山道祭を振り返る

9月28日から29日にかけ、岩手県の網張温泉キャンプ場で行われた『山道祭 – HLC Hiking Festival』は、参加者のみなさんをはじめとした多くの方々の協力のもと、当初の想定を遥かに超えた盛り上がりを見せ、幕を閉じました。

29日はあいにくの雨でしたが、28日夜の盆踊りではその場にいたほぼすべての人々が手を繋ぎ、輪になって踊り、踊りが終わったあとも会場のあちこちに人の輪が生まれ、遅くまで酒を酌み交わし、語り合いました。それはまさに我々がこの数ヶ月『山道祭』を準備しながら夢見てきた光景で、スタッフ一同、感無量で夢のような夜を参加者のみなさんと過ごしました。

一部で「奇祭」とも言われた(!)『山道祭』とその裏側で何が起こっていたのか、スタッフの我々が語り始めればきりがありませんが、『山道祭』はハイカーのための祭であり、そこに集うひとりひとりのための祭です。ならば、そのひとりひとりにストーリーがあったはず。

そこで、一般参加者や関係者、スタッフなど、様々な立場で参加した人々の声をインスタグラムで集め、『山道祭』の振り返りとしてシェアさせていただくことにしました。

今回、『山道祭』で出会えたみなさん、再会できたみなさん、本当にありがとうございました。また来年もハイカーの祭に集いましょう。そして今年会えなかったみなさんも、いつかお会いできることを楽しみにしています!

構成/文:三田正明
動画:藤山誠(TentSaunaParty)
写真:玉冲一成

歩いて『山道祭』に向かうハイカーたち

「歩いて行こう」がスローガンの山道祭ですから、まずは当然歩いて山道祭に向かった人々の声を拾わなくてはなりません。

最初に紹介する”hee-said”さんは玉川温泉から八幡平〜山道祭と歩き、さらに秋田駒〜田沢湖まで1週間で歩く計画を立ててくれました。スタッフ一同、「まさにそんなふうに山道祭に来てもらいたかった」ルートで感涙です!

そして山と道代表の夏目彰と山と道HLC/山道祭ディレクターの豊嶋秀樹も山道祭開催の5日前となる火曜日に岩手に旅立ち、ふたりで裏岩手縦走路を歩いて網張温泉へと向かいました。

一方、かつて山と道JOURNALSの『Make Your Own Hike』に「裏岩手ONSEN PILGRIM TRAIL」と題して冬の裏岩手縦走路ハイキングの模様を寄稿してくれた山と道の仲間のハイカー、佐藤大祐さんもふたたび裏岩手縦走路を歩いて『山道祭』に向かってくれていました。

スタッフも続々と現地に向かいました。通称「山と道スーパーボランティア」のイッセー君は山と道研究所やイベントでのライブプリンティングでもお馴染みのカザマナオミさんや山と道スタッフを引き連れて破線ルートを釣り上がるエクストリームな山行を計画。途中熊に会ったり延々と藪漕ぎしながらも、無事会場に辿り着きました。

そして27日(金)の夜9時、東京駅からは山道祭のツアーバスも出発。山と道HLC四国のアンバサダーを務める『T-mountain』の菅野哲さんも搭乗されていました。ハイカーで満員のバス、楽しそうですね!

一方、会場では先乗りしたスタッフたちによる設営もひと段落。台北『samplus』のヘクター・ホームさんとその実弟で山と道で様々なイラストやグラフィックを手がけてくれているKOH BODYさんも台湾から駆けつけてくれ、ひと足早く宴会が始まっていました。

29日(土)早朝に岩手山の馬返し登山口に到着した山道祭ツアーバスからは、たくさんの参加者が岩手山を目指しました。なかには今年の春の山と道HLC in 香港で出会った香港のハイカー、ドナルドとルビーの姿も。ツアーバスに帯同した山と道スタッフと共に登頂し、ディープな日本の美しさを味わってくれました。

会場周辺の岩手山や三ツ石山では、まさに紅葉の真っ盛り。多くの参加者がハイキングをして息を飲むほど美しい岩手の秋の山を堪能したようです。まさにこんな景色をスタッフ一同、参加者のみなさんに見てほしかった!

いよいよ祭の始まり

そして29日(土)午後2時、ついに山道祭が始まりました。参加者のみなさんにご協力いただいたちょうちんがいちめんに吊るされた会場はスタッフも予想しなかったほどに素敵に仕上がり、浮世離れした雰囲気に。さらに開場時はイマジン盆踊り部や帯島盆踊り保存会のみなさんのリハーサルが行われていた関係で祭囃子の太鼓の音が会場に鳴り響き、もはや雰囲気は山奥で繰り広げられるたぬきのお祭りのようでした。各ワークショップやテントサウナパーティも大盛り上がり。

そして盆踊り!

いつのまにかあたりは暗くなりはじめ、中央広場ではいよいよメインイベントの盆踊りが始まりました。トップバッターは地元岩手県から帯島盆踊り保存会のみなさんに東北に古来から伝承される盆踊り「ナニャドヤラ」をご披露いただきました。

ちょうちんの灯りに照らされた薄暗くなって来た会場に独特のリズムが鳴り響き、あたりはいきなり幽玄な雰囲気に。自然と踊りの輪が生まれ、「奇祭」感が否応無しに高まります。

踊りを終えて控え室に帰る帯島盆踊り保存会のみなさんにも多くの拍手と歓声が送られ、後日、保存会のみなさんからも「こんな祭は初めて」「素晴らしい雰囲気」「また山道祭で踊りたい」とありがたいお言葉をいただきました。

そしていよいよ今回の山道祭のヘッドライナーともいえるイマジン盆踊り部、通称「盆部」のみなさんが登場! 山と道の地元、鎌倉のカルチャーやコミュニティーを代表する存在とも言えるそのパフォーマンスには、参加者みなが度肝を抜かれたのではないでしょうか。

「ナニャドヤラ」を引き継ぐような幽玄な音頭と踊りから始まり徐々にヒートアップ。踊り手のみなさんが広場の中央で輪になって踊り始めると、次々と人が加わり、二重三重と輪が広がって行きました。最初は多くの方が踊りの振り付けを追いかけるだけで精一杯だったものの、曲が進むごとみなさんだんだん慣れてきて、途中で手を繋ぐ振りのある『発酵盆唄』や、向かい合ってフォークダンスのように踊る『好きになった人』では、まさに上に下への大騒ぎ! しかも山道祭で一緒に踊ったことをきっかけに、交際を始めた方もいたとか! 盆部、スゴ過ぎです。

そしてそれぞれのストーリー

盆踊りの後も、メイン会場には多くの方々がとどまり、ちょうちんの下、そこら中に人の輪が生まれ、遅くまで盛り上がっていました。冒頭でも述べましたが、それこそがまさしく我々が山道祭で実現したかった光景なのです。そんな筆者の山道祭終了直後のインスタグラムはこんな感じでした。

ただ夜半から雨足が強くなり、日曜日の午前中は残念ながら雨。一部のワークショップや出店を除いて日曜日に予定されていたコンテンツの多くはキャンセルとなってしまい、残念な気持ちもありましたが、とにかく29日の土曜日が素晴らし過ぎ&幸せ過ぎて、これ以上求めるのは罰当たりかも、という気持ちでもありました。

参加者のみなさんも多かれ少なかれそのような気持ちを共有してくれていたようで、インスタグラムで山道祭の感想を検索すると、「楽しかった」「最高だった」の声が多く、スタッフ一同ほっと胸を撫で下ろすと共に、大変嬉しい気持ちにさせていただきました。

たとえば、東北営業ツアーの最後にわざわざ駆けつけてくれたRaw Low Mountain Worksの谷口亮太郎さんのインスタグラムにはこんな投稿が。

また名古屋の超重要バイクショップのサークルズから『BIKE to 山道祭』というライドイベントを企画して駆けつけてくれたもんじゃさんにも、こんな嬉しい投稿をいただきました。

また飛び入り参加にもかかわらず、山と道酒場での即席ライブでは観客を感動の渦に叩き込んでいただいた(泣いた人多数!)シンガーソングライター・カワトユカリさんからもこんな感想が。楽しんでいただけたみたいで本当によかった…。

また、今回の山道祭を山と道とタッグを組んで準備していただいたKnottyの上野裕樹さんをはじめとした東北、北関東、関西、四国、そして来年から加わる北海道の各山と道HLCアンバサダーの方々からも、こんな感想をいただきました。

(上からHLC東北アンバサダー上野裕樹さん、HLC関西アンバサダー中川裕司さん、HLC北関東アンバサダー𢌞谷朋行さん、HLC四国アンバサダー菅野哲さん、HLC北海道アンバサダー峠ヶ孝高さんの投稿になります)

そして山道祭の真の主役であり、この海のものとも山のものともつかなかった「奇祭」にかけつけてくれた、日本全国から集まっていただいたハイカーのみなさんからの声もシェアさせてください。

そして最後に、この祭の首謀者である山と道代表の夏目彰と山と道HLC/山道祭ディレクターの豊嶋秀樹の投稿で締めさせていただきます(夏目の投稿は長過ぎたので後半の開会式のスピーチ原稿部分はテキストで抜き出しました)。

山道祭開会式でのスピーチ

山と道の夏目です。山道祭にようこそ!

今日は一年に一度のハイカーのお祭りです。みなさん今日は何処から来られましたか? 今日は遠くのハイカーも集まっているようです。

台湾ハイカーはどこだー?

香港ハイカーは?

九州のハイカーは?

四国のハイカーは何処ですか?

中国地方は?

関西のハイカーは何処にいますか?

東海地方の方は?

関東、北関東のハイカーは?

北海道のハイカーは?

東北のハイカーは何処にいますか?

いまこの岩手山の麓に近くから遠くからハイカーが集まりました。自分たちのローカルの魅力、山の魅力を思う存分に語り合い、楽しんで行って欲しいと思っています。

みんな山は好きですかー!

僕たちは普段山道具を作っています。自分たちがいつも使いたい最高の道具を作りたいと願っています。

でもただ道具を作りだすだけでなく、その道具を使うお客様、使われる環境、文化というものがあって、初めて僕たちの道具も輝くと思っています。

僕たちが今、HLC、ハイクライフコミュニティというハイカーのコミュニティを作ろうという活動を全国で行っているのは、僕たちの考えていること、全国のローカルの山の魅力をみなさんと一緒に感じたかったからです。できるのであれば、それぞれの山のローカルが繋がり、みんなの山の生活がより豊かになっていくことを願っています。

山道祭はハイカーのお祭りです。みんなの山の話を聞かせてください。

今日この場所に山から歩いてきた人。今日この場所に自転車で来た人。何日も前からこの山道祭を目指してきた人は手を挙げてください。

山道祭はそこに至るまで、終わるまでをひとつの旅となるようなお祭りにしたいと考えています。山道祭を最後まで楽しんでいってください!

あらめて参加者のみなさん、出店者とワークショップのみなさん、出演者のみなさん、ボランティアスタッフにみなさん、ありがとうございました。山道祭はこれから山と道HLCを行なっている各地で開催して行く予定ですが、この祭と山と道HLCが継続していくなかで、一体どんなハイカーのコミュニティーやライフが生まれて行くのか、楽しみでなりません。それは今回の山道祭がそうであったように、きっと想像もつかないような未来のはずです。そして我々はあなたにもその一部になってほしいと、強く強く願っています。また山で、そしてハイカーの祭でお会いしましょう!

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  • 三田 正明

    三田 正明

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    フォトグラファーとしてカルチャー誌や音楽誌で活動する傍、旅に傾倒。 多くの国を放浪するなかで自然の雄大さに惹かれ、自然と触れ合う方法として山に登り始める。 気がつけばアウトドア誌で仕事をするようになり、ライター仕事も増え、現在では本業がわからない状態に。 アウトドア・ライターとしてはULハイキングをライフワークとして追い続けている。 取材活動のなかで出会った山と道・夏目彰氏と何度も山に行ったり、インタビュー取材を行ったり、酒を酌み交わしたりするうちに、いつの間にかこのようなポジションに。 山と道JOURNALSを通じて日本のハイキング・カルチャーの発展に微力ながら貢献したいと考えている。

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