大竹・寒川のドキッ!
女だらけの瀬戸内海バイクパッキング3泊4日
〜行こう山道祭2022〜
台風14号の直撃を受け、あえなく3度目の順延となった山道祭2022。ですが、開催の1週間以上も前から会場となる四国・石鎚山へと向かっていたお調子者のスタッフたちがいたのです! ……と、いうわけで、前回の凸凹4人組の四国山地横断記に続き、今回の山と道トレイルログも「行こう山道祭2022」シリーズとして、それぞれのルートで祭を目指したスタッフたちの旅の模様をご紹介します。
今回の主人公は、普段はカメラマンとして山と道の写真やムービーの撮影を行なっている大竹ヒカルと、料理担当として日々、社員食堂でお昼ごはんや3時のおやつを作ってくれている寒川奏。最近、バイクパッキングを始めたばかりの彼女たちが、広島から瀬戸内海を越え、女ふたりでキャンプと自炊をしながら四国を、山道祭を目指した3泊4日のバイクパッキングの模様を、対話形式で振り返りました。
もっとも読んでいただければわかる通り、世間でいうところの所謂「女子旅」的な要素は皆無なふたり。汗と埃と太陽光線とフェイスパックの汁にまみれながら、かきしま海道〜とびしま海道をオフビートにアイランドホッピングしていきます。でも、これぞ女子旅のリアル⁉︎
来年の6月に今度こそ必ずや開催されるはずの山道祭2023で、野を越え山を越え集まったハイカーや旅人と、こんな話ができたら嬉しいです!
対談: 寒川奏 大竹ヒカル
写真:大竹ヒカル
構成:寒川奏 三田正明
パッキングはホームレス・スタイル
大竹 そもそもなんで、ふたりで自転車旅をすることになったか話そうか。
寒川 山道祭があったからだよね。「会場までどうやって行く?」みたいな話をスタッフみんながしてて。
大竹 最初、私がひとりで自転車で向かおうかなと思ってて。
寒川 その時は「しまなみ海道」で行こうとしてたよね。
大竹 そう。そしたら、さんちゃん (寒川) も行きたいって言って。
寒川 それで一緒に行くことにしたんだけど、「しまなみ海道」よりも「かきしま海道」と「とびしま海道」のほうが素朴でいい道だっていう情報を得て、そっちに行くことにしたのよね。
大竹 そうそう。じゃあまず準備段階から話そう。さんちゃんはどうでした?
寒川 私、まずは自転車を買ったもん。
大竹 まず準備そこから(笑)。
寒川 「住みたいから家買う」みたいな感じで、中古だけど買っちゃいました。元からクロスバイクは持ってたんだけど、それに乗って今年のOMM BIKEに出たときに、「さんちゃんが遅いのは絶対に自転車のせいだ」って一緒のチームで出たヒデちゃん(山と道スタッフの前原秀則)に言われて。「じゃあ、自転車変えれば私めちゃめちゃ速いんじゃね?」と思って自転車を買い替えることにしたんだけどさ、恋しちゃった自転車が80年代のクロモリのめっちゃ重いやつで。結局かわいさ重視で本来の目的を見失った買い方をしてしまいました。お父さんが勧めてくれた、アラヤのマディフォックスっていう80年代のMTB。たけちゃん(大竹)の自転車はサーリーだよね?
大竹 そう。サーリーのミッドナイトスペシャルっていうグラベルロードバイク。「メタリックライラック」っていうカラーに一目惚れして、高かったけど思い切って買ってしまった。さんちゃんはパッキングはどうした?
寒川のアラヤ・マディフォックス(左)と大竹のサーリー・ミッドナイトスペシャル。「うちの子たち、めっちゃかわいいよね〜」
寒川 山と道のスタッフ、自転車狂いの人が多いから、いろんな人にご意見いただいて参考にしたね。ヒデちゃんに「最強の雨対策はイケアのあの安くて青い袋に全てを入れて、その上から防水カバーでぐるぐる巻きにすること」ってきいて、その通りにしたの。そしたらホームレスの方みたいな見た目になりました。彼らから学ぶことはたくさんあるぞって思ったよ。まあでも、大した準備はマジでしてない。あ、でも前日に焦って100円ショップで自転車に荷物括り付けるためのヒモをめちゃめちゃ買った。でもお水も十分に載せれたし、総じてばっちりだったかと! たけちゃん(大竹)は準備はどうでした?
大竹 私はまず、パニアバッグを彼氏に借りました。
寒川 あのパニア、かっこ良かったよね。結束バンドみたいなやつでぎゅって自転車に取り外しすんの、かっけえって思いながら、自分のイケアの袋見てた。
大竹 見た目、やっぱ大事だよね。
寒川 そうなんだよ。今回は見た目が悪かった! ここは改善したい! 80年代とか、お父さんの時代の自転車の雑誌を見て、こうしたいな、ああしたいなとか思ってたんだけど、結果、ホームレスみたいになっちゃって。パニアいいなあ〜。
大竹 パニア、私なりには使いやすかった。両サイドに分散させて入れられるし取り出しも簡単でよかったよ。
寒川 私もパニアは検討したんだけど、輪行のことを考えるとバックパックをそのままつける方が楽かなと思ってホームレス・スタイルになりました。今回は行きも帰りも新幹線使ったけど、たけちゃんは輪行のとき、どうだった?
大竹 私は普通にパニア持ってたけど、重いものは自転車にくくりつけてあって、その他もろもろは山と道のMINI2に入れてたよ。そんなに大変じゃなかった。走ってるときはMINI2はパニアの中に入れてたし。
寒川 そもそも私の自転車、重いからね。クロモリ(編注:クロームモリブデン鋼を使用した鉄製フレーム)だから。
大竹 私のもクロモリだけど、そんなに違った?
寒川 たけちゃんの自転車を持ったとき、「軽!」って、久々に新生児抱いたお母さんの気持ちだった。テントは外付け?
大竹 そうだね、ビックアグネスの1人用のテント。マットはMINI2の背面に入ってるMinimalist Pad、1枚のみ。
寒川 すごいよね。
大竹 別に山みたいにごつごつした地面で寝るわけじゃないから、それぐらいでいいなと思って。寝袋は結局暑かったから、マミー型のシルクライナーのみ。
寒川 シルクライナーは同じだったね。一応、SOLのエスケープビビィも持ってったけど。暑くて使わなかったなあ。
大竹 暑かったよね。さんちゃんのマットはなんだったっけ?
寒川 私はUL Pad 15+持ってってたね。どんな状況だってふかふかな所で寝たいんですよ、私は。本来だったら羽毛布団持ってきたいぐらい。
大竹 UL Padを白いタイベックに包んで自転車に括ってたよね。
寒川 ホームレス感の第2要素ね。まず第1がリアキャリアのイケアのバッグで、第2がフロントのタイベックとマット。お金無さそうで完璧っしょ。
大竹 ある意味ね。じゃあやっと私たちの3泊4日の「BIKE to 山道祭」の話をしようか。
地図:寒川奏
自転車と仲良くなる手っ取り早い方法
寒川 スタートは広島駅近くから船に乗ったよね。
大竹 宇品港から切串港だっけ?
寒川 本土の方が宇品港で、最初に着いた江田島にあるのが切串港。最初の宇品港の人たち、めっちゃ怖く感じなかった?
大竹 ちょっとつっけんどんな感じだったね。
寒川 実は優しいのかな。だって山と道のスタッフの中川さんも原さんも優しいじゃん。
大竹 ふたりとも広島出身だね。
寒川 親しくなれば兄やんみたいになってくれるのか分かんないけど、最初のアタック、めっちゃ怖かった。
大竹 最初は、ズバっとくる感じだったね。
寒川 でもさ、このあたりの船は自転車そのまま乗せられて、めちゃめちゃ楽だったな。自転車を船に括るヒモがめっちゃ細かったけど。
大竹 それでその船で江田島に着いて、いよいよ本格的に走り始めたって感じだよね。
寒川 でも、あんま地図見ないで走ってた。道路上に自転車道の青い矢印のマークが付いてるから、それをフォローして行けば迷わなかったね。なくなるとすごい不安だったけど。
寒川 で、最初の日に異常に頑張って74キロ、切串港から呉駅まで走り切ったんだよ。着いた頃には日が暮れてて、お尻の皮がむけてたね。初日からよくがんばったよ。でも走りながらさ、どっかでご飯食べようよってずっと話してたけど、そういう場所なかったね。江田島にもその次の島にも、どの島にも。
大竹 ほぼ何もなかった。
寒川 この日はほぼ日陰なくてマジで暑かったね。この後、台風で山道祭が中止になるのが信じられないぐらい、うちらが走ってるときはずっと天気よくてね。
大竹 そうだね。暑かった。
寒川 その暑い中で橋が見えると、ちょっとテンション下がるのよ。「上がるということは下るし、今、下ってるってことは、このあとまた上がんのか…」みたいな。
大竹 あと、江田島が無駄に広かった。
寒川 無駄ではないが広かったね。思ったより時間かかった思い出がある。
大竹 海沿いは平坦で気持ちよかったね。
寒川 坂でさ、「すっげ! きっつ!」と思ってたけど、この坂があったおかげで、まだ買ってそんなに時間経ってないマディフォックスともちょっと仲良くなれたりして。「フロントのギア2段階かと思ってたら3段階あったんだ!」とか。
大竹 そこ(笑)⁉︎
寒川 大発見。このバランスが今、自分にいちばんちょうどいいんだなとか、調節の仕方が分かってきて。バイクパッキングは自転車と仲良くなるのには、すごく手っ取り早い方法だなって思えたよ。
最後はパックで体拭いて寝るプラン
大竹 コンビニとか時々あったね。
寒川 コンビニは補給場所だし、トイレで出す場所。コロナで大体のお店がやってなかった。コロナも瀬戸内の海も渦巻いてたね。
大竹 渦巻いてた。
寒川 ガチで渦巻いてたし、海流がすっごい複雑に流れてるから、入ったら死ぬなって感じだった! あんまり人の手が入ってないからか海がすごくきれいだった。海の生き物がすごく豊かな感じがしたよね。
大竹 この写真のさんちゃん、すごい黒い。
寒川 しかもお尻、びっしょびしょだね。
大竹 暑かったもん。漕ぎだして30分ぐらいで、ふたりとも汗かきすぎて塩吹いてたよね。
寒川 ボディビルの選手みたいなテカり方してた。
大竹 そんなこんなで呉駅に到着してビジネスホテルで泊まったんだよね。
寒川 74キロ走り切って、野宿する元気なくてね。呉駅周辺、市街地過ぎて野宿してたら通報されてた思う。
大竹 渋いビジホだったね。
寒川 おばあちゃんがひとりでやってるビジホでね。「楽天トラベルではこう書いてあったんですけど」とかごねたら、ちょっと値引きしてくれた。
大竹 そう。カーテンがぼろぼろで、あと天井の電気が点かなかったね。
寒川 ほんでちゃんとパックして寝た。
大竹 してたね。シュールでした。
寒川 キャンプする女性、みんな持ってる悩みだと思うんだけどね、どういう化粧品を持っていくかが重さを左右するじゃん? ごみ箱とかがちょいちょいある環境なんだったら、化粧水とかのボトルを持っていくより最終的に、軽くなるんじゃないかと思って、パックを日数分持っていったわけよ。出た残り汁みたいなのも体に塗ってしまえばいいし。
大竹 塗れるよね。
寒川 だから最後はパックで体拭いて寝るっていうプラン。美しくなりたい一心で持ってったね。
大竹 私は無印良品で売ってるオールインワンジェルみたいなちっちゃいの持ってった。
寒川 私も次回から、あれにしようと思いました。パックはいい選択だったんだけど、この次の日にテント泊したときのパックがきつかった。
大竹 どういうこと?
寒川 パックしたまま寝落ちしちゃったんだけど、朝起きたらパックがまだびしょびしょだったの。しかもテントの中が最高にむし暑くて寝てる間にほぼ裸になってて、全身汗と美容液でびしょびしょでした。
大竹 やばいね(笑)。
寒川 私がインスタのストーリーで、夜テントの中でパックしてるのを上げたら、イワシさん(JOURNALSにも寄稿いただいているイラストレーター/ハイカートラッシュの河戸良祐さん)が「いいね」くれて嬉しかったね。
大竹 今度イワシさんにパックをプレゼントしたら? あとこのホテルでは洗濯したね。
寒川 洗面所でこの日のもの全て洗ったね。たけちゃんは着替えは、どれぐらい持っていってたの?
大竹 着ているものの他に、あと2泊ぶんぐらいかな。
寒川 私はこの旅の前に岡山にも寄ってたから、大体3泊ぶんぐらい持って行ってた。Tシャツ2着とタンクトップ1着くらいかな。
大竹 パンツは?
寒川 パンツは、はいてるLight 5-Pocket Shortsと、あとLight 5-Pocket Pantsだけ。靴下も2足だけ。とにかく、どっかで洗って乾かしながら行けばいいやと思ってたから、最小限にしたつもり。あとUL Shirtと一応、防寒用にはLight Alpha Tightsも持ってた。
大竹 私も同じぐらいだな。Tシャツ2着と、スリーブレスが1着。あとパンツはDW 5-Pocket Pantsと、あとショートパンツ1着。基本サンダルだったんで、靴下は1足だけ。
寒川 たけちゃん、ずっとサンダルだったもんね。
大竹 暑かったから。
寒川 靴は日焼け跡がとっても気になったけど、写真を見返すといまさら気にすることでもないくらい私が黒いね。
大竹 でも日焼け止めは、うちらはちゃんとしてたよね。
寒川 しかしながら効果感じないよ。なんだよSPF50って!
寒川 (上の写真を見ながら)私、めっちゃこのTシャツ似合ってるね。しかもぺツルの登山用のヘルメットかぶってて見た目がやばいな。
大竹 ティアドロップのサングラスもなかなか似合ってたね。
寒川 私は父には「我が家の飛び道具」って呼ばれてるよ。
42kmは橋で言ったら4本
大竹 翌朝は、ここ、朝ご飯が無料で出るところだったんだよね。日本の朝ご飯みたいなの。
寒川 信じられないほど鮭の切り身がちっちゃかったよね。赤ちゃんの手ぐらい。こんなちっちゃく切るほうが難しいと思うんだよ。
大竹 ほんで食べて9時ぐらいに出たね。
寒川 またイケアの袋を自転車に括りつけてね。でも括るだけですっごい汗かいた。
大竹 さんちゃんが時間かかってたね。
寒川 やっぱりパニアと比べると時間かかる。たけちゃんは洗濯物干しながら走ってたね。
大竹 干しながら走っていたら、数時間で乾いてたね、全部。
寒川 あと、ふたりとも絶対1枚しか手ぬぐいを使わないっていう。
大竹 使ってなかったね。
寒川 もう1枚持ってきてはいたけど、1日の終わりに洗って干して、絶対に1枚だけしか使わないようにしてた。
大竹 結局、1枚だけでよかったよね。すぐ乾くもん。この日は何kmくらい走ったんだっけ?
寒川 この日は42km走ったね。橋で言ったら4本くらいだね。
大竹 橋を渡るたびに上がって、そして下りて、また橋を上がって下りてって繰り返してたね。
寒川 頭おかしくなってくるぐらい、上って下りてを繰り返してたよね。この日ももうちょっとお店があると思ってたんだけど、ほぼなかった。
大竹 でも1箇所、道の駅みたいなのがあったじゃん。
寒川 あったね。寒川はイチジクをあほみたいに買ったよ。
大竹 2パックも買ってどうするのって思ってた。
寒川 たけちゃんが1パック買ってたから、「負けない!」と思って2パック買っちゃったよね。ここ絶対、勝ち負けじゃないのに。
大竹 ここぞとばかりに買ってたね。
寒川 こんなに入って180円だったから、買わないとお母さんに怒られると思ったんだよ。
起きたらほぼ裸
寒川 この日は海を真横に見ながらみたいな道が多かったね。クルマも少なくて気持ちよかったな〜。
大竹 呉からのコントラストがすごかったよね。呉とか街中はすごくクルマ通りが多かったけど、安芸灘大橋越えて下蒲刈島に入った途端、すごく静かになって、クルマ通りもなくなった。
大竹 いきなり雰囲気もがらっと変わったし。
寒川 人もいないし、橋の上から見える島の景色がめっちゃきれいだった。まあでも実はさ、「きれいだったね」とか言ってるんだけど、たけちゃんめっちゃ自転車速いから、私は追い付こうと頑張って、あんまり景色を見る余裕なかったんだ。
大竹 ごめん。
寒川 ぎゅんぎゅんに漕いでたから、今、知ったふりして、しゃべってます。
大竹 この景色、さんちゃんは初見なんだね。
寒川 でもこの辺、瞼の裏に浮かぶくらいは覚えてるよ。けど、めちゃハアハアしてたことも覚えてる。あと、たけちゃんが写真撮るために止まってるときが距離縮めるチャンスだったね。「相手は止まっているぞ、今だ!」 みたいな。
大竹 (写真を見て)お昼に寄ったお好み焼き屋さんだ。でもお休みだったんだよね。
寒川 美空ひばりの絵をずっと描き続けてるおじいちゃんとおばあちゃんがやってる店。
大竹 いろんなひばりが中にいっぱい。
寒川 (写真を見て)これは俺と美空ひばりだっていう合成ツーショット、かわいかったよね。それで結局お昼はスーパー行ったんだよね。
大竹 豆腐をさんちゃんが丸々食べてた。
寒川 豆腐をどうしても食べたかったのよ。だから半丁買って、だし醤油買って、それをランチにしたんだけど後半苦しかった。お腹がすごく膨れてくるのと、味が単調なので、途中から罰ゲームみたいな気持ちになってきちゃって。
大竹 この後に大崎下島から、小長港から明石港まで行きたくて船を待ってたんだけど、到着時間を出航時間と思ってて1本、逃しましたね。
寒川 まあサイダー、飲んで待ってたし。
大竹 1時間ぐらい待ったよね。ここのフェリーはサイズ感的にちっちゃい船だったね。この時もまた自転車を細いヒモでくくり付けた。
寒川 見えないぐらい細いヒモだよね。ほんでもうキャンプ場に着く頃には日が暮れ始めてた。
大竹 到着5時過ぎで、キャンプ場も受付が5時までだったけど、すいませんって電話してなんとかなったね。
寒川 気さくな兄ちゃんだったよね。しかも到着時すごくいい夕日だった。
夕日と我らと我が子たち
大竹 海辺のキャンプ場で綺麗だったね。
寒川 行く途中で買った食材で晩ご飯を作ったよね。さっき私が豆腐にかぶりついてたスーパーでお揚げを買って、そいつをシングルバーナーで手あぶりして、だし醤油かけてね。めちゃおいしかったけど手あぶりめちゃ熱かった…。
大竹 でもおいしかったよ!
寒川 ここは夕方着いた時点から蚊の量がえぐかったね。バグネット大活躍ですよ。
大竹 長袖着て、パンツの裾も靴下に入れて、完全防備だったね。
寒川 私もすごく暑いのにUL Shirtのボタンをいちばん上まで閉めてるもんね。こういう時もUL Shirtって便利ですね〜。
大竹 食べるときだけバグネット外してね。
寒川 気分は結婚式だった(笑)。
大竹 そうだね(笑)。暑かったけど。
寒川 めちゃめちゃ暑かったね。しかも、あったかいそうめんとか食べてるもんだから、汗ダラダラ出て激辛大会みたいだった。この夜のテントも暑かったな〜。起きたらほぼ裸だったよ。
大竹 私も暑かったから、脱いでたね。
寒川 私のテントのベンチレーション、全然利かないの。軽いんだけどね、ヘリテイジのクロスオーバードーム。たけちゃんのテントは何g?
大竹 私、実は借りたんだこれ。ビッグアグネスのフライクリークってやつで900gくらいあるけど、自転車が運んでくれるからそんなに重さは気にしなかった。
寒川 確かに。そして自立だとすごい楽だよね。
大竹 楽。ペグ刺さなくていいのがよかった。
「うちらって超かわいい!」
大竹 3日目の朝、時間なかったね〜。
寒川 キャンプ場から木江港までまずは行かなきゃいけなかったのよね。
大竹 10時40分の船に絶対に乗りたくてね。その後が14時半の船しかなかった。
寒川 その時いた大崎上島は「何もなさすぎて14時半までは無理!」ってなってたんだよね。
大竹 10kmくらい山越えして港に向かったね。
寒川 たけちゃんと私のスピードの計算が若干合ってなくて。たけちゃん速くて、「10kmだったら30分」みたいなこと言うのよ。「ちょっと待って、たけちゃん、私もいるから!」みたいな(笑)。最悪、私だけ14時半の船になると思ってた。
大竹 結局、10kmを35分ぐらいで着けたんだよね。
寒川 私はこの時点で、この日のエネルギーを全部使い切ったんだよ。でもこの日、何kmぐらい走ったんだっけ?
大竹 3日目が47キロだ。全部で。
寒川 そこの待合所のおばちゃんがめっちゃかわいかったよね。日傘さしてさ、ニコニコしてて、マスクにお花のシール付けてたよ。自分が孫かと錯覚してしまうほどおばちゃんから愛が滲み出てたなあ。
大竹 ここの待合所の受付をやってくれた人だね。かわいかった。
寒川 船ではめちゃめちゃゴロゴロした。
大竹 自宅のようにふたりでゴロついてたね。
寒川 ほんでまた宗方港からスタートして。
大竹 大三島、行きましたね。今までの島は田舎って感じだけど、大三島はちょっとおしゃれな感じ。
寒川 この島でキムさん(山と道スタッフの木村弘樹)から山道祭中止の連絡が入ったんだよ。
大竹 そんで最後に泊まる予定だった松山のホテルとか、キャンセルどうしようかって焦り始めてね。
寒川 漕がなきゃいけないのと、いろんな手配をしなきゃいけないの、感情が混じり合って。「どうする? 取りあえず飯食う?」ってなったね。で、おばあちゃんがやってるお好み焼き屋さんに行って。
大竹 おいしかった。
寒川 でも私はタコ焼き食べたけど、ほぼ粉だったね。タコいなかったなあ。
大竹 あと、おでんとかもあったり。
寒川 おでん、おいしかったね。おばあちゃんがいろいろお話してくれて。
大竹 いい感じのおばあちゃんでしたね。
寒川 髪の毛の色がおばあちゃんが青で、私が緑だったから、「おそろいだね」って言ったら、すごいうれしそうだった。一緒に「うちらって超かわいい〜!」みたいな感じのテンションになれたから、マイメンですね、もう。
大竹 この後伯方島までまた漕いでったね。しまなみ海道の方もきれいだったよね。
寒川 きれいだった。ちゃんと整備されてて走りやすかったね。自転車乗りへの愛と思いやりを感じたよ。
大竹 観光のひとつとして県全体で取り組んでる雰囲気あったよね。そしてこの後、我々は伯方島の下の見近島キャンプ場を目指したのよ。
寒川 海辺にある、予約も要らない完全無料のキャンプ島ね。トイレと水場が全部完備されてて、すごい行き届いてたね。
大竹 橋の途中からのアクセス、わかりづらかったけど。
寒川 迷って、上りを想像するだけで絶望する坂を下ってようやく着いた。ここは楽園だったね。
大竹 いろんな人がいたね。バイクで来てる人とか、釣りの人、おそらくそこに住んでる人、あとフナムシ。
寒川 フナムシすごかったね。夜中に人がたくさん歩いてると思ったらフナムシだった。夕食はまた途中のスーパーでいろいろ買ったね。特に瀬戸内のお魚のお惣菜がおいしかった! あとはムギイカも買って、それをレモンサワーとしょうゆで煮たのもベリーグッドだったね。
大竹 安かったしおいしかった!
寒川 この夜、キムさんから山道祭のために四国に先乗りしてたスタッフに「みんなどこいんの?」みたいな感じで連絡入って、テレビ電話したね。
大竹 何箇所か繋いでみんなでテレビ電話したけど、キャンプしてるのが私たちだけだった。
寒川 「1日目で宿泊まってるうちらが言うのもあれだけど、みんな宿泊まるの早くね?」みたいなね(笑)。
次はどこ、行こうかね?
寒川 そして次の朝、最終日の出発だね。
大竹 ごみを自転車にたくさん積んでホームレス感を醸しつつ。
寒川 なるよね、だんだん。
大竹 目的地だった今治まで長い橋を渡って。
寒川 長かった! 最初、「きれい〜」とか言ってんだけど、「飽きたな」みたいな。でもここまででいちばん整備された道だった。まさに自転車のための道。
大竹 クルマが左、自転車が右みたいな感じでだったね。ラスボスの橋を倒して、今治で山道祭用に借りる予定だったバンを借りてそれに自転車載せて、その後みんなと合流した。
大竹 山道祭のサテライト会場になるはずだった「ふれあいの里」っていうキャンプ場に集合して、私たちみたいに四国に来ちゃったスタッフでもう送ってた荷物や備品を片付けたり、送り返したんだよね。
寒川 帰りはクルマにそのまま自転車載せて、石鎚山から岡山まで行ったね。帰り道に香川に住む私のばあちゃんの家にも行けたし、すごくよかったよ。
大竹 おばあちゃんにも会えたしうどんも食べれたね。
寒川 ばあちゃんは突然私が現れて夢かと思ったらしい。
大竹 で、最後は岡山駅から新幹線で輪行して帰ったね。
寒川 私の輪行バッグ、いちばんでかい規格のやつで、前輪取るだけで入れられて、持ちにくいづらいけどとてもいいんだよ。オーストリッチのやつ。
大竹 さんちゃん、今回輪行用に担ぐ用のヒモも作ったもんね。
寒川 うん、前の輪行袋のヒモはヘアゴムみたいに短かったからね。まあでも自転車担ぐのは重かったよ。筋肉つけようと思った。
大竹 結構ポジション大事だよ、輪行袋持つとき。
寒川 確かになー。なんかさ、この大きさのものをグリーンヘアの女が持って駅のホームをうろうろしてると、すごいの、視線が。子どもなんて目が飛び出ちゃうよってぐらい見てくるから。
大竹 岡山駅、人が多かったね。
寒川 こんな感じでしたね、今回のうちらの旅は。ハイライトは何だろうね。全体がハイライトだけど。
大竹 1日ごとにいろいろとありましたからね。
寒川 総距離が150kmくらいじゃないかな。どうだろ?
大竹 もうちょっとある。1日目が70kmでしょ。2日目が42km。3日目が47km。4日目、最後の今治までが25km。
寒川 (計算して)184キロも走ってんの? やば。足、ムキムキじゃん。
大竹 4日間、結構走りました。
寒川 強! うちらすごいね。しかも4日間の旅の割に荷物が少なかった気がする!
大竹 バイクパッキングって、今までの旅と違ったと思うけど、どうだった?
寒川 そうだね、長い距離行けるからその分いろんなものが見れた。どんどん景色も雰囲気も目まぐるしく変わっていく感じが面白かったね。歩きじゃ得られないスピード感。
大竹 そうだね。自転車だといろいろと行ける所が増えていいなって思った。
寒川 あと、今回めっちゃラッキーだったのが、ふたりとも自転車が1回も故障しなかったこと。
大竹 確かに。不調がなかったね。
ありがとう瀬戸内海
寒川 最後の橋でパンク修理してる人がいて、かわいそうって思ったね。
大竹 「うちらがなったらどうしよう」ってね。
寒川 ふたりとも、まだちゃんとチューブ替えたりとかしたことがないんだよな。たけちゃん替えた?
大竹 まだ、そこまでやってない。
寒川 じゃろ? わしもよ。だから、ちゃんとどっちかがパンク修理が必要になるまでバイクパッキングは続けましょう、ふたりとも。
大竹 慣れときたいね。でも私もこんなに長く行ったのは初めてだったから、パッキングとかまだ改善する余地あるなって思う。こんなに物要らなくない? とかって思ったりとか。
寒川 確かに。
大竹 もうちょっとコンパクトにしたい。パニアバッグは使いやすかったけど、モノはもうちょっと減らせたかなと思うよ。
寒川 パニア、入れ過ぎちゃいそうよね。
大竹 本当はサドルバッグぐらいにしたい。パニアバッグはすごくよかったけど今回はトゥーマッチだったかな。
寒川 自転車って基本、行く先々で補給しやすいから、そんなに載せなくてもいいんだよね。バッグも自分で作ったら楽しいかもね。またパッキングも変わってきそう。
大竹 次、どこ行こうかね。山と道の女子自転車部があるから、それで行かないと。
寒川 千葉でキャンプかな。横須賀から房総までフェリーでピョーンよ。
大竹 行きたいね。
寒川 決まりだね。
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