



100% Merino Light Kangaroo Pocket
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151g
¥10,450(税込)
はじめに
腹部を暖める100%メリノ
化学繊維が混合されていない100%メリノウールの優れた調温・調湿機能と天然の強力な消臭作用がハイキングを快適にします。
日本の毛織物産地である尾州で開発したオリジナル生地を、2021年モデルよりさらに洗濯耐久性と防縮性を高めてアップデートしました。
リラックスしたワイドフィットと地図や手ぬぐいを入れることで腹部の保温力を高めるカンガルーポケットが唯一無二の魅力を持つ100%メリノウールTシャツです。
山と道メリノウールをリニューアル
長距離ハイキングや長旅での使い勝手を考慮し、2021年モデルからより洗濯耐久性を高め乾燥機の使用も可能*となった新しい生地にリニューアルしました。
*低温設定のみ。詳細は「製品ケアについて」をご確認ください。
そのため、平均生地重量140-145g/m²だった従来のLight Merino生地と比べ重量165-170g/m²と若干厚手となり、保温性も増しましたが、メリノウールならではの快適な着心地を保ちつつ急激な天候の変化にも対応する、山を旅する人のための素材としてより進化しました。
カラーバリエーション
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Blue
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Charcoal Marl
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Blue Gray
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Pale Yellow
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Gray Marl
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Navy
スペック
Made in Akita, Japan
Material:
100% Merino Wool 165-170g/㎡
Weight:
151g (Size XS)
165g (Size S)
177g (Size M)
192g (Size L)
210g (Size XL)
Size:
UNISEX | XS / S / M / L / XL
制作ノート
新しいメリノウールの良し悪し
夏目彰(山と道)
今回新しく山と道のメリノウールを「100% Merino / 100% Merino Light」と製品名を変えたのは、生地が変わったことによって、良くも悪くもこれまでとは少し異なった製品となったからだ。僕たちが新しいメリノウールを作った理由と、その良し悪しについて自分が感じていることなどをお伝えしたい。
なぜ、新しい生地をつくりたいと考えたのか? 前回のLight Merinoは量産生地のクオリティコントロールが難しかったり、洗濯で大きく縮んでしまう個体があったり、着続けていると生地の弱い箇所に小さな穴が開きやすいなど、長いハイクで安心して着るには少しデリケートに感じていた。そこで、軽さと強度を出すことに集中した物作りから、もっとラフに使えるメリノウールを作りたいと願った。そしてさらに僕が目指していたのは、耐久性が高く、そして乾燥機にかけられるメリノウールの開発だった。
つづきを読む
なぜ乾燥機なのか? 以前、ニュージーランドで少し長いハイキングを終えて町に降りてきたときに、ホステルに備え付けのランドリーの洗濯機が乾燥機と一体型のものしかなく、洗い終えたときに小さく縮んでしまったことがあったのだ。もしかしたら、同じような体験をしたお客様もいるかもしれない。旅先で縮んでしまったメリノウールを手にする悲しみは2度と体験したくない。
何度も試作反を作り、試行錯誤のすえにようやく低温乾燥機をかけても寸法変化が少ない生地を作ることができた。生地を厚くしたことで耐久性も高くなり、旅先でも安心して着れるメリノウールが出来たと思っている。寒暖差の激しい山では活躍してくれることだろう。
しかし、以前のライトメリノのような軽やかさが無くなったことは正直、残念と感じている。大汗をかいて服がびしょ濡れになると、前よりもごわつき、乾きにくい。そして、暖かい季節に低山を行動するには少し暑く感じる。また、沢山の衣類といっしょに洗って乾燥機で乾燥させると、生地と生地が絡まってシワになりやすいという問題もある。
これらはメリノウール全般にある問題で、化繊素材を使えばその問題はある程度解決できる。それでもメリノウールの優れた利点を考えるとトレードオフとしてこれらの問題を理解して使うしかないのか、それともどうにか解決に向けて研究と開発を続けていくのか…。まだまだ解決していきたいことは沢山ある。なかなか全てにおいてパーフェクトにはたどり着かないのが物作りの旅なのだ。
僕たちはベースレイヤーの研究を進めるうちに、メリノウールの良さはもちろん、最近では化繊の良さにも気づきはじめた。どちらも一長一短で、使うシチュエーションや期間、季節などでその良し悪しはだいぶ異なってくる。今後はよりある機能に特化した製品を作るために、山と道でも一部化繊を使ったベースレイヤーの開発も進めている。今回名前に「100%」と付けたのは、これから化繊混合の製品を出していくからそれと差別化したかったことと、欠点もあるけれど、メリノウールに対する僕の愛は本物なので、100%へのこだわりを名前にしたかった。それはイコール、良いところはすごく良いけれど、同時に100%メリノならではの欠点もあるよということでもある。
僕は以前のメリノウール製品の制作ノートのはじめに、このようにメリノウール100%への愛を書いた。
数多くの素晴らしい山の道具との出会いのなかでも、メリノウールは格別だったように思う。
汗をかいても臭くならず、呼吸しているかのように湿気を吸って衣服内を快適に保ってくれ、雨に濡れても体温を保ってくれる。天然の素晴らしい機能を持つメリノウールは、山の旅を格別なものに変えてくれる。
山を長く旅をしていると、自分の身体も自然の一部であるということに気づいてくる。身体という小さな自然と、山という大きな自然が繋がっていくような感覚。
山の奥深くに入り、歩き、走り、たくさんの汗をかき、眠り、また起きて、歩きだす。その間、ずっと着続けることのできるメリノウールは、身体と山を繋いでくれる大事な道具であり、だからこそ、僕は100%のメリノウールにこだわってきた。
この気持ちは今も変わらない。
最後に、生地作りの実務を担ってくれた山と道ラボの松本りんにも開発の経緯を寄稿してもらったのでご紹介したい。僕たちの物づくりの旅はまだまだ続いていく。(2021年7月)
『100% Merino Lightができるまで』
松本りん(山と道ラボ)
新素材100% Merino Lightが完成するまでに山と道ラボでは数々のテストや検証を重ねてきた。
これまで展開してきた山と道Light Merinoは、軽さと、ウールらしい柔らかさとナチュラルな着心地が魅力だった。さらに、2本の糸を撚り合わせた「双糸」を採用することで、製品ページにも掲載していた通り、検査機関でのテストでは化繊ニットと対等の生地強度(引張強度)を実現できた。その一方で、多くのお客様に着用いただく中で「洗濯耐性と縮み」「糸切れ」という大きな課題が浮上した。洗濯に気を使うことなく、もっとラフに扱えるメリノウール素材を目指すという目標を設定し、開発がスタートした。
より良いクオリティの素材にアップデートするため、山と道のメリノニット素材の生産を手がけていただいている尾州(愛知県尾張西部と岐阜県西濃にまたがる地域)の開発生産チームの皆さんと議論を重ね、課題の共有と解決策を練っていった。尾州は世界有数の毛織物の産地で、産地内の紡績会社や生地工場、染色加工工場、検査機関からウールのプロフェッショナルが集結し、それぞれ専門の立場からの知見やアイデアを持ち寄って開発に協力してくださっている。
今まで数々作ってきた試作や他社のメリノ製品などの分析や比較を行う中で、山と道が過去に展開していたニュージーランド生産のメリノウールに再注目した。スタッフやお客様が数年にわたり着用し続けても生地がへたらず、糸切れによる穴が開くこともなく、フライス(首回りや袖口、裾のリブ等に使われる伸縮性のある素材)が伸び切ってしまうこともない安定したクオリティを保っており、素材としての完成度、バランスの良さ、タフさを改めて評価した。そこでニュージーランドのメリノウールの糸の番手や編み密度などの構造を把握するため改めて分析を行ない、そのクオリティの理由を探っていった。
ニュージーランドのメリノウールは1本の糸からなる「単糸」で生産されていた。「単糸」と「双糸」はそれぞれの特性があり、開発において何を優先していきたいかによって選択が変わってくる。
これまで展開してきた山と道Light Merinoは生地強度(引張強度)を高めるために「双糸」を選択した。今回の開発は、ニュージーランドのメリノウールの生地規格をベースに構築していくことにし、「単糸」を選択した。
今まで採用していた「双糸」は細い2本の糸を撚り合わせて1本の糸にしているのだが、天然繊維の糸というのは拡大して見るとスラブ状に太い箇所と細い箇所が存在し、撚り合わせの過程で元の2本の糸それぞれの細い部分同士が撚り合わさると、糸に弱い部分ができてしまい、糸切れの原因になっていた。「単糸」もスラブ状になっているのだが、今回の開発では撚糸工程を見直すことで糸の太さがなるべく均一に仕上がるようにした。
大きな課題である「洗濯耐性と縮み」に対しては、洗濯による縮みを最小限にすることと、乾燥機を使用できるようにすることを目標とした。市場のほとんどのメリノウール製品は乾燥機NGにしていて、実際に他社のメリノウール製品を乾燥機でテストしてみると、サイズ感が変わるほど大きく縮んでしまい、これはかなり難しい課題だと改めて感じた。
尾州から開発試作が上がってきたが、その仕上がりは風合いが硬く、今までのソフトな着心地を感じられなかった。洗濯縮率を確認するため早速洗ってみると縮率はある程度改善されていたが、まだ改良の余地がある数値だった。乾燥機を使用してどうなるのか低温乾燥設定で検証してみると、リニューアル前の山と道Light Merinoは、乾燥機にかけると所々シュリンクしたような変形が見られ縮みも大きかったが、開発試作は外観変化は起きず、乾燥機にかけたことにより、風合いがソフトになって膨らみ感が増した。この風合いであれば着心地も良くなりそうと希望が見えてきた。縮みも、乾燥機にかけた1回目はそれなりに縮むが、1度縮んでしまうとその後繰り返し乾燥機にかけてもそれ以上縮まないことがわかった。
この検証結果を尾州の開発チームと共有し、タンブラー乾燥を加工に組み込んで試作してみることにした。通常ウールニットの仕上げ加工では行われないタンブラー乾燥を加工工程に組み込むことで、生地の硬さがほぐれてソフトな風合いになり、生地が締まることで、洗濯による縮率を安定させることができる。タンブラー乾燥の効果を最大限にするため、本来はドライ状態でタンブラーする所をウェットな状態でタンブラーを入れる工程を組んだり、タンブラー乾燥の時間を通常よりも長く設定したりと、加工場で専門的な調整・工夫をしていただき、加工効率は度外視で工程を組んでいただいたとか。
タンブラー乾燥を加工工程に組み込んだ試作が上がってきた。狙い通り柔らかな風合いになり、縮率も安定した。低温乾燥設定での乾燥機使用後も外観変化も起きず、縮みも小さいという優秀な結果だった。
だが、加工工程でのタンブラー乾燥で生地が事前に縮むことで、家庭洗濯時には安定した縮率になるのだが、タンブラー乾燥で生地が縮むことで、予想よりも生地の重量が増してしまった。タンブラー乾燥で重くなってしまうことを見越して糸をより細いものにするか、編み密度を緩めて軽くするかなど考えたが、様々なバランスを調整した結果、縮率が安定して乾燥機にもかけられるクオリティに辿りついているので、どこかを変更すると全てのバランスが崩れてゼロからの出直しになってしまう。
リニューアル前と新開発のメリノとの比較も行なった。重量は重くなり、「双糸」を「単糸」にしたことで引張強度は少し下がった。生地が締まったことで、通気性は下がりその分保温性は上がった。
軽量性や通気性はリニューアル前のメリノが勝るため、夏や暑い時期の低山では、リニューアル前のメリノの方が快適かもしれない。だけど、昼夜の気温差が激しい夏の高山や、肌寒い時期の山行では、新開発のメリノの方が保温性に優れ、メリノの特性である調温調湿性も実感しやすいはず。さらに、洗濯での縮みも小さく、乾燥機にもかけられる。
乾燥機にかけられると大々的に言えるかどうか、実際に新開発メリノで製品サンプルを作って、検査機関で洗濯と乾燥機での低温乾燥を30回繰り返した。結果、縮率は安定しており、風合いは柔らかさを保ち、むしろ毛羽が削げ落ちて滑らかなタッチになったように感じた。洗濯の専門家の方にもテスト結果とサンプル製品をお送りし、実際に洗ってもらって確認をいただき、お墨付きを得た。ただし、乾燥機にかけると自然乾燥と比べて少なからず製品に負荷がかかるため、多用しすぎると製品寿命を縮めてしまう恐れがあるということも付記すべきとの助言もいただいた。また、テスト過程で、複数の洗濯物と同時に乾燥機にかけたとき、強めのシワがついてしまうことがわかった。特にロングスリーブは袖同士が絡まりあったまま乾燥し、シワがつきやすい。洗濯の専門家の方からは、なるべく単体で乾燥機にかけるとシワになりにくいという助言をいただいた。
ひとつ問題をクリアすると新たな問題が現れるのが開発の常だと思う。パーフェクトな素材を目指したいが、すべてにおいてバランスの取れた生地を作るのは難しい。すべてにおいてバランスがいいものは平均点はクリアできるが突き抜けた個性は出しづらい。
生地の中でも天然繊維、ウールという素材は電化製品やプラスチック成形のように決まった規格を同じように量産できるものではなく、そもそも繊維の長さや太さにもばらつきがあるし、繊維の縮れ方も一定ではない。サンプルで繰り返しテストしてOKを出しても、量産で同じようにいくとは限らず、想定していなかったトラブルが起こることも多々ある。化繊をブレンドすればもっとスムーズに生産できるかもしれないと思うこともあるが、100% Merino ならではの価値を感じるからこだわり続けるのだと思う。
メリノ天竺の開発と平行して、メリノフライスもリニューアルした。フライスは伸縮性が重要で、伸びたり縮んだりを繰り返す動作に対しての耐久性を重視していて、化繊混の試作も同時に進めていたが、結果的にはメリノ100%のフライスで進行することになった。
数々の試作・テスト・検証・打ち合わせを繰り返して、ようやく乾燥機にかけられる100% Merino Light が誕生した。これがゴールではなく、まだまだ解決すべき課題はたくさんある。より良いクオリティを目指して次なる開発がもう始まっている。
機能とデザイン
100% Merino Lightの位置付け
速乾性は化学繊維のベースレイヤーに劣りますが、そのぶん汗の蒸発の気化熱による冷えが少なく、雨等の濡れによる体温低下のリスクが低い素材で、速乾性よりも吸湿性、冷却性よりも保温性を重視した性格を持ちます。
次のような状況におすすめ
寒暖差が大きい
ウールには衣類内の温度を一定に保つ性質があり、寒暖差が激しい状況でも衣類内環境を快適に保ちます。
上にシェルを着用する
吸湿性が低い化学繊維のベースレイヤーはシェルの内側では速乾性が十分に発揮されずにムレやすくなりますが、吸湿性が高い山と道の100%メリノウールはウェア内の湿度を適切に保つ性質があり、風雨のため上にシェルを着用する場合もムレにくいです。
行動時間が長い
化学繊維はたとえ抗菌防臭加工を施しても汗をかいて数時間後には匂いが気になり、乾いても翌日も着続けることには抵抗感がありますが、ウールは非常に強力な天然の消臭機能を持ち、大量に発汗しても乾けば匂いがほぼなくなり、翌日以降も比較的快適に着用することができます(参照:山と道ラボ レインウェア編#8)。また山と道の100%メリノウールは乾燥機(低温設定)の使用にも対応しているため、長旅にも最適です。
荷物を減らしたい
以上のように1枚で幅広い環境変化に対応し、臭いの問題が少なく長時間の着用が可能なため、着替えを減らして荷物を少なくできます。
山と道ラボ ベースレイヤー編
ベースレイヤーについてはJOURNALSでの連載『山と道ラボ ベースレイヤー編』において、ハイカーズデポの土屋智哉さんとRun boys! Run girls!の桑原慶さんをお招きしての鼎談からその発展の歴史、天然素材や化学繊維の相違を浮き彫りにした様々な試験とそれを踏まえた各ベースレイヤー素材の総合的評価、また注目製品の実着レビューまで徹底的に深掘りしました。一部難解な内容も含みますが、現在のベースレイヤーを取り巻く状況を理解するための資料としてぜひご活用いただければ幸いです。
強力な天然の消臭機能
メリノウールは「1週間着続けても匂わない」と言われるほど高い消臭機能を持ちます。化学繊維のなかには消臭機能を施されたものもありますが、実際の性能は天然の100%メリノウールが圧倒的に優れています。
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その消臭メカニズムについては未だ多くの謎が残されており、一説には、ウールは臭気成分の吸着量が極めて多く、繊維内に人間の嗅覚に届かないレベルで取り込まれるとも言われていますが、山と道としても今後独自の実験と検証を行っていく予定です。
夏涼しく冬暖かい、天然の調湿機能
メリノウールは「天然のエアコン」とも言われるように、衣類内の温度や湿度をコントロールし快適な着心地を作り出します。
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暑いときには涼しくなり、寒いときには暖かくなるこの相反する特性は、ウールの「クリンプ」と呼ばれる繊維の縮れが生地内部に空気層を作ることで高い通気性と透湿性を保つことと、「コルテックス」と呼ばれる繊維の皮質部が取り込む吸湿量が外気の湿度に合わせて変化し、湿度が高くなればなるほど多量の湿気を吸湿することに起因します。
「クリンプ」が作る繊維内部の空気層はダウンや化繊綿と同様にロフトとして熱を保ち、同重量のコットンや化学繊維に比べて保温性に優れます。
濡れても暖かく、低体温症を防ぐ
ウールは濡れると「吸着熱」を発します。熱伝導率が低いため体温が奪われにくく、濡れても糸に弾力性があり、潰れずに繊維間の空気を保持するので保温性を失いません。さらに繊維内部に吸水する性質があり、肌面から水分を吸い上げドライな着心地が続き、肌まで濡れるような悪天候時でも行動中は暖かさを感じます。
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繊維は湿気を吸収すると「吸着熱」と呼ばれる熱を発生しますが、ウールはコットンの2.5倍、ポリエステルの20倍もの熱を発生させます。
タンブラー乾燥機が使える100%メリノ
縮みや変形が起きるため多くのメリノウール製品は乾燥機の使用を禁止していますが、山と道独自開発の100%メリノウールは、低温設定(上限60℃)であればタンブラー式の乾燥機を使用できる*寸法安定性を実現しました。
これにより、旅先のランドリーやホテルでも乾燥機を利用できるようになり、より長距離ハイキングや旅行に適した服になりました。
*乾燥機の使用により若干の収縮が生じる場合もありますが、着用するうちに元の寸法に戻ります。乾燥機の多用は製品劣化に繋がりますので、必要な場合のみのご使用をおすすめします。
腹部を保温するためのカンガルーポケット
ハイキング中に腹部や内臓を冷やしてしまうと、最悪の場合、行動不能状態に陥ることもあります。
100% Merino Light Kangaroo Pocketの最大の特徴であるカンガルーポケットには手ぬぐいや着替え、地図等を入れることで腹部の保温性や防風性を高めることができます。
各部のディティール
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衿ぐりはフライスW付け始末ですっきりとした仕上がりです。
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首周りは両肩から首後ろまでテープ処理を施したタコバインダー始末で補強しています。
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裾は後ろ身頃を長く取り、バックパックを背負った際にめくれ上がったり、屈んだ際に腰が出にくくしました。
素材
より耐久性と安定性を高めた日本製のメリノウール
2本の糸をよりあわせた「双糸」を使用した以前の山と道Light Merinoは軽く柔らかな着心地と引っ張りに強いという特長がありましたが、一方で洗濯耐性や縮み、糸切れ等が課題でした。
そこで、新たなオリジナル生地では過去に採用していたニュージーランド・メリノウールの原点に立ち返って糸や編み地の構造分析を行い、上記の問題をクリアするため1本の糸からなる「単糸」で製造しました。さらに仕上げ加工の工程に通常は行われないタンブラー乾燥を組み込むことで、生地が引き締まりながらも膨らみのある風合いになり、乾燥機(低温設定のみ)の使用が可能な寸法安定性とソフトな着心地を実現しました。
生産は日本の毛織物産地・尾州で行ない、紡績会社や生地工場、染色加工工場、検査機関と連携し、日々より良いものを作るべく試作と研究を続けています。
Material:
100% Merino Wool 165-170g/m²
1/52
Spec:
破裂 JIS L 1096 A(自社試験)
307kPa
保温 JIS L 1096 A(自社試験)
21.0%
なぜ100%メリノウール?
メリノウールは優れた調温・調湿機能と天然の消臭作用など、ハイキング用行動着として素晴らしい性質を持ちつつも、天然繊維ゆえの歪みや縮みが起きやすいことや耐久性の低さなど、軽視できない弱点も持っています。
この弱点を補うため、現在の多くのアウトドア用メリノウール生地は数パーセントから数十パーセントの化学繊維を混合して作られていますが、山と道は一貫して「100%メリノウール」にこだわったメリノウールの生地開発を行なっています。
これは、ひとえに私たちがその弱点を補ってあまりある利点と魅力をメリノウールに感じているからですが、独自試験の結果からも、その利点である調温・調湿機能などメリノウールの素晴らしい機能性が、化学繊維との混合率に応じて相対的に減ってしまうことが明らかになっています。
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上は蒸し暑い環境(気温30度・湿度90%)と、快適な湿度の環境(気温20度・湿度65%)のそれぞれで、繊維が含む水分率を比較した図表です。
蒸し暑い環境では繊維がより多くの水分を含む方がサラッとした着心地につながり、一方湿度が低い場合は過度に水分を吸いすぎない方が潤いを保ってくれます。この両者の水分率差は環境に応じて衣類内を調湿する性能を表しており、快適性に繋がることが実証されています。
水分率差6.8%の100%メリノウール生地は蒸し暑い環境で衣類内をドライに保ち、湿度が低ければ適度な水分率を保ちます。このことが、メリノウールが「天然のエアコン」とも言われる所以になっています。
メリノウールについて
ウールは調温調湿性、保温性、消臭性など、羊が過酷な自然環境を生き抜くために身につけてきた多種多様な特性を備えた天然繊維です。
なかでもメリノ種の羊から取れるメリノウールは、繊維が一般的なウールよりも細く柔らかいためチクチクせず、肌着としても着用できることに大きな特徴があります。
ウール/メリノウールは、夏は涼しく、冬は暖かく、水や雨に濡れても体が冷え難く、長時間着用を続けても臭いが気にならないなど、自然の中で行動するハイカーが必要な機能を多く兼ね備えた素材です。
ウールの構造
ウールの繊維は、人の髪の毛や皮膚と同じアミノ酸からなるタンパク質を成分とし、人間の髪の毛の表面のキューティクルと同様にウロコ状になった「スケール」という表皮と、「コルテックス」という皮質部から成っています。
「コルテックス」は、オルソ・コルテックスとパラ・コルテックスというそれぞれ吸湿性が異なる皮質が組み合わさった構造からなり、性質の違う皮質が組み合わされることで、ウール繊維は「クリンプ」と呼ばれる縮れた形状になっています。
この構造が、後述するウールの持つ優れた調温調湿性や保温性、汗冷えのしにくさなど、様々な特性を生んでいます。
ウールのデメリット
優れた特性と機能を持つメリノウールですが、もちろん欠点もあります。どうぞメリット/デメリットをご理解の上ご着用ください。
- 水を吸って重くなる
含水率が高いウールは生地中に多くの水分を吸収できるため、化繊に比べると乾くまでに時間がかかります。ただし、速乾性の高い繊維は水分蒸発と共に気化熱が生まれ、体温をも素早く奪ってしまうリスクがあります。また速乾性に関しても、同じ生地厚であればコットンより早く乾燥します。
- 虫に食われやすい
ウールやカシミヤ、シルクなどのやわらかい動物性繊維は、衣類害虫に最も好まれます。
- 擦れて穴が開きやすい
ウールは繊維長が短いため、擦れると繊維が抜けやすく、化繊や綿素材と比べて比較的生地が痩せて穴が開きやすい素材です。
- 縮みやすい
洗濯で縮みやすい特徴を持つウールは、縮みにくくする加工を施したウォッシャブルウールであっても、多少の縮みはどうしても生じてしまいます。洗濯直後は広げて形を整えてから干し、軽くアイロンで伸ばすなどのケアをしていただくと、縮みを軽減させることができます。
- 斜行による歪みが生じやすい
ニット素材の特性上、洗濯すると糸の繊維が膨潤して撚りと逆方向に戻ろうとする力が生じ、生地が斜め方向に変形していくことがあります。これにより、製品の形状に歪みが発生する場合があります。
- ウール独特のにおいがする
動物繊維の特性上、洗濯時の脱水後など湿った状態で独特のにおいを感じる場合がありますが、乾燥後はにおわなくなります。
本稿は繊維加工会社・試験機関への取材と参考文献を元に編纂しました。
参考文献:『羊毛の構造と物性』日本羊毛産業協会編 繊維社刊
サイズについて詳しく
推奨サイズ/Recommended Size
Size | XS | S | M | L | XL |
---|---|---|---|---|---|
体重/Weight kg |
42~53 | 51~61 | 59~69 | 67~78 | 76~85 |
胸囲/Chest cm |
78~84 | 80~88 | 84~95 | 92~102 | 100~110 |
製品サイズ/Product Size
単位:cm
Size | XS | S | M | L | XL |
---|---|---|---|---|---|
着丈/Length | 65 | 68.5 | 71.5 | 73.5 | 75.5 |
肩巾/Shoulder Width | 37.5 | 40.5 | 42.5 | 45.5 | 48.5 |
身巾/Body Width | 46 | 51 | 53.5 | 57.5 | 61.5 |
裾巾/Hem Width | 45 | 50 | 52.5 | 56.5 | 60.5 |
袖丈/Sleeve Length | 20.5 | 22 | 23 | 24 | 25 |
袖口巾/Sleeve Opening | 16 | 17 | 17.5 | 18.5 | 19 |
素材特性上、数回の洗濯後におおよそ縦に1.5cm、横に1cmほど縮みますが、製品は洗濯後の生地収縮を計算したサイズに仕上げています。
※上記のサイズは製品ご購入時の未洗濯状態の数値です。
※伸縮性のあるニット素材の特性上、製品の寸法に多少の個体差があります。
※素材の特性上、収縮率に若干の個体差があります。洗濯機の種類やコース設定などの違いでも収縮率が変わる場合があります。
※低温設定での乾燥機の使用で自然乾燥時よりも縮む場合がありますが、着用しているうちに伸びて元に戻ります。
※洗濯乾燥後に縮みが気になる場合は、伸ばしながら蒸気アイロンをかけることで改善できます。
-
山と道の100% Merino Lightシリーズにはワイドフィット/スタンダードフィット/スリムフィットがあり、100% Merino Light Kangaroo Pocketはワイドフィットです。
サポート
100% Merino Lightの親水性仕上げについて
多くのメリノウール生地には製造段階で撥水性の仕上げが施されていますが、100% Merino Lightはより素早く汗を吸い上げるよう、親水性仕上げを施してあります。
ただ、2021年モデルでは生産過程で編み効率を上げるために糸に付与したワックスが加工段階での洗濯によって落ちるはずが、製品カラーによっては溶けきれずに残っており、未洗濯状態では親水加工が働かずに水を弾いてしまう場合があります。
購入時に十分に親水性仕上げが働かない場合も、ご家庭で2ー3回洗濯を繰り返していただけば、残留していたワックスが落ちて素早く吸水するようになります。
製品カラーによる吸水性の違い
- Gray Marl 未洗濯状態で素早く吸水する。
- Charcoal Marl 未洗濯状態では30秒から1分かけて吸水する。1ー2回の洗濯後に素早く吸水するようになる。
- Blue、Pale Yellow、Blue Gray、Navy 未洗濯状態では水分を弾くが2ー3回洗濯後に素早く吸水するようになる。
*洗濯機の種類、洗剤の量によって吸水性が復活するまでの洗濯回数にばらつきが出ます。
*洗濯は単体で行ってください。
*洗濯は中性洗剤を使用し、使用量を守って行ってください。
使用上のご注意
製品と白や淡色のシャツが汗や雨で濡れた状態で擦れると色移りする場合がありますのでご注意ください。
製品ケアについて
メリノウールは優れた消臭機能を備えているため、頻繁に洗う必要はありません。ただ虫食いによる穴あきが起こりやすいなどのデメリットもあるため、洗濯や保管は適切に行う必要があります。また山と道の100% Merino/100% Merino Lightシリーズは低温設定(上限60℃)での乾燥機の使用が可能です。下記の各注意事項をご確認いただいた上で、ご家庭での製品ケアにお役立てください。
つづきを読む
【洗濯について】
洗濯機洗い可能ですが、水温や洗濯機の設定を誤ると縮みを引き起こしてしまう恐れがあるためご注意ください。メリノウールは天然繊維ゆえに繊維が短く、毛玉や毛羽立ちが起こりますが、何度か洗濯するうちに毛羽がある程度落ちて毛玉はできにくくなっていきます。
- 中性洗剤を使用してください。ウール繊維はタンパク質のため、アルカリ性洗剤で洗うと繊維が溶けたり風合いを損ねたりする恐れがあります。
- ジッパー付きの製品は、金具との接触による損傷を防ぐため、ジッパーを閉めて洗濯してください。
- 他の洗濯物との接触による損傷や、絡まって引っ張られることによる変形を避けるため、洗濯は単体かネットに入れて行ってください。
- 濡れた状態で白や淡色の衣料と擦れると色移りする場合がありますので、分けて洗濯してください。
- 洗濯機は「ドライコース」や「手洗いコース」などの弱水流コースを設定いただくと、もみ洗いや脱水などの負担のかかる工程が短くなるため、縮みや変形が起こりにくくなります。
- 水温30℃前後のぬるま湯で洗っていただくと弱水流コースでも汚れが落ちやすくなります。高温での洗濯は縮みを引き起こす恐れがありますので行わないでください。
- 柔軟剤は繊維をコーティングしてウールが本来持っている機能を妨げてしまう場合がありますので使用しないでください。
- 漂白剤は色落ちの恐れがありますので使用しないでください。
- 乾燥は強く絞らず、シワを伸ばして形を整えてから日陰で干してください。吊干しは水を含んだ重みで生地が伸びてしまうため平干しをおすすめします。
- 生地の特性上、洗濯や乾燥の後に若干の斜行が生じる場合があります。
【乾燥機の使用について】
乾燥機は低温設定(上限60℃)で使用できます。乾燥機の多用は製品劣化に繋がりますので、必要な場合のみの使用に留めていただくと製品寿命をより長く保つことができます。
- 乾燥機を使用する場合は低温設定(上限60℃)で行ってください。
- 複数の衣料と一緒に乾燥機にかけると製品同士の接触によりシワがつきやすくなります。シワをつけず綺麗に仕上げるにはドラム式洗濯乾燥機は3枚程度、縦型洗濯乾燥機は単体を目安に少ない枚数で行うことをおすすめします。
- 乾燥後、シワが気になる場合はアイロンで伸ばしてください。
【シワをのばす】
ニットは織地に比べてシワがつきにくい素材ですが、気になる場合はアイロンがけを行なってください。ただし適正温度以上の高温のアイロンスチームにあたり続けると生地の縮みが生じるリスクがありますので、下記の注意点を守った上で行なってください。
- スチームアイロンをご使用ください。
- アイロンは必ず中温(140℃〜160℃程度)以下でご使用ください。
- アイロンは力を入れてプレスせず、少し浮かせるぐらいでかけるようにし、スチームを生地に吹きかけるようにしてください。軽く引っ張りながらアイロンがけを行うと形良く仕上がります。
- スチームを数秒吹きかけた後、シワを手で撫でながら整えてください。
- まだシワが残る場合は、生地にアイロンを当てて優しくプレスしてください。
- 作業後はスチームの湿気が残らないようによく乾燥させてください。
【縮みや型崩れを整える】
縮みや型崩れが生じてしまった場合は、アイロンによるケアを行うと改善できます。ただし適正温度以上の高温のアイロンスチームにあたり続けると生地の痛みや縮みが生じるリスクがありますので、下記の注意点を守った上で行ってください。
- アイロンは強く圧力をかけず、スチームをメインに軽くあててください。
- アイロンは必ず中温(140℃〜160℃程度)以下でご使用ください。
- アイロンは力を入れてプレスせず、スチームを生地に吹きかけるように少し浮かせてかけてください。縮みが出ている箇所があれば、引っ張りながらスチームを当てると戻りやすいです。
- スチームを数秒吹きかけた後、蒸気で湿っている間に引っ張りながら少しずつ伸ばしていき、全体的に形を整えてください。
- 形や寸法が整った後は、動かさずにしばらく静置して、よく乾燥させてください。
【虫食いを防ぐ】
動物繊維であるメリノウールは、繊維の中に含まれるタンパク質が虫に好まれるため「虫に食われやすい」という欠点があります。ですが、適切な防虫ケアをすることで虫食いのリスクを軽減することができます。
- 少しでも汚れが残っていると虫食いの温床になりますので、保管前には必ず洗ってから収納してください。
- アイロンのスチームをあてると、熱による殺虫効果が期待できます。中温設定で行ない、スチームの湿気が残らないように、よく乾燥させてから保管してください。
- 湿気のこもる場所は避け、なるべく風通しのいい場所で保管してください。
- 衣類圧縮袋での保管も虫食い予防に効果的です。その場合、少しでも空気が残っていると虫は活動できてしまうため、完全に密閉するようにしてください。密閉すると強いしわが入ってしまう可能性がありますのでご注意ください。
- 防虫剤を使用する場合は、防虫剤の用法を守ってご活用ください。
お支払いについて
- お支払いはご注文時にお願いします。
- お支払いはクレジットカード、または銀行振込が利用できます。
- クレジットカードはVISA、MASTER、JCB、AMEXに対応しています。
- 銀行振込の場合は、ご注文確認メール到着後5日以内のご入金をお願いします。
- 銀行振込手数料はお客様のご負担となります。
- 領収書は製品発送時に送る製品発送完了メールに添付されたリンク先からダウンロードをお願いします。
発送について
- ご購入後にご注文確認メールをお送りします。
- 決済確認後、7営業日以内に製品を発送します。
- 土日祝日の発送は行いません。
- 製品が発送された時点で製品発送完了メールをお送りします。
- 大型連休、災害、悪天候、ご注文の集中等により配送に遅延が発生する場合があります。
- 別々に注文した製品の同梱発送はお受けできません。
当製品1点のみご購入の場合、配送料のお得な日本郵便の「ゆうパケット」が利用できます(沖縄県・離島を除く)。
送料:350円
- お届け先の荷物受け、郵便受け等に配達・投函します。
- 配達荷物に対する補償が付きません。
- 差出日の翌日ー翌々日以降にお届けします。
- 追跡サービスに対応します。
- 配送の日時指定には対応していません。
他製品を含む2点以上ご購入の場合は佐川急便で発送します(沖縄県、離島のお客様はヤマト運輸で発送します)。
送料:550円/1,000円(沖縄県)
サイズ交換について
ご購入後、製品のサイズが合わなかった場合は、交換対応をいたします。交換に際し以下の内容をご確認のうえ、SUPPORTページ「キャンセル・返品・交換について」よりお問い合わせください。
- 未使用品のみ交換いたします。試着程度は問題ありません。
- 交換は製品到着後7日以内に限ります。
- 製品を弊社で確認し、たばこや化粧品等の臭い、汚れ等が認められた場合は返品をお断りする場合があります。
修理について
天然繊維であるメリノウールは優れた調温・調湿機能や消臭機能など素晴らしい特性を持ちますが、同時に虫食いや摩耗などで糸が切れ、穴があきやすいという弱点を持っています。
穴あきや経年による劣化など、修理のご相談はSUPPORTページ「修理について」よりぜひお気軽にお寄せください。
フェルティングによる補修について
メリノウールのカットソー製品の糸切れや虫食いから起こる穴あきは、フェルト専用の針でウール原毛と共に刺し固める技法=フェルティングによるセルフリペアが可能です。また、山と道では製品と同色の原毛を使用したフェルティングによる修理も承っています。
フェルティングによる修理方法と山と道のメリノウールカットソー製品の修理について、詳しくは、山と道JOURNALS『山と道修理部通信#1 メリノウールの穴を補修する』をご覧ください。