はじめての100マイル
~TDT挑戦記~(後編)

2021.01.26

ランナーにとってひとつの大きな目標である100マイル=160kmに、昨年、山と道研究所ショップのスタッフ藤田が挑戦しました。その顛末を綴ったこの『はじめての100マイル』、後編となる今回では、いよいよ羽田から多摩川を遡上して青梅の高水山まで100マイルを往復するグループラン(と言うにはあまりに壮大な)」『TDT(Tour De Tomo)』がスタートします。

スタート前は不安と緊張に押しつぶされ、人相が変わるほど(!?)表情が引きつっていたという藤田………ともあれ、ご安心ください! 多くの優れた長距離レースのレポートがそうであるように、本稿も最後は感動的な大団円にたどり着きます。

どうぞこのレポートが、あなたの背中を少しでも押せますように!

文:藤田由香里
イラストレーション:KOHBODY

前回より続く】

11:00 「サロ門」をスタート

TDTはグループランなので、基本的にはパック(集団)になって進む。スタート直後はみんなテンションが高く(笑)、わいわいと喋りながら走った。ペースはキロ6分ー6分半くらい。天気も良く、最高のランニング日和。

出走する女子はみんな笑顔で強い!

今回、ウエアはトップスに山と道のLight Merino French Sleeve T-shirt。袖丈が長いTシャツは二の腕部分で擦れたり汗を吸って貼り付いたりするので、このすっきりとした袖丈がちょうどよい。親水性の高いLight Merinoは時々汗による冷えを感じることがあったので、インナーに開発中のLight Merino Tank Topを着用。ゴールまで冷えることなく、また暑すぎることなく(匂いもなし)快適だった。ボトムスは同じく山と道のLight 5-Pocket Shorts。本当は新製品のDW 5-Pocket Shortsを履きたかったのだけど、初めてのウルトラレースを完走した時に履いていたこのショーツを験担ぎ的にチョイス(笑)。

13:00、約20km地点の二子玉川に到着。コンビニで「ウイダーインゼリー」と生バームクーヘンを調達。まだまだ元気(でもまだちょっと緊張している)。

コンビニにもテンションがあがる。 写真提供:三本松知佳

今回の補給食はコンビニでの調達以外に、ソフトフラスクにジェルをジュースで溶いたものを常備。時間を考えて補給するなど細やかな計画ができない性格ため、飲み物でカロリーを取ることが多い。今回のこのソフトフラスクは600mlで800kcal、なおかつ美味しい。今回もちょこちょこと摂取することによってエネルギーの底上げとなった。

食べる時だけ無言。 写真提供:三本松知佳

補給を済ませ、再びタマリバーを走る。河川敷には野球場がたくさんある。子供たちが試合をする姿を眺めつつ、周りのランナーと話をしながら走る。あ、また野球場…。デジャブ感満載な風景に、公園をぐるぐるしていた練習の日々を重ねてみたり。

夕暮れが近づき、少しずつ向かい風が強くなり、気温も一気に下がってきた。山と道のUL Shirtをさっと羽織り、走り続ける。一般的なウインドシェルと違い、ボタンで好きなところを開け閉めしベンチレーションとして使えるUL Shirtは、ゆっくり長く走り続けるLSD(Long Slow Distanceの略)時に最適。あと軽く小さくなるので、脱いでも邪魔にならない。

写真提供:池田征寛

15:30、約40km地点。最初のドロップバックに到着。ドロップバックとは自分に必要な荷物を預けて置ける場所。ここではジェルを溶かしたジュースを補充し、グミとおにぎり(具は鯖)を補給。さ、さ、さ、さ、さ、寒い! 橋の下の日陰になるスペースのせいか、向かい風のせいか、数分止まっただけで足が固まりそうにり、止まらずにゆっくりと歩きながら補給することにした。

普段から、ハイキングでもトレランでも基本的には休憩するときは座らないようにしている。座るとさっきまで動いてきた感覚がなんとなく薄れてしまうような気がして、立っている方が気がラク。

再び走り始める。この辺りからペーシングしているトモさんと一緒に走ることが増えてきた。他愛もない話をあーでもない、こーでもないとする。トモさんはポジティブの塊みたいな人で、世間話をしていても幸せな気分になる。

遠くに富士山がきれいに見える。みんなで足を止めて、夕日に染まる富士山を眺めた。日も暮れ始め、ヘッドライトをつけ、また走る。ペースも順調で、時おり歩いて時間調整するほど。ゆっくりとでも進んでいることに安堵感を覚えつつ、まだまだ先は長いと少しだけ緊張感を残す。100マイルは何があるかはわからないので、余裕を持つこと、安心することだけは避けた。

18:10、タマリバー往路終点。まだまだ元気。ここから奥多摩街道を抜け、青梅を目指す。先程までの寂しかった多摩川沿いとは違い、ここからはコンビニ&飲食店パラダイス。美味しそうな匂いや看板に目を奪われる。

トモさんは焼肉屋を見ては「肉をご飯にバウンドさせて食べたい」居酒屋の前で焼き魚の匂いを嗅いでは「塩サバをご飯にバウンドさせて食べたい」と、とにかく何かしらをご飯にバウンドさせたい様子。

なにかあったかいものでも食べたいなぁ…。コンビニで何を食べるか妄想しながら、10km近く奥多摩街道を走った。鉄道公園に向かう最後のコンビニに到着。色々妄想した結果、一番食べたかった肉まん(一番でかいやつ)を購入し、あま〜い濃厚なアップルティーと共にいただく。

うま〜&あま〜!

ご褒美のような温かさと甘さを堪能し、そそくさと鉄道公園へ向かった。鉄道公園からはペーサーと一緒に走ることができる。私はペーサーを依頼していたラン仲間の太郎さんに早く元気な顔を見せたかった。

19:40 青梅鉄道公園ー高水山

19:40、約69km地点 青梅鉄道公園到着。あたりはすでに真っ暗。ペーサーの太郎さんと合流。太郎さんの第一声は「ずいぶん元気そうだなー」だった。

太郎さんを見つけて、最高に嬉しい瞬間。

太郎さんは国内の100マイルを何本も完走しており、経験も豊富。そして何より優しくて強くておもしろい。私は初めての100マイルのパートナーには太郎さん以外考えられなかった。

ここからは山パートに入るため、ドロップバックに入れておいた装備を出し、荷物を変更する。

設定ペースだと、5時間後の深夜1時にこの場所に帰ってくる。Light 5-Pocket Pantsをショーツの上から履き、トップスはUL Shirtを脱ぎ、寒さに備えTeton Bros.のBreath Runnerを着用。mont-bellのメリノウール手袋、ヘッドライトはBlack DiamondのSPOTから、LedlenserのH8Rへ変更。ジェルを溶かしたジュースを補充し、Mag-onのカフェイン入りジェル(青みかん味)を2つ、メダリストのコーヒ味のジェルを2つポケットに入れた。シューズもALTRAのTORIN からLONE PEAKへ変更。用意時間は約10分弱。もちろん座らない。ドロップバックに入れていたお菓子をかじりながら、太郎さんとトレイルへ入っていった。

あり余るほど元気!

序盤は緩やかな林道。ゆっくりとコンディションを確かめながら走る。ここまでの舗装路を走っていた時と同じ脚でも違う筋肉を使っているような感覚。走るという行為は同じなのに、ものすごくリフレッシュした感覚。さっきまでのロードも楽しかったけれど、でもやっぱり私は山が好きだ〜〜‼︎ 改めて実感する。

山を走ることができる喜びもあってか、ペースも順調。寒さ対策のため着替えたBreath Runnerがめっちゃ暑い…。こんなに走れると思っていなかった…。UL ShirtプラスAlpha Haramakiが正解だったな…と思いつつ、胸元のジッパーを全開にし、冷たい空気を取り込む。この脚が止まる可能性だってあるし、今は着用したまま進もう。100マイルは何があるかわからないみたいだし…(今のところ何もない)。

太郎さんにお願いし、前を走ってもらう。平坦なトレイルは走りたいと伝えていたので、声をかけずとも自然と走ってくれる。上りも少し先導しては、振り返り気にかけてくれる。なんと心地よいペース。そう思った都度、「ありがとう」と伝えるようにした。

今回、ペーサーの太郎さんに対して一番伝えたことはこの言葉。何かをお願いする際にも語尾に「ありがとう」と意識的に付けた。本当に感謝の気持ちが大きかったからというのはもちろんだけど、このポジティブなTDTにおいて、自分も一緒に走るランナー、応援や運営の方、出会う人全てに元気でポジティブなパワーを送りたかった。

というわけで、うざいくらい「ありがとう」を伝えたと思う。ポジティブな言葉は口に出したほうがいいはず(多分)。

そんなこんなで小さなアップダウンを繰り返し、21:40榎峠に到着。ここではエイドがあり、山梨にある『道がまっすぐ』というトレランショップの隆二さんや『Run boys! Run girls!』の松井さん、『AaH bit / VESPA』の齋藤さんをはじめ、たくさんの方が待っていてくれた。ありがたく、ホットハニーレモネードやスポーツドリンクをいただく。これから先は短い距離でガツンと上るため、ジェルをふたつ摂取。元気な応援の声に見送られて、常福院を目指す。

榎峠からの高低図。距離は約4km、387mほどアップ。う〜ん、尖ってますね。

太郎さんと喋りながら、黙々と上る。榎峠から常福院までの平坦なトレイルは心拍数を下げるために歩く設定にしていたので、走らずに進む。途中、出走者のジミーさんとそのペーサーのひさえちゃんと会い、喋りながら進む。

くだらない話をしていたら、あっという間に常福院に到着。静かに手を合わせ、来た道を折り返す。折り返してすぐ、常福院に向かう仲間達とすれ違う。みんな順調そうで嬉しい! すれ違う全員に声を掛け、マイペースに進む。

マイペースも今回意識したことのひとつ。その結果、山のパートでは自分らしく、気持ちよく走ることができたし、旅のパートナーである太郎さんともゆっくりと同じ時間を共有できたように思える。

さっきヒーヒー言って上ってきた道をするすると下り、あっという間にみんなのいる榎峠のエイドへ。スポーツドリンクをいただき、おせんべいをもらう。後から来たまりこちゃん&市村さんペアに「山の中で見るとほんと美人!」と言われ、「え、普段は?」と思わずつっこむ。

なんでも「山の中ではイキイキしていて美しく見える」ということらしいが、「だったらそう表現しなさい!」とピシャリと注意し、年上の威圧感をエイドに残し先を進む。ともあれ、明るい灯りや笑顔があるだけで、元気がもらえるなぁ…としみじみ感じた。

元気をもらって、さらに絶好調。だからこそ慎重に(油断してよく転ぶ)。ほどよい緊張感を保ちつつ、和やかに喋りながら予定通り5時間で山パート終了!

1:00 青梅鉄道公園出発

鉄道公園からタマリバーにむけ、出発。ここで、新たな旅の仲間がジョイン。「うっちー」こと内山みちこさん。うっちーはトレイルレースで優勝もしくは常に上位に君臨する強者で(あとビール好き)、こんな強くて速い人と一緒に走っていいものなんだろうか…と、どきどきを抱きつつ、ゆっくりと走り出す。

左からうっちー、太郎さん、筆者。3人で元気よく出発。

静岡から来ているうっちーは優しく、明るく、私にペースを合わせてくれた。ちょっとだけ安心感。そして、ここでもありがとうを伝える大作戦を決行。3人でわいわいと喋りながら、楽しく奥多摩街道を進む。

街中は明るいけれど、深夜のためコンビニ以外のお店は軒並みしまっていている。往路はご飯に何かしらをバウンドさせる話をしてたなぁ…と、すでに遠い昔のよう。それだけ一瞬一瞬が充実しているのかもしれないな〜と、今この瞬間にも感謝して、進む。

トモさんが「2時に到着していれば、完走は間違いない」と言っていたほぼ2時ピッタリにタマリバー起点に到着! さあ、ここからタマリバー復路!

2:00 タマリバー起点出発

復路で来た道かと思うくらい、ありえないくらい真っ暗。ヘッドライトの灯りを頼りに進む。周りの風景も確認できないため、ヘッドライトの光が差す方を目指し、ただただ黙々と足を進める。

途中、復路の道を外れてしまった。ウロウロと迷いながら、多摩川沿いの道へ出た瞬間、勢いのある2人組と遭遇。これまた新たな旅の仲間となる、柴本&西方ペア。

写真前方右:柴本さん、写真前方左:西方くん、写真後方右:うっちー

柴本さんはUTMF16位にもなる実力者で、以前夫が走ったハワイの100マイルレース・H.U.R.T100からの知り合い。西方くんはこれまたUTMF21位(ニューヒーロー受賞)を初め、国内のレースで常に上位に名を連ねる。このふたりもうっちーと一緒に静岡から来ている。
なんでしょう、この強い人が集まるシステム。そもそも私以外の出走者がみんな強靭な方ばかりというのもあるけど、ここまで速くて強い人たちと復路を共に進むなど考えてもいなかった。ドラクエでいう「ナベぶた」と「こんぼう」しか装備していない私(LV.1)が段違いのレベルの4人に引き連れられ、また新しい気持ちで復路を走り始めた。

「あ、あそこに人がいない?」

暗闇に小さな明かりと人影が見えた。ああ、もうエイドなのか〜なんて思っていると、太郎さんが「誰もいないよ」という。いやいや、いるでしょ、人が! としっかり見ると、木の隙間から漏れる街頭の光だった。俗にいう幻覚。さほど眠さも感じていなかったけど、脳みそはおやすみモードだったのかもしれない。

ちなみに、レース前によくカフェイン抜きをする方がいますが、私はカフェイン抜きをする際に伴う離脱症状による頭痛に耐えられず、カフェイン抜きをやめた。そんな経験からも、お酒やカフェインを抜かずに、日常の延長線上にレースを考えるようになった。

さて、おやすみモードの脳みそはその後も赤いもの =トモさんという幻覚を見せてくれるようになった。鉄道公園であったトモさんは確かに赤いダウンを着ていた。

赤い三角コーンがあれば「あ、あそこにトモさんがいる」と思い、ガードレールにある赤くて丸い反射板に「ああ、トモさん。こんなところで応援してくれてありがとう」と感謝さえした。もはや恋なのかっていうくらい、赤いものは全てトモさんに見えた。多分トモさんに会って元気をもらいたかったのだと思う。

トモさんに想いを馳せながらダラダラと進んでいき、129km地点のドロップバックに到着。ここには現実のトモさん。幻覚で何度も会っているせいか、本物のトモさんに会えた実感なし(笑)。ここではウルトラランチのドミンゴさんによるスープエイド。温かいスープをいただき、ホッと一息。ドロップバックに入れてあるラムネをポケットにしまい、お礼を言って進む。ここから先には数カ所エイドがあり、それを楽しみに少しずつ明るくなった川沿いの道を進む。

「もう多分間に合うよ〜」そう聞いた瞬間、私のやらないときはとことんやらない性格が、出てしまった。間に合うんだったら、歩きません? 急いでも仕方ないし。ということで、歩く。ひたすらに。

旅の仲間となった4人と朝焼けを見上げながら、歩く。歩きながら、いろいろなことを話す。なんだろう、たった5時間くらいしか一緒にいないのに、昔からの知り合いかのような気分。

歩きながら、みんなで朝日を拝む。 写真提供:大口太郎

時折みんなで走り出すけど、一人が止まればみんなで止まる。自然と不思議なグルーヴ感が生まれていた。「もうこうなったら運命共同体だね」と、最後まで一緒に進むことが自然と決まった。出走者全員が時間を共にすることで自然と仲間になることも、TDTの持っている魔法なのかもしれない。

途中、大阪の皆さんによる「なにわエイド」で明石焼きをいただく。お出汁が美味しくて、一気食い。元気をもらって、また走ったり歩いたりと時間を存分に使って進む。

明石焼きが最高に美味しかった!

郊外から23区内に帰って来て、だんだんと高い建物が目立ち始める。往路でしこたま見てきた野球場もちらほら出現してきたら、そこはもう二子玉川。ここにはTDT名物「0キロカロリーエイド」がある。エイドの提供物は全て0キロカロリーという大変クレイジーなエイド(笑)。大好きな知り合いがたくさんいるのもこのエイド。一番楽しみにしていたのもこのエイド。そして、この0キロカロリーエイドは到着してもカロリーはもらえないのに、ちょっとだけ小高い丘の上みたいなところにある。最高かよ。

エイドが見えてきて、みんなが上から応援してくれている。元気なところを見せたくて、上りをしっかり走る。「大好きなみんながいて嬉しい〜!」と思った瞬間、手渡される「うまい棒」。今年は感染症予防の観点から飲料の提供ができず、ふるまわれる食料も「うまい棒」と大変ヘルシーな茎わかめのみ。あとストロングゼロを飲んでの応援(笑)。と、と、とにかくみんなに会えて嬉しくて、うまい棒をこれまた一気食い。パサパサと口の中の水分が一瞬でなくなる。カロリー43kcal。ありがとう。ずっとここで喋っていたかったけれど、ゴールが目標だったので、後ろ髪引かれつつ先を急ぐ。

日もすっかり上り、ゴールまであと少し。ちんたら歩こうとすると柴本さんが「あれ、これちょっと間に合わないかも」と言い始めた。なんと! 確かに、間に合うと聞いて、油断して歩いていた…。ということで、急遽走ることに(笑)。

一度歩きを知ってしまった身体はなかなか走ることを許そうとしなかったけど、できる限り走った! なんとか走って最後の「ガス橋エイド」に到着。ここではフルーツポンチを食べ、うんま〜と悶絶。さらには大好きな甘酒もあって、これまた悶絶。Answer4のランニングチームの皆さんが最高に元気を分けてくれて、やる気も元気もフルチャージ! ゴールまであと少し。

ペーサーの太郎さんとは、だんだん兄妹のような雰囲気に。

ゆっくりだけど、着実に足を進める。どんどん増していくチーム感。そういえば昨日からここまで、辛いとかネガティブに感じた時間が一瞬もないかも…。そんなことに気づき始めたところで、タマリバーの終点が近づいてきた。サロ門まであと1kmちょっと。みんな嬉しそうに歩き始めた。

多摩川の景色から一変して海の気配を感じ、目の前には羽田空港が見えはじめた。本当にあと少し。感謝と感動をひしひしと感じる。この景色を見た瞬間の柴本さんの最高の笑顔が今でも忘れられない。

そして、11月29日10:30。全員で手を繋いでゴールテープ(ビニール紐)を切った。ゴール直後にIPAのビールを2本(一気飲み)、マクドナルドでチキンフィレサンドのセットをキメて、私の初めての100マイルは無事に終わった。

復路を共にした最高のチーム

走り終わって感じることは、本当に一瞬も辛い瞬間がなかったこと。とにかく、周りの方に助けられ、支えられ、楽しい時間しかなかった。周りの人に敬意と感謝の気持ちを持って過ごせば、とんでもない幸せを得られることができる。そして、そのエネルギーは周りにも良い影響を与え、すばらしい反応が生まれる。このTDTで一番感じたことでした。

人生で一度しかない初めての100マイルは、楽しくて愛のある仲間に囲まれて過ごす、本当に最高で素敵なものとなりました。TDTに関わるすべてのみなさんには、心からの感謝とリスペクトしかありません。このTDTで感じたこと、経験したことを、自分の人生、家族、仲間やトレランカルチャーにしっかりと還元していきたい。

あくまで、これは私のTDTのドラマであり、今回、参加されたみなさんにもそれぞれのドラマがあったと思います。そしてトレイルランに限らず、それぞれがそれぞれのドラマに敬意を持ち続けることができれば、世界平和だって実は簡単なことなのではないか。大袈裟かもしれないけれど、真剣にそう信じています。

私は昔から自分にとても自信がなく、「私なんかが偉そうに」とこのレポートを書くことを躊躇していましたが、「私だから伝えられること」を伝えたいと、こうして長々と綴らせていただきました。

既にお会いしている方も、これから出会う皆さんにも、良いエネルギーを与えられるような人でありたい。そういう人に、私はなりたい。

完走者全員での記念撮影

完走バックルと友人のエマちゃんが作ってくれた完走祝いのだるまワッペン。一生の宝物。

藤田由香里
藤田由香里
山と道研究所スタッフ。 アパレル業界、一点ものの日傘屋、トレイルランニングショップを経て、2018年より山と道スタッフに。
 キャンプや低山登山が好きだったが、2016年にトレイルランニングに出会い身体と心が自由になる感覚に魅了され、更に山の魅力にどっぷりとはまる。 楽しみながら心も身体も解放したら、仕事も家庭も人生もより豊かで美しいものになる。 笑いながら強くなる。そんな自分だけのスタイルを追い求め、日々爆走中。
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