毎月、山と道がいま伝えたい製品を取り上げ、その魅力と使い方をじっくり掘り下げていくPRODUCT FOCUS。
実際にアイテムをどう使い、どう選ぶのか。季節やスタイルでの使い分けや、長所も短所も率直に語りながら、道具を通して、自分に合う選び方を見つけていきます。その起点にあるのは、スタッフたちの対話。その最初の一歩が、この座談会です。今回は、山と道鎌倉のスタッフが集まり、いま気になることについてざっくばらんに語りました。
PRODUCT FOCUSは、この座談会のような山と道JOURNAL記事や山と道鎌倉の店頭での展示、そしてSNSでの情報発信等を通じて、これから毎月お届けしていきます。気になる製品があったら、ぜひ店頭で実際に手に取ってみてください。
PRODUCT FOCUS
〜自分に合う道具の機能や使い方を考える〜
今月から山と道のウェブサイトやSNSと山と道鎌倉で、PRODUCT FOCUSが始まりました。
山と道の店頭やオンラインショップには、同じような形の製品がいくつも並んでいます。種類が増えるほど、「で、どれを選べばいいの?」と迷いますよね。でも、スタッフに製品ごとに「どんな時に快適だと感じたか」「どう使っているか」を聞いてみたら、答えは人それぞれ。正解はひとつじゃなく、みんな自分の体質と道具の癖をわかったうえで、その日の自分に合うものを選んでいました。
山と道が大切にしているのは自分で選び、自分で背負うこと。何を持つかを自分で決めるほど歩きは軽やかに、自由になっていく。スタッフの話が、あなたの選び方を見つけるヒントになれば嬉しいです。
山と道 夏目彰
話したスタッフ
夏目|山と道 代表
前原|山と道HLCアンバサダー/グループリーダー
おーじ|山と道鎌倉店長/山と道HLCアンバサダー
角ちゃん|山と道鎌倉スタッフ
ジョージ|京都から鎌倉に出向中
おでん君|山と道鎌倉スタッフ
ビヨンセ|山と道鎌倉スタッフ
みんな、ベースレイヤーってどう使い分けてる?
夏目 Chemical B、100% Light Merino、DF Mesh Merino。どれも山と道のベースレイヤー製品だけど、選ぶ理由は人それぞれで。季節、山行スタイル、天候の変化、みんなどんなシチュエーションで、どう選んでいるんだろう?
山と道ベースレイヤーの比較
前原 僕は、Chemical Bは一番アクティビティ強度が高い場合に選んでいます。あとは1ヶ月以上とか、本当にロングの場合。メリノだと摩擦で穴が空いてきたりするので、そういう意味でもChemical Bを選ぶ。でも2泊3日とか1週間、1ヶ月とかなら、100% Light Merinoが一番臭いが出にくいし、それだけ使っても強度に安心感があるので、一番使っています。逆にDFはいつも使い所に悩んでいて、特にそこをみんなに聞きたい。 僕はDFは、Chemical Bほど強度は高くないけれど、100% Light Merinoでメローに歩く時よりはもう少し強度が高い時。あとは例えば雪山みたいな通気性と保温が必要な環境。雪山の中でもハードな時はChemical Bを着るけれど、ライトな時はDFという感じ。自分の中で行くハイキングをマッピングした時に、ピンポイントで「これ」と決めている感じですね。
角ちゃん 私は、5日間とかの長期の縦走で、「今回は頑張らなきゃいけないな」という時はDF Mesh Merinoを選んでいます。自分の中でチャレンジングで、汗をしっかりかいて毎日行動するような時ですね。Chemical Bは、去年3日間まるまる着ていて、やっぱり汗が溜まる裾の方が臭くなったんです。もし5日間着たらそれがもう少し上に上がってくるのかなと思うと、ちょっと心配で。あと、Chemical Bは私の中では「お腹が冷えないギリギリのライン」なんですよ。他の化繊だと冷えて確実にお腹が痛くなるけど、Chemical Bはならない。ただ、冷えるギリギリ手前で保っている感じなので、安心感にはあまりならない。なので、3日以上なら多分DF Mesh Merinoを選ぶ。もう少しゆっくり歩くなら100% Light Merinoかな、という感じです。日帰りや1泊2日なら、今は多分Chemical B。私は汗をめちゃくちゃかく滝汗で、お腹がすぐ冷えるタイプなので、なるべく乾きが早い方がいい。距離と行く場所と季節と、あとは気分もありますけど。
ビヨンセ 長い距離を歩くなら僕も100% Light Merino一択です。やっぱり安心感がある。メリノに対してはすごく愛着があるんです。化繊もいいんですけど、肌触りが自分が落ち着くとか、眠りに入る時にこれにくるまっているということが、自分の中での安心感に繋がる。長い距離なら、Chemical やDFの方が汗処理に優れていたとしても、それを上回るくらい好きだという気持ちが強い。
夏目 その「好き」というところを、もう少しだけ詳しく教えて。
ビヨンセ 感覚になるんですけど、着た時の肌触りが「あ、落ち着く」という感じなんです。アクティビティの時に頼りになるというよりは、「こいつと一緒に歩きたい」という気持ちが強い気がする。で、Chemical Bは、僕はあまり汗をかかないタイプなんですけど、真夏にアルプスをガシガシ歩く時には乾きやすさを重視するので、その時にChemical Bの登場になります。DF Mesh Merinoは、Chemical Bが出たことで、これからどう使うかを探り探り、という段階です。
おーじ 僕がDFを着るのは、天候が悪いのが目に見えている時なんですよ。Chemical Bだと、高山で天候が悪かった場合、やっぱり寒いんですよね。DF Mesh Merinoの方が濡れても保温性があるし、乾きも思っている以上に早くて、安心感が全然違う。石鎚山系を9日間歩いた時、ずっと雨だったんですけど、DFにすごく助けられて、あれ1枚でずっと着続けていられた。そのイメージが強くて、安心感があるのがDFです。あと、Chemical Bは真夏の低山では臭くなると思います。汗は雑菌が繁殖して臭いを発するので、夏は繁殖が多くなる。だから長期間なら選択肢から外すかも。これが秋口や春口ならすごく快適で、長く着ても雑菌の繁殖が起こらないというのを実感しています。
夏目 冬はどう?
おーじ スノーシーズンもやっぱりDF Mesh Merino。汗処理をメインにしたかったので。100% Light Merinoだと、汗をかいた後の乾きが辛かった。でも、最近はActive Pulloverを素肌に着ていて、DFは保険として持っていく感じですね。
ジョージ 僕は多分DFを一番使っているかもしれません。運動負荷が大きかったり、温度差があるような環境で、汗をかいたり濡れたりすることが前提の時によく選んでいます。自分なりの工夫としては、この3つの中でDFだけタイトに着ています。他は全部Lサイズなんですけど、汗処理を効果的にやりやすいように、DFだけMを選んでいる。多少のストレッチ性があるから、タイトでも体に負担じゃないので。温度帯で言えば10℃から0℃くらいまで。最高気温26℃から雪まで、いろんな天気が全部あった12月の屋久島でもDFでした。
おでん君 僕はすごく汗をかく体質なんで、Chemical Bが出てからは、ほとんどChemical Bを着ています。「日本の夏が過ごしやすくなった」ということを本当に感じています。箱根の外輪山をめちゃくちゃ暑い時に走った時も、全然ストレスがなくて。汗じみも目立ちにくいし、濡れていてもそれを感じにくい。「濡れてる感じがしないけど実際手で触ると結構ベトベト」というのが、僕のChemical Bの体感ですね。Chemical Bが出てからはずっとそればかり着ています。
夏目 ビヨンセはメリノウールの心地良さを手放さないけど、おでん君はChemical Bの機能性に移行した、と。
おでん君 本当にそうですね。
100% Light Merino Half Zip Hoody、素肌で着る?
100% Light Merino Half Zip Hoody
「ほとんどの夏のアルプス縦走で素肌に着ていた」
夏目 100% Light Merino Half Zip Hoodyを素肌で着るってスタッフも多いよね。僕は下にベースレイヤーを着ているんですけど、この中だと角ちゃん以外はみんな素肌で着ているみたいで。自分が着込んでいるぶん、それが意外でした。
前原 本当に僕の万能選手はこいつ。100% Light Merinoのシリーズの中で一番使っているのがこれです。
夏目 みんな、どのシーズンで使っているの?
角ちゃん 私はオフシーズンの低山が多いですね。
前原 僕は春から夏までこいつ1枚で全部行ける。夏の低山は行かないですけど、北アルプスならこいつ1枚で行ったりします。高山だと日焼けが怖いので袖を(装備として)カットできない。これ、フードをかぶってジッパーを全開にして歩くと、風が上がってきて、日差しも防げるし、風も通る。
おーじ 僕、愛を語れないことを言ってもいいですか? 僕はフーディを着ていないんですけど、首元の肌が弱くて、擦れると荒れるんですよ。あまり参考にはならないですけど。
夏目 いやいや、それも立派なひとつの選び方。みんなの愛は、まだまだ尽きなさそうだね。
Active Pulloverはどう使っている?

Active Pullover
「今は3シーズンはダウンを持っていかないです」
夏目 100% Light Merino Half Zip Hoodyはミッドレイヤーとしても、素肌に着てベースレイヤーとしても使えるという意味でActive Pulloverと近い製品だよね。次はActive Pulloverの話をしていきたんだけど、機能の近い製品が色々ある中で「ここはActive Pulloverがいい」っていうポイントはあるかな?
前原 僕は、山でずっと着続けることになりそうならAlpha Vest一択、保温着として脱いだり着たりする時はActive Pulloverという選び方をしています。Active Pulloverは、ダウンジャケットと比較しているかもしれないです。冬なら、Active Pulloverか、中に何を着るか。基本はベースレイヤー。なので、ダウンが比較対象になっちゃう。
ビヨンセ 僕、アメリカのロングトレイルでは、半袖Tシャツにシャツ、その上にダウンだったんですけど、意外とその中間を持ってなくて。でも、Active Pulloverを発見したら、3シーズンはそもそもダウンがいらないシーンが増えてきて。今は3シーズンはダウンを持っていかないですね。ダウンは、朝一に出発の時寒くて着ても、歩き始めたらすぐ暑くなって10分で脱ぐけど、それがActive Pulloverだったら、起きてすぐそのまま行動ができる。
おーじ 僕はActive Pulloverを冬の低山の行動着として着る時もあります。気温が低いと汗をかいても雑菌が繁殖しずらいので汗臭くもならないし、テン場では上にUL All-weatherを着ておしまい。本当に荷物が減らせる。
ジョージ 僕、登山歴10年くらいだけどまだ1回も天然のダウンを買ったことがなくて、ずっとパタゴニアのナノエアを使っていたんです。あれと同じくらいの感覚で、今はActive Pulloverをシェルと組み合わせて使っていて、この冬も全部それでいけたので、本当にダウンはいらないと思っているくらい。日帰り登山でも、僕はバックパックをきっちりパッキングしたいので、嵩増しと万が一の保険のために持っていくことが多くなりました。
前原 アルファダイレクトを1枚で使ったミッドレイヤーは、僕は寒いんですよ。風がスースーする。プリマロフトアクティブの方が通気は良くないけど、保温と通気と汗処理のバランスがいい。
おーじ OMMのコアは「肌に着てください」と言っていて、みんな肌で着ている。コアって、なんで臭わないんだろう。
夏目 Active Pulloverも臭いにくいよ。汗をすぐ吸い上げて拡散するから、菌が繁殖する前に乾いている、という感覚。でも上に何かを着て拡散されない状態だと、多分臭くなる。
ビヨンセ みんなが驚くのが「150gでこの温かさ」。ダウンが2〜300gになるところ、その半分で済むのは3シーズンすごくいい。
夏目 UL All-weather Jacketとの相性の良さをあげている人も多いよね。
UL All-weather Jacket
「All-weatherって、こういうことか」
おーじ 僕はもうアイスランドで実証しています。すんごい寒い中でも、UL All-weatherとActive Pulloverだけで動き続けられる。北アルプスでずぶ濡れになってもいけるという。
前原 UL All-weather は、素肌に着るとベタついて、体の内からの水分で通気しなくなる。長袖を1枚着たい時に着ると、ロフトも取れて、すごく相性がいい。中に着るのはトレイルシャツでもいいけど、何か着ていた方が快適だと思う。
夏目 それは、みんなそう思ってる? Tシャツの上にUL All-weatherを着るとベタつくこともあるので、1枚挟んだ方がいい?
角ちゃん 半袖の上に着る時は、Light Alpha Arm Sleevesをつけたりして、なるべく素肌で着ない。素肌だとはりついて寒く感じたり、自分の汗で中から結露みたいに濡れてくるのをすごく感じるので。私は蒸れがとにかく嫌いで、もう1枚重ねなくてもいいようにしたいんです。
トレイルシャツはどんな時に、何を選ぶ?
夏目 UL Shirt、Merino Shirt、Bamboo Shirtの3種類だった山と道のトレイルシャツに、新たにKami Shirtが加わりました。素材の種類が増えたぶん、迷うのも当然だよね。みんなの「どんな時に、何を選んでいるか?」を、教えてもらえる?
山と道トレイルシャツの比較
前原 僕はその日の気分や行く場所で選んでいます。北アルプスみたいな高山の夏山はMerino Shirt。ずっと着続ける場所なら、通気が良いのと、臭いがないということで。高山の縦走でUL Shirtは、脱ぐ場面が考えられたり、ウィンドシェル的に使いたい時。Bamboo Shirtは、少し肌寒くて保温性が欲しい時。Kami Shirtは僕の感覚ではどちらかというとベースレイヤーに近くて「1.5枚目」という感じです。最初に使ったのは12月の丹沢で、ベースレイヤーの上にKami Shirt、さらにウィンドシェル、という組み合わせでした。UL Shirtは、今日みたいにすごく暑くて風がある日。通気性の良さはKami ShirtよりUL Shirtの方が感じていて、風がある環境では個人的にULの方が快適です。
夏目 Kami Shirtは汗を吸うから、ある程度肌着に近いよね。UL Shirtは汗を吸わないからサラッとしていて、肌離れがいい。あと防風してくれることの快適さもあるよね。
前原 そうなんです。Kami Shirtは風がある時はこちらの方が涼しいですけど、風がない時はUL Shirtの方が涼しい気がしていて。本当に微妙な通気度の差なんですけど、風のあるなしで全然違うというのが、僕の印象です。高山でメリノが気持ちいいのは、通気性が良いから。日差しが強くても、ふと影に入ると寒い時があって、ずっと着ていたいと思います。UL Shirtだと日差しでだんだん熱くなってしまう自分がいて。メリノなら風があればどんどん通してくれるので、着続けても苦にならない。少し雨が降ってきても、それ1枚で結構歩けたりします。
おーじ 僕はKami Shirtは、実は高山では前原とは全く違って、寒く感じるんですよ。多分、Kami Shirtが調湿してくれて肌がドライになっているから、風に当たると寒く感じる。逆にUL Shirtは若干の蒸れを感じるので、温かさを感じます
前原 僕と逆だ。
おーじ そう、全く逆(笑)。だから僕は、高山の方がUL Shirtを着ていきたい。ある程度の風除けと通気が欲しくて、着続けたいので。Kami Shirtは、低山で、運動強度を上げない状態で歩く場合はめちゃくちゃいい。ずっと調湿してくれて。「1.5枚目のベースレイヤー的な調湿機能」というのは、まさにそうだなと。逆にMerino Shirtは、ファストパッキングをする時に着る。荷物を持っていきたくない、汗もめちゃくちゃかく、臭いも気にしたい、となるとMerino Short Sleeve Shirtでガシガシ行く感じ。臭くならないので着続けられるし、Bamboo Shirtよりは乾きやすいと思っています。
夏目 なぜショートスリーブなの?
おーじ 暑いからですね。タンクトップも着るんですけど、僕はファッションもちゃんと考えたい。あと、タンクトップだけだと肩の肌が弱くてバックパックで擦れる。スリーブレスは首元が詰まっていて、あまり好みじゃない、というのもあります。Bamboo Shirtは、晩秋と早春の低山。人と一緒に歩くような、スピードが緩い時にチョイスします。
ジョージ 僕、ほぼ使い方がおーじさんと一緒なんですよ。Merino Shirtをアルプスで使うんですけど、元々はロングスリーブで行っていた。ただ、レイヤリングで脱ぎ着が多くて。メリノの長袖を脱ぐと重いし、当たり前やけど乾かない。だから脱ぎ着しないように半袖にしたらすごく良くて、ここ2年くらいずっと。Bamboo Shirtは、メリノがあると居場所が自分の中になくて。メリノが好きなんです。今持っているBamboo Shirtは日常でよく使っていて、耐久性は良いですね。でも、メリノはショートスリーブに落ち着きました。ベースレイヤー1枚より涼しいと感じるくらい。あと日焼けに弱くて、肩は1回ひどくやっているので、肩を守って行動日数を稼ぎたいんです。それまではUL Shirtを川で濡らして乾かしながら歩いていたんですけど、Merino Short SleeveShirtにしてからは1枚で最初から最後までずっと着ています。 Kami Shirtはまだ使えていなくて、UL Shirtとの違いがすごく知りたい。スペックだけ見たら、僕の中でKami Shirtが一番ぴったりくるんじゃないかと。乾きは早いと分かっているので、あとは保水した時にベタつくかどうか。

Merino Short Sleeve Shirt
「脱ぎ着しないよう、半袖にした」
角ちゃん 私はアルプスではUL Shirtを持っていくことが多いですね。というのも、着ていない時間が多いから。私は暑がりなので、UL Shirtでも蒸れてしまう。朝の歩き始めや、風が強くて寒い時以外はほぼバックパックの中なので、なるべく軽い方がいいと思ってUL Shirtを。でも天気が悪いと分かっている時は、メリノの長袖ですね。温かさを担保したいのと、行動してる時のあのサラッとした触りがすごく好きで、ストレスがない。Bamboo Shirtだと蒸れてしまいますね。
夏目 メリノは通気性が高いから、保温性はUL Shirtの方が高いんじゃないかな。
角ちゃん 温かさもある程度欲しいけど、あまり蒸れたくない時はメリノの方が私にはいい。標高が低い夏場は、おーじさんと同じくメリノの半袖を着ることが多い。1枚ではなく、大体DF Mesh Merinoか100% Light Merinoのスリーブレスを合わせる。前を開けられるから風も通るし、臭いにくいので着替えを持っていかなくてもサラッと行って帰ってこられる感覚が好きで。Kami Shirtは冬しか使ったことがないんですけど、その1回ではあまり蒸れ感を感じなかったので、多分、夏場のUL Shirtに変わるシャツになるんじゃないかと思ってます。
ビヨンセ まず僕は、皆さんと違って半袖をあまり着ない。長袖を着るんです。シャツなら温度調整もできるし、寒暖差に適応できるのが好きなので。Bamboo Shirtは、子供ができてからスローなハイキングが増えて、4、5月と10月の金時山あたりでゆっくり歩く時に。紫外線が強い時、Bamboo Shirtが一番UPF(紫外線への耐性)が高いので、長袖にして使うことが多いです。Kami Shirtに関しては、僕はしっかり歩くアクティビティで気化熱で汗冷えするのが嫌なんですけど、Kami Shirtは汗をかく前の「不感蒸泄(皮膚から絶えず出ている、自覚のない水分)」が出ている時に、知らないうちに体を守ってくれているのを、去年の南アルプスで実感して。乾くのが早くて「汗かいてないな」という感じ。着心地もいいし、袖をまくることが多いんですけど汗溜まりもない。夏はこのくらいの軽さがいい。
夏目 夏の高山を長く歩く時にKami Shirtを選ぶ、という感じ。
ビヨンセ そうですね。小屋に着いて休憩する時にバッと脱いで干して、また着る。行動中ずっと快適でいられるのがKami Shirtかなと。
おでん君 僕はKami Shirt、こないだ初めて着て出かけたんですけど、最初はこの薄さが不安でしょうがなくて。でも、雨上がりにゆっくり歩いていた時、笹に触れるとすぐ濡れて「すごく濡れる」と思っていたら、次に見た時には乾いていて。曇っていて湿度もめちゃくちゃ高かったのに、もう乾いている。「自分の体温で乾くんだ」というのがすごく新感覚で。その後、汗だくになってベタッと濡れたんですけど、それでもベタついている嫌な感じが全然なくて。Kami Shirtは今後UL Shirtに取って変わるかもしれないなと感じて、今年の夏山で使ってみたいです。UL Shirtは、どこに行く時も一番安心感を持って持っていける。レイヤリングのイメージが一番しやすい。Bamboo Shirtは、涼しいシーズンの低山と、ヤブこぎする釣りに行く時に一番安心感がありますね。
夏目 最後、僕も。長く行くぞという時に1枚選ばないといけないとしたら、UL Shirtを選ぶ。あらゆる局面に一番適応できるから。暖かいし、風も遮ってくれる。夏場の暑い時期は、やっぱりKami Shirt。着心地や気持ち良さが全然違うから。Merino Shirtはあまり選ばないんだけど、高山の北アルプスでは、Merino Shirtでしか得られない気持ちよさ、快適性があるんだよね。Bamboo Shirtは、晩秋の少し寒い時にちょうどいいし、肌触りもいいから。ショートスリーブは僕もあまり選ばないので、ベースレイヤー感覚でショートスリーブを選ぶという話が、すごく新鮮でした。
5-Pocket Shorts の話(を少しだけ)
5-Pocket Shorts
「9年履いて、まだ現役」
夏目 じゃあ次は、5-Pocket Shortsのみんなの使い分けや、思っていることを聞かせてください。
前原 僕自身、5-Pocket Shortsを9年も使っているんですよ。2018年のノマドカラーを、ニュージーランドのロングトレイルにも持っていって、今だに現役。「タフだな〜」ってまず思います。お客さんでもずっと履き続けている方がいて、このタフさだな、と感じます。
おーじ 長い季節でずっと定番で使えるのは5-Pocket Shortsという声が多かったですね。「日常から低山まで」で、すごくバランスがいい。軽さ、速乾性、ほどよい強度。山と道のボトムスの3つのマテリアルの中で一番バランスが取れているから、最初に提案しやすいし、初心者のお客さんも増えてきているので、バランスの良さを一番伝えやすい。ウルトラライトハイキングというと耐久性が低いと思われがちですが、そこをグッと推せるものでもある。あと、「ハリがある生地で張り付かない」という声も。
角ちゃん あ、分かる。それはすごく私も分かります。張り付きそうなイメージだけど、形もちょうど良くて、生地がしっかりしている分、全然ピタッとくっつく感じがない。安心感もあるし、張り付く気持ち悪さもないなと、すごく思いますね。
夏目 これはもう、ショーツはしっかり後日比較した方がいいね。
終わりに
前原 みんなの伝え方を聞けたのと、お店にいる時もこういう話をしているなと思って、そこにも結構ヒントがあったと改めて思いました。
おでん君 自分の使い方と人の使い方の違いに気づけたのが面白くて。試してみたいことが色々ありました。
ジョージ 着るのは山と道ばかりなんですけど、人の意見の方が面白いなと思っていたので、参考にしていきたいです。
ビヨンセ みんなと使う場所が合っていて安心したのと、プラスアルファでみんなの使い方が違っているのが面白かったです。
角ちゃん お客さんに伝える時、自分の体質のことは実体験として伝えやすいんですけど、違う体質の人の話はなかなか伝えにくいので、今回こういう話が聞けてすごく参考になりました。
おーじ こういう話はみんなそれぞれやっているんだけど、記録として残すことをしてこなかったのがもったいなかった。こうやって蓄積していくと、みんなの理解も深めていけるんじゃないかなと。
スタッフの話から、道具選びのヒントはみつかったでしょうか。次回は、同じテーマで山と道京都スタッフが語り合います。
参加スタッフプロフィール

夏目 彰|山と道 代表
2011年に妻とふたりで山と道をはじめる。今も新しいメーカーのあり方を模索中。

前原 秀則|山と道HLCアンバサダー/グループリーダー
元理学療法士。ニュージーランドの長いトレイルを歩いて、ウルトラライトハイキングに夢中になった人。

苑田 大士(おーじ)|山と道鎌倉店長/山と道HLCアンバサダー
編集に農業に狩猟と多彩。ウルトラライトのスタイルで山を歩いて10年以上。

角田 裕子(角ちゃん)|山と道鎌倉スタッフ
北アルプスに惹かれて山の世界へ。エベレスト街道もカミーノも歩いたロングトレイル好き。

山本 暁洋(ジョージ)|京都から鎌倉に出向中
家族の日帰りハイキングから山へはまる。イラスレーターの顔も持ち、長期テント泊や雪山、バイクパッキングにも挑戦中。

横井 雄飛(おでん君)|山と道鎌倉スタッフ
釣り一筋から鎌倉のハイキングで山に目覚めた人。装備も身体も、ウルトラライト化に挑戦中。

岡村 大輔(ビヨンセ)|山と道鎌倉スタッフ
世界遺産を巡る旅で各地を放浪し、PCTとヘキサトレックを歩く。歩く旅からロングトレイルカルチャーへ。






















