山と道スタッフの推し道具2023
山と道材木座編②

2023.09.01

みんな大好き山道具! ということで、山と道直営店スタッフの推し道具を紹介していく企画の第2弾、今回は山と道材木座の後編です。

自作したサコッシュやヘッドライトベルト、また生活雑貨のUL的転用アイデアを紹介する角田、山歴は短いながらも自身のメタボ体型ならではの推し道具を紹介してくれた新人の横井、ベテランらしいチョイスを見せてくれた苑田と、今回もそれぞれの個性がよく表れた推し道具が揃いました。とくに苑田の超マニアックな道具とその活用方法のアイデアは必見ですよ。

例によって友人から推し道具を聞いてるような気分で、今回もお付き合いいただけたら嬉しいです。次回からは山と道京都編へと続きます。

取材/写真/文:三田正明
協力:李生美

【前編はこちら】

山と道材木座の面々

神奈川県鎌倉市にある山と道材木座スタッフ。左より前原秀則、横井雄飛、苑田大士、上杉あゆみ、角田裕子、枠内スティーブン・モス。

角田裕子の推し道具

角田裕子 神奈川県小田原市出身。アウトドアとは無縁だった20代から一転、同僚に誘われるがままに山を登りはじめる。初めて登った北アルプスの景色に魅了され、ここで生活をしたいという気持ちが強くなり、山小屋で働きはじめる。その後、登山道具を扱う専門店での勤務を経て山と道のスタッフに。エベレスト街道とカミーノを歩き、ロングトレイルの楽しさの一片を知ったことで、より長く自然の中を歩きたいと思うようになる。夢は日本のどこかでトレイルエンジェルをしつつ、永遠のバックパッカーを自称する夫と世界中を旅をしながら歩くこと。

ピークを目指すより長く歩きたい

ーーまずは自己紹介からお願いします!

はい。材木座スタッフの角田です。去年の8月ぐらいから働き始めたので、山と道スタッフ歴は1年なんですけど、山と道ユーザー歴は10年ぐらい。

ーーじゃあかなり初期からですね。

多分サコッシュを買ったのが最初で、次に5-Pocket Pantsを買って、ポケットがめっちゃ良かったんで、速攻で5-Pocket Shortsを買って、少しずつ増えていった感じです。

ーーじゃあ山にも結構昔から登ってるんだ。

16年ぐらいです。でも最初の3年間ぐらいは体力がなくて日帰りで近くの山とか低めの山に行っていて。北アルプスとか高い山に登るようになったのは4年目からだったと思います。気がついたら長くなってました(笑)。

ーー普段はどういう感じで山を楽しんでます?

普通に縦走とかも好きなんですけど、ロングトレイルが自分にはすごくスタイル的に合ってるなと思っていて。より長く歩くために、お金を貯めつつ時間を作ることを考えてます。

ーーピークを目指すっていうよりかは長く歩きたい。

そうですね。長くずっと歩いていたい感じです。だからあんまり山とか街とかにもこだわらず、歩いて旅をするのが楽しいなって思っています。

ーー山に深く入らなくても、ある場所からある場所まで歩いて旅するのが楽しいなみたいなね。例えばどんなとこ歩きました?

みちのく潮風トレイルは自分にはぴったりでしたね。人に会わないようなトレイルに入ったり、途中で小さい商店とかあったり、そこに入ってお店のおじいちゃんたちと話したりとかして、また山に戻っていくみたいな感じが、旅をしてるなっていう感覚になるのですごく好きです。

ーー人の住んでいる世界と住んでない世界の境界線のあたりを旅する感じね。

そうですね。いる世界といない世界を行ったり来たり。そういう感じが私の中ではバランスが良くて心地いい。ずっと山の中にいるよりは、自分には合ってるなって思ってます。

ーーじゃあそんな角田さんの推し道具を教えてください! まずひとつ目は、このMYOG*サコッシュかな?

*MYOG = Make your own gear = ギア自作のこと

①MYOG - DCF Sacoche 改

サコッシュというかポーチというか……とりあえずサコッシュと言っておきます(笑)。実はこれは2号機なんですけど、1号機は6月に山道祭があって、みんなで盆踊りをしたじゃないですか。ビール飲みながら盆踊りしたいな、でも片手で持ちながら踊るの嫌だなって思って、ビールとタバコだけ入るサイズの肩掛けポーチが欲しいなって思って、慌てて作ったんですよ。でも作る時に小さくし過ぎて、ビールとタバコ両方入れたかったのにどちらかしか入らない大きさになってしまったんですね。なので今回の2号機は、山を歩いてるときは行動食を入れられて、おやつをポリポリしながら歩けて、テン場に着いたらタバコと財布を入れて歩ける、小屋にビールを買いに行くことができるようなものを目指しました。

ーー1号機はポケットついてたけど2号機はあえて外したんだね。

このサイズならポケットは1個で充分だとわかったんで、2号機は本当にシンプルな袋状にして、ショルダーストラップは以前使ってたワンダーラストイクイップメットのカンパラパックのストラップを付けて。

左が2号機、右が1号機。サイズを見直し、ポケットを1機室にし、肩紐を調整できないテープからアジャスター付きのストラップに変更した。

ーーで、ストラップの長さ調整もできるよう進化したんですね。

そうですね。これで最短距離でおかしを口に入れられます。

ーーでもこのぐらいの大きさ、意外にいいかも。売ったらそれなりに売れる気がする。ないじゃない、ちっちゃいの。

そうなんですよ。

ーービール用だったらハッピーアワーのビアサコッシュはあるけど、あっちはビールに特化してるんで、このくらいのサイズ感もありと思うな。1号機から2号機で格段に完成度上がってますね。

内側見ると縫い目とかガタガタで、これ絶対にプロの縫製スタッフの人たちが見たら「うわ」ってなる。でも素人だから許せるかなっていう。

ーー自分で作ったのはやっぱかわいいしね。

愛着が湧きますね。これからも使っていきたいと思います。

ーー次、ヘッドライトのベルト。これもMYOGというか改造ですね。

そうです。

②MYOG - Head Light Belt

これ作ったきっかけは、以前、材木座店長の前原に、「ヘッドライトはベルトが重い」って言われたんですよ。

ーーそうね。ヘッドライトはベルトが重いっていうかかさばるのが嫌なんだよね。

確かにその通りなんです。ベルトを外した後にゴムだけになるのが不安過ぎたんですけど、切ったんです。で、ゴムを通してみたら、めちゃくちゃ安定しなくて。「うわ、切って損した」ってぐらい安定しなくて。

ーー「こりゃ駄目だ」って(笑)。

どうしようと思って。せっかく切ったのにもったいないなって思ってたら、ちょうどLUNETTESさんのインスタでこの元ネタのヘッドライトベルトを見つけて、「これじゃん!」ってなって。「しかもこれなら作れるわ!」となり、そのままユザワヤに走りました(笑)。

ナイロンテープとバンジーコードのみのシンプルで無駄のない構造。自作に自信のない人はSheltのHead Light Beltをチェック!

ーーLUNETTESさんで買わんのかい(笑)。

すみません(笑)。頭の柔らかい人ってすげぇな、こういうアイデアが湧かない自分よ…って、ちょっと悶々としながらハトメを叩きましたね。でも、これにしたらめっちゃ安定するようになったんですよ。軽量化もできたし、私の中では救世主でしたね。多分これを見つけなければ、新しいヘッドライトを買ってたと思います。

ーーそれはよかった(笑)。じゃあ次は山と道製品からの紹介ですね。

はい。今期の製品でDF Mesh Merino Crew Neckです。

③ DF Mesh Merino Crew Neck

DF Merino Meshはクルーネック以外もシリーズ全体好きなんですけど。ほんと、「風めっちゃ通るじゃん!」っていうのが衝撃的で。元々昨年の秋冬シーズンに出たときはDF Mesh Merino Sleevlessをインナーとして着ることが多くて、あまり風の抜けっていうのを感じてなかったんですね。でも暖かくなってきて1枚で着ることで、すごい風を感じて、「これめちゃくちゃいい!」ってなって。風を感じるってすごく気持ちよくないですか? 

ーー服の中を風が抜けてくみたいな感覚ね。

その感覚が上半身全部で感じられるので、自然を感じてるって気持ちになります。山に行くときにはチョイスの筆頭に出てくる製品ですね。あと乾きが速いのもいい。

光に透かすとメッシュ構造であることがよくわかる。

ーーDFには長袖とかフーディとかスリーブレスとか色々種類あるけど、クルーネックがいちばん気に入ってます?

この時期だと長袖だとやっぱりちょっと暑いので、これがいちばん頻度高く使ってますね。でも素材の構造上仕方ないけど、どうしてもケバ立ったり、穴があきやすい部分もありますが。

ーーでも思ってたより穴あかない気もする。まあメリノだし、ある程度はしょうがないけど。

メッシュなので、ある程度ケバケバするのはしょうがないよなっていうのはありますし、他のメリノでも穴はあきますしね。

ーーまあでも山行くならもうこれ着ますよね。

そうですね。最近はこればっかりです。で、次は地味なんですが、リンデンのパウチ容器です。

③ リンデン - パウチ容器200ml

ーーこれは燃料用アルコール用?

そうです。こういうボトルってアルコール不可のものが多いんですけど、これは入れられるんです。アルコール用ボトルって私には大きすぎるか小さすぎるのが多くて。200mlだと多いけど、100mlだとちょっと少ないなってときがあるんですよ。でも100mlのボトルを2個持っていくのも大きいし、200ml持っていくのもかさばるなって。なんで、100ml以上使いそうな時はアルコールストーブは持っていかないってなっちゃうんですよね。

ーーこれは何ml?

200mlです。なんで200mlは持ってきたくないけど、100ml以上は持っていきたいなって時に、これだったら嵩張らないし、収納もコンパクトで軽量。あと燃料用じゃないお酒をちょっと持っていきたいなってときにも使えて。で、3個で900円! 悪くないですよね。100mlのモデルもあります。

使用後はコンパクトに収納できる。

ーーここは燃料用アルコールを作ってる会社なのかな?

そうです。リンデンの燃料用アルコールがあるんですよ。

ーーそこが自ら作ったんだ。

そうそう。そうなんですよ。

ーー目盛りがあったらもっと良かったかも。

そこがちょっと難点です。なんでキャップに何cc入るかを確認しておくとかね。

ーーまあいつも使ってるアルコールストーブだったら、目分量でもこのくらいかってわかったりしますしね。

でもちょっとあまりにも地味なんで、これからシールとか貼って可愛くしたいなみたいな(笑)。しかもこれ、冷凍できるらしいですよ。液体とかで冷凍して。ジェルドリンク、つゆだれ、あとシャンプーもOK。そういう用途もいいんじゃないでしょうか。で、最後がこれこそ地味すぎるチョイスなんですけど、アイラップ

⑤ 岩谷マテリアル - アイラップ

ーーこれずっと昔からスーパーで気になってた。使ったことないけど。

自分も使い始めたのは1年ぐらい前からなんですけど、本当にこのまま電子レンジに入れてもいいし、お湯も入れられるし、めっちゃ便利だなって思って。ずっとアルファ米のパッケージが邪魔だなって思ってたんで、これに入れればいいんだってなりました。

ーーこれは1枚でもお湯入れられる?

乾燥梅とじゃこを入れたオリジナルレシピのアルファ米をアイラップに入れる。戻すのに必要なお湯の量を書いておくと便利。

入れられます。入れ替えたときに、何のアルファ米でどのぐらいお湯入れるって書いておいて、もうお湯を入れるだけですね。今のところ破れたことはなくて、そのまま使うこともあれば、1個だけアルファ米の袋を持っていって、その中に入れ替えていくみたいなスタイルもします。これで事足りるし、軽さが全然違うし、とにかくかさばらないし、ゴミの量もだいぶ減ります。これ自体がゴミ袋にもなりますしね。

ーーカップ飯の中身とか入れるのも良さそうだね。自分も旅先で食料調達するときに、スーパーで野菜とか入れるポリ袋もらってカップラーメンとかカップ飯の中身だけ入れたりする。

本当は山でおいしいものを食べたい気持ちもあるんですけど、私は意外とアルファ米も苦手じゃないっていうか、全然食べれるので。下りたらなんかおいしいもの食べよって思いながら、山の中ではこういうのでも全然耐えられる。

アルファ米がお湯で戻ったらクッカーなどにアイラップごと入れて食べると器が汚れない(写真は乾燥状態のアルファ米です)。

ーーアルファ米はオリジナルメニュー作ったりする?

どちらかっていうとあるものに足していく感じが多いかもしれません。

ーーわかめご飯に何か足すとか?

乾燥肉とか大豆ミートを入れてボリューム増やしたり、ちょっとタンパク質みたいなの取れたらいいなとかっていう感じで増やすことが多いかも。

ーー俺はアルファ米の牛丼にフリーズドライの牛丼の具を合わせたりしますよ。超B級メニューで恥ずかしい(笑)。でもアイラップ、スーパーのポリ袋より良さそう。使ってみよう。

ぜひ! 

横井雄飛の推し道具

横井雄飛 岐阜県出身。 ニックネームは「おでん君」など。 幼少期から祖父母の田んぼ仕事や椎茸の栽培などの山仕事の手伝いを通して自然に触れ合いながら育つ。 釣りが好きで川や海へは行くが、山へ行くことがないまま30代の半ばまでを過ごす。ある日、散歩がてらに鎌倉のハイキングコースを歩いてみた際に、幼少期に山で感じたワクワクが蘇りハイキングに目覚める。その後はハイキングへの初期衝動とメタボ体型の現実との狭間を行き来しつつ、装備のUL化とともに身体のUL化のため、ダイエットに挑戦中。

装備と体のUL化を進行中

ーーまず自己紹介からお願いします!

山と道材木座スタッフの「おでん君」こと横井雄飛と申します。

ーーなんでおでん君なの?

リリー・フランキーさんの漫画のキャラクターで「おでんくん」っていうのがいるんですが、見た目がそのままだということで、いつしかそういうあだ名になりました。その他にも「お肉大佐」とか「三瓶」など、いろいろあだ名があるんですけど。

ーーとにかくそんな感じの個性的な風貌だよね。材木座のお店には入ってからはどのくらいだっけ?

7月からなのでまだ1ヶ月ちょっとですね。

ーーなので今日は皆さんにもおでん君をぜひ覚えていただきたいですね。山歴はどのくらいなの?

山歴はとても短くて、昨年の12月に突如としてハイキングに目覚めて、それから週末ごとに関東近郊の低山に隙あらば日帰りで登る感じで、去年の暮れからほぼ毎週行ってます。

ーーきっかけは何だったの?

元々釣りが趣味なんですけど、冬がオフシーズンになるので暇を持て余していたときに、うちの妻が鎌倉のハイキングコースを歩いてみようかと誘ってくれまして。あまり気が乗らなかったんですけど、歩いてみたらものすごく気持ちもいいし、昔、祖父母の山仕事の手伝いをしていたときの感覚がすごい蘇ってきて、心身ともにものすごくリフレッシュできたんです。その前に鎌倉に5年ぐらい住んでたんですけど、歩いたことなくて。なんでこんな近所にこんな楽しいことがあったのに行かなかったんだろうっていう(笑)。

ーー今は神奈川県の寒川町在住だもんね。

そうなんですよ。なので、わざわざ寒川から鎌倉に来てハイキングコースを歩いたりしてたんですけど、そこから一旦ミドルカットの靴とフリースみたいなノーマルの登山入門セットをいろいろ揃えてトライしてみたんですけど、重いし、足も痛くなるし、何か違うなと思って。

ーーそれでULを知ったの?

元々鎌倉に住んでたときに近所に山と道のファクトリーがあったりとかして、ULの存在とか山と道の存在はいろんな機会で目にしてて。それでこっちの方に行くべきではと思って、ULの方にどんどん傾倒していってという感じですね。

ーーそしたら山と道の求人に応募したらうっかり入っちゃったみたいな。

うっかり(笑)。でも募集要項には「1週間以上のハイキング経験」とか書かれていたので、本当は2024年の求人があればそれにトライしようと思ってたんですけど。

ーー俺にはまだ早いと。

2024に照準を合わせて自分の山行をグレードアップして、あとダイエットもしようと思ってたんですけど。勢い余って応募させていただきまして。

ーーでもこのキャラを買われてうかっちゃったんだよね。

そうなんです。なので、初期衝動のままに今に至る感じですね。ただまだ経験が本当に少ないんで、今後、諸先輩方に学ばせていただきながらどんどん経験していきたいなと思っています。

ーーじゃあ、そんなおでん君のおすすめ道具を紹介してください!

はい。1個目はエバニューのウルトラライトパン#18です。でも今はモデルチェンジして、UL Alu. Panというシリーズに変わってるみたいですが。

① Evernew - Ultra Light Pan #18

先ほども申し上げた通り、基本低山日帰りだったんでパックウェイトがそもそも軽かったんですよ。なので、食べることが好きなんで、軽さよりも食事の充実に重きを置いて選びました。2人分も調理できるし、1人分で作ってもモリモリ食べれるサイズということで、この直径18cmのサイズで、容量1200mlで152gというのを購入しまして。主にこれに、コンビニで買ったカット野菜とチャーシューか角煮と棒ラーメンを突っ込みまして、モリモリの「二郎インスパイア系」みたいなラーメンを作って山で食べると、めちゃくちゃうまいんですよ。

ーーフライパンは軽量さを重視するUL界隈だとあまり使われないけど、食の可能性は広がるよね。焼きそば作ったり炒め物したり。あと肉とか焼いたりね。

そうですね。ジュウジュウ音を出して焼けるので、通りすがりのおじいさんおばあさん、登山者の皆さんとかがすごい声かけてくれます。

ーー昔、韓国人ハイカーのグループとアメリカのトレイルを歩いたことあるんだけど、トレイル歩く前にキャンプ場で前夜泊したら、みんなフライパンで肉焼いてたよ。韓国人は山でもとにかく肉焼くんだって。

これはアルミ製なんですけど、このハニカム構造で熱伝導が良くてしっかり温まります。

ーーこれからも使い倒して山のフライパンクッキングの極意を教えて欲しいね。じゃあふたつ目は?

今履いてる、アルトラのローンピーク7のワイドですね。

② Altra - Lone Peak 7 WIde

ーード定番だね。

ド定番なんですが、ハイキングに目覚めたときにミドルカットの登山靴を買って、いつも親指と膝が痛くて。舗装路歩いても痛いし、何かよくないなと思ってる頃に、元々履いてたランニングシューズを履いて歩いてみたらめちゃくちゃ軽快に歩けてよかったんですけど、今度は股関節とか腰が痛くなったんですよ。

ーー痛くなるとこ多くて大変だね。

そうなんですよ。これもなんかちょっと合ってないのかなってことを感じて。で、調べてたらやっぱりアルトラが良さそうだなってことで履いてみたら、ゼロドロップなんで最初はちょっと筋肉痛になったんですけど、膝の痛みも足の指の痛みも腰の痛みも出ず、歩いてるうちにちょっと足が痛くなってきても、自然と違和感が消えてって。ほどよく守られつつほどよく足を鍛えることができるみたいな感覚。

ーー特におでん君のは幅がワイドなモデルなんだよね。

元々幅が広めのローンピークのさらにワイド幅。

そうです。アルトラは元々ワイドな方なんですけど、普通の幅の履いたらちょっと狭くて。

ーー足は甲高幅広なの?

甲高幅広の日本の農耕民族体型です!

ーーサイトを見ると、アルトラの中でもワイドがあるのはローンピークの他はあと2種類だけみたいだね。元々幅広めのアルトラでも狭かったんだから、もはや靴はこれしかないって感じじゃないの?

多分、痩せれば解決する可能性も若干感じてはいるんですけど、今はこれ一択っていう感じですね。カラーリングがこの青しかないっていうのがちょっと残念というか、もうちょっとおしゃれな色履きたいな、みたいな気持ちもあるんですけど。

ーーそれは贅沢ってもんでしょ(笑)。逆にアルトラにワイドがあって、ありがたや〜って思わなきゃ。なかったら靴難民だったかも。

ありがたいですね〜。走っても全然足痛くなんないんで、かなりお気に入りです。多分これからもずっとこれかなと。

ーーおでん君みたいな体型の人にはワイドのアルトラは福音かもね。では次を紹介してください。

はい。次もシューズネタで続けようと思うんですが、これはもうハイキングを始める前からの愛用品で、グランズレメディ・モアビビちゃんの魔法の粉です。

③ Grand's Remedy - モアビビちゃん魔法の粉

ーーこれは靴の消臭剤?

そうです。前職のラーメン屋さんで週6日、毎日12時間ずっと同じコックシューズを履き続けてたらえらい臭くなっちゃって。靴下にも匂いがついて、その靴下を履いてると普段の靴も臭くなってっていう負のスパイラルから抜け出せなくなっちゃったんですよ。当時は結構悩んで、お座敷とか掘りごたつの飲み屋に行く時は憂鬱になるくらいだったんですけど。

ーー自分で自分の匂いに耐えられない。

ほんとにそういう感じだったんで。でもこの魔法の粉をひとさじ靴の中に全体的にまぶすと、臭いが消えてその後も継続的に臭いにくくなるんですよ。やっと負のスパイラルから抜け出して、お座敷の飲み屋にもドヤ顔で入れるようになって。

ーーそれはすごい。

(材木座の同僚の)上杉さんもこれ使ってるって言ってました。

ーーそれは言っちゃダメなんじゃない(笑)? でもそれからはもう悩み解消?

多分今後の人生を共に歩むことになると思いますね。

ーーもはや相棒だね。では次は?

次のおすすめは、発売された時に妻がプレゼントしてくれた山と道のLight Alpha Tightsです。

④ 山と道 - Light Alpha Tights

ーーじゃあ奥さんも山道ユーザーなの?

そうですね。どっちかと言ったら妻の方が元々山登ったりとかしてて。で、これ面白そうだからってことでプレゼントしてくれたんですけど。当初はたまに家で着るぐらいだったんですけど、ハイキングに目覚めてから履いてみたら、行動中に着てても蒸れないし、でも停滞中には温かいし、これは凄いと。あとこれは山で思いついた使い方なんですが、お腹が冷えたら腹巻的にお腹に巻いたり、首元が寒いときは首に巻いてみたりしてます。

首に巻いてみると意外に違和感なし!

おでん君は「汗かいたらタオル代わりにもなるんですよ!」と言っていましたが、ポーラテックアルファは水を吸わないのでタオルとしてはオススメできません(笑)。

ーーへー! そんな使い方する人に初めて会った。でも確かに腹巻とかマフラーとして使うってのはありかもしれない。よく巻こうって思いついたね。

これはそもそも山と道のAlpha Haramakiを持ってなかったときに、Alpha Tightsも同じアルファの素材だし、巻けばいいじゃないかと思って巻いてみたら、ものすごく調子が良くて。腹巻きで使う時のポイントは、このウエストのゴム部分をパンツの中に挟んじゃう。これでフィット感がアップします!

腹巻きとして使う時はLight Alpha Tightsのウエストのリブをパンツの中に入れることでフィット感アップ!

ーーいや〜、これは思いつかなかった。

私、Alpha HaramakiはLサイズを使っているんですけど、ちょっと窮屈さを感じるときがあって。なので、本家のAlpha Haramakiよりもこっちの方がどっちかっていうとフィット感とカバー領域が良いので、本家よりもこっちの方が私は使用頻度が高いです。

ーじゃあAlpha Tightsは3本持ってくといいかもね(笑)。

すうですね。履く用と、首用、腹用にぜひ(笑)!

ーーで、あともうひとつが?

最後のひとつが、無印良品のポリプロピレン・カードケース・ダブルです。

⑤ 無印良品 - Polypropyelene Card Case Double

これは、軽くてシンプルな財布が欲しいなって思っていた時に、テレビで料理研究家の平野レミさんがジップロックを財布にしてるっていうのを紹介されてて、衝撃を受けて。で、真似をしてみたんですけど、すぐズボンのポケットの中でお札とか小銭を潰しちゃうんで、ある程度の強度も欲しいと思っていたときに出会ったのがこの無印良品のカードケース。最小限の免許証とかカードとお札数枚、小銭もそこそこ入るんで、普段はカードと予備のお札だけで、山行くときはお札ちょっと多めと小銭も少々っていう感じで使っています。

ーーこのサイズがちょうどいいんだ。

軽いし丈夫だし、お尻のポケットで踏んづけても割れないし、多少の雨や汗では濡れないんで重宝してます。あと外から中身が見えていくら入ってるかわかるのも、ズボラな私にはちょうどいいです。

本体はふたつのポケットにわかれており、開閉は表と裏でそれぞれ開閉方向の違うフタがついている。

ーー財布って毎日使うから、ちょっとでもイラッとすると使い続けられないよね。

そうなんですよ。最近ガレージブランド系でもX-Pacの生地とか使ったウォレットがいっぱい出てますけど、あれだと僕汗だくになると、どうしても濡れちゃうんですよ。本当に地獄のような汗をかくので。

ーーいろいろ苦労が多いですね。そういえばジップロック財布といえば(山と道代表の)夏目さんも昔たしかチャック付きのポリ袋を組み合わせて財布作ってたよ。

へーおもしろい。

幻の山と道ハイカーウォレット。

ーーポリ袋2枚をホットカッターで切って貼り合わせて、二重にするみたいな。

それでお札とカードと分けられるんだ。すごいですね。

ーーだから平野レミのジップロック財布の進化版だよね。「山と道ハイカーウォレット」って検索したら昔の山と道のブログが出てくるんで、調べてみなよ。

ありがとうございます!

ーー今後も期待してるね!

苑田大士の推し道具

苑田大士 大阪府出身。2017年に鎌倉へ移住。美術系出版社で書籍企画・編集者として従事したのちに独立。現在は山と道材木座スタッフ、自身の会社の代表、編集、農業、狩猟ほか多くの顔を持ち、「ライスワーク」ではなく個人的な活動や趣味の延長を「ライフワーク」としている 。2011年に土屋智哉氏著『ウルトラライトハイキング』 に出会い、ULハイキングスタイルの山歩きを実践。以降ライフスタイルに組み込み山と自然を楽しんでいる。

終わらないUL探求

ーーじゃあ最初に自己紹介と、山と道でやってることを教えてください。

苑田大士です。みんなにはおーじって呼ばれてます。山道歴は難しいね。山と道材木座のショップスタッフとしては1年だけど、元々はハイカー仲間からジョインして、山と道JOURNALSで三田さんの元で働いてたこともあったしね。

ーーそうそう。一回違う形で働いてたんだけど、事故で大怪我しちゃってね。

それで一旦離れて。で、つかず離れずやってたけど、材木座リニューアルオープンのとき「人がいないから手伝って」って言われてまた戻ってきた。

ーーそこからまただんだん、HLCのこととかもいろいろ手伝ってもらってるっていう感じだよね。

そんな感じになってます。なんで山と道とは4〜5年やってる。みんなと一緒に楽しんでいるって感じですね。

ーーおーじ君は山歴はどんぐらいなの?

約20年ぐらい。で、ウルトラライトハイキングにハマったのは、土屋さんの『ウルトラライトハイキング』っていう本を見てだから。発売が2011年の2月なんだよ。出た頃すぐ読んで、そっからハマった。あれに出会ってなかったらULにはなってない。自分でちょっと軽くしようとかっていうのは何となく思ってたけど、ULハイキングみたいなジャンルがあるんだっていうのははじめて知ったんで。で、土屋さんの本の巻末に海外のガレージブランドのURLとか載ってて、それを漁って調べて、だんだん研ぎ澄まされていった感じですね。

ーー最近はどんなスタイルが多いの?

最近は基本的に1人で行くときはファストパッキングスタイル。もう今ベースウェイト(食料、水、燃料以外の装備を詰めたバックパックの全重量)が2.3kgぐらいなんで、1泊2日〜2泊3日だったら、ヒップバッグで行ってる。もう汗かきだから、背中に密着するだけでびしょびしょになるからさ。ヒップバッグだと全然快適さが違う。

ーーヒップバッグは結構大きいやつ?

15Lぐらいのやつ。今使ってるのは、アメリカで昔流行ったヒップバックで有名なやつ。

ーーマウンテンスミスとか?

そう! マウンテンスミスの、確かツアーっていう名前のやつかな。

ーーそれ持ってきてもらっても良かったけど(笑)。

そっか。もっとULっぽいのが良いのかなと思ってね(笑)。

ーーじゃあそんなエクストリームな山行を好むおーじ君のお気に入りを1個1個見ていきますか。ひとつ目は?

最近だとアクリマのライトウールスポーツシングレット。ベースレイヤーやね。

① Acrima - Light Wool Sports Singlet

ーーこれはメリノウール100%?

そう。で、胸の上の部分、首元がメッシュになってて。

ーーこれもメリノのメッシュ?

それが結構特徴的だなと思ってて。普通こういうとこは化繊になりがちでしょ。背面もメッシュで。だからザック背負う部分が完全にメッシュになってるみたいな感じ。

背面は大胆にメッシュ素材。

ーーやっぱこれは抜けるのを感じる?

感じますよ。

ーーもう風が吹き抜けるような感じ?

そこまでではないけど、やっぱり熱放射するっていうか、熱を出してくれてる感じっていうか、こもらない。

ーー乾きとかどう?

メッシュの部分はやっぱ速い。この胸の上に空いてるところも、結構ここ汗かくじゃない。それが抜けてくれるみたいな感覚はある。

メッシュもメリノウール100%だ。

ーーその感覚は味わったことがないかも。やっぱ快適?

僕は今これめっちゃ調子いいですね。冬は山道のDF Mesh Merinoシリーズとかもいいと思うけど、僕はやっぱ汗っかきなんで。汗対策は自分の中でのいちばんの課題。

ーー汗かきという十字架を背負ってるんだね(笑)。次は寝具系でいきますか。

じゃあ最近お気に入りのダウンのシステムと化繊のシステムを両方紹介したいんだけど、まず化繊のシステムから。これはウエスタンマウンテニアリングのホットサックVBLMLD(マウンテンローレルデザイン)のFKTキルトの組み合わせです。

② Western Mountaineering - Hot Sack VBL + Mountain Laurel Designs - FKT Quilt

ーーウエスタンってダウンの印象しかなかったけど、ビビィ出してたんだね。これはこの金色の方が内側なんだよね?

そう。ホットサックVBLはパッと見て面白いなって思って、即買っちゃった。めちゃくちゃ熱反射してくれて暖かいんだけど、透湿性が全くないんで、めちゃくちゃ中がびしょびしょになる(笑)。

内側の金色のコーティングがいかにも熱を反射してくれそう。

ーーこのVBLってヴェイパーバリアーってことだよね? あえて蒸れさせることで暖めるっていう方法論。なるべく軽量で暖かくなる方法論としてかつてUL界でも少しだけ注目されたことがあったよね。

しまうとめちゃくちゃちっちゃいし、これはエマージェンシーとして使うのが基本だと思うけど。

スタッフサックに収納するとこの小ささ。

ーーあえて透湿性がないものを、これでいいやって出しちゃったところがすごいな。

ただね、1泊2日とかだったら、別にその次の日がないから、全然蒸れてもいいやって。

ーーこれに服だけで入ってもやっぱ蒸れるか。

全然蒸れちゃう。

ーーだから暑い夏ならこれ1枚で寝れますよってものでもないよね。

そうそう。あくまでエマージェンシー用。でもそんなふうにびちょびちょになっちゃうことを前提に組み合わせるものとしてこのFKTキルト。化繊キルトなんだけど、意外とめちゃくちゃ暖かい。

マウンテンローレルデザインのFKTキルトは足元を開放してブランケットのようにも使える。

ーー(MLDのサイトを見ながら)化繊で390gから480gか。軽い。

軽いよね。重さがいろいろあるのはサイズが選べるから。これがMだったかな。まあでも大きいでしょう。ロフトも結構簡単に膨らむし、5℃くらいまでなら全然これ単体でも使えるけど、このホットサックと合わせると暖かさをさらに感じる。湿気を纏ってくれる感じで、本当に暖かい。なんかわかんないホカホカするのをものすごく全体で感じる。なんだろ、ダウンの暖かさとも違う感じ。やっぱ湿気かな。

ーーキルトの表面は濡れるけど、化繊なら濡れても暖かさそれほど減らないし、それ前提の組み合わせってことだね。攻めてるね〜(笑)。で、これが化繊バージョンとして。

次はダウンバージョンの寝具として、ナンガ×さかいやのエレファントフットスリーピングバッグ100ハイランドデザインのスーパーライトダウンジャケットの組み合わせ。

③ Nanga x Sakaiya - Elephant Foot Sleeping Bag 100 + High Land Designs - Super Light Down Jacket

ーーさかいやが半シュラ(下半身だけのシュラフ)を別注で作ってるのか。さすが。半シュラは国内じゃ間違いなく唯一だね。

国内ほとんどないもんね。これもめちゃくちゃよくて。足元がボックスタイプになっていて、特にダウンが多く入ってる。サスペンダーはついてないから自分でつけて198gだったかな。サスペンダーなしで195g。

かつては先鋭的なクライミングの現場などでよく使われた半シュラ。上半身はダウンジャケットを着れば良いという発想。

ーーこの色もいいね、桃の果肉みたいな感じでかわいい。裏地が赤で表地が白だからこうなってんだ。

ちょっと透けてるよね。

ーーこれにハイランドデザインのダウンジャケットを組み合わせると。

これはこの前の『Off The Grid』で古いモデルが安くなってたんで買ったんだけど、250gぐらいなんで合わせて450g。これは結局、テント場でご飯食べてるときも着れるし、分離してる方が何かとやっぱり使いやすいというか。この組み合わせで5°Cまではいけるかな。

ーー夏だったらこれで高山でもいけるね。

全然いける。だからこれが5°C対応のエクストリーム寝具って感じかな

ーー次はヘッドランプにしますか。

はい。これはナイトコアのNU25 ULってモデル。

④ Nitecore - NU25 UL

これの最大の特徴は、光の指向性を変えられるとこ。遠くまで光が届くライトと足元を照らすライトふたつ付いてて、それぞれ単体でも点けられるし、両方付けると広角で照らせるっていう。

ーーおーじ君は夜間行動はする方?

結構する。

ーーそれでもこれで全然大丈夫って感じ?

うん。あとボタンひとつで光を変えられるのもラクでいい。

ライトがふたつ付いていてそれぞれ照射角度が違う。

ーー明るいし小さいけどあんまりバッテリーは持たなそうだね。最近のライトって明るくてちっちゃいのはいいけど、やっぱりバッテリーが持たない気がする。

いちばん光を強くしたら持たないけど、弱くしたら結構持つはず。

ーーへー。ナイトコアって元々バッテリーなんかも作っているメーカーみたいだから、そこんとこ強いのかな。あとベルトが初めからバンジーコードになってくれてるのがいいよね。ヘッドライトって本体はどれも小さいのにベルトがかさばるのが嫌なんだ。

そうよね。あとプラスチックの素材とかがちゃちいんだけど、それもかわいい。電池の残量のインジケーターが4段階だったり、USB-C対応なとこもいい。

バンジーコードタイプのベルトは、最近のヘッドライトのトレンドになりつつある。

バッテリー残量のインジケーターは4段階で充電アダプターがUSB-C対応な点もぬかりなし。

ーーLEDライトとバッテリーって近年特にハイパワー化と軽量化と低価格化が進んでいる分野だからね。これは確かに今の時代のライトっぽい。で、次はこの熊鈴?

そう。ハチェットメタルワークスタジオのオールシーイングアイ・ガーディアンベルっていう熊鈴です。

④ Hatchet Metal Work Studio -"All Seeing Eye" Guardian Bell

すごく小さくて音もささやかなんで意味あるのとも思うけど(笑)。でも鈴ってなかなかいいのとか、ちっちゃいのがなかったりするから。ちょっとフリーメーソンみたいなこの怪しいデザインに一目惚れしちゃって買っちゃった。

ーーここはこういうのばっかり作ってるブランドなの?

あとアクセサリーとかもあるけど、自転車のバルブキャップとかケーブルエンドなんかも作ってる。

ーーケーブルエンドってよくなくなっちゃうから、ちょっと欲しいかも(笑)。

かわいいでしょう。ちょっとセンスが面白いよね。何か見つけて即買いしてしまった。

裏面にはHatchet Metal Work Studioの頭文字が刻印されている。

ーーサイトを見ると、こういうニッチなもんばっかり作ってんだね。よくもまあこんなの見つけてきたね。

なんかね(笑)。で、最後がまた単体でなくセットとしての紹介なんやけど。BRSの3000Tとイークッカーのガス缶のセットです。ガスストーブのセットならこれがもういちばん最軽量っていう。

⑤ BRS 3000T + E Cooker Gas Canister

ーーすごい小さいねこのガス缶。こんなのどこで見つけてきたの?

それ日本のやつで、僕のは塗装剥いでるんだけど、元々は旅館でひとり鍋なんかを固形燃料で暖めるじゃない? ああいう用途のために作られた小さいストーブのためのガス缶みたい。

イークッカー専用のガス缶。塗装を剥がしガスを詰め替えて使っている。

ーーまだ買えるの、これ?

ネットとかで探すと情報はあるけど、最近生産中止になっちゃったみたい。

ーーこれはどれぐらいガスが入ってるんだろう?

OD缶の小さい方が110gだけど、これは12g。ちょうど、400mlを2回沸かして、少し残るぐらい。だから朝晩ドライフードだけだったら1泊2日全然これで行ける。

ーーへ〜。BRSのこのストーブってちっちゃ過ぎるだけにガス缶でかいじゃんってのが目立つというかね。

そう。だからなんかいいのないかなと思ってたら、見つけた。

ーーこのBRSがあるからこそこれにしたくなるって話だよね。普通のガスストーブだと小さすぎて安定しなそうだし。

BRSは五徳がちっちゃくて滑るし、正直使いにくいけど、でも軽さはいちばんの魅力じゃない。

ーーBRSって「中華ブランド」というイメージでいろいろいう人もいるけど、自分は名品と思ってるよ。逆に欧米や日本の大手のメーカーがなんでこのくらい小さいの出さないんだろうって感じだよね。 

そうそう。

ーーなんか理由があるのかもしんないけど、BRSが作れるならもっとすごいの作れるんじゃないのって思うんだけど。ともかくこれはハイカーのガスストーブ回帰を推し進めたよね。でもこのガス缶専用の小さいストーブがあるんじゃないの?

あるんだけど、そのストーブに五徳がついてないんだよ。旅館の一人鍋用なんで(笑)。

ーーそっか。で、そのまんまだと普通のアウトドア用ストーブには付かないから変換アダプターをかましているんだね。

そうそう。でもアダプターもイークッカー専用じゃなくて、合うのを探したの。今主流で売ってんのは4本爪のアダプターなんだけど、これは3本爪で、この径がちょうどこれに入るの。普通のやつは入らない。ようは家庭用のガスボンベをアウトドア用のストーブに連結するアダプターあるでしょ?

ーーなるほど。あれってことか。

そうそう。

ーーそれはどこで手に入れたの?

このアダプターはカリフォルニアパティオってとこで買った。この情報はネットでイークッカーを紹介している人はあんま書いてくれてなくて、調べて調べてここに行き着いた。

ーー使えるか使えないかわかんないけど、買ってみたらシンデレラフィットでキター! みたいな。

そうそう。キター! って(笑)。

OD缶用のストーブやランタンを家庭用のガスボンベに装着できるアダプター。

ーーガス缶の中身は「つめかえ君」とかで詰め替えてるってこと?

そうそう。

ーーガスで言ったら最軽量システムだね。

1泊2日のときはこれを持っていく。ファストパッキングには本当にちょうど良い。これ別にガス缶を2個持って行ってもいいからね。

ーー確かに。2個でもいいね。

それでも軽いから。3つでもいいんだよ。

ーーこのサイズならね。そしたら3日分みたいな感じだよね。

そうそう。それも全然ありだから。

ーー110缶でも3日くらいだと半分ぐらい余っちゃうもんね。

だから40gぐらいのガスがあったらいいよね。

ーー本当だね。110缶の直径そのままでもっと平べったくした40缶とかあったらいいな。

安定するしね。

ーーむかし、MSRのガス缶が海外でだけ出てたので、外周サイズは250缶なんだけどそれが平べったくなって110缶にしてるのがあって。

あれかっこいいから、わざわざ詰め替えて使ってる人もいるね。

ーーあんな感じで110缶を平べったいの出してほしいな。

その方がやっぱ安定するし。

ーーともあれこれはなかなか辿り着きましたな。真似したい。ありがとう。刺激になったよ!

【山と道京都編に続く】

【前編はこちら】

三田 正明
三田 正明
フォトグラファーとしてカルチャー誌や音楽誌で活動する傍、旅に傾倒。 多くの国を放浪するなかで自然の雄大さに惹かれ、自然と触れ合う方法として山に登り始める。 気がつけばアウトドア誌で仕事をするようになり、ライター仕事も増え、現在では本業がわからない状態に。 アウトドア・ライターとしてはULハイキングをライフワークとして追い続けている。 取材活動のなかで出会った山と道・夏目彰氏と何度も山に行ったり、インタビュー取材を行ったり、酒を酌み交わしたりするうちに、いつの間にかこのようなポジションに。 山と道JOURNALSを通じて日本のハイキング・カルチャーの発展に微力ながら貢献したいと考えている。
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