TAIWAN HIKERS’ HANDBOOK【#1】
台湾ハイキングの概要

INTRODUCTION

台湾は日本からの就航便も多く、最も身近な海外旅行先のひとつとして人気です。旅の目的としてはグルメやショッピング、街歩きといった印象が強いようですが、雄大で豊かな自然が残る台湾の山は、一度知ってしまったら素通りできないような魅力に溢れています。

山と道と台湾の関わりは深く、今年2018年には台北のセレクトショップCOW RECORDS、『山と道JOURNALS』のグラフィックデザインも手がけるRaying Studioと協力して、台北に直営店samplusをオープンさせたほどで(その経緯は『山と道の台湾旅游2018』に綴っております)、より多くの日本人ハイカーが台湾を訪れ、その素晴らしさを体感してほしいと願っています。

そこで今回、山と道ラボ研究員の渡部隆宏を現地に派遣し、実践的な台湾を旅するハイカーのためのハンドブックを作成することとしました。#1となる今回では、まず台湾の山域のスケール感や歴史的経緯、代表的な山々などの概要をお伝えします。

LCCの発達した昨今では、国内旅行よりも安く気軽に行ける場合もある台湾。このハンドブックがよりよいハイキングのきっかけになればと思います。

調査/文:渡部 隆宏

ご注意:本稿はリサーチャーの現地取材と日本で入手できる資料(書籍、WEBサイトなど)や台湾当局とのやりとりをもとに、2018年12月時点の情報としてまとめたものです。可能な限り事実確認を行い、また、台湾現地協力者の監修を受けて作成しましたが、事実と異なる内容が含まれる可能性や、実際に現地にお詳しい方からすると違和感のある内容が含まれている可能性があります。お気づきの点がございましたらご指摘いただければ幸甚です。

地理的アウトライン

  • 南湖大山

台湾は沖縄の南西に位置し、台湾島と周囲の離島からなります。

日本の最西端である与那国島からはわずか約110kmの位置にあり、面積は約36000平方kmと、九州とほぼ同じ大きさです。南北が最大394km、東西が144kmというタテに細長い形状なのも九州に似ています。

台湾島の中央を北回帰線が横断しており、気候は台北などの北部エリアが亜熱帯気候、高雄など南部エリアが熱帯気候となります。日本と同じく環太平洋火山帯に属し、温泉も豊富ですが、台湾の山脈は主に長い年月を経た造山活動によって形成されており、火山は北部や東部、周辺離島などに点在する低山に限られます。

台湾は日本と同じく面積のおよそ7割を標高100m以上の山地が占める「山の国」で、現地では3000m以上の山を「高山」、1000m以上の山を「中級山」、1000m未満の山を「郊山」と呼び区別していますが、驚くべきはそのスケールです。

標高3952mの最高峰・玉山(Yu Shan:読み表記は中国語。以降も同様)や標高3886mの雪山(Xue Shan)をはじめ、3000m以上の高山がなんと270座(総数については諸説あり)に及ぶという、世界でも有数の高山密度を形成しています(ちなみに日本の3000m以上峰は20座あまりです)。

3000m級の山々のうち100座はその高さや美しさなどから「台湾百岳」と呼ばれており、日本の百名山のような位置づけとなっています。また、そのなかでも人気の高い山を「五岳(五嶽)」、槍ヶ岳のように尖った美しい山を「三尖」と呼ぶなど、さまざまな分類がなされています。

●五岳(五嶽):玉山・雪山・秀姑巒山(Xiuguluan Shan)・南湖大山(Nanhuda Shan)・北大武山(Beidawu Shan)をさします。最初の3座は玉山山脈、雪山山脈、中央山脈の最高峰。南湖大山は太魯閣(タロコ)国立公園の盟主的存在で、北大武山は中央山脈最南部の百岳。全土で崇められてきた聖山をバランス良く選んだもののようです

●三尖:中央尖山(Zhongyangjian Shan)、大霸尖山(Dabajian Shan)、達芬尖山(Dafenjian Shan)をさします。その名の通り、尖ったピークを持つ3座が選ばれています。

●十峻:特に険しい10座を選んだもので、玉山東峰、玉山南峰、馬博拉斯山(Mabolasi Shan)、關山(Guan Shan))、奇萊北峰(Qilaibeifeng)、大劍山(Dajian Shan)、品田山(Pintian Shan)、無明山(Wuming Shan)、能高南峰(Neng gao nan Feng)、新康山(Xinkang Shan)が該当します。

  • 雪山
  • 玉山

台湾の山脈について

台湾には大きく5つの山脈があります。台湾島を背骨のように南北に貫く全長340kmの①中央山脈をはじめとして、中央山脈の北西に位置するのが②雪山山脈、その南に台湾最高峰の玉山を擁する③玉山山脈④阿里山山脈、そして東岸に⑤海岸山脈があります。

なかでも①中央山脈、②雪山山脈、③玉山山脈には百岳および3000m峰が集中し、台湾の屋根ともいえる山域を形成しています。一方、④阿里山山脈には3000m以上の山はなく、最高峰は標高2663mの大塔山となり、⑤海岸山脈は主に低山で占められています。

①中央山脈だけでも3000m峰がおよそ180座あり、全長約340kmとジョン・ミューア・トレイルとほぼ同じ全長です。日本の北アルプス、中央アルプス、南アルプスを合わせた距離(約290Km)よりも長く、富士山クラスの高さの山々が連なり雄大な稜線を形作っています。

一方で緯度が低いため、日本の同じような標高の山よりも気象条件は全般に穏やかです。標高3000m以上でも樹林帯が広がる山域もあり、台湾の3000m峰が日本の2000~2500m峰という感じでしょうか。一方で高所ゆえの酸素の薄さやルートの長大さなど、難易度が高い点もあります。

いずれにしても、このような山々の国が日本のほど近く、九州ほどの面積の中に集まっているのは日本のハイカーにとっても大きな魅力ではないでしょうか。

また、台湾では高山ばかりではなく気軽なハイキングも人気です。台北の北部近郊には火山帯を中心とした陽明山国立公園が整備されており、神戸の六甲山のような位置づけで市民に親しまれています。ほかにも映画『千と千尋の神隠し』を彷彿とさせるとして日本人にも人気の観光地「九份」エリアや、台北市街の南に拡がる象山なども豊かな自然のひろがるハイキングスポットとして人出が絶えません。

  • 陽明山国家公園の七星山

台湾の公的統計(国民健康省)によると、台湾の登山人口は年間およそ500万人。総人口の2400万人に対しておよそ2割強が登山を趣味にしていることになります。日本の場合は650万人(『レジャー白書』2016年より)で人口比5%ほどなので、とにかく山が身近にある国といえるでしょう。

簡略版 台湾登山史

もともと台湾には南方系の先住民が暮らしており、その後に中国本土南部からの移民が移り住んできたと考えられています。

17世紀にはオランダに領有され、一時は日本人と中国人のハーフである鄭成功がオランダを追放しますが、その後17世紀後半から19世紀にかけては清、20世紀前半には日本の統治を経て、第二次大戦後は中国から渡ってきた中国国民党の統治を受け「中華民国」となって現在に至ります。

日本統治時代には観光開発と鉄道を中心とした交通インフラの設置が進み、学術的・軍事的な事情から島の探検が進みました。現在は国家公園(日本の国立公園に相当)となっている阿里山や太魯閣といった山岳リゾート、台湾を代表する人気観光地である日月潭なども大正時代から昭和の初期に日本の資本によって開発されたものです。このころ同時に山岳地域の観光開発も進み、1918年には東岸の花蓮と台湾中央の霧社を結ぶ中央山脈横断道路(後の八通関越道路)が建設されています。

日本では山岳信仰と結びつき古くから登山が盛んでしたが、台湾の山岳地域は長らく先住民(台湾では「原住民」と呼ぶ)の支配エリアとなっており、登山の記録はほとんど残されていません。最高峰・玉山の初登頂を果たしたのも中国本土の人ではないかと言われています。

そして日本の敗戦後、台湾の人々を中心としてあらためて登山が盛んとなりました。玉山が冬期初登頂されたのは1959年のこと。1972年には「台湾百岳」が制定され、一般の人々の間でも登山が盛んになっていきます。1990年代以降は多くの台湾人登山家がヒマラヤなどへの遠征を果たすようになりました。

現在は探検的な登山、古道探索など学術的な登山、レクリエーションとしての登山まで楽しみ方も様々に広がっており、山が身近なレジャーとして定着しています。

  • 南湖大山

パーミッション別の山域区分

一口に台湾の山といっても、その範囲は広大です。簡略化のため、今回は、日本のハイカーにとって関心の高い高山(百岳含む)を中心として、パーミッション(入山申請)の共通性という実用面を考慮し、山域を5つに分類してみました。

その前に、日本の国立公園にあたる台湾の「国家公園」についてご説明しなくてはなりません。台湾には7つの国家公園があり、そのうち高山は「玉山国家公園」「雪覇国家公園」「太魯閣(タロコ)国家公園」の3エリアに分布していますが、ここでパーミッションが関係してきます。台湾では3000m以上の高い山や国家公園内の山に登る場合、原則として日本のように勝手に入ることはできず、パーミッションの申請が必要となるのです。

パーミッションは国家公園ごとの申請となりますので、まずは「玉山」「雪覇」「太魯閣」の高山が集まる3大国家公園を区分し、他の山域についてはエリアの共通性で分類しました。その結果は以下通りの5エリアです。

(高山ハイクのための台湾山域区分)
①雪山エリア(国家公園)-百岳のうち19座(下図の紫マーク)
②太魯閣エリア(国家公園)-百岳のうち27座(同赤マーク)
③中央エリア-百岳のうち19座(同黒マーク)
④玉山エリア(国家公園)-百岳のうち30座+湖1箇所(同オレンジマーク)
⑤中央南エリア-百岳のうち5座(同灰色マーク)

上記の山々をグーグルマップ上にプロットしたのがこちらです。


※地図上のマークをクリックすると山名が表示されます。左上のナビゲーションをクリックすると山の一覧が表示されます。通常のGoogleマップ同様、+-ボタンで拡大・縮小も可能です。
※山の後ろにある記号は登山難易度をあらわすグレードという記号です、今後の連載で詳述します。
※玉山エリア(国家公園)の山のうち、南部の公園境界にある山や湖(嘉明湖)は玉山山脈ではなく中央山脈に属します。その意味では玉山に含めるべきかどうか少しややこしいのですが、それらの山へのパーミッション提出先は原則として玉山国家公園(または林務局)となりますので、本稿では玉山に分類しています。

複雑なパーミッション

台湾では、標高1000m以上の中級山に入る際には原則として入山許可証が必要となり、国家公園に入る際にはさらに別の入園許可証が求められます。入山許可証の発行は県(警察)、入園許可証の発行はその国家公園単位となっており、それぞれ別個に取得しなければなりません(申請の順番としては入園許可→入山許可となります)。

百岳の多くは国家公園内にあり、入山者数および山小屋・テント場といった宿泊地のキャパシティも厳しく制約されています。その理由は自然環境保護や登山者の安全確保のためと説明されていますが、外国人からすると少し厳しすぎるように感じます。一説には、日本統治時代に山岳地域に住む先住民との間で紛争が生じ、その管理や治安維持のために山への立ち入りが許可制となった、というような経緯が背景にあるとか。

ともかくも山小屋やテント場の利用そのものが事前申請制であり、空きがなければパーミッションの申請ができないようなシステムとなっているため、希望の日に空きがなければ、日程を変更するかキャンセル待ちをするしかありません。さらにパーミッション申請は入山の○日前まで、というルールがあり、宿泊地に加えてルートも細かく決める必要があります。

地図を見ながらルートを決め、気ままにテントを張って…というわけにはいかないのが、外国人が台湾の高山を旅する際の大きな障壁となっているのです。

パーミッションが不要な山

ここまで読んで「めんどくさいな」と思われた方もいらっしゃると思いますが、パーミッション制度の概要や申請方法については今後の連載で詳しく説明する予定なのでご安心ください。

パーミッションは高山~中級山に登る際のもので、1000m未満の低い山や、山頂を目指さないハイキングコースの場合は申請不要の場合があります。原則として国家公園内の山は入園許可証が必要となりますが、台北近郊の陽明山国家公園内については申請不要です。

ここで、パーミッション不要で登ることのできる代表的な山を挙げてみると、

標高1000m未満の山
:台北近郊の象山や基隆山~九份エリアなど
陽明山国家公園の山
:最高峰は標高1120mの七星山。パーミッション不要。
合歡主峰・合歡東峰・石門山
:山頂付近まで道路が通じており、例外的にパーミッション不要

などがあります。

また、南湖大山(太魯閣国家公園)や大霸尖山(雪覇国家公園)、奇萊南華(林務局管轄)では自由にテント泊をすることができるので、入域申請さえしてしまえばテント場の空き具合を心配する必要はありません。

パーミッションについてはたしかに難しい点もあるものの、実際には上掲のようにパーミッションなし、あるいはテン場の心配なく行けるエリアもあります。

また、台湾の方々はたいへん親切で、国家公園や観光局など、日本語での問い合わせにも丁寧に対応してくれます。まずはトライしてみましょう。

  • 嘉明湖

格安航空をつかえば数万円で行ける台湾。場合によっては国内の登山よりも近く、安く済む場合もあります。それでいて自然の雄大さは感動モノ! この連載を通じて、読者が台湾の山への興味関心を深め、実際に訪れることになればと願ってやみません。

次回は山域ごとの主要なルートやパーミッションの概要についてお伝えします。

台湾旅行に関する基本情報

  • 台北の街並

最後に台湾旅行に関する基本情報を簡単にまとめます。

地理と気候

前述の通り、台湾島は台北などの北部エリアが亜熱帯、高雄、台南といった南部エリアは熱帯に属します。東京との比較は以下の通りです(ちなみに花蓮は東部、恒春は最南端の都市です。山岳地域の代表として、玉山国家公園の気候も加えました)。

年間を通じて暖かく、都市部はおおむね冬でも摂氏20度以上になります。ハイキングもふまえたベストシーズンは天候の安定する4月、10~11月はじめ頃で、5月から9月は降水量が多く、梅雨と台風のシーズンとなります。

山岳地域、特に標高3000m以上の地点は緯度・山域にもよりますが11月以降は摂氏5度以下、1~2月には氷点下となり、降雪もあります。玉山や雪山は1月から3月頃まで積雪期にあたり、入山には雪山装備や冬登山の経験が必要となります。

以下のリンクは国家公園の天気予報ですのでご参照くさい。

台湾交通部気象局

ビザ、言語、通貨

観光目的の場合、90日以内の滞在はビザ免除となります。基本的には治安のよい国ですが、渡航前に安全情報を確認しておくと良いでしょう。

外務省:海外安全ホームページ:台湾

台湾の公用語は一般に北京語・普通話と呼ばれる中国語です。表記は中国本土で使われている簡体字ではなく、香港などでも使われる繁体字となります。都市部では英語の通用度もかなり高く、日本語の学習者も多いため、それほどコミュニケーションに不自由することはないと思います。

通貨は台湾ドル(台湾元)、単位は元(Yuan)。レートはおおむね安定的で、1台湾ドル=3.7円ほど(18年12月現在)。だいたい4円と考えておけば使いすぎず済みます。

物価は日本よりおおむね安く、特に食費や交通費が安いのは旅行者にとってうれしいところです。台北でのタクシー初乗りが70元、地下鉄初乗りが20元(いずれも18年12月現在)、ホテルはピンキリですが、台北駅近くの個室ホステルで一泊500元程度のものもあります。

両替は日本国内よりも台湾に着いてからがレート的に有利です。クレジットカードでの海外キャッシングが便利でお勧めです。なおチップの習慣はありません。

日本からの行き方

日本からの航空便は格安航空(LCC)含め選択肢は豊富で、日本の各地方都市からも容易に行くことができます。価格・フライト時間などの検索にはさまざまなサイトがありますが、SkyScannerは使い勝手が良く便利です。

一般的には台北(桃園空港、松山空港)が玄関となりますが、高雄、台中、台南、台東といった地方都市にも空港があります。高雄や台中は台北よりも国家公園に近い場合があり、うまく利用できれば便利です。

2名以上での渡航であればパッケージツアーがお得な場合も多いようです。台北の場合は2泊3日程度のプランが多くなっていますが、山に行くにはもう少し余裕がほしいところ。延泊オプションが選べる場合もありますので、旅行会社のサイトなどで掘り出しものを探してみるとよいでしょう。

交通機関について

台湾ではグーグルマップのナビゲーションが活用できます。移動手段や時間など、まずはグーグルマップで調べてみるとよいでしょう。

都市間の公共交通機関としては、大きく分けて高速バス、路線バス、高速鉄道(台湾新幹線)、鉄道在来線の3種類があります。

台湾の高速バスは「国光客運」「統聯客運」などの会社がサービス競争をくりひろげており、いずれも豪華な巨大シートで乗り心地も快適。料金も日本の感覚からすると驚くほど安い水準です。

台湾の鉄道は海岸部を一周するようなルートとなっており、中央の山岳地域に向かうにはバスが主要な手段となります。

台湾島の西部を移動するには日本の新幹線のような高速鉄道がおすすめです。
高速鉄道は台湾島の西側を南北に結んでおり、台北から南部の高雄・新左営駅まで2時間ほど。旅行者はお得な周遊パスを購入することもできます。

台湾高鉄

日本でも同様ですが、登山口まで公共交通だけですんなりたどりつける山は限られています。場合によってはタクシーのチャーターやレンタカーの利用を検討した方がよいでしょう。タクシーのチャーターは、エリアにもよるものの日本から予約していった場合8時間で4000元ほど。検索するとさまざまな旅行代理店がヒットします。

レンタカーの相場は小型車で一日1500元くらいから。台湾の高速道路は全線ETC化されており、料金も数百km乗って千円に届かないなど格安です。レンタカー会社の検索も上掲のSkyScannerが便利です。

なお台湾では国際免許証で自動車を運転することができません。最寄りのJAFで免許証を中国語に翻訳してもらう必要があります。

台湾で自動車を運転される方へ(JAF)

市内交通としては地下鉄(台北、高雄)、路線バス、タクシーなどがあります。台北には悠悠卡、高雄には一通卡という日本のSUICAのようなプリペイドICカードがあり、小銭を用意する必要が無いので便利です。台湾の地下鉄では一切の飲食が禁止なので注意しましょう。

市内には流しのタクシーが走っており、「出租汽車」「計程車」などと表示されています。メーター制で、安心して利用できます。

このほかシェアサイクルなども普及しており、外国人でも利用できます。

宿泊について

ラグジュアリーホテルから昔ながらのホテル、ゲストハウスまで選択肢は豊富で、価格も海外の同規模・同ブランドの施設に比べておおむねリーズナブルといえます。

最近は古い建物をリノベーションしたデザインホテル顔負けのスタイリッシュな物件も増えています。値段はもちろんピンキリですが、個室が500元くらいから見つかります。

台風シーズンとなる6月頃からはホテルのレートが安くなりますが、飛行機が欠航になるなどの天候リスクもあります。また、2月の春節時期に重なると大陸からの観光客で混み合うため、避けた方が無難でしょう(春節は台湾も盛り上がりますので、それはそれで一見の価値はあります)。

登山口付近や山麓にあるような宿については電話でしか予約を受け付けていない場合もあります。ダメ元で日本語や英語で電話してみるとなんとかなる、かもしれません。

ネットと通信事情

SIMフリーのスマートフォンがあれば現地でSIMを調達できます。空港出口のカウンターや空港内のコンビニでも外国人向けにデータSIMを売っています。

しかしLCCなどはコンビニが閉まっている時間に到着することもあり、日本でamazonなどから台湾で利用可能なSIMを事前に購入していった方がスムーズでしょう。機内でSIMを入れ替えておけば現地に到着してすぐに使うことができます。4G(LTE)の一週間データ無制限SIMが1000円ほどからと価格も手ごろです。

空港ではWiFiルーターのレンタルも可能で、日本国内で借りるより値段もお得です。

街なかのWiFi事情は日本よりもおおむね良好で、ホテルはもちろんショッピングセンターやレストラン、カフェなど多くの場所でWiFiが提供されています。日本と同じく、セブンイレブンなどコンビニでもWiFiが利用できます。

地図と山道具の入手

台湾の登山地図は現地の上河文化出版社から販売されていますが、日本での入手は困難です。現地のアウトドアショップでさえ欠品していることが少なくありません。

しかしiOS版の地図アプリが同社から発売されているため、iPhone、iPad利用者の方であればアップルストアからアプリをダウンロードすることができます。内容は紙で出版されている登山地図と同じで、GPSと連動し現在地がわかるなど、スマートフォンならではの機能も付加されています。日本国内で登山計画をたてるにはこのアプリの利用がほぼ必須といえます。

百岳地図2016App系列 / 上河文化出版

ラインナップは以下の通りで、紙で出版されている地図はすべてアプリ化されています。

台灣百岳全圖、玉山群峰、郡大‧西巒大、聖稜Y型縱走、雪山西‧南稜、白姑大山、北一段縱走、北二段縱走、合歡‧奇萊、太魯閣山列、能高越嶺、能高安東軍、干卓萬群峰、七彩湖・六順山、丹大・東郡、馬博拉斯橫斷、南二段縱走、新康橫斷、南一段縱走、北大武山

最後に、台北のアウトドアショップについて。

台北駅からほど近く、中山北路一段のあたり(東京でいうと八重洲にあたるような一等地)に数店のアウトドアショップが集中しており、衣類やグッズ、地図や書籍、携行食やガス缶などの消耗品まで必要なものを揃えることができます。駅を経由してホテルに行くなら、チェックイン前に必要な装備をそろえてしまうとよいでしょう。

参考資料
・「台灣百岳導遊圖」/上河文化股份有限公司
・「植民地台湾と近代ツーリズム」/曽山毅
・「山と雲と蕃人と」/鹿野忠雄
・「原來百岳離我們這麼近」/黃政豪
・「台湾山岳」137号(2018 04-05)
・「台北低山散歩」/庄司雅昭

臺灣內政部營建署 臺灣百年登山史
台湾の山について
ホーボージュン アジア放浪3カ国目 台湾

他、台湾観光局、国家公園、各種登山記、ブログなどを参考とさせていただきました。

【#2「代表的な山とルート」に続きます】

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  • 渡部 隆宏

    渡部 隆宏

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    デザイン会社などを経て、マーケティング会社の設立に参画。 現在も各種リサーチやデータ解析などを手がける。 2012年より旅行情報サイトの運営(tabinote.jp)を開始、ガイド記事の執筆や一般誌への寄稿など、旅に関する仕事も行っている。 山は0泊2日くらいで長く歩くのが好き。たまにトレイルレースにも参加している。

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