山と道ラボ【レインウェア編】
#6 同一試験による防水透湿素材の総合評価

INTRODUCTION

『山と道ラボ』とは

山道具の機能や構造、性能を解析する、山と道の研究部門です。

アイテムごとに研究員が徹底的なリサーチを行い、そこで得られた知見を山と道の製品開発にフィードバックする他、この『山と道JOURNALS』で積極的に情報共有していくことで、ハイカーそれぞれの山道具に対するリテラシーを高めることを目指します。

これまで、レインウェアについて深ーく深ーくリサーチを重ねてきた山と道ラボ。駆け足でふりかえりたい方は以下の記事をご参照ください。

山と道ラボ【レインウェア編】#6 これまでのまとめ

最後の電子顕微鏡検査以来、掲載間隔があいてしまいましたが、この間ラボはレインウェアの性能について一定の評価をすべくさまざまな試験を実施していました。これまでにラボが行った検査は2種類。

まずは「オリジナルの透湿性検査(#4)」。

これによりいくつかのデータや仮説がえられたものの、計測値に誤差が入り込んだ可能性も否定できず、より厳密な手法が必要では、と考えるに至りました。

続いては前述の「電子顕微鏡検査(#5)」。

これにより、ある程度は素材の組成・構造について推測を深めることができましたが、この検査は素材の構造を推測するものであり、素材の性能を明らかにしたわけではありませんでした。

これまで何のために検査を重ねてきたのか。それはレインウェア素材について理解をふかめると同時に、性能についてなんらかの優劣を判断したかったからです。

そこでラボではこのたび初心に帰り、レインウェア素材の総合評価を行うべく、多面的な検査を行うこととしました。誤差が入り込まないよう、検査は専門の機関に依頼。一部はJIS法など手法の信頼性が確立している方法を用いています。

前書きが長くなりましたが、今回はその結果をお届けします。さらに、考察や試験方法についての詳細についても触れていきたいと思います。

今回、検査に用いた素材は以下の通りです。これまでの検査でおなじみの素材ばかりですが、テクノロジー的にも重複が少なく、バランスのよいラインナップかと思います。

パーテックスシルード(PS)
薄くしなやかな特性から、軽量なレインウェアに多く採用されています。ポリウレタン(PU)の親水性素材です。

パーテックスシルードプロ(PSP)
パーテックスの透湿性、耐久性を強化した素材です。PU疎水性素材。

eVent
「ダイレクトヴェンティング」と呼ばれるテクノロジーを用い、透湿性に定評があります。ePTFE(テフロン)疎水性素材。

ネオシェル(NEO)
透湿性やストレッチ性に定評のあるポーラテック社の素材です。PU疎水性(独自に行った顕微鏡検査などからの推定)。

カムレイカ(KAM)
ウェア内の温度と湿度を適切に保つという「37.5テクノロジー」を用いたOMMの独自素材です。PU親水性(独自に行った顕微鏡検査などからの推定)。

シェイクドライ(SD)
正式名は「ゴアテックス・アクティブ・ウィズ・シェイクドライ」。表地を廃しメンブレンを直接むきだしにすることで永続的な撥水性を実現しています。(テフロン)疎水性。

ゴアテックス(GORE)
言わずと知れた防水透湿素材の雄。eVentと同じ疎水性のePTFEメンブレンですが裏面に親水性のコーティングを施しており、全体の性質としては親水性と推定されます。

以上、ブランドの異なるレインウェア素材を横並びで比較し評価するという、おそらく業界でも類を見ないこの試み、じっくりご覧下さい!

①評価基準の特定

さて、評価の前にその基準を決めなければなりません。今回「優れたレインウェア」を決める要因を以下のように整理し、「レインウェア素材」の評価基準として「透湿性」「保温性」「透湿速度」を取り上げました。

  • 今回評価するのは上図に示す「レインウェア素材の快適性能」にあたります。

第1回の対談でも様々な論点が出ましたが、レインウェアにもとめられる性能を簡潔に表現すると、「『濡れ』をふせぎ、『蒸れ』を排出し、『低体温症を防止』する」ウェアと表現できるかと思います。

『濡れ』をふせぐ防水性についてはレインウェアの最も重要な基本性能ともいえます。ただし、最新の素材はいずれも高い防水性能を実現しており、この部分では差が出にくいと思われます。

透湿性にも係わる撥水性能も重要ですが、こちらもシェイクドライ以外には差が出にくく、メンテナンスによって大きく差がでるため、評価基準とするにはやや難しいところがあります。

そこで今回は差が出やすく、ハイカーの着用感に直結する「快適性能」の部分に絞って「透湿性」「保温性」「透湿速度」をテストすることにしました。

■評価基準1 透湿性

言うまでもなく「蒸れ」を排出する重要な機能です。透湿性の検査で一般的・かつ実際の着用状態にも近いと思われる「JIS A-1法」を用いて、代表的な素材・注目素材を実測・一覧比較してみることにしました。

レインウェア素材の検査で最も多く使われているのは「JIS B-1法」です。B-1法は親水性の素材に有利な結果がでると考えられており、多くの素材が「見かけ上ハイスペックに見えやすい」B-1法の結果をカタログに掲載していますが、その試験法は実際の山での着用状況とはやや相違があります(詳細は#3をご参照ください)。

今回の試験では、おそらく業界で初めて(!)、実際の着用状態により近いA-1法での素材ヨコ比較を試みました。

■評価基準2 保温性

レインウェアにまず第一に求められる要件である「雨天時の低体温症を防ぐ」という観点からもきわめて重要な機能であり、ラボの行ったオリジナル検査(#4参照)でもクローズアップされました。この保温性をはかるために、温度と湿度を測定する「データロガー」と呼ばれる機器を用い、温度条件を変えた際に素材内の状況がどのように変わるかを測定するオリジナル検査を実施しました。

■評価基準3 透湿速度

レインウェア編第1回の対談でも論点となった性能です。「透湿性」をはかるA-1法は24時間換算の透湿量ですが、たとえば湿気を1秒で透湿する素材と1時間で透湿する素材とでは、実際の着用感・快適性が大きく違います。そこで、「透湿速度」を「透湿性」とは別の独立した基準として設定しました。

これまでは感覚的な評価にとどまっていた部分が大きかったと思いますが、保温性と同じくデータロガー検査によって水蒸気量の変化を記録しています。データロガーによって温度・湿度変化を継続的にトラッキングすることで、ウェア内の環境を常時快適に保つというOMM「カムレイカ」の性能が明らかになるのではという期待もありました。

さて、このほかに防風性、通気性といった指標も検討しましたが、それらは保温性や透湿性の説明要因ではないかと考え、直接の評価基準からは外しました(後述しますが、通気性については別途検査を行っています)。保温性には生地厚も関係しますが、それ自体は良い悪いといった評価対象ではないと考え、やはり背景要因という扱いをしています。

また、対談では着用時の運動性にかかわる部分(裁断の工夫やストレッチ性などによる動きやすさ)や、防水性を保つ機構(フード、カフなど)も論点となっていますが、これらは防水透湿素材単体ではなくレインウェア製品全体での性能として、今後のステップで考察する予定です。

②素材の評価結果

各素材の評価結果は以下の通りとなりました。

ぱっと見ただけでも、各素材のキャラクターがわかるのではないでしょうか。
以下、素材ごとの特徴と評価です。

パーテックスシルード(PS)
透湿速度でダントツの数値ですが、透湿性の限界値そのものは高くありません。保温性も低い水準です。

パーテックスシルードプロ(PSP)
透湿性、保温性に優れます。代わりに透湿速度は低めで、パーテックスシールドと好対照な結果となりました。

eVent
定評通り、さすがの透湿性です。加えて保温性と透湿速度も平均的で、バランスのとれた素材といえます。

ネオシェル(NEO)
透湿性と透湿速度に優れ、「蒸れ」対策としては最も優れた素材の1つと言えます。一方、保温性はウィークポイントです。

カムレイカ(KAM)
保温性が突出しているものの、透湿性、透湿速度いずれも低いスコアとなりました。ある意味、「温度を維持する」というテクノロジーは実証できたように思えますが、「蒸れ」に関しては期待したほどの性能を確認できませんでした。OMMのサイトでは『37.5テクノロジー』としてウェア内の温度が高くなった場合には積極的に蒸気を放出するという機能がうたわれていましたが、今回の検査ではそのような性能は実証できませんでした。

シェイクドライ(SD)
透湿性と透湿速度に優れ、保温性も平均的な水準を維持しています。同じく透湿性と透湿速度に優れるネオシェルよりも保温性で勝り、バランスの取れた素材といえるでしょう。

ゴアテックス(GORE)
保温性はカムレイカを上回る検査素材中トップのスコアです。透湿性はやや低めですが、平均よりもやや下という程度。透湿速度がネックですが、総合的なバランスは最新素材と比べても悪くないように見えます。

なお、グラフのもとになったデータは以下の通りです。

「透湿性」「透湿速度」「保温性」の3指標は独立したものですが、あえて足しあげ、「総合スコア」を出してみました。「シェイクドライ」(SD)、「パーテックスシールドプロ」(PSP)、「eVent」がベスト3となっています。

ただし、この「ベスト」は山行スタイルによって大きく変わることも確か。透湿性重視であればシェイクドライやネオシェル、保温性重視であればゴアテックスなど、適材適所での使い分けが求められるところです。また、透湿性や保温性の劣る素材であっても、レイヤリングの工夫で対応できるでしょう。もちろんULハイキングやファストパッキングのように、軽量性が最重要、という場面もあります。

これまでの記事と繰り返しとなる部分もありますが、やはりレインウェアは適材適所というのが結論めいたものとなるでしょうか。ただしどの素材がどのような特徴で秀でているのかを示すことができたことには、大きな価値があると自負しています。

今回の評価結果が、そうした使い分けや使いこなしの指針になれば幸いです。

③考察編~何が素材の性能を決めるのか?

評価の結果をもとに、もう少し掘り下げてみたいと思います。

■何が「透湿性」を決めるのか~疎水性

まずは透湿性から。A-1法で高い透湿性スコアとなった素材は、すべて疎水性であることがわかります。数値を分析してみると、透湿性スコアの8割は「疎水性かどうか」だけで説明できることが明らかになりました。

以下の赤いラインは疎水性/親水性の違いだけで計算した理論値ですが、青い実測値とよく整合しています(ゴアテックスについては、疎水性のePTFEメンブレンに親水性コーティングをほどこしたハイブリッド構造(つまり半分疎水性)として理論値を算定しました)。

疎水性とは、ePTFEであれPUであれ、孔が開いた多孔質構造です。透湿性に優れるのは自明の理でしょう。

何が「透湿速度」を決めるのか~保温性と透湿速度の相反

透湿速度については、ePTFEかPUか、疎水性か親水性かといった違いだけによっては決まらないことがわかりました。

透湿速度と強い関係があったのは保温性。すなわち保温性と透湿速度はトレードオフの関係にありました(透湿速度が速いほど保温性が低く冷えやすい)。以下の通り、透湿速度と保温性は見事に逆相関しています。

ひとつ考えられるのは、今回の検査では素材の厚みをコントロールしていません。薄い素材ほど温度変化が早く進み、その結果、素材外部への透湿が早く生じたということも考えられます。つまり、同じ素材の厚さ(重さ)同士で比べれば、ePTFEかPUか、疎水性か親水性かといった性質となんらかの関係性が見いだせたかもしれません。

今回は、市場にあるありのままの素材を評価するという観点が重要と考え、あえて厚さのコントロールを行いませんでした。それぞれの素材は厚さ・薄さ自体がその素材のキャラクターとなっています。パーテックスの特長は薄くしなやかであるということであり、ブ厚いパーテックスというのは(今のところ)市場にないわけです。存在しない素材を評価しても意味がありません。

いずれにせよ、透湿速度も保温性も一応独立した指標としていますので、片方が片方を完璧に説明できてしまうのはあまり具合がよくありません(3つの指標ではなく2つの指標で評価していることになるためです)。今回の評価では、厚みというファクターを取り除けば相互に独立した要因なのでは、ということで扱っておきたいと思います。

また、透湿性と透湿速度については中程度の関係性が見いだせました。透湿速度とはスタートダッシュのようなもので、スタートが速くてもゴールタイム(透湿の限界値=透湿性)は必ずしも速くないという場合がありうるようです。

「通気性」と各指標との関係

最後に、今回の評価の基準からは外しましたが、通気性能についても調べました。

保温性にも透湿性にも透湿速度にも関係しそうな通気性は、メカニズムとしては知っておく必要があります。通気性についてはフラジール法、KES法という2つの手法を用いて測定しました。

透湿性との関係

その結果測定された通気性と透湿性には、疎水性の素材に限って強い関係が認められました。

透湿には、親水性特有の吸湿→放出というメカニズム、疎水性特有の多孔質によるダイレクト通気のメカニズムがあります。後者については通気性に近い概念であり、関係が見いだせたものと思われます。

一方、前者の親水性素材は通気性が透湿メカニズムに関係しません。親水性素材は多くが測定限界値(通気しない)という結果となり、うまく相関が出ませんでした。

保温性との関係

通気性と保温性については、強い関係が認められませんでした。理屈としては不思議ですが、通気するからといって必ずしも温度の低下を招くとは限らず、生地厚の影響も大きいものと思われます。

なお、通気性の試験は生地に空気を通したり、圧力をかけたりして測定します。この結果を防風性に読み替えることも可能ですが、今回検査した素材はいずれも一般的な使用条件下での強風に耐え、防風性があることが明らかになりました。よく言われるように「通気するから寒い」とは限らない、ということでしょうか。

透湿速度との関係

通気性と透湿速度についても強い関係は認められませんでした。透湿性と透湿速度は中程度の関係がありましたので、通気性が間接的に影響しているとは思われますが、数値的に検証することはできませんでした。

これまでの分析・考察を図で整理すると、以下のようになります。

このことから、たとえば薄い疎水性素材を用いれば透湿と透湿速度に優れ、厚い親水性素材を用いれば保温に有利となることがおわかりになるかと思います。

なお、汗の結露による冷えは蒸れと無関係ではありませんが、基本的に氷点下以上では湿度が高いほど暖かく感じます。保温性と蒸れ(透湿性)がある程度トレードオフとなるのはやむをえず、逆にレイヤリングで解決した方がスムーズなのでは、ということを示唆しているのかなと思います。

④検査の詳細

さて、ここからは実際に行った検査ごとに詳細を記します。どうかみ砕いても複雑な内容になりますが、なるべくかいつまんでご説明します。

透湿性検査(A-1法)の詳細

A-1法についての詳細はレインウェア編の#3をご覧いただくとして、ここではカタログなどによく掲載されている、B-1法との相違を中心に触れていきます。

A-1法は40度・湿度90%という環境を再現し、人が運動をして衣服内が蒸れた状態での透湿量を測ります。一方B-1法では防水素材の裏地を水に漬け、素材を通して透湿してくる蒸気の量を測ります。

B-1法が親水性素材に有利とされるのは、素材に接した水分をどんどん吸水し、見かけ上の数値が高くなるからに他なりません。これは、アウトドアでの実際の着用場面とはだいぶ異なる想定かと思います。今回の試験で採用したA-1法も実際の着用場面とはやや乖離がありますが、B-1よりも現実的な想定といえます。

さらに、A-1法で定められている「40度・湿度90%」条件だけではなく、「30度・湿度90%」での測定も行いました。30度→40度での変化や素材間の違いを確認し、カムレイカの『37.5テクノロジー』を検証するためです。

測定結果は以下の通りでした。30度時点と40度時点をタテ棒グラフ、さらに40度と30度の透湿量比率(40度は30度時点の何倍透湿するか)を折れ線グラフで示しています。

一見して、カタログで良くみるような「20000g/m2/24h」とか「30000g/m2/24h」という景気の良い数字が見当たらないことが分かります。

「ブランク」とは、検査器具に何も素材をはらない状態、つまり自然蒸発であり、どのような素材であってもこの数値を上回ることはありません。そのブランクでも40度でようやく20000g/m2/24h程度。A-1法ではそもそもそれほど高い数値は出にくいようです。

カタログなどでA-1法でも高いスペック値の素材があるとすれば、それは生地素材全体ではなくメンブレン単体を測定しているということも考えられます。上の表は表地・裏地を含む、レインウェアに使われている生地素材そのものの数値ですが、これはB-1法にもあてはまります。本来開示・測定すべきはメンブレン単体ではなく、この「生地素材そのもの」の測定結果ではないでしょうか。

30度と40度の間での比較ですが、特に素材ごとの傾向の違いはありませんでした。30度で優秀な素材は40度でもおおむね優秀ということです。40度の透湿性としては、パーテックスシールドプロとシェイクドライが同スコアで首位、次いでeVentとネオシェルが続きました。30度では僅差でネオシェル、eVent、シェイクドライの順となりました。

■透湿速度と保温性試験(データロガー試験)の詳細

前述通り、温度の変化スピードと水蒸気量の変化量をみるため、「データロガー」と呼ばれる温度と湿度を測定する機械を用いました。「データロガー」をそれぞれの素材でくるみ、外部の温度・湿度条件を変化させることで素材内の状況をモニターするという方法です。

温度が急に上がる想定(1時間で40度・湿度90%→20度・湿度90%)、温度が急に下がる想定(こんどは逆に20度・湿度90%→40度・湿度90%)の2条件で測定を行いました。

こちらはテキストで解説するより、結果をグラフでご覧いただいた方がわかりやすいと思います。グラフの上が温度変化、下が水蒸気量の変化です。

「添付白布 ポリエステル」は比較に用いたただのポリエステル布、「槽内」は検査器内の状況を表しています。

一見して素材間の差があまりないように見えるかもしれませんが、それは1時間という短時間で急激に条件を変えているため。検査機関の方によると、これでもかなり素材間の優劣が出ているそうです。

「透湿速度」については、素材間の水蒸気量差(一番透湿した素材としない素材の差)が最大となった測定開始5分時点での値を用いてスコアとし、「保温性」については、20度、30度、36度、40度などの各温度に到達した速度を平均化し、スコアとしました。

■通気性試験の詳細

通気性については、フラジール法、KES法の2手法を用いました。

フラジール法は生地に125パスカルの圧力(およそ風速15m/sに相当)をかけ、通過空気量を求める手法。KES法は一定の空気流量のもとでの通気抵抗の大きさをはかる手法で、フラジール法で測定できないような、通気性の低い素材(防風性の高い素材)の通気度も測定可能です。

結果はフラジール法がすべて測定限界以下(すべて通気せず)という結果となりました。風速15mといえばなかなかの強風ですが、今回テストしたいずれの素材もその程度の風であれば防いでくれることがわかりました(すべて通気せず、なので結果の表は省略します)。

KES法では以下のような数値となりました。実際に測定された通期抵抗と、その抵抗を風速に換算した数値をまとめています。(風速換算は簡易算定です)

「ブランク」は、文字通り布を貼らない、抵抗ゼロということです。数値が小さいほど「抵抗が小さい=通気性が高い」ということになります。

いずれの素材も、大型台風を上回るような強風でも通気しないという結果となりました。防水性と同様に、最新素材であれば防風性という点でも事実上差がないといえるでしょう。

その中で差異を見てみると、ネオシェルの通気性が突出しているのがわかります。eVentもそれに次ぐ優秀なスコアです。一方で、パーテックスシールド、パーテックスシールドプロ、カムレイカは270という測定上限(通気しない)の結果となりました。疎水性多孔質素材のパーテックスシールドプロは通気性が高いという期待があったのですが、再試験を行ってもこの測定結果はくつがえりませんでした。

今回の通気性検査では、防風性に該当するような性能をクリアにできたかと思います。一方で、透湿性に該当するような蒸れを排出する性能(eVentが「ダイレクト・ベンティング」と称した性能)はうまくとらえることができませんでした。後者の意味での通気性については、むしろA-1法の方が妥当な検査なのではと感じました。

以上で検査の詳細は終了ですが、いかがでしたでしょうか。しばらくラボ記事の掲載間隔が空いた理由もご推察いただけたのではないかと思います…大変でした!

さて、素材については今回の試験である程度の知見を得ることができました。次回からはいよいよ素材編から製品編へ。レイヤリングなど、実着用状態を再現しての試験なども予定しています。

いよいよゴールが見えつつある(?)レインウェア編、今後とも懲りずにお付き合い下さい!

(文責:渡部 隆宏)

注:本稿は2018年1月から5月にかけて行ったリサーチャー、およびラボメンバーの独自研究をまとめたものであり、一部に推定もしくは主観的な判断を含みます。本稿は内容の完全な正確性・妥当性を保証するものではなく、本内容を利用する事によって生じたあらゆる不利益または損害などに対して一切の責任を負いかねますのでご了承下さい。引用は著作権法にもとづいた適正な範囲でお願いします。

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  • 渡部 隆宏

    渡部 隆宏

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    デザイン会社などを経て、マーケティング会社の設立に参画。 現在もコンサルティングをはじめ、各種リサーチ、統計解析などいろいろと手がける。 2012年より旅行情報サイトの運営(tabinote.jp)を開始、ガイド記事の執筆や一般誌への寄稿、ベストセラー書籍「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」公式サイト(zekkei-project.com)のライターなど、旅に関する仕事も行っている。 旅行以外には空手とクラフトビールに絶賛ハマリ中。 山は日帰りロングハイク中心で、たまにトレランも。

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