰荷重のためでなく、荷重バランスを整えるためのもので、ポジションがピタリと決まる点はさすがモンベルと言いたくなります。ULを意識したバックパックとはいえ、幅広い層が快適に背負えるバランスを啓示しています。

総論

前述の通り、本体生地は30デニールという今回テストした中でももっとも薄い生地を使用しながら、重量は605gとULバックパックとしては超軽量とは言えないバーサライトパック。ですが、今回実際に装備を入れて背負ってみて、その理由がわかった気がしました。一般的なフレームザックから移行した人でも、おそらくほぼ違和感を感じずに背負えるのではないでしょうか。袋の素材は極限まで軽くしても、背負い心地はまったく犠牲にしないことにモンベルの哲学を感じました。

しかも、これだけの完成度のバックパックが9,200円で手に入るのだから、モンベル恐るべし! 個人的な趣味嗜好を除けば、初めてのULバックパックにこれ以上のオススメはないかもしれません。これでフロント&サイドポケットが伸縮性のある素材に変わるかあと30%大容量化してくれば、本当に最高なんだけど…。ただ、現行のバーサライトパックシリーズも発売から数年が経ち、そろそろモデルチェンジが行われるタイミングかもしれません。近年のモンベル製品の充実ぶりを見るにつけ、バーサライトパックのモデルチェンジも非常に楽しみです。

【6】Marmot ReEX 35

  • マーモット ReEX 35/600g-35L

デザイン

続いてあのマーモットと我らがハイカーズデポ土屋智哉氏とコラボレーションした『Re:Lightpacking』ラインのバックパックを紹介します。

そのReEx 35は、シンプルな一機室&雨蓋付きの構造で、ULバックパックというよりも古くからある一本締めのクライミングザックにインスパイアされたもののようです。デザイン的な特徴は側面とフロントに設けられたデイジーチェーンで、ここにオプションで別売りされているポーチを取り付けたり、雨蓋をフロントに取り付けてアウターポケットとして使うことができます。

もうひとつの特徴として、側面&サイド生地にULバックパックでお馴染みのX-Pacを使用し防水性を高めていますが、ならば全部X-Pacでもよかった気も。その雨蓋のファスナーは縦方向に開くのですが、明らかに内容物を出し入れしにくいので横方向でよかった気も。これは雨蓋をフロントに取り付けてアウターポケットとして使用する際の配慮でしょうか。

そのままだとポールも付ける場所がないのは残念ですが、デイジーチェーンのおかげで拡張性は高いので、自分でバンジーコードやボトルホルダーなどを取り付けカスタマイズすることで、理想のバックパックに近づけることができます。そういった意味で、ユーザーに強い目的意識と経験値を要求するバックパックであるように感じます。

背負い心地

本体重量600g+装備重量6070g=計6.67kgのパックウェイトでテストしてみました。背面はメッシュ+取り外し可能な薄い背面パッドというこのクラスの基本的な構造で、ショルダーハーネスは薄いですが、S型にカーブして肩へのフィット感は良好です。

特筆すべきは腰に向け背面もS字に沿っていることで、これによりヒップベルトで腰に引きつけなくとも腰上部に自然に荷重が乗るのです(ヒップベルトを使ったほうが良いのはもちろんですが)。肩甲骨をメインに荷重したいこの手のノンフレームザックは腰上部にその補助的な荷重を乗せることが非常に重要なので、バックパック本体のパターンのみでここまで荷重が乗せられるなら、すべてのバックパックが取り入れても良いデザインなのでは、とすら思いました。

取り外し式のヒップベルト基部の設計も特徴的で、ボトムの側面から丸ごとグイッとバックパックを持ち上げるような作りになっており、シンプルながら荷重を有効に支えているように感じました。

総評

ハイカーズデポ土屋氏監修ならば、ゴリゴリのUL仕様になるのでは!? という大方の予想を裏切り、ラフ&タフに自由に使えるシンプルなバックパックに仕上がってきたReEX35。一見地味ですが、主に背負い心地の面で細かなチャレンジや配慮が見られ、特に背面とヒップベルトの構造に関しては唸らされました。

ただ、タフでシンプルなバックパックの多くがそうであるように、モデファイを繰り返しながら長く定番として残ってこそ意義のある製品だとも思います。シンプルなクライミングザックでありながら専用オプションが用意され、自分でカスタマイズもしやすいというありそうでない個性を持つバックパックなので、できれば長い年月をかけて熟成していってほしいところですが、『Re:Lightpacking』はもう終了という噂も聞きます。欲しい人は早めに動いた方が良いかもしれません。

【7】Marmot Yamatabi 30

  • マーモット ヤマタビ30/525g-35L

デザイン

土屋氏コラボのReEX35に続いて、同じくマーモットからあの山スカートの伝道師、四角友里氏とのコラボレーションラインのバックパックです。見た目がまんまレイウェイというところに日本のULカルチャーも思えば遠くまで来たものだと感じさせますね。コンプレッションにナイロンテープではなくロープが使われていたり、スパイダロンという杢の入った生地が使われていたり、山バッジをつける場所が設けられていたり、内部に小物ポケットがついていたり、随所に女性らしいアイデアが盛り込まれていますが、重量も525gと立派にULです。

フロントポケットはアトリエブルーボトル的なデザインで、メッシュとナイロンの二機室になっています。これはゴミ袋など見せたくないものをナイロンポケットの方にしまってもらおうという配慮のようですが、V字の切れこみ部がデッドスペースになっているので、ならば全部中身が見えない素材にして切れ込みのないデザインでも良かった気もするのですが、デザイン上のポイントにもなっているので、言うだけ野暮かもしれません。サイドポケットはメッシュの伸縮性といい容量といい良い塩梅です。

背負い心地

本体重量525g+装備重量6070g=計6.87kgのパックウェイトでテストしてみました。メッシュ素材と穴の空いたフォームを組み合わせた専用の背面パッドは簡単に取り外せて座布団にもなります。背面パッドが底まで来ていないのでこれでフレーム代わりになるのか少々疑問でしたが、おかげで底部が少し内側に曲がり、腰にフィットする効果を産んでいます。これは狙いか偶然か?

ただ、いかんせん女性用を意識しすぎたためか、自分にはショルダーストラップが細すぎると感じました。女性の体には合うのかもしれませんが、自分にはストラップ幅が細すぎて、6.8kgほどの重量でも背負った瞬間に少し肩に食い込む感覚がありました。

総評

考えてみれば、あのマーモットが日本独自企画とはいえULバックパックを作り、しかもそれが主に女性用であることに、古くからのULウォッチャーとしては感慨を禁じえませんでした。ともあれ、巾着型の開閉、大きなフロントポケット、シンプルで軽いことなど、ULバックパックは使いやすいと常々感じてきたことなので、比較的ライトユーザー層向けにそれが作られたとしても、驚くべきことではないのかもしれません。

デザインもクリーンで細部まで丁寧に作りこまれており、決してULオリエンテッドなインディペンデントメーカーは発想しないであろう、絶妙なバランスにまとまっています。ただ、やはり不安なのはショルダーストラップの細さ。ここはある程度の時間をテストしてみないとなんとも言えませんし、自分の体に合っていないだけなのかもしれません。

いずれにせよ、今後もモデファイを続けながら長くマーケットに選択肢として残って欲しい製品であると、いちULハイカーとして思いました。

【4月1日追記】

公開後、四角友里氏からご連絡をいただき、今回リースさせていただいたサンプルは最終版前の段階で、その後製品版ではショルダーストラップの幅をより広く(四角氏も肩が食い込んだそうです)、形状を改良したと教えていただきました。またヤマタビ30は女性用に限定せず、ユニセックス対応商品とのことです。

あらためて、女性がデザインの中核を担っているULバックパックというのは世界的にも珍しいはずで、その意味でも興味深い製品であると思いました。四角さん、ご対応いただきありがとうございました。

【8】OMM Phantom 25CL

  • OMM ファントム25CL/565g-25L

デザインと機能

ULオリエンテッドなバックパックが続いたので、続いてファストパッキング用バックパックを幾つか取り上げます。

OMMのファントム25CLは近年もっとも先鋭的で、意欲的な設計のバックパックといえるのではないでしょうか。詳しくは「背負い心地」の項で述べますが、25Lの小型バックパックでありながらフレームを内蔵し肩荷重をしないという、他に類をみないコンセプトのバックパックなのです。

容量は25Lですが、おそらくアウターポケット等も合わせた数字だと思われ、メイン機室はかなり小さめ。自分の装備から言ってもギリギリジャストサイズでした。ただフロント&サイドのメッシュのアウターポケットがかなり伸縮するので、ここに見た目以上に荷物を入れることができます。欲を言えばポケットはもっと深めに作ってもらえらば、さらに良かったのになぁ。

雨蓋も小さい割に三つの機室があり、ジェルや行動食などを効果的に収納できます。コンセプトと容量からするとショルダーストラップにボトルホルダーを設けた方が良かったのではないかとも思いますが、後述するこのバックパック独特の荷重バランス構造のため、あえてオミットしたのかもしれません。

背負い心地

本体重量565g+装備重量6070g=計6.6kgのパックウェイトでテストしてみました。背面には腰部にのみメッシュが入り、OMMのバックパックの多くの背面に搭載されているデュオマット(130g)が内蔵され、さらにフレームも入っています。

そしてショルダーストラップにはifyouhaveのハグやULAのファストパックと同様に、脇の下にもう一本のストラップが入っています。このストラップを体に向け引くことで、腰上部に荷重が完全に乗り、感覚的にはヒップベルトとフレームによりバックパックが腰の上に立っているような状態になります。大型の完全腰荷重のフレームザックを背負ったことのある人ならば、ショルダーストラップはほぼ荷物が振られるのを防ぐ役割のみで、肩から抜いてもバックパックが腰の上に立っている感覚をご存知かもしれませんが、それの小型版とでもいえる背負い心地なのです。あるいは、ウエストポーチが縦に伸びてショルダーストラップが付いたような感覚とでもいいましょうか。そのため、ファントム25CLのショルダーストラップのトップ側基部は1本しかなく、荷重バランスもそれほど高くない作りで、肩甲骨に荷重を乗せようとはまったくしていない作りになっています。

どうせ6〜7kgしか背負わないファストパッキングならば、肩荷重で十分ではないか、と僕などは思っていたのですが、100マイルやそれ以上を走り続ける過酷なレースやツアーにおいては、「肩荷重では体幹に疲労が溜まりやすい(gearedでの土屋智哉氏のファントム25CL紹介記事より)というのです。

実際、ファントム25CLを背負ってみると背中の中心あたりに荷重が集中していて、肩にはほとんど乗っていないのです。もっとも、6〜7kgの荷重なら肩でも快適に背負える重さです。でも、どちらがラクかと言われれば間違いなくこっち。その差は僅かですが、それが長時間になり、激しい運動を伴えば、その差は大きく開いていくことも予想されます。

総論

他のバックパックとはまったく違うフィッティングや少々華奢に感じられるディティール、好き嫌いがはっきりしそうな大胆なデザイン、そしてミニマムなファストパッキングに完全に振り切ったコンセプトなど、すべてにおいてピーキーなバックパックですが、それでもこれほど興味深く、先鋭的な試みをしているバックパックも他にはないのではないでしょうか。その独特な背負い心地はファストパッカーのみならず、ハイカーなど山を歩くより多くの人に恩恵をもたらすかもしれません。

【9】Montain Ultra Tour 40

  • モンテイン ウルトラツアー40/734g-40L

デザインと機能

続いてモンテインのファストパッキング用バックパックで最大のモデル、ウルトラツアー40です。まず、アジャスターなど他で見たことのないパーツが多用された質感の高さは特筆すべきで、これで定価16000円(税抜き)は明らかに安い!

容量的は40Lという表記ですが、フロント&サイドポケットもかなり大容量なので、実感的には50Lほどはありそうな感覚です。ファストパッキング用と言うより、軽量なバックパッキング/山岳縦走用バックパックと捉えた方が良いのではないでしょうか。

背負い心地

重量734g+装備重量6070g=計6.8kgのパックウェイトでテストしてみました。結論から言うと、ウルトラツアー40は今回の自分の装備には容量が大きすぎ、またお借りしたサンプルのサイズも自分にはサイズオーバーで、良い心地の面では残念ながらその真価はわかりませんでした。

ただ、背面のコンフォートベントバックパッドは剛性感がかなりあり、バランス的に一般的なフレームザックにかなり近いのではないでしょうか。機能的には拡張性も高く、大小様々なポケットも用意され、バックパックに必要な機能は全部抑えられながら重量734gは驚異的だと思います。

総評

前述の通り、ファストパッキング用のイメージの強いバックパックですが、実はダブルウォールのドームテントを使うような現代のテント泊縦走のど真ん中にあるバックパックなのではないでしょうか。バックパッキング用の大型ザックとほぼ同じ使い勝手を持ちながら734gしかなく、容量も実感で50L以上は入りそうなほどで、ポケットも多く拡張性も高く、さらにデザインも個性的でフォルムも美しい…。

ファストパッキング用としては正直容量が多すぎる感は否めませんが、これから山を始めたい人、現在60Lクラスのバックパックを使っているけど軽量化を始めたい人、ロングツアー用にひとまわり大きなサイズのバックパックを探しているULハイカーなど、多くの人におすすめできるバックパックと感じました。

【10】ULA Fastpack

  • ULA ファストパック/737g-43L

デザインと容量

ウルトラツアー40に続いて同コンセプトのバックパックをもうひとつご紹介します。その名も「ファストパック」は、ULA初のベスト形ショルダーストラップを搭載したバックパック。バックパック本体のデザインはコンジット、サーキット、CDT、フォトンと同型のロールトップのULAの定番形で、サイズ的にはCDTより短く、幅を広くしたような形でフロントポケット前にはバンジーコードが着いています。フロントポケットはライクラ素材で、サイドポケットは厚手のナイロン素材。ショルダーストラップにもボトルホルダーとファスナー着きポケットが左右ふたつづつあり、ポール/アックスホルダーやコンプレッションストラップも完備。メインコンパートメント内部には取り外し可能な小物用ポケットとハイドレーションポケットが付属しています。

サイズは45Lほどあり、UL/ファストパッキング装備なら1週間ほどは行けそうな容量があるのですが、ファストパッキング用を謳うならばもっと小さくても良い気がします。トップアスリートならともかく、このサイズにパンパンに荷物を入れて走っても楽しくないのでは…。コンセプトと容量がチグハグな印象が拭えません。

背負い心地

本体重量737g+装備重量6070g=計6.87kgのパックウェイトでテストしてみました。ファストパックに関しても自分の装備に対して容量が大きすぎて、正直背負い心地の真価はわかりませんでした。

背面はメッシュ素材に薄いパッドが入っていて、ヒップベルトはなし。そしてこのバックパックの最大の特徴はベスト形のショルダーストラップなのですが、かなり幅広で基部が2点式で、スターナムストラップもかなり下方に付いています。45Lの大容量をヒップベルトなしで支えるように作っているので、ULA的にはかなり自信を持った設計なのではないかと思うのですが、肝心の背負い心地は正直クエスチョンマークでした。

まず第一にサイズMでの試着なのにショルダーストラップが大きすぎて、自分の体(173cm)にまったくフィットしてくれません。Sサイズでも大きすぎるのではと思うほどでした。幅広のショルダーパッドが常に首筋に当たっていて、長時間背負うと擦れて痛くなるのではないかとすら思いました。スターナムストラップが通常よりかなり低い位置(胸の下あたり)に付けられているのも謎で、通常の位置にもう一本あっても良いのでは?

総評

筆者はかつてULAのコンジットをメインのバックパックとして愛用していた時代もあり、その質実剛健な作りと背負い心地の良さには信頼を置いていたのですが、正直、ファストパックに関してはコンセプトと容量のアンバランスさといい、ベスト形ショルダーストラップの作りこみの甘さなど、様々な疑問が拭えませんでした。ただし、自分が身長185cmほどの屈強な白人ならば、このバックパックでも問題なく扱えるのかもしれません。

【11】and wander X-Pac 30L Backpack

  • アンドワンダー X-Pac 30Lバックパック/645g-30L

デザインと機能

アンドワンダーの定番バックパックですが、今回は直営店限定販売のX-Pacモデルをお借りしました。本体中央に大胆に斜めに入ったファスナー、リフレクター入りのテープとバンジーコード、取り外し式のシンプルながインパクトのある雨蓋、おまけ(?)のポーチなど、シンプルながら個性的でインパクトのあるルックスはさすがアンドワンダー。おそらく発売からすでに5年以上経っているはずですが、いまだに新鮮さを失っていません。

ただ、サイドメッシュポケットは容量が絶妙に小さく(1Lナルゲンボトルが入らない大きさ)、ハードメッシュで伸縮もしないので、モノの出し入れがし難いです。本体前面上部にふたつ並んで付けられたポールホルダーも個性的で素晴らしいデザインですが、近年主流の3つ折りポールに対応していない点が惜しい。このポールホルダーに連携する形でかなり上に取り付けられたコンプレッションストラップの位置も謎で、これでは高すぎてあまりコンプレッション効果がないのでは?

背負い心地

重量645g+装備重量6070g=計6.71kgのパックウェイトでテストしてみました。背面はメッシュ&薄手パッドのULバックパックな作りで、荷重バランスがかなり高めな点もかなりUL的。背負い心地に関してはずば抜けて良いわけではありませんが及第点。ただ、S字型のショルダーストラップはパッドが入っていないか、入っていたとしてもかなり薄いので、長時間背負った際は肩が痛くなりそうな気もしました。

総評

とにかく細部の仕上げに至るまでの見た目の美しさは、今回テストした中でもズバ抜けていると感じました。他では見たことのないリフレクター入りのテープが使われていたり、ステッチの色が場所によって変えられていたりといちいち気が効いていますし、さすがにファッションのプロがバックパックを作るとこうなるのかと唸らされます。こんなバックパックは、まず他では作れないはずです。

ただ、同時に山道具としては僭越ながら詰めの甘さを感じる箇所が散見されるのも事実で、発売から数年が経ち、そろそろリニューアルが為されても良い時期な気もします。ともあれ、ここまで圧倒的なオリジナリティーを全身から放つバックパックも希有なので、そこに惹かれる人にとっては他に選択肢がないほどの魅力があることも、今回仔細にチェックさせていただいて感じさせられました。

【12】Gossamer Gear Minimalist

  • ゴッサマーギア ミニマリスト/401g-24L

デザインと機能

デザイン的には、トップとサイドのコンプレッションストラップが無いULバックパックです。普段使い対応らしく内部に小物用ポケットがあり、クライミングの荷揚げ時に使うためかトップにデイジーチェーンが付いています。

ポール用ストラップはありませんが、バンジーコードを通すタブは付いています。ライクラ素材のフロント&サイドポケットも容量充分ですが、フロントポケットは斜めに切らなければもっと容量が多かったのに、と思います。デザイン以外の理由が見当たらないけど、そこは製品としての個性をつけるためしょうがないことかもしれませんが。

袋は上下に浅く、左右に長いおにぎり的形状で、吹流しがほぼないことがハイキング用バックパックとの違いでしょうか。ともあれ、24Lのデイパックであるこのザックに自分のUL装備が全部入ってしまったことは、頭ではわかっていたけれど現実に目の当たりにするのは衝撃でした。ULのバックパックは25Lで十分な時代に、とっくになっているのです。

背負い心地

本体重量401g+装備重量6070g=計6.47kgのパックウェイトでテストしてみました。背面は他のゴッサマー製品と同じ様にライクラのポケットになっており、中に薄いパッドが入っています。ショルダーストラップも薄手ですがフィット感がよく、背負ってみると、失礼ですが意外なほど背負い心地が良いことに驚きました。何かひとつの要素が特出しているのではなく、全体的なバランスが高次元でまとまっている印象です。さすがULバックパックを作り続けて20年のゴッサマーギアだと思わされました。

総論

実は、今回テストしたバックパックの中で、自分が最もググッときたバックパックがこれでした。普段使いに最適なデザインで、さらにミニマムなオーバーナイトハイキングにも対応してしまう絶妙なサイズ感。1年のうち300日くらいはこのバックパックと暮らせそうです。こういった普段使い+ミニマム山行ができるバックパックはありそうであまりないので(大抵が山で使えなさそうなものか、アタックザック的なものか、ハイキングかランニングに寄っているものが多い)、こんな風に程よく肩の力が抜けながら必要最低限な機能を備えたバックパックが増えて欲しいと思うのは、筆者だけでしょうか?

終わりに

今回、僭越ながら12種のバックパックを同一条件でテストさせていただいた体験は、自分にとっては非常に有意義なものでした。

集めた多くのバックパックがシンプルなULバックパックだったため、当初はそれほど背負い心地に違いはないだろうと思っていたのですが、ひとつひとつ実に様々なフィーリングがあり、ショルダーストラップの形状と厚みと硬さ、その取り付け角度と幅、そして袋の形状により、背負い心地の優劣が生まれているのだということが実感できました(現時点での自分の結論としては、ショルダーストラップは広めで固め、袋はやや横に広めで前後幅が薄く、ボトムが下がらずなるべく上に来ているものが理想です)。

ともあれ、同時に気づいたことは、バックパックの背負い心地の優劣は「人に寄る」ということ。例えば登山靴はまず自分の足に合う靴を選ぶことが大前提で、履き心地はその次の問題です。それと同じように、背面長や肩幅、肩の角度と厚みなどが人それぞれ違う以上、自分にとって背負い心地の良いバックパックが他の誰かにとっても良いとは限らないし、また逆もありえます。当たり前といえば当たり前の話ですが、そんな当たり前のことにも自分は気づいていませんでした。

今回、自分の思いつきからご協力いただいたメーカーさん、ランドネ編集部、山と道を巻き込むことになり、結果として読者にも自分にも多大な労力を強いる記事になってしまいましたが、ひとつの指針として、何かの参考になれれば本望です。

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  • 三田 正明

    三田 正明

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    フォトグラファーとしてカルチャー誌や音楽誌で活動する傍、旅に傾倒。 多くの国を放浪するなかで自然の雄大さに惹かれ、自然と触れ合う方法として山に登り始める。 気がつけばアウトドア誌で仕事をするようになり、ライター仕事も増え、現在では本業がわからない状態に。 アウトドア・ライターとしてはULハイキングをライフワークとして追い続けている。 取材活動のなかで出会った山と道・夏目彰氏と何度も山に行ったり、インタビュー取材を行ったり、酒を酌み交わしたりするうちに、いつの間にかこのようなポジションに。 山と道JOURNALSを通じて日本のハイキング・カルチャーの発展に微力ながら貢献したいと考えている。

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