HLC Report

5,000kmのCDTを踏破したJKが見たもの、感じたこと、気づいたこと

スタッフ中村のコンチネンタルディバイドトレイル報告
語り/写真提供:中村純貴
構成/文:李生美
2024.02.13
HLC Report

5,000kmのCDTを踏破したJKが見たもの、感じたこと、気づいたこと

スタッフ中村のコンチネンタルディバイドトレイル報告
語り/写真提供:中村純貴
構成/文:李生美
2024.02.13

現在、日本各地に台湾を加えた7つの拠点で活動を行なっている山と道HLC。ハイキングの実践や座学の他、時にはゲストを招いてのトークやワークショップなど、ハイキングが繋ぐコミュニティ作りを目指して日々、様々なプログラムを行なっています。このHLC Reportでは、そんな活動の内容をシェアしていきます。

今回は2023年の12月に『山と道材木座』で行われた、スタッフJKによるコンチネンタル・ディバイド・トレイル(CDT)報告会を、彼のひとり語りとして再構成しました。

2018年にアメリカ三大トレイルのひとつであるパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)を踏破し、およそ5年ぶりとなる2023年に同じく三大トレイルのひとつであるCDTに挑戦したJK。それはウルトラライトハイキングを深める旅でもあり、自分を見つめる旅でもありました。

5,000kmのCDTを147日かけて踏破した彼が見たもの、感じたこと、気づいたことを余すことなく語ります。

ULを実践するため、5年ぶりにロングトレイルへ

今日は初めましての方もいらっしゃるので、改めて自己紹介させてもらいます。名前が中村純貴と申しまして、皆からはJKと呼ばれております。年齢は今月33歳になります。出身地が大阪で、ウルトラライトハイキング(UL)歴は山と道に勤めてる年数と一緒で5年になります。アメリカのロングトレイルはPCTを2018年に歩き、今年2023年11月14日にCDTを完歩してきました。

今回CDTを歩いたのは、2018年に重い装備でPCTを歩いた時に「次はULでロングトレイルを歩いたらどうなんだろう」と思ったのがひとつのきっかけでした。今回の旅では自分にとってのULを探求したり、アメリカ人ハイカーの進んだULも目の当たりにしたりできて、すごくいい旅になりました。さらに、自分の気づきについてもお話できたらと思います。

プログラムは2023年12月17日に山と道材木座で行われた。実際のトークでは材木座スタッフの苑田がファシリテーターを務めたが、記事ではひとり語りとして再構成した。

若干緊張の面持ちのJKこと中村純貴。YouTuberとしても活動中。

CDTってどんなトレイル?

まずはCDTがどんなトレイルなのかお伝えします。

CDTはカナダ国境からメキシコ国境までロッキー山脈に沿って北米大陸の分水嶺を横断する約5,000kmのロングトレイルで、今回、僕はアメリカとカナダの国境沿いのモンタナ州からスタートして、アイダホの端を横切る形で歩きながら、ワイオミングを抜けてコロラド、ニューメキシコに入ってメキシコの国境まで、147日かけてゴールしました。

前半のモンタナ、アイダホ、ワイオミングはベアカントリーと言われるくらいグリズリーやブラックベアがたくさんいて、僕もコーナーで鉢合わせたりと野生動物との接触もかなりありました。

同じくアメリカの3大ロングトレイルであるPCTやアパラチアン・トレイル(AT)は動物との接触もCDTほどなくて、歩く人もたくさんいるので人との出会いの方が多いです。反対にCDTは本当に人が少なくて、ほとんど誰とも会わない日も結構ありました。

小熊2頭と母熊1頭に遭遇。かなりの大きな叫び声をあげた。

5,000kmのロングトレイルの生活がどんなものかというと、基本的に1セクション120〜160kmぐらいを4泊5日程度で歩いて、街に下りて補給や休息を取ることを繰り返します。標高は大体2,000m〜3,000mでフラットなトレイルだと2泊3日で歩けたり、逆にアップダウンが続くともう1泊増えたりしますが、大体それぐらいのペースで歩いてました。今回、5,000km歩いた中で最長のセクションが8泊9日で、かなり多くの食料を背負ったので2日目まではきつかったですね。

8月上旬のワイオミング。CDTで最難関と呼ばれる3745mのナップサックコルの目の前でカウボーイキャンプ。落石から身を守るために、頭を囲むように大きい石を3〜4個配置して就寝した。

基本的に朝日とともに起床して、夕日が沈む頃に歩き終えます。はじめのモンタナは日照時間が長くて、朝6時から夜10時までずっと明るかったので長い時間歩きました。1日の平均歩行距離は大体40kmぐらいで、1日の最大歩行距離は70kmでした。こう聞くとすごい距離のように感じるかもしれないけど、ロングトレイルを歩いていると体がだんだん慣れてきて、平坦な場所が続けばそのくらい歩けるようになるんです。

6月から11月ぐらいまで歩き続けるので季節が変わります。夏にスタートして、アメリカ北部なので標高が上がると寒いんですけど、日中はかなり暑くて最高気温が35度ぐらいでした。

トレイルを歩いてる間のシャワーは、川や湖で水浴びが基本でした。暑くなってくると、水浴びして皮膚に直接水を与える方が喉もあんまり渇かなかったです。場所にもよるけれど、基本的にはじめのモンタナからワイオミングまでは水場がすごく豊富で、常に湖や川があって本当に自然豊かな場所でしたね。

6月下旬のモンタナ州。カナダとアメリカの国境沿いにあるイーストグレーシャー国立公園。マウンテンゴートと言われる山羊との接触も。

7月上旬のモンタナ州。写真の人物は旅の初期に一緒に歩いていたビアランというハイカー。2021年にAT、2022年にPCTを歩き、2023年のCDTでトリプルクラウンを目指していた彼は、毎日「トリプルクラウン、トリプルクラウン」と唱え己を奮い立たせながら歩いていた。

8月下旬のワイオミングの終盤。地平線まで道が続くロングトレイルらしい景色を歩く。進んでも進んでも景色が変わらず精神的に試された。

道中知り合ったハイカーたちと仲良くなると一緒に歩くんですけど、歩き出しや水場での休憩が一緒なだけで、歩く時間はひとりのことが多かったです。でも昼の暑さを避けるために夜に行動する時なんかはヘッドランプを節約するために一緒に歩いたりしました。

9月中旬のコロラド。標高が一気に3000〜4000mまで上がった。森林限界を超えた山々の剥き出しの肌感に、地球のうねりを感じる。

コロラドに入ると、トレイルがCDTとも重なっているコロラドトレイルを歩くハイカーたちともよくすれ違いました。コロラドトレイルはローカルのハイカーたちも歩いているのでキャンプ地もトレイルもかなり整備されていましたね。この区間はのんびりしていると冬が訪れるので足早に歩いたんですけど、もう少しゆっくり歩いて景色を堪能したいと思うような壮大な場所でしたね。

10月中旬のコロラド。標高3,500mまで上がり、辺り一面を雪が覆う。スノーハイク用のシューズもパンツも持ってなかったため、5-Pocket Shorts Lightの上からUL All-weather Pantsを履き敢行。好天を狙ってハイカー仲間4人と交代でラッセルしながら、なんとか次の街まで歩ききった。

コロラドでこういう雪の景色も経験して「いよいよ冬到来か」と思っていると、ニューメキシコでは真夏が帰ってきました(笑)。

コロラドとニューメキシコの州境から本当に景色が一気に変わるんですよね。赤土になって砂漠の植生に変わってサボテンが出てきたりと、急な変化にかなり驚きましたね。というふうに、CDTではこんなトレイルを歩きました。

10月下旬のニューメキシコ。30度の夏日が帰ってきたので、再び5-Pocket Shorts Lightに。

CDTを歩き終えた僕がシェアしたい5つのこと

CDTでの経験を通してシェアしたいことが5つあります。ひとつ目がCDTで使用した山道具について、ふたつ目がアメリカ人ハイカーと僕との違い、3つ目がULハイキングの探求について、4つ目は「こんなことあんねや!」という、いろんな出会いや奇跡の話、そして5つ目が僕がCDTで感じた、自分への気づきについて。考える時間がすごくたくさんあったので、その中で気づいたことをお話していきます。

① CDTで使用した山道具について

CDTに向けて準備した山道具は、自分の中で試したい道具も入れてたんですけど、歩き始めて1週間で「これ絶対使えへん」って気づいて削った道具がいくつかあります。

途中で削った道具たち

❶インナーテント

いちばん下ろすかどうか迷ったのがインナーテントです。モンタナからワイオミングまではめちゃくちゃ蚊がいたんですよ。ちょっと雪が残ってて水場が多かったのもあってかなり刺されました。

最初に持って行ってたタープとの相性もあまりよくなくて、それはわかってたことなんで、はじめのうちはインナーテントでカウボーイキャンプするように寝ようと考えてたんです。でも削ってみたら、そこから自分自身のウルトラライトの探求もまた始まるだろうってふと思って、削ることにしました。

それから蚊対策として、顔だけを覆うバグネットを使って就寝するようになりました。でも顔を横に向けるとバグネットが地面につくので、顔との間に隙間がなくなってしまって、蚊の針のリーチが届いてしまうんです(笑)。顔を刺されまくったので、次に試したのがLight Alpha Tightsを顔に巻いて、その上からバグネットをかぶることです。すると顔とバグネットの間にしっかりロフトができて、横を向いて寝ても刺されなくなりました。しかもLight Alpha Tightsは通気するからちゃんと呼吸ができるんですよね。夜は若干寒いから顔と首も保温することができて「これ完璧やな」と思って。インナーテントを削った結果、工夫がひとつ生まれました。

❷タイガーの保温ボトル

タイガーの保温ボトルは出発前に「絶対いるから!」って熱弁してたんですけど(笑)。はじめは夏だったので、朝に温かいものを飲まなかったんです。行動中に冷たい水場があったらタイガーのボトルに入れておいて、暑くなったら飲んでたんですけど、本来の使い道と逆のことをしてたんですよね。白湯だったらかなりゆっくり飲むので300mlで足りてたんですけど、暑い時に冷水300mlでは全然足りなくて。だったら常温の水を飲めばいいので、これも削りました。

❸携帯用ウォシュレット

携帯用ウォシュレットはティッシュを節約するために持っていったんですけど、普通にボトルの水を使えばいいかなと。トイレットペーパーに僕はティッシュじゃなくてキッチンペーパーを使ってて、普通のティッシュやったら枚数使うし濡れてしまうと使えないこともあるけど、キッチンペーパーなら濡れても使えるし逆にちょっと濡らすといい感じに拭けるので、携帯ウォシュレットも削りました。

❹ソーラーランタン

最初のモンタナやアイダホではずっと白夜みたいに夜も明るかったので、ソーラーランタンはほぼ使うことがなかったので、削りました。

❺チェーンスパイク

最初のモンタナで積雪があった部分でちょっと使ったぐらいで、すぐに削りました。

❻アップルウォッチ ウルトラ

今回、試したい道具のひとつがアップルウォッチでした。今いろいろなデバイスが出てきてて、それがどんなふうに自分たちのハイキングを快適にしてくれるんだろうという探究心があったんです。道が逸れるとブブッと鳴るお知らせ機能もあって、他のハイカーも使っていました。大体2日半くらいで充電が切れちゃうんですけど、夜に充電することや充電器を持ち歩くことに慣れなかったし、その行為自体がウルトラライトじゃない気がしてきて序盤早々に削りました。

❼フリスビー

フリスビーも早々に削りましたね。5年ぶりのロングトレイルだったんで、フリスビーをするような余裕があまりなかったんですよね。最初は他のハイカーもみんなテンション高いから「イェーイ」って一緒に遊んでたんですけど、だんだん疲れてくるから、徐々に「ちょっと今日はいいわ」みたいに断られていったのもあって(笑)。

CDTで使用した山と道製品について

続いて僕も山と道のスタッフなので、CDTで使用した山と道の道具の中で、特に「これは!」と思ったものの使用感についてお話していきます。

日中の基本的なレイヤリングをハイレグバージョンでお届け。上はDF Mesh Merino SleevelessにUL Shirtを羽織り、下は5-Pocket Shorts Light。できるだけ歩き続けたいため、レイヤリングのテーマは「脱ぎ着を少なくすること」。コロラドの雪のセッションではLight Alpha Tights以外のウエアをすべて着用して挑んだ。

DF Mesh Merino Sleeveless

前面。右腹にウエストポーチとの干渉で穴があいてしまった以外は色褪せの他は目立った外傷なし。

背面下部のバックパックと擦れて薄くなった箇所。穴があきそうというよりも、メリノが擦れてフェルト化してより集まってしまい、10%交編されたナイロンだけが目立つ状態になっているものと思われる。

長期間バックルなど硬いものなどと擦れ続けると穴があきやすいので注意が必要。

DF Mesh Merino Sleevelessはやっぱりすごく通気してくれて、汗が体に残らず常に快適に歩けました。ロングトレイルに行くなら必ず1着は持っていきたいと思うぐらい、本当に心地良くて信頼できる道具のひとつですね。

耐久性に関しては下腹部の右下らへんがかなり破れたんですけど、ヒップベルトやウエストポーチの擦れから穴が開いちゃいました。素材はメリノ88%とナイロン12%なんですけど、背中のバックパックといちばん擦れる部分はほぼナイロンだけの状態になりました。DFって生地の表面と裏面で構造が違うダブルフェイスって意味なんですけど、冗談抜きで背中だけシングルフェイスになりました(笑)。かなり薄くなりましたけど、そこから破れることはなかったです。

UL Shirt

前面。右袖をひっかけて穴があいた以外は大きなダメージが見られない。左腹にはカザマナオミさんによるシルクスクリーンプリントを入れている。

背面。下部のバックパックと擦れる位置にはかなりシワがよっている。

基本的に行動中はずっとDF Mesh Merino Sleevelessの上に山と道のトレイルシャツのシリーズでもいちばん薄いUL Shirtを着てました。僕もかれこれ5年ぐらい山と道で働いてて、開発のテスト段階から道具を使うこともあるんですけど、常に「これぐらい薄い生地ってロングトレイルで使ったらどうなるんやろう?」っていう疑問があったんですよ。きっとバックパックの擦れとか摩耗で、やられてしまうだろうなと想像してたんですね。

大体3ヶ月ぐらい歩くと、他のハイカーが着てたシャツは肩の部分が擦れてきちゃうんですよね。そうするとそこから生地が裂けてきて、勢いよくバックパックを背負った拍子に肩の部分が一気に破れちゃうことがよくありました。

他のハイカーが着用していた化繊のシャツ。バックパックのショルダーが擦れる部分から見事に裂けている。

でも、UL Shirtは3ヶ月経っても自分の想像を超えるくらい、本当に何もなくて。歩き終えた147日目にもう1回確認したんですけど、破れるような気配を感じるところが一切ありませんでした。これは僕の中でかなり感動したことのひとつでしたね。

今まで店頭ではお客様に「タフに着るんだったらBamboo Shirtですね」とおすすめしてたんですけど、UL Shirtもかなりタフに扱えるなと実感しました。147日間ほぼ毎日着てたし、紫外線にさらされ続けたにもかかわらずほぼダメージがなくて。右袖のところは若干破れたんですけど、ニューメキシコのサボテンのトゲに引っかかって破れちゃいました。薄い分トゲには弱いんですけど、それ以外の破損は一切なくてかなり驚きました。

あえて改良点として挙げるなら、前ボタンはスナップボタンになってるんですけど、襟を立ててとめるためのボタンは普通のボタンになっていて。行動中に首元のボタンをとめるためにはどうしても両手を使わないといけなくて、行動し続けたい自分にとってはちょっと煩わしかったです。首元のボタンを留めるだけで体感温度が5℃くらい変わるので、片手で取り付けたりできる仕様になると、より使いやすいと思いました。

5-Pocket Shorts Light

前面。多少色褪せた以外は、特に大きな外相はなし。

背面。ストレスのかかる尻部分なども特に傷んでいない。

5-Pocket Shorts Lightは、5-Pocket Shortsを山と道の中でもいちばん軽いLight 5-Pocket Shortsの生地で作ったショーツで、年に1度予約受注の形で販売されるモデルです。で、5-Pocket Shorts LightとLight 5-Pocket Shortsは今年(2023年)から生地がアップデートして強度が2倍になったんですよ。前回までの生地だとたぶん破れてたと思うけど、この生地はまったく破れなかったです。

でも新品の状態と比べるとかなり薄くなってて、代表の夏目に渡したら「これ旧版の方じゃないよね?」と疑われるくらい(笑)。耐久性に関しては、直接地面に座って小石と擦れたにも関わらず破れなかったので、これもすごく感動しましたね。

5-Pocket Shorts LightとUL ShirtとDF Mesh Merino Sleevelessは乾きが速いのも良くて、お風呂で自分で水洗いして、タオルと一緒にグッと水気を絞って干したら朝には乾いてるんですよ。これは旅の道具として、本当に優秀なところでした。

Light Alpha Tights

ベースレイヤーとしての着用が主なせいか、特にダメージが見られない。

Light Alpha Tightsの脱ぎ着もなるべくしたくなかったんで、ほんまに寒いときに着用してました。雪のセクションのときもLight Alpha Tightsは着用せずに、ずっとUL All-weather Pantsと5-Pocket Shorts Lightの組み合わせで歩いてましたね。

あまりLight Alpha Tightsの本来の用途としては使わずに、さっきも言ったように寝る時にバグネットと合わせて使ったり首に巻いたりして使っていました。あと、寝袋に呼気を直接当てると結露してビチョビチョになっちゃうので、それを防ぐために口と寝袋の間に入れたり。本来とは別の使い方でLight Alphaの効果を発揮しましたね。

Light Alpha Vest/Jacket

できる限り脱ぎ着をしたくない僕がいちばん苦手とするのが、朝にダウンジャケットを着てる状態から脱いで、違うレイヤリングに入ることです。体温が一気に変わるのがあまり好きじゃないし、寝袋のスペックを上げればダウンジャケットはいらないと思い、代わりにLight Alpha Vest/Jacketを持っていきました。

保温性がそこまで高くないので朝起きたら少し寒いんですけど、そのまま歩き始めるとだんだん体温が上がってきてそれを維持したまま歩けるし、通気性がとても高いので暑くなって脱ぐこともないんです。脱ぎ着の回数を減らす目的のレイヤリングとして、自分の中ではパーフェクトでしたね。

UL Mittens

UL Mittensは僕のCDTベストオブギアと言ってもいいぐらい、かなり使えましたね。バックパックの右ショルダーのところに収納できる仕組みを作ったんですけど、雨天時とか朝晩の寒い時にパッと取り出して使っていました。

3日間くらいずっとずぶ濡れで歩いた時もあったんですけど、雨が止んでからも道具がずっと濡れてると、体温を奪われるじゃないですか。でもUL Mittensは体温で乾いてくれるんですよ。そこがすごくよかったですね。

強いていうなら手首の部分があと5cmくらい長いといいかなと思いました。僕が着用してたUL All-weather JacketがMサイズだったんですけど、中にLight Alpha Vest/Jacketを着るとパツパツになってしまって、袖が少し短くなってしまうんです。その分をカバーするためにも、もう少し長くなると嬉しいですね。

Only Hood

Only Hoodもかなり役立ちましたね。他のハイカーにも予備のOnly Hoodを渡して使ってもらったくらいでした。何がいいかというと、稜線が多いので日除けもしてるし、風も防いでくれる。あと帽子も飛ばないのがすごくよかったです。最後のニューメキシコまでずっとつけてました。

ONE

前面。フロントポケット部分に試験中の生地を使用したサンプルモデルで、擦れて着色が剥げているが、生地の仕様で強度的には問題ない。

ダメージの出やすいショルダーベルトの付け根もほつれや傷はなし。

こちらも痛みやすい腰に当たる箇所も特にダメージはなかった。

自分はやっぱONEがすごい好きです。使い方も熟知してる分、もうめちゃくちゃ使いやすくて。登りになったら腰荷重から肩荷重に変えたり、下りになったらしっかり腰荷重にして肩を休ませたり、本当に細かく操作できるので体力の消耗を抑えることができました。

②アメリカ人ハイカーと僕との違い

続いてアメリカ人ハイカーと僕との違いについてお話します。

なぜアメリカ人と断定してるかというと、CDTの人種の約95%がアメリカ人なんです。残り3%がヨーロピアン、1%がアジア人、1%がそれ以外なんですけど、やっぱりPCTやATに比べると他国からCDTを歩きにきてるハイカーが少ないので、母国のアメリカ人ハイカーが多かった印象です。なのでそんなタイトルにしました。

レイヤリングが違う!

まずはレイヤリングの違いですね。アメリカ人ハイカーがどういうものを着てるかというと、化繊のフーディー系を着用して、日よけや寒さ防止のために帽子をかぶってました。

アメリカではジョリーギアのシャツがハイキングシャツとして有名で、着てるハイカーも多かったです。あとはTシャツを着たりしてるんですけど、みんな共通してベースレイヤーを着ないんですよね。

日本のハイカーだと汗抜けのことを考えて、メッシュのドライレイヤーを着てる方も多いと思いますし、山と道だとDF Mesh Merino Sleevelessを着用するんですけど、そこに違いを感じました。

コロラドに入った後もみんな同じような格好で、基本的には上に重ね着していました。身体機能的にも汗っかきの人が多いし、体がやっぱり日本人と違うのかなと思ってたんですけど、3日間雨が続いたときがあって。僕はしっかりベースレイヤーも着てたし、レインウェアも着てたから全く寒くなかったんですよ。でも周りを見渡すとハイカーがみんな震えてて「やっぱり寒いんや!」って思いました(笑)。

今回のCDTでトリプルクラウンを目指してたビアランにも、一緒に街を降りた時にお店に入ってベースレイヤーの重要性を説いたんですけど、ベテランハイカーであってもベースレイヤーを着る概念がなかったので、元々アメリカにはベースレイヤーを着る文化がないのかもと思うほどでした。

休憩の取り方が違う!

次に休憩の取り方ですね。僕というよりも、日本人と比較してみたんですよ。山でも日常でも仕事でも、休憩を思いっきり味わうような休み方をあんまりしてないんじゃないかと思ったんです。

日本では山に登って途中でベンチに座ってる人を見かけても、すぐに動き出せるような前のめりな座り方でおにぎりを食べてたり、飲み物を飲んでたりしてるんやけど、アメリカ人ハイカーたちは休憩するときにまず靴を脱ぐんですよね。そこから靴下を脱いで、マットを広げて、バックパックを背中に敷いてリクライニングみたいな姿勢でリラックスするんですよね。

大体みんな1時間ぐらい休憩を取って、15分はしっかりお昼寝をします。ロングトレイルだとやっぱり休憩もしっかり取らないといけないし、1日10〜12時間以上歩いていると飽きたりもするので。

そこから僕も彼らの休憩の取り方を学んで、こんな感じで休憩を取れるようになりました。

このときはスーパーフラットな場所で影が一切なかったんですよ。でも寝袋を乾かさないといけないからトレッキングポールを突き刺して、その上に寝袋をかけて、そしたら影ができてちょうどよくなりました。アメリカ人を見習いすぎるとこうなりましたという写真です(笑)。

③ULハイキングの探究

途中からMINI2へバックパックをチェンジして更に軽量化

次はトレイルを歩きながらULハイキングをどう探求していったかについてお話しします。

今回、最初に持っていったバックパックは55Lの山と道ONEだったんですけど、1000マイル歩いてから32LのMINI2に変更したんです。簡単に言うと容量が23L減るわけです。元々ベースウエイトが4.0kgぐらいで、そこは変えずに変更したので食料のスペースが減りました。

MINI2の快適荷重が8kgなので、ベースウエイトを引くと食料と水は4kgしかスペースがありません。水を3L背負わないといけないセクションだと、食料は残り1kgです。でも5日間の区間だと歩き始めは食料を3〜4kgぐらい背負わないといけないので、快適荷重をゆうに超えちゃってました。

12〜13kgぐらい背負わないといけないときもあって、腰荷重に調整できるONEだとあんまり気にしなかった重さが、肩荷重だけのMINI2だと結構重くて。THREEを使えばいいんじゃないかという意見もいただいたんですけど、一気に容量を削ることで自分のUL探求として、何か方法が見つかるんじゃないかなと思ったんです。

そこからは装備を細かく削っていきました。例えば今までバックパックの中でロール巻きしてた100cmのUL Pad 15をさらに短く切ったり、Pack Linerもちょっと切ったりして、少しでもスペースを作るために試行錯誤していきました。

ULな食事の探求

同じように30Lのバックパックで歩くハイカーたちに工夫を聞いてみると、ストーブを持たずにコールドソーキングしてる人が多かったんですよ。コールドソーキングとは、水でラーメンとかクスクスを戻して、ストーブを使わずに食事をする方法です。そうするとクッカーやストーブ、ガス缶も背負わなくていいのでUL化がしやすいんです。

さらに17Lのバックパックで歩くハイカーもいて、自分のYouTubeでもインタビューしたんですけど、必要なギアは全部持ってるんですよ。ベアスプレーも持ってて、余暇を楽しむために趣味である植物観察ができるレンズも持ってました。最小限まで道具を削っているハイカーたちがさらに装備を削るとなると、食料になります。

CDTで出会った中でもいちばん軽装だったハイカー。バックパックの容量はなんと17L!

でもロングトレイルは消耗エネルギーが半端ないし、食べないと激痩せしていきます。どう工夫してるのか聞いてみると、脂質をメインで摂ってました。17Lのハイカーはコールドソーキングもほぼせずに、できる限りナッツとプロテインのパウダーでエネルギーを補給してました。

摂取カロリーや消耗エネルギーもかなり計算しながら、「何時になったらナッツを1袋食べる」とか自分自身の食のルーティンを作ってました。カリカリに削っているハイカーはCDTを歩く前の体づくりもしっかりやっているし、道具だけじゃなくて食に対する知識も幅広く持っていました。水もできる限り背負わないように夜に行動したりと、一般的な方法論から完全に離れたところでULの探求を深めていて、かなり刺激を受けましたね。

僕もできる限りナッツを増やす工夫をしたんですけど、やっぱり温かいものを食べると精神的にも良いし、次の日への活力にもなります。コールドソーキングも1回チャレンジしたんですけど、あんまりおいしくなくて辞めました。そこまでできるハイカーは尊敬しますね。

とはいえエネルギー消費が激しいと自分自身の筋肉もなくなっていくので、山に持っていきやすい軽量なフラックスシード(亜麻仁)を食べ物に入れてました。はじめの頃は1日2,000kcalくらいの摂取でいけたんですけど、最後らへんはお腹の空くスピードが早すぎて1日4,000kcalくらい必要になっていました。特にコロラドの雪の区間を歩いたときは、お腹の減り方が尋常じゃなかったんで、1日1本バターを食べてました。

僕の食のルーティンは基本的に朝はお米を食べて、お昼はドライフルーツとかスナックとナッツ類、夜はラーメンを食べるんですね。そこにバターを投入するんですけど、朝ごはんのお米にバターと出汁とわかめを入れて食べたり、日中はオレオのクッキーに挟んで食べたり、夜はラーメンに入れたり。オリーブオイルを持つハイカーもいたんですけど、バターはコクが出るからおいしくなるんです。体に良いのかどうかはわからないですけど(笑)。

そのおかげか、5年前にPCTを歩いたときは気づいたら激痩せしてたんですけど、今回は本当に痩せなくて体重もあまり変わらずでした。

④こんなことあんねや!

赤いブツブツが止まらない肌トラブル

次はCDTで体験した「こんなことあんねや!」と思ったシリーズです。

ひとつ目は肌トラブルですね。ある日、腕にブツブツができたんですよ。毎日歩いてて体温が上がると汗も出て痒くなってきて、痒くて痒くてしょうがないし、上半身のブツブツが止まらない状態のときがありました。

肌の調子が悪いと気持ちもすごく下がるので、病院に行きました。すると集中治療室みたいな個室に案内されて「すごく悪いのかな」って心配してたらカウンセリングだけで終わったんですけど(笑)。

結果的には衛生面や食事の変化、湿度の変化が原因と判断されました。食べてるものも大きく変わって、体がびっくりしてしまったみたいでした。アレルギー系のお薬を処方されてステロイドを塗ってたんですけど、あんまり効かなかったんです。道中で出会ったハイカーから「お前肌の調子悪そうやな。俺、昔これ試したけど良かったよ」ってクリームを教えてもらって、町に着いたら薬局に行ってクリームを探すことを繰り返して、気づいたら8本ぐらいクリームを持ってました。自分のトレイルネームが「クリーム」にならなくてよかったです(笑)。

勝くんの知人との偶然の出会い

後列中央が勝くん。

ひとつ目は、5年前にトリプルクラウンハイカーの清田勝くんがCDTで知り合った方との偶然の出会いです。当時、勝くんがモンタナでヒッチハイクしてたら「今から家族でキャンプと乗馬に行くんだけど、もし良かった一緒に行かない?」と、アニっていう女性が声をかけてくれたというんですね。

僕がランダーっていう街のアウトドアショップでみんなと座りながら休憩してたら、ちょっと派手なおばちゃんがショップの店員さんと「今からグランドキャニオン行くのよね」って話しながら出てきたんです。するとそこにアジア人が僕しかいなかったからか「あなたどこ出身なの?」って聞かれて、「日本」って答えたら「あなたマサって知ってる?」って言われて。めちゃくちゃ驚いて「He is my best friend!!!」って叫んだら「写真撮りましょう」って言われて一緒に写真を撮りました。

アニとのツーショット。スピリチュアルな方で派手な帽子には「LOVE」の文字。

勝くんに電話したら、アニから「あなたとはまた縁がありそうね」と言われたみたいです。たまたま立ち寄った町で、アニもたまたまグランドキャニオンに行く途中に道具を揃えるために寄った町で、こんな出会いがありました。CDTで自分の知ってる人、特に勝くんみたいな人と縁のあった人と出会えたことがめちゃくちゃ嬉しくて、一気にホーム感が出ました。出会いに感謝ですね。

PCTのバディ、ノーナッツの彼女との出会い

PCTでバディだったノーナッツ。大人びた風貌だが、当時なんと大学生!「ドイツって年齢の数え方が違うの?」と確かめたほどの貫禄だった。

3つ目は2018年に歩いたPCTで僕のバディだったノーナッツに関わる出会いです。CDTを歩く前にPCTで知り合った仲の良いハイカーたちに「セクションだけでもいいから一緒に歩こうよ」って声をかけてたんですよね。彼にももちろん連絡したんですけど、もう仕事をしていて「やっぱり行けないわ」って言われて。でも、「今付き合ってる彼女がコロラドトレイルを歩くから、もしかしたら会えるかもね」って連絡をくれてたんです。

そんなことは忘れてずっと歩いてて、本来立ち寄る予定がなかったカフェに、ある日お昼ご飯を食べに行ったんですよ。

するとトレイルで見慣れない女性が座ってて、一緒にいたハイカーが彼女に「会うの初めてだよね」って話しかけて。バックパックもULっぽくはないし「セクションで入ってるの?」って聞いたら、コロラドトレイルを歩いてると。「この中で、誰か会ったことあるやついる?」ってそのハイカーが聞いたら、僕の方を向いて「ひとりだけ知ってる。あなたボンファイヤーでしょ」って言ったんです。

そもそもボンファイヤーは僕がPCT歩いたときのトレイルネームで、なんで知ってるんだろうって疑問に思ってたら、彼女が「私ノーナッツのガールフレンドよ」って言ってきて。もうそのときは店中に響き渡る声で「オーマイガー!」って3回続けて言いました。

そう表現するしかないくらい本当にびっくりして、ノーナッツにテレビ電話しました。その後、彼女と向かう方向が一緒だったので、PCTでのノーナッツとの楽しい思い出をたくさん話しながら、2週間くらい一緒に歩きました。

ノーナッツとは一緒に歩くことができなかったんですけど、ノーナッツの彼女とは一緒にCDTを歩くことができてすごく嬉しかったです。

奇跡的な出会いをしたマキシには「ミラクル」というトレイルネームを贈呈した。

ワイルドスタイルとの奇跡的な再会

最後はワイルドスタイルというハイカーについて。CDTにはやっぱりPCTを歩いたハイカーがたくさんいて、歩いてる最中によく「ここってPCTのあそこのトレイルにちょっと似てるね」みたいな思い出話をするんですけど、そのとき彼に「いつPCTを歩いたの?」って聞いたら「2018年のPCTを歩いた」と。PCTの同期ハイカーであることが判明したんですね。さらに話していくと、共通の知り合いが多くて割と近くを歩いてたことがわかりました。「じゃあいつスタートしたのか」となって、僕が初日の写真を彼に見せたんですよ。

「ここの中にも知ってるハイカーいてる?」って聞いたら向こうが止まって「え!これ俺やん!お前の隣に俺やん!」ってことがありました(笑)。

5年前のPCTでの写真。若きJKの右隣2人目が、まさかの若きワイルドスタイルだった。

PCTの初日に一緒にモニュメントの前で撮ってた彼と、CDTでたまたま出会いました。PCTからCDTへは、1年後から2年後に歩くハイカーが多いんですよ。5年ぶりにロングトレイルを歩くこと自体めずらしくて。それぞれ違うことを経験してきて、5年ぶりにこのロングトレイルに行き着いたのも、またひとつ何かの縁だなと思いました。

⑤自分への気づき

最後は自分への気づきについてお話しします。

ロングトレイルを歩いてると、やっぱり考え事をしたり自分自身と対話する時間がたくさんあります。普段考えないことや昔の記憶がいっぱい出てきて、それを整理していく時間になるんですよね。PCTのときにも一度経験したんですけど、今回のCDTは山と道で働き始めて自分自身の人生がうねりはじめた5年間を経て歩きはじめたロングトレイルだったので、最初はすごく自分を変えようとしてたんですよ。

「こんな自分は嫌だ」とか「こういう考えを持つ自分を変えたい」と思ってました。でも、自分の思考の癖のようなものがあって、それはなかなか変えられないんですよね。

僕が歩いてる50m先ぐらいにハイカーが歩いてたんですけど、そのハイカーとは前日の夜に喧嘩しちゃったんですよ。ちょっと険悪なムードになってお互いの意見の食い違いから喧嘩しちゃって。そうすると歩いてても前におるのが見えるから、昨日の夜のことを思い出して、そのハイカーに対してどんどんイライラしちゃうんですよね。

英語力的に向こうの方が言い返すスピードも速いし負けてしまうから、「次会ったらこう言ったんねん」って自分の頭の中で英語の文章を構築したりしてて。でもイライラがピークに達してしまったときにふと思ったんですよ。「こんなところまで来て、僕は一体何してんねや」って。

本当に夢にまで見たCDTで、それに向けて貯金をして会社を休職する調整も2年かけて、やっとの思いでここに来てたんです。「何ちょっとしたことで喧嘩してイライラしちゃってんだ」と思ったんですけど、やっぱり歩いてる彼を見るとオートマティックにイライラが蘇ってしまうんですよね。

そのときに「見えなくすればいいんじゃないか」と思いつきました。一度10分間、その場に立ち止まって1人でゆっくり休憩をしてみたんです。するとそのハイカーは先に行っちゃって、見えなくなるわけですよね。それから歩き始めると10分後ぐらいには「今日の夜ご飯はどういうトッピングにしようかな」とかって考え始めて、イライラの思考から外れたんです。

これまではこういうことを考えてしまう自分を変えようとしてたんですけど、相手を見えなくしたり環境を変えるだけで、自分の心から嫌なことが解放されることに気づきました。人は目の前に起こってることに、ものすごく影響を受ける生き物なんですね。それに気づけたことが、自分の中ではすごく大きかったです。

どうしても変えられない自分に対してがっかりしてしまうこともありますが、変えるべきは自分じゃなくて環境や状況だということ。それさえ変えれば思考の癖から逃げられることに、今回のCDTで気づきました。

それでも特別にはしない、CDTでの経験

最後にCDTの最終地点にたどり着いたときの動画を一緒に見て、今日の報告会を終えたいなと思います。これが11月14日なんですけど、この動画で一緒にいてるハイカーたちは皆、それぞれ時間は違うけれどもその日に歩き終えたハイカーたちですね。

147日かけてゴールに到着したときは、やっぱりものすごく嬉しくて。他のハイカーたちと「俺たちやったな」って讃えながら、シャンパンを開けて飲んだりしました。本当に笑顔が止まらなかったです。積み上げてきた半年間にやったことを振り返りながら飲んだりして、すごくいい時間でした。

最後になりますが、記憶にすごく残ってるのはひとりで歩いた時間でした。他の仲良くなったハイカーたちと歩いてると、やっぱりアメリカ人だから情報を得るのが僕より速いんです。例えば地図アプリに書いてるコメントを読んで「次の街のこのモーテル予約しとくね」ってやってくれるから、あんまり自分で判断しなくなっちゃったんですよね。楽なんですけど、せっかく旅に来てるのにもったいないなと感じてもいました。

コロラドで長い休憩を取った後に、2週間ぐらいずっとひとりで歩いてたんです。そのときは「今日は何時までにここに着こう」とか「水場はあそこだから水はこれくらい担ごう」とか「今ここで休憩を取ろう」とか、そういう自己判断を連続でやっていったことは、記憶にすごく残ってるんですよね。やっぱりたまにみんなと離れて、自分ひとりで歩く時間があってよかったなと思ってます。

今回のCDTはULの探求もできて、すごく満足のいく旅になったんですけど、この旅を特別にしないでおこうと思います。特別にしちゃうと、たぶん次に行けないんです。だからハードルを上げずに、いつでも次に行けるような心の準備は常に持っておきたいですね。

以上でCDTの報告会を終えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

プログラムは2023年12月10日に山と道京都(写真上)、12月17日に山と道材木座(写真下)でたくさんの方に参加いただき開催しました。感謝!

中村純貴

中村純貴

山と道スタッフ。 芸術系の大学に進学し広告を学び、卒業後は映像の世界へ。 映像制作会社にて企画から撮影-編集-納品までの制作進行管理を行うプロダクションマネージャーとして5年勤務。 学生の頃にはまった山登りを続ける中で、アメリカのロングトレイルを知る。 2018年、メキシコからカナダまでアメリカを縦断する「パシフィッククレストトレイル」4250kmを踏破。歩いたことで「足るを知る」という考え方に気づき、身軽になる重要性を知る。そして道中にSNSやBookをつくり発信していくことでハイキングのカルチャーを伝えていくことの面白さに気づいた。 ハイキングがいかに楽しく、心身共にヘルシーになれるかを沢山の人に伝えていきたい。

連載「HLC Report」