毎月、山と道がいま伝えたい製品を取り上げ、その魅力と使い方をじっくり掘り下げていくPRODUCT FOCUS。その起点にあるのはスタッフたちの対話であり、その最初の一歩がこの座談会です。
今回は秋冬の山と道製品を、それぞれの「ハイキングを変えた製品」と「山と道のウルトラライトを感じる製品」という切り口で、山と道鎌倉のスタッフが語り合いました。
誰かの意見を正解にするのではなく、いろんな使い方を知ることで、自分なりの冬の道具を考えるきっかけになればと思います。
話したスタッフ
夏目|山と道 代表
前原|山と道HLCアンバサダー/グループリーダー
おーじ|山と道鎌倉店長/山と道HLCアンバサダー
角ちゃん|山と道鎌倉スタッフ
ジョージ|京都から鎌倉に出向中
おでん君|山と道鎌倉スタッフ
上杉|山と道鎌倉スタッフ
事前アンケートを読んで気になったこと
夏目 今回の座談会の前に、みんなに山と道の秋冬製品についてのアンケートを書いてもらったけど、読ませてもらって、雪山の道具がシンプルになったってみんな感じていたり、雪山と街をボーダレスに繋いだことで、雪山の感じ方が変わったとか。スペックを超えた心地よさとか、行動が変わったみたいなことが広く書かれていて、すごくいいなと思いました。改めてアンケートを見て気づいたこと、みんなと話してみたいことがあれば教えてください。
前原 AW Hike Pantsの上杉さんの「防御力を上げてくれるパジャマ」っていう言葉が、すごく気になりました。
上杉 私は一点集中で、この子を前面に推しました。
AW Hike Pants|防御力を上げてくれるパジャマ(上杉)

Facing: Pertex®︎ Shield Air, 198g/m², C6 DWR
Weight: 371g(Size M)
Winter Hike Pantsからクランポンガードやシューフックを取り除き、秋冬の生活から低山、雪山までを快適に過ごせるように再構成した全天候型パンツ。
上杉 秋冬の山と道製品の中で一番好きですね。AW Hike Pantsって、私にとっては「防御力を上げてくれるパジャマ」なんですよ。他社のソフトシェル素材みたいな冬のパンツも何本か穿いたけど、どうしてももっとゴワゴワしていて、どっちかというとオーバーパンツに近い。安心感はあるんですけど、行動している時とかテン場では、ちょっとうざったい。山と道のAW Hike PantsやWinter Hike Pantsは柔らかいんですよ。最初は他社の冬用パンツに比べて薄いし柔らかいので心許ないという印象でしたけど、使ってみると、厳冬期の爆風や、アイスクライミング、バリエーションルートなども意外なほどどうにかなる。かなりの防水性もあるし、防風性もある。アイスクライミングをやっていると、谷まで風が吹き下ろすところでビレイしなきゃいけなくて、そんな時はそれだけじゃ足りなくて、オーバーパンツを穿いて、雪との距離をより取って冷えないようにするのが私のいつものことだったんですけど。そのオーバーパンツもいらないなってぐらい暖かいし、柔らかくて足上げもしやすい。あと、柔らかいからテン場でそのまま寝れるんですよね。脱ぎたいな、でも寒いよな、というのもなく、すちゃっと寝袋に入れるし、アイゼンガードがないので足がゴワゴワせず寝やすい。この気軽さがいいんですよね。オーバーパンツがなくてもある程度のところまで行けるというのが、私にとって防御力が高いということ。パジャマみたいというのは、そのまま入っても「なんだこの柔らかさ、最高じゃん」っていう。

2023年、八ヶ岳でAW Hike Pantsを着用する上杉。
おーじ それでも、Light Alpha Tightsも下に穿くんでしょ?
上杉 やっぱりLight Alpha Tightsを仕込まないと無理っすね。寒がりなのと、あと、やっぱりバリエーションルートとかアイスクライミングとか、そもそも前提がハイキングじゃないっていうのがあるんですけど、ビレイしていると、足首まで雪に浸かっている場所で30分とか止まっていなきゃいけない。ダウンも取り出せないし、熱を自分から出すこともできないし、物も食べられないんですよね。ロープを離したら、登っている人が危なくなっちゃうんで。となった時に、それ1枚だとやっぱり空気の層が足りないので、タイツが必須というのはありますね。あと、Winter Hike Pantsを選ばないのは、アルパインやアイスクライミングをする時は絶対ゲイターをつけるから。Winter Hike Pantsのアイゼンガードより上まで足上げをするシチュエーションが多いから、ゲイターは必須なんです。アイゼンガードがないのは山への行き帰りに穿いていても、車中泊で足まわりが気にならないのが良きですね。
おーじ 人によっては厳冬期の高所雪山にもLight Alpha Tights併用で使えるよね。僕は冬の低山とか、ハードに歩かない場合は積極的に使っている。
夏目 面白かったですね。他に気になった方いますか。
前原 あと気になったのが、Light Alpha Only Hoodのおーじさんの使い方。フード渋滞を起こしまくってるんじゃないかなと思ったんですけど、それがいいみたいで。
Light Alpha Only Hood|たった51gで幸福にしてくれる(おーじ)

Facing: Pertex® Quantum Air, Titanium Coated, 40g/m², C0 DWR
Lining: Polartec® Alpha Direct, 85g/m²
Weight: 51g
Only Hoodに保温性と通気性に優れたポーラテック®アルファダイレクトをプラス。わずか51gとニットキャップよりも軽量で、首元まで覆われるので暖かく、ネックウォーマーとしても、簡易的なバラクラバとしても活用できる。
おーじ 僕、最近、厳冬期のテント泊ハイキングで、ハーフバッグ(半身用)のシュラフを使うようになったんですよ。開発中だったPuff Smockを試すために、Puff SmockとAll-weather Alpha Jacketだけで上半身を保温して寝るスタイルを何度か試していて。その時に、やっぱり頭が寒いんですよね。All-weather Alpha Jacketのフードだけだと寒くて、そこにLight Alpha Only Hoodを仕込んで、さらにフードをかぶると、熱が頭から逃げにくい。ある意味、フード渋滞を——
前原 ——あえて起こす。
おーじ そう。でも、それだけでも全然違う。多分、僕しかやらないTIPSですけど。
夏目 Light Alpha Only Hoodは眠る時にかぶると暖かいよね。柔らかいし。
おーじ 暖かいし、気持ちいいですね。
前原 50gくらいしかないしね。
おーじ そうそう。たった51gで幸福にしてくれるものって、なかなかないなと思います。
夏目 意外と、雪山で眠る時にLight Alpha Only Hoodをかぶって眠るということに、気づかずにいる人も多いかもしれないね。
おーじ そうですよね。寝袋も、マミー型なのにしっかり閉めない人が意外と多い。Light Alpha Only Hoodもそうですけど、首元を閉めないと、そこから熱が抜けるじゃないですか。Puff Smockも首元から熱が逃げにくくて、それだけで体がずっと温かい。この辺から熱を逃がさないことの大切さを、最近すごく実感しています。
「これでハイキングが変わった」道具
夏目 じゃあ次の質問に移ります。今回の製品の中で、自分のハイキングを変えた道具と、その時の体験について教えてほしいなと思います。ジョージは、100% Merinoについて色々書いていたと思うんだけど。
100% Merino Half Zip Hoody|100% Merinoを着たいから山に行く(ジョージ)

Material: 100% Merino Wool, 200-205g/m²
Weight: 348g(Size M)
中厚手のメリノのフーディ。100% Merino Pulloverと同様の100%メリノウールの機能性はもちろん、換気性を高める胸元まで開くジッパーと腹部の保温性を高めるカンガルーポケットも備えている。
ジョージ 僕がメリノウールという素材を知ったのはベースレイヤーからなんですけど、魔法のような素材だなと思っていて。100% Merinoのシリーズ全てに言えるんですけど、僕はこの100% Merinoを着替えずに歩ける山行スタイルが季節含め一番好きかもしれない。舞台は気温10度前後の晩秋〜冬の低山。散策ペースでのんびり歩き、そのままのスタイリングで街に降りて遊んで帰る。100% Merinoを着て歩きたいから山〜街遊びのスケジュールを考えるまであるかも。冬の日帰り低山だと、行きたい山より先に「100% Merino Half Zip Hoodyを着てどこ歩こう?」と考えることも多いですね。そういった登山は100% Merinoに出会ってこそやっているなと感じるので、登山が変わったエピソードのひとつになるかなとは思います。

2022年、雲仙岳で100% Merino Half Zip Hoodyを着用するジョージ。
Winter Hike Pants|パンツを2本穿いていたのが1本になった(前原)

Facing: Pertex®︎ Shield Air, 198g/m², C6 DWR
Weight: 416g(Size M)
雪や風雨を防ぎながら通気するソフトシェル生地で抜群の「ヌケ感」を持ち、優れたストレッチ性とジャージー素材の裏地の肌触りは、寝袋の中でも穿けるほど。ゲイターをしなくとも裾のフックで雪の侵入を防ぎ、クランポンガードが爪から守ってくれる。
前原 僕は、さっきの上杉さんと被るかもしれないですけど、Winter Hike Pantsですね。これに出会うまで、アイゼンとかピッケルを持っていく雪山だと、ソフトシェルのパンツに、防風とか防水性のためにハードシェルのパンツを重ねて、みたいな感じが当たり前だと思っていたんですけど、Winter Hike Pantsの快適性を体験したら、それ以外は考えられなくなった。ソフトシェルとハードシェル、どっちの機能も持っている道具だと思っていて。雪や風を防げるけど、従来のソフトシェルのようなストレッチ性や柔らかさがある。今までパンツを2本穿いていたのが1本になって、その状況がずっと続いています。あと、足上げが楽というのがやっぱり一番大きくて。アイゼンをつけたり、岩場で繊細な足さばきをする時に、ハードシェルだと膝が突っ張る感じが気になったのが、ストレッチするんで減りました。

2023年、谷川岳でWinter Hike Pantsを着用する前原。
夏目 タイツは穿くの?
前原 さっきワードで出ていた「雪との遠さ」を稼ぐために、寒い時はフリース系のタイツを穿くとかはあります。自分の中では雪山に行くんだったら必要十二分な道具で、今はこれ以外考えられないな、というくらいの変化があった道具ですね。
夏目 初めて使った時の体験って覚えてる?
前原 初めて使ったのは西穂高岳に行った時で、西穂って、どこの山もそうですけど、途中まで樹林帯が風を防いでくれるけど、森林限界を超えた先はないみたいな感じで。それまでは、最初はソフトシェルのパンツを穿いて、風が吹いてきたらハードシェルに穿き替えていたんですけど、それがもう家からずっと同じパンツを穿いてる、みたいな。で、寝る時も、僕はダウンパンツをあんまり穿かないんで、その格好のままシュラフに入る。本当にレイヤリングをずっと変えない。結構それは衝撃的でした。
All-weather Alpha Jacket|無敵のヒーローになった気分にさせてくれる(おーじ)

Facing: Pertex®︎ Shield Air, 58g/m², C6 DWR
Lining: Polartec®︎ Alpha Direct, 136g/m²
Weight: 523g(Size M)
防風・耐雪性能を持ちながら、通気性と保温性に優れた生地を使用することで動いていても熱くなりすぎない真冬の全天候型行動着。ヘルメット対応のフードや換気性を高めるピットジップを備え、頭や腕の動きを妨げず快適に行動できるパターンにこだわっている。
おーじ 僕も、前原君と上杉さんと全く一緒の思いがWinter Hike PantsやAW Hike Pantsにはあります。それ以外で挙げるとしたら2つあるんですけど、ひとつはやっぱりAll-weather Alpha Jacket。これが僕の中では無敵のヒーローになった気分にさせてくれるんですよ。それまで風をすごい脅威に思っていたんですけど、All-weather Alpha Jacketはしっかりとハードシェルの要素があるから、フードが顔もしっかり覆ってくれて、ゴーグルも付けたら風に当たるところがない。その行為自体でヒーローになった気分になる。仮面ライダーみたいになっているなって。しかも、風が吹いていても全然大丈夫。厳冬期の雪山って、10m/sぐらいの風でも、肌を出して歩くと普通に凍傷になるけど、All-weather Alpha Jacketはしっかりとハードシェルの要素があるから、顔もしっかり覆ってくれて、ゴーグルも着けたら風に当たるところがないぐらい。なので、あれほど自分を雪山のヒーローにさせてくれるものはないと思いました。それを知った時に、雪山への恐怖心みたいなものがなくなったんですよね。で、どんどん雪山に行きたいと思えるようになって、そこからガラッと雪山に行くことが多くなった気がします。もう、なんだか雪山が楽しくなった。あと、山と道の冬の製品は、やっぱりどこかウルトラライトハイキングの要素が絶対に詰まっているなと。Winter Hike Pantsだって、アイゼンガードが付いてるからゲイターをつけなくて済むとか。ダウンパンツを穿かずにそのまま寝れるとか。今まで僕が夏にやってきたことが、そのまま雪にも通ずるということで、雪山の道具は重たいものも多いけど、すごく荷物を減らせているなという感覚があります。

2026年、八ヶ岳でAll-weather Alpha Jacketを着用するおーじ。
夏目 All-weather Alpha Jacketに関して他に何か言いたい人はいる?
おでん君 僕は気温が低い時はDF Mesh MerinoとActive Pulloverの上に、そこまで寒くない時はActive Pulloverの上に着ています。しっかり防風してくれるのに蒸れにくいし、ベンチレーションとフロントジッパーで体温調整もしやすい。日常で使うには少しもったいない気もしますけど、真冬は街でも結構重宝しています。ダウンジャケットだと動くと暑くなって汗かいて冷えるけど、All-weather Alpha Jacketなら汗をかくほどに暑くなりにくく、ヌケがいいから快適さを保ちやすい。
AW Alpha Mittens|なんで今まで誰も出してこなかったんだろう(おーじ)

Facing: Pertex®︎ Shield Air, 58g/m², C6 DWR
Lining: Polartec®︎ Alpha Direct, 136g/m²
Weight: 84g(Size M)
アクティブインサレーションの発想で開発した、冬の山をアクティブに行動する人のためのミトン。つけたまま手指をすぐに出せるので、ジッパーの開閉やスマートフォンの操作もストレスなく行える。従来の中綿入りミトンに比べて圧倒的に軽く、通気性に優れ、どんな時も快適。
おーじ 自分のハイキングを変えた製品を、もうひとつ挙げるとしたら、AW Alpha Mittens。あれも衝撃的で。中にインナーグローブをつけた状態で上にはめると、マイナス15℃の風が吹いている中でも、もう全然大丈夫。なおかつ、雪山で写真を撮る時って、グローブを素早く脱げないし、写真を撮る時に脇にグローブを挟んでいると落とすこともあるんで、そもそもグローブを脱ぐのも嫌だった。そういったことが全く起こらないというのが素晴らしい。なんで今までああいうものを誰も出してこなかったんだろうと思うぐらい、あれも本当にウルトラライトハイキングの道具のひとつだなと思っています。僕、オールシーズン使っているしね。
前原 前回のPRODUCT FOCUSで夏山でも使っているのを紹介してましたね。あと、僕はサブグローブとしてもう1個持っていきます。
おーじ 僕も同じ。AW Alpha Mittensって、むちゃくちゃ軽いじゃないですか。今まで使っていたのは革のごついもので重たいし嵩張ったけど、AW Alpha Mittensにしたら、メインとサブのグローブをAll-weather Alpha Jacketの内ポケットに両方入れられる。あれで雪山でも劇的に軽さを表現できたかなと思っています。

2026年、八ヶ岳でAW Alpha Mittensを着用するおーじ。
夏目 それぞれ、印象的だった体験ってありますか。
おーじ 両方ともですけど、去年か一昨年かな、ソロで八ヶ岳を全山縦走したんですよ。あれは2月だったかな。
前原 真冬でしたね。厳冬期。
おーじ 2月の上旬だったと思うんですけど、あの時に色々やばいことがあったんだよね。権現岳に行く途中で、トラバースの場所を間違って。下に何もない、ここで滑ったらおしまいだ、みたいなところを、20mぐらいですけどトラバースしないといけないとなって。その時にAW Alpha Mittensで手刀を使って、同時にピッケルも使わないと怖いぐらいの状況で、一歩一歩行ったんですけど、あのミトンは、手のひらのスリットが折り重なった構造で指を出し入れするじゃないですか。だから雪に手を突っ込んだら、開口部から雪が入りそうに思うんですけど、実際は入らなくて、これでも全然いけるという体験をした。しかも、柔らかいから取り回しがしやすいんですよね。ああいうところでは、たまに木が出ていたりして、それを掴むこともあるんですけど、ちゃんと掴める。ごついやつだと掴めないじゃないですか。そんな感じでなんとかやり過ごしたんですけど、あの体験はヒヤヒヤしたところです。俺ここで死ぬかもしれないな、と思って。あと、スタッフのみんなで行った北海道の旭岳でのAll-weather Alpha Jacket。あの時の風、多分20m/sぐらい吹いていたね。でも全然大丈夫で、寒さもあんまり感じなかった。人によってはダメやったかもしれないけど。それでも大丈夫なんだという経験ができると、不安要素がなくなった感じ。

2026年、赤城山でAW Alpha Mittensを着用するおーじ。
夏目 あれはやばかったね。誰か顔が凍傷になっていたし。
前原 僕、ここちょっと出ていたところが凍傷になっていて。
夏目 脱いだスノーシューが風で飛ばされたよね。
前原 それ夏目さんですよ。
おーじ ひでちん(前原)が走って取りに行った。
前原 そうそうそう。
夏目 ありがとうございます。他に体験がある方は。
ジョージ じゃあ、おーじの今言ったAW Alpha Mittensの話。僕は特異体質だと思うんですけど、すごく手が熱くなるんですよ。だから汗をかきたくないからグローブを脱いだりつけたりすることが多くて。AW Alpha Mittensは手首まで(ミトン部分を)ぱっと下げられるのがすごく便利で、僕は熱を逃がすために結構あれを使うんです。実は元々、冬山はファスナーで開けて手指を出せるミトンをよく使っていたんですけど、あれは雪の中では操作がすごくしづらかった。ファスナーは掴みにくかったり、潰れたりする。AW Alpha Mittensはシンプルで潰れないじゃないですか。それが、今改めて思うと安心できるところかな。軽いということ以上に、シンプルなのがいいなと思います。

2025年、八ヶ岳でAW Alpha Mittensを着用するジョージ。
おーじ 確かにシンプルだよね。だから、なんでみんな考えられなかったんだろう。
ジョージ 手首を締めるのも、コードを引くだけでシュッと一発でできる楽さ。動作が単純というのはいいよ。色々面倒な雪山の中では特に。
角ちゃん ガバッと手を出せるので、わざわざ外す手間がないのが横着な私にもちょうど良くて、手袋をなくす心配も減りましたよね。私も暑がりなので、アルファの厚さもちょうどいい。
おでん君 僕は雪山のみならず、冬のハイキングでも素手にこれで歩いています。冬の低山などではテント場で食事をするときや寝る時もずっとつけっぱなしが多いですね。食事の時はストーブの火で燃えないように気をつけていますけど。
Merino 5-Pocket Pants|こんなにこのパンツは長距離向きなんだ(角ちゃん)

Material: 97% Merino Wool, 3% Cordura Nylon, 236g/m²
Weight: 452g(Size M)
普段の生活から山まで、冬を気持ちよく過ごせるウールのパンツ。裏面にはナイロン・リップストップを織り込み強度を高めてあるから、山でもトレイルでもどこでも使えるタフさもある。もちろんポケットは、使いやすさに定評ある山と道独自の5-Pocket。
角ちゃん 私の「これでハイキングが変わったな」という製品は全然雪山じゃなくて、Merino 5-Pocket Pantsなんですけど。それまでは生地も厚いし、濡れたらちょっと嫌だなと思っていて、日常だったり、日帰りで使っていたんですけど去年12月に6日間、九州を歩いた時に、こんなに楽で、こんなに快適なものはないなと思って。1枚で寒くなく、蒸れずに歩けるし、なおかつ肌触りもすごく良くて、ストレスが本当にない。Light Alpha Tightsと合わせても窮屈になることなく快適に歩けたというのが、自分の中では結構衝撃で。濡れても嫌な不快感が全くなかったんですよね。6日間穿いているので、ある程度臭くなってもおかしくない状態だけど、全く臭わない。「こんなにこのパンツは長距離向きなんだ」というのを、すごく肌で感じて。冬場の低山で使うパンツの筆頭に上がってくる感じに私はなりましたね。

2025年、阿蘇でMerino 5-Pocket Pantsを着用する角ちゃん。
夏目 その山行のこと、もう少し詳しく教えてもらっていい?
角ちゃん 去年の12月に九州を歩いた時なんですけど、気温は最低がおそらく0℃を下回るかどうか。暖かい時で10℃を超えていたと思います。私自身、暑がりで汗っかきなので、歩いたらお尻とか腰のあたりがよく濡れていて。でも、乾きが他のパンツに比べればゆっくりな一方で、汗冷えすることもなく、寝る時には乾いている状況が続いていました。ずっと山だけを歩いていたわけではなく、山に入りつつ街も歩いていたので、全部が行動負荷の高い状況ではなかったんですけど、本当にそこに対してのストレスが全くなかった。それが結構大きかったなと思います。ほんと、寒い時期の最適解。ふんわりとした暖かさと穿き心地の良さを知ってしまうと手放せなくて、寒い時期はずっと穿いています。
ジョージ 僕もMerino 5-Pocket Pantsは秋から春にかけての日常生活では欠かせないものになっていますね。理由は単純で、心地良いから。特別暖かくもないけど、気が付けばその日1日快適に過ごせていたことに後で気づくような心地よさ。寒い時でも体温にスッと馴染んでくれ、そこをキープしつつ暑くなってきても熱のこもる感じもなく。例えば朝夕の温度差の激しい季節、朝インナータイツを穿いても歩き出したら結局暑くなって穿いてきたことを後悔するような時こそMerino 5-Pocket Pantsって感じ。

2022年、御影山でMerino 5-Pocket Pantsを着用するジョージ。
夏目 おでん君もある?
Alpha Anorak|必要な出し入れが全部お腹で完結する(おでん君)

Facing: Pertex®︎ Quantum Air, Titanium Coated, 40g/m², C0 DWR
Lining: Polartec®︎ Alpha Direct, 136g/m²
Weight: 409g(Size M)
雪山を快適に行動できるアクティブインサレーション(保温行動着)。サイドポケットと別気室の大型フロントポケットにはすぐ取り出したい道具を入れられる。脇下にベンチレーションと脱着用サイドジッパーを配置。どちらも大きく開くので体温調整がしやすく、脱ぎ着もスムーズ。
おでん君 僕はAlpha Anorakが冬場、普段もほぼ毎日着ているぐらい好きで。メインは日常で着ることの方が多かったんですけど、去年の2月かな、八ヶ岳の天狗岳に1泊2日で行った時にAlpha Anorakを着ていったんです。雪山を始めたタイミングでAll-weather Alpha Jacketが発売されたので、雪山にはそれしか着ていったことがなかったんですけど、あえてAlpha Anorakをしっかり試したいなと思って行ったら、僕の暑がり加減とか汗かき加減には、Alpha Anorakの程よい通気性がちょうど良くて。あと、お腹のポケットにいっぱいものが入るのもすごく良くて。僕はAlpha Anorakの方が、体質的にもポケットの配置的にも合っているなとすごく感じました。次に雪山に行く時もAlpha Anorakを着ていきたいなと、それ以来ずっと思っています。
夏目 具体的に、Alpha Anorakにして変わったことってどんなことだった?
おでん君 僕の場合は、お腹のポケットに行動食も入れたし、インナーグローブも薄手と厚手を、その時の寒さによって入れ替えられるし。だいぶ嵩張っちゃうんですけど、それによって結果的にバックパックの上げ下ろしの回数がすごく減る。バックパックを背負ったままで、必要な出し入れが全部お腹で完結する感じが、僕はすごく快適ですね。あと、物を入れることでお腹の保温性も上がるんで、お腹で全部完結するシンプルさがすごく好きです。
夏目 行動が変わったんだね。
おでん君 そうですね。行動が楽になった感じですね。

2026年、八ヶ岳でAlpha Anorakを着用するおでん君。
山と道らしいウルトラライトを感じる製品
夏目 じゃあ、次の質問。今回の製品の中で、山と道らしいウルトラライトを感じるものは何ですか。それはどんなところで感じたのか。今の答えにも通じる部分があると思うけど、ぜひ答えてもらえたらと思います。
おーじ 今日の話の中でもいっぱい出てきたと思うんですけど、やっぱりすごくシンプルなところだなと思いました。考え方も構造も。さっきのミトンの話もそうだし。100% Merino Half Zip Hoodyや100% Merino Pulloverもそうで、袖とウエストにリブがついているだけで冬仕様になる。それだけで温度調整が全然変わるけど、意外と他にはないんですよね。スウェットやパーカみたいなイメージだから普段も使えるし。今までにあった形を山に取り入れる、新しいデザインのものばかりじゃない、みたいなところ。

2024年、茶臼岳で100% Merino Half Zip Hoodyを着用するおーじ。
夏目 まさにご指摘の通り、100% Merino Half Zip Hoodyや100% Merino Pulloverは、スウェットやパーカのデザインってすごく機能的じゃないかと気づいたから作ったんだよね。普通に形も好きだったし。
おーじ でも、あのリブでやっぱり全然変わるんですよね。熱の抜け方が全然違うんで、そこにウルトラライトハイキングっぽさを感じます。
ジョージ 袖を捲り上げた時のあのリブの優しさを、僕はすごく感じる。マニアックかもしれないけど、リブがあるものの方が、腕の太いところまで捲り上げた時でも全然締め付けがなくて、実は楽よ。
夏目 他に、山と道らしいウルトラライトを感じる道具があれば。
前原 Winter Hike Pantsは、まさしく僕的には道具がふたつからひとつになったというのもあるし。多分All-weather Alpha Jacketも似たような話で、インサレーション+オーバーシェルで、ふたつで1個の機能がある。ただ、その話で僕が一番思っているのは100% Merinoシリーズで、特に100% Merino Half Zip Hoodyなんですけど。汗処理という面ではメリノはベースレイヤーに近いけど、フードやドローコード、さっきの手首のリブの話もそうですけど、ミッドレイヤー的にも使える。生地の調湿性もあるから、街に降りて着続けられる。もちろん保水するから、厳冬期だと寒くなる場面もあったんで、シチュエーションによって変えたりはするんですけど、秋冬の低山という点で言うと、実はシンプルだからこそ感じている部分もあるかもな、とは思っています。
おーじ 機能で言うと、メリノウールはすでにたくさんの機能がある時点で、もうウルトラライトだという感じはしますね。その生地自体で。
角ちゃん AW Hike Pantsも、それに近いのかなと思っていて。雪山でも使いますし、秋冬の低山でも、あれ1本でなんでもいける。靴にもよると思いますけど、裾の絞りが冬靴にぴったりフィットしてずれないので、雪山でもゲイターなしで穿いてます。いかにも雪山用のパンツって感じがしないので、街で穿いていても違和感ないところもいい。それってすごくウルトラライトだな、山と道っぽいなと。
夏目 これひとつあれば、いろんなことに使えるから、いろんな道具がなくても行けるというところに軽さを感じるんだね。

2024年、薬師岳でAW Hike Pantsを着用する角ちゃん。
Light Alpha Vest/Jacket|これにしかない良さがある(前原)

Facing: Pertex®︎ Quantum Air, Titanium Coated, 40g/m², C0 DWR
Lining: Polartec®︎ Alpha Direct, 85g/㎡
Weight: 281g(Size M)
晩秋や残雪期、冬の低山ハイキングにずっと着続けられるアクティブインサレーション(保温行動着)。袖を取り外せばベストになり、腹部などの体幹は冷やさずに、より高負荷の行動にも対応。ジッパーは斜めに配置し、口元や顎にあたらないようにしている。
前原 あと、Active Pulloverが出てきて以降、最近はあんまり日の目を浴びないかもしれないですけど、Light Alpha Vest/Jacket。形は似ているけど、全然違うものだなと思っていて。Active Pulloverは生地がむき出しなんで通気性がその分いいんですけど、Light Alpha Vest/Jacketは表地があるんで、通気の捉え方が変わる。耐久性も、Active Pullover単体だとバックパックとの摩擦で潰れたりピリングが起きたりしたんですけど、表地があるとそれが起きにくいので、1枚で着やすい。あと一番は、ベストでも使えるところ。袖を外せるからいろんなシチュエーションで使えるし、脇のところだけ開けて脇だけ換気するとか。Alpha VestにもActive Pulloverにもない、これにしかない良さがある。僕は自転車通勤だと暑くなるんで、日常でもちょうどいいんです。

2022年、大雪山でLight Alpha Vest/Jacketを着用する前原。
夏目 上杉さんやおでん君はどうですか。
上杉 そしたら私はやっぱりAW Hike Pantsで、もっちゃう。
前原 あくまでそこ1本。
上杉 単純に、私の場合はオーバーパンツを持っていかなくていいというのがもうでかくて。あれ、アプローチの時は穿かないのにめっちゃ嵩張るから、なきゃめっちゃ楽なのに、とよく思っていたけど、これいらんやん、ぽいってできる。単純に道具がひとつ減るし、今日オーバーパンツを穿こうかな、どうしようかなと悩まなくてもいいというのも、気持ち的にも軽くなる。もう圧倒的に、AW Hike Pantsしかないです。
おでん君 僕はやっぱりAlpha Anorak。お腹の保温を大事にしている山と道らしさも感じるし。縦横のポケットに、スニッカーズとカロリーメイトをいっぱい入れても全然入る安心感で、行動が本当にシンプルになる。熱くなったらガバっとサイドを開くと一気に換気できてヒートアップしにくいし、街から本当にシームレスに着て日常でも着やすい。そのシンプルさと機能がウルトラライトだなと。
夏目 行動がシンプルで、ずっと着続けられるから、結果的に装備が軽くなるということですね。今の話だと、サコッシュとか、そういったものとも兼ねて。
角ちゃん Alpha Anorakを着ている人、結構お腹のポケットにパンパンに入れていますよね。
前原 確かにみんな使っているよね。
夏目 ジョージはどうですか。
ジョージ 僕はね、Winter Hike Pantsに出会う前までは雪山=ゲイターありきでやっていたんですけど、Winter Hike Pantsをおすすめされた時に「これならゲイターなしで行けるよ」と言われて。それでも本当に大丈夫かなと思ってゲイターも持っていったら、案の定、雪が全然入らなくて。今までの固定観念が本当に覆されて、持っていったゲイターがその日ただの荷物になった、という経験もしたんで。僕にとっての山と道のウルトラライト的なことって言ったら、やっぱりWinter Hike Pantsかなと思います。
前原 ハイキングだけじゃなく、自分のクローゼットの軽量化で言うと、Merino 5-Pocket Pantsもそうかなと思っていて。スタッフでも、9月から3月はMerino 5-Pocket Pantsしか穿きません、みたいなスタッフ結構多いじゃないですか。
おーじ それ、俺かな。
前原 実は結構穿いているシーズンが一番長いパンツなんじゃないかな。1本あると街も行けるし、低山だったら雪山でもいける。りょうくんとか毎日穿いて、臭くなったら洗うくらいの感じでも全然大丈夫とかね。おーじさんも確かワンシーズン洗わないねとか。

2023年、北八ヶ岳でMerino 5-Pocket Pantsを着用する前原。
おーじ 僕は本当にワンシーズンそのまま穿いていて。2018年に買った最初の頃のやつが、未だに現役です。ピリングがちょっと起こって、お尻のところが少し薄くなっているぐらいで、まだ穿いています。俺はあんまり気にしないかもしれないけど、でも、穿けているというのはすごくないですか。3ヶ月は毎日穿いているんですよ。
夏目 そんなに持つパンツって、なかなかないよね。
おーじ そう思います。
夏目 本当、素材はたくさんテストして。耐久性も重要だし、穿き心地も大事で、いろんなバランスであれがベストだったんだよね。
おーじ もう何本持っているだろう。4本ぐらい。
夏目 ひとつでいろんなことが事足りるとか、ひとつの道具を長く使えるとか、みんな本当に好きだね。そういうことも、山と道が考えるウルトラライトなんだろうなと思いました。
チェックアウト
上杉 今日も楽しい話ができて幸せです。ありがとうございました。
おーじ 改めて自分の冬の道具をばーっと頭に並べてみると、本当に冬なのに、道具が減らせているなと思います。All-weather Alpha Jacketでそのまま寝たり、こんなに軽い道具でいけたり。冬でもちゃんとウルトラライトができているんだなというのを、話して改めて実感しました。
角ちゃん いろんな人の話を聞いて、自分がまだ感じられていない良さも聞けたので、今年の冬は積極的にそういう使い方も試してみたいなと思っています。
おでん君 実は僕、めちゃくちゃ汗かきなんで100% Merinoシリーズをあんまり使っていなくて。でも、みんなの話を聞いたら、自分が想像しているよりもっと使ってみたいなと思ったんで、この冬はいっぱい着たいと思います。
前原 アクティブインサレーションって、今思うとハイキングにおいて結構すごい転換だったんじゃないかなと思いました。夏だけじゃなくて冬も、行動中のウェアの考え方をすごく変えたんだなと、今日話していて改めて感じました。
ジョージ 僕自身、そんなに雪山の経験は多くないんですけど、皆さんの話を聞いて、もっと経験したいなと思いました。冬は山をやらないという人も結構多いと思うので、そういう人たちに「こんなすごいんだ」というよりも、「こんな楽しいんだ」ということを伝えられたらなと思います。
夏目 冬も楽しいよね。怖いとか、いろいろ苦労する部分もあるけど、それを超える面白さがある。はまっちゃうよね。今日はありがとうございました。
参加スタッフプロフィール

夏目 彰|山と道 代表
2011年に妻とふたりで山と道をはじめる。今も新しいメーカーのあり方を模索中。

前原 秀則|山と道HLCアンバサダー/グループリーダー
元理学療法士。ニュージーランドの長いトレイルを歩いて、ウルトラライトハイキングに夢中になった人。

苑田 大士(おーじ)|山と道鎌倉店長/山と道HLCアンバサダー
編集に農業に狩猟と多彩。ウルトラライトのスタイルで山を歩いて10年以上。

角田 裕子(角ちゃん)|山と道鎌倉スタッフ
北アルプスに惹かれて山の世界へ。エベレスト街道もカミーノも歩いたロングトレイル好き。

山本 暁洋(ジョージ)|京都から鎌倉に出向中
家族の日帰りハイキングから山へはまる。イラストレーターの顔も持ち、長期テント泊や雪山、バイクパッキングにも挑戦中。

横井 雄飛(おでん君)|山と道鎌倉スタッフ
釣り一筋から鎌倉のハイキングで山に目覚めた人。装備も身体も、ウルトラライト化に挑戦中。

上杉 あゆみ|山と道鎌倉スタッフ/修理部
Cubツーリングと山、山と旅、ハイクとスケートボードなど好きな物と好きな物を掛け合わせて、どれだけ自分自身をワクワクさせられるかを研究中。





















