山と道HLC 3月のプログラムを振り返る
2021.04.28

ハイキングカルチャーを育むコミュニティー作りを各地域で行っている「山と道HLC」の活動を、各地域のアンバサダーや参加者の皆さんのインスタグラム投稿を通じて振り返ります。

山と道HLCの3月は、5つのエリア全てでプログラムが開催されました。

HLC北関東、HLC北海道、HLC東北では、豊富な積雪によりスキーやスノーシューなどの滑走・歩行のツールとULハイキングの道具の軽量性を組み合わせ、積雪期におけるULハイキングの有用性を積極的に取り入れました。

その他、HLC四国では四国ならではの遍路道を歩いて学ぶローカルスタディハイキング、HLC関西ではアンバサダーの得意技を活かしたファストパッキングを少人数のチーム全員でゴールを目指すチャレンジを行いました。

こうして各地のプログラムを俯瞰すると、3月という季節の変わり目に、南北に長く伸びる日本列島の特色をより濃く感じます。それぞれの地域には、季節や風土に見合ったそれぞれのハイキングがあるということも非常に興味深いですね。

山と道HLCプロジェクトディレクター 豊嶋秀樹

スマートフォンでは各投稿のキャプションが一部表示されないことがありますが、リロードを繰り返すことで正常に表示されます。また、各画像をタップすることでインスタグラムの投稿に直接アクセスできます。

HLC北関東
裏磐梯
スノーハイキング入門

【AMBASSADOR’S SIGNATURE】

HLC北関東では、3月6日(土)に福島県の磐梯山の北側に広がる裏磐梯でスノーハイキングを実施しました。

冬季ハイキングは初体験という方が集まった今回のスノーハイキング入門。「本当に履いているの?」と超軽量スノーシューに驚きながら、フカフカの雪の上や凍った湖の上を歩きました。スノーハイキングの自由さに魅了された参加者の皆さんは、きっと忘れられない経験になったことでしょう。

UL(ウルトラライト)の考え方や装備を取り入れることで、重くなってしまう冬季ハイキングの可能性が広がるプログラムとなりました。

裏磐梯へ足を伸ばし開催したスノーハイキング入門! スノーハイキングは初体験という方がほとんどでしたが、それぞれ自由にルートを探して思い思いに楽しんでいました。
どうしても荷物が増え重量が増す冬季のハイキングですが、参加者の皆さんには今回学んだULの要素を、今後も取り入れてもらいながら冬季のハイキングも楽しんでもらえたらと思います。(北関東アンバサダー 廻谷朋行)

アンバサダー廻谷朋行の投稿

プログラムに参加した@yo_ko.yさんの投稿

プログラムに参加した@riverandlakesさんの投稿

「いや~裏磐梯よかったですよ~!」とプログラム後に楽しそうに話してくれたHLC北関東アンバサダーの廻谷。ふだんのHLC北関東の活動エリアとは違った魅力を発見しワクワクしているようで、今後の活動の幅も広がりそうでした。こうやって、訪れてみたい山域が増えていくことも山と道HLCに関わることで得る楽しみのひとつです。(スタッフ木村)

HLC北海道
ニセコ連峰
1泊2日UL
スキーハイキング

【AMBASSADOR’S SIGNATURE】

HLC北海道では、3月13日(土)ー14日(日)の2日間、HLC北海道のホームグラウンドのニセコ連峰でULスキーハイキングを実施しました。

HLC北海道アンバサダー峠ヶのスキーという特技や経験に、ULのスタイルや考え方をかけ合わせた今回のプログラムは、山と道HLCのプログラムでお馴染みの事前のギアリスト提出と装備軽量化は大前提とし、出発当日にもビーコンなどの雪山必携ギアの念入りなチェックを行い安全性も再確認。厳選したULスキーハイキング装備で出発しました。

穏やかな天候の中、自由にハイクアップや滑走を楽しみ、夜は貴重な雪中キャンプを経験し参加者同士の絆も深まった1日目。2日目は参加者の皆さんと地図を見ながら作戦会議し、これまでの山の経験や天候なども考慮しつつ、山のまわりを一周するルートに。最終的にはいつものバックカントリースキーやハイキングでは味わえない稀有なプログラムになりました。

山を登り大きな斜面を気持ちよく滑るバックカントリースキーとは、ひと味違った楽しみを味わえるスキーハイキング。今回のHLC北海道ではニセコの山を登るのではなく、ぐるっと1周しました。
天候や山の条件で様々な遊び方を楽しめるのは、背負う荷物も軽くフットワークも軽いULスタイルのスキーハイキングならではですね。(北海道アンバサダー 峠ヶ孝高)

アンバサダー峠ヶ孝高の投稿

プログラムに参加したHLCプロジェクトディレクター豊嶋の投稿

僕自身も、ニセコのローカルの仲間達と春の恒例行事としてニセコ連峰でのスキーツアーを行っていますが、テントなどの宿泊装備、アイゼンやピッケルなどの冬山装備を含めたパッキングをいかに軽くするかが快適にスキーを楽しむための必須条件となります。
スキー技術と供にULハイキングの経験やスキルもさることながら、仲間との信頼関係が欠かせないことはまさに山と道HLCそのものです。(山と道HLCプロジェクトディレクター豊嶋)

HLC東北
八幡平
1泊2日UL
バックカントリースキー

【AMBASSADOR’S SIGNATURE】

HLC東北では、3月20日(土)ー21日(日)の2日間、東北の中でも有名なバックカントリーエリアの八幡平でULバックカントリースキーを実施しました。

HLC東北アンバサダー上野のバックカントリースキーという特技にUL(ウルトラライト)のスタイル取り込んだプログラムは昨年に続き2回目の開催。今回は実際に避難小屋で1泊するというチャレンジも加わったことで、装備の取捨選択や軽量化は至上命題となり、参加者の皆さんには事前のギアリスト提出や無料レンタルが可能な山と道のバックパックへの交換などを通してできるだけ装備を軽くし当日を迎えました。

初日は気温も高めの春の陽気を満喫しながら避難小屋までハイクアップ。軽量化したとはいえ、夏のハイキングとは別次元の重さと想定外の暑さでなかなかハードでした。2日目は小雨と視界不良という少しピリッとした状況で滑走を楽しみました。

念願の冬の避難小屋泊を経験し、HLC東北の活動の可能性が一気に広がったプログラムになったことでしょう。

降雪にも恵まれた2021シーズンでしたが、春の陽気が一気に訪れた八幡平エリア。初日は想定外の暑さに苦しみながらも順調にハイクアップし避難小屋に到着し、小屋下斜面を楽しもうと思った瞬間にまさかのホワイトアウト! 雨も降り出し小屋での宴会モードに突入しました。「先シーズンの練習から本番の小屋泊まりを実現できて良かった」と昨年から続けて参加された方からの感想もあり、個人的にも嬉しい時間になりました。
翌日は小雨の中の滑走となりました。不安定な天候の中、参加者の皆さんと無事に降りてこられたことが何よりです。今後もバックカントリーに小屋泊やテント泊を絡めたプログラムを予定しているので、興味ある方は来年ぜひご参加ください!(東北アンバサダー 上野裕樹)

アンバサダー上野裕樹の投稿

装備を厳選し軽量化したことで達成できた今回のバックカントリースキーの小屋泊プログラム。バックカントリースキーだけでなく、釣行、バイクパッキングなど「自然の中を歩くことが基本となる活動」にULのメソッドを取り入れることで、その可能性がグッと広がることがわかりますね。ULのメソッドをハイキングはもちろん、そこから派生するアクティビティにも取り入れてみてはいかがでしょうか。(スタッフ木村)

HLC四国
四国・遍路道
ローカルスタディ
ハイキング

【LOCAL STUDY HIKING】

HLC四国では、3月21日(日)、四国の遍路道でローカルスタディハイキングを開催しました。

今回のコースは、四国八十八箇所の遍路道(へんろみち)の中でも、奇岩群が広がる古岩屋や山岳霊場の岩屋寺など見所が多い『山里のへんろみち』。

同行いただいた石鎚山系エコツアーガイドの松本勝さんや、岩屋寺のご住職さんからお遍路に関する貴重なお話を伺いながら歩く道のりは、いつものハイキングとは一味違った経験になったのではないでしょうか。

春の雨でより一層神秘的な雰囲気に包まれた遍路道を、悠久の時の流れを感じながら歩くプログラムになりました。

1,200年にも及ぶ遍路道の悠久の歴史を感じながら、いつものトレイルとは何か違う、背筋がシャキッとするような空気感の中でのハイキングでした。随所で目には見えない何かしらのパワーを肌で感じた参加者も多かったと思います。
ガイド松本さんのかなり詳しい説明に、岩屋寺大西完善ご住職のお話、プログラム名のとおり大満足のローカルスタディハイクとなりました!(四国アンバサダー 菅野哲)

アンバサダー菅野哲の投稿

世界各地に残る巡礼や修行の道。日本では、このお遍路がその最たるものの一つと言って良いと思います。
お遍路をハイキングと呼んで良いのかどうかは分かりませんが、「歩く」という行為によって、自分自身を見つめ、再発見するということは、多くのロングトレイルハイカーの口からも聞いたことがあります。「歩く」という人類の動物として原初的な運動が、深く僕たちの精神にも繋がっているのだと感じます。僕もいつか歩いてみたいと、3月で50歳となった春に思うのでした。(HLCプロジェクトディレクター豊嶋)

HLC関西
熊野古道・小辺路
ファストパッキング

【AMBASSADOR’S SIGNATURE】

HLC関西では、3月27日(土)ー28日(日)の2日間、熊野古道・小辺路でファストパッキングを開催しました。

今回は、高野山から1000m級の山と集落を繋いで熊野本宮大社まで約65kmの道のりを2日間でファストパッキングで踏破するという、山と道HLCでも一、二を争うチャレンジングなプログラム。募集人数を3名と最小限とし、HLC関西アンバサダー中川との事前の面談で山の経験を確認したり、他のプログラム同様に装備の軽量化を追求したりと入念な準備を経て山行に入りました。

初日は「とにかく行けるところまで行くぞ!」という前のめりな作戦を立て、登りは歩き、下りは走ることを基本に進行。いくつかキツイ峠越えを経て徐々にペースが落ちそうになるも、HLC関西アンバサダー中川の絶妙なペース配分で引っ張り、参加者の皆さんの限界も底上げされていきました。訪れる集落で暮らす温かいローカルとの触れ合いや、時おり現れる自販機にも助けられ、初日に最終的に進んだ距離はなんと45km。

超軽量シェルダーでビバークした後、2日目は残す20km。ここまでの行動を共にしてきた参加者同士もそれぞれの得意を活かして役割が生まれ、気づけばひとつのチームに。最後、熊野本宮大社に到着した時の達成感はひとしおでした。

世界遺産にも登録されている熊野古道のひとつ『小辺路』を踏破する実践的なファストパッキングのプログラム。ノスタルジーな雰囲気を醸し出した山と街をつなぐトレイルはどこか新鮮で、参加者とタイムスリップしたような感覚を楽しみながら歩き、時に走りました。
睡眠時間は行動ペース次第と、冒頭からそんな話をしていましたが、参加者の皆さんの頑張りあって予定よりも早くゴールすることができました。参加者の皆さんの赤裸々な感想も下の投稿で紹介しているので、ぜひ一読ください!(関西アンバサダー 中川裕司)

アンバサダー中川裕司の投稿

プログラムに参加した@takuma_nnnさんの投稿

プログラムに参加した@kiyomisugiiさんの投稿

プログラムに参加した福岡さんの投稿

今回のプログラムには僕自身も参加し、参加者の皆さんとのチャレンジングな山行を達成した感動は忘れられない思い出になりました。
熊野古道には今回の『小辺路』以外にも『中辺路』や『大峯奥駈道』、『紀伊路』など様々な道があり、全ての熊野古道を合わせると1,000kmの道のりになるとも。自然や歴史、周辺に暮らす人々の生活など異なった趣があるそれぞれの道を、また別のかたちで旅してみたいですね。(スタッフ木村)

プログラムに参加していただいた皆さま、素敵な投稿をしていただいた皆さま、本当にありがとうございました。 

2021年度のプログラムも募集中ですので、プログラムに参加してみたい方、山と道HLCの活動に興味を持たれた方は、ぜひCOMMUNITYページをご覧ください。

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